皆さんはひんやりと冷たい感触を額に感じながら目覚めた事はあるだろうか。
想像出来ない方はなんとも言えない感情を持て余してしまうと思って頂きたい。
更に鉄が鉄砲の砲身だったりすると、爽やかな朝が陰鬱な物になること間違いなしである。
「……早く…起きる。…さもないと……」
<チャカ>
「は、はい! 起きますですよ、はい!」
柚美のささやかながらもしっかりと耳に届く声に、裕輔はがばっと目を覚ます。
目が覚めると同時に自分の額へと鉄砲の照準が定められている事を感知し、ひゃあ!? と情けない声を出して驚く裕輔。
日常的に鉄砲を向けられるようなハードボイルド生活を過ごしていない裕輔にとって実に心臓に悪い朝の目覚めである。
「ど、どうして俺は鉄砲で狙われているのでせうか!?」
「……約束…した……早く起きないと…日が……暮れる…」
「約束…はて?」
<ジャキリ>
「じょ、ジョーク! 冗句だって」
寝ぼけた頭では何故朝っぱらから襲撃されているのか思い当たらない裕輔。
柚美が無言で喉に鉄砲を突きつける事でようやく思い出したのか、必至で取り繕うのだった。
首筋がちっともチリチリと痛まないので本気ではないのだろうが。柚美は感情の起伏に乏しいので判断がし辛いのである。
「あー、びっくりした。時間は…って、ここには正確な時間とかないか。
フィーリングで早朝とかに決めるから、現代人の俺には困るぜ」
「…?」
「ああ、いや、ごめんごめん。こっちの話」
時代は日本の戦国時代とほぼ同じ。
一般的に時計が出回っているわけもなく、結構時間にはいい加減である。
国主や重臣ともなれば時計も持っているかもしれないが、下っ端の裕輔には手に入れられない代物だ。
「ん。ちょっと待ってろ。今すぐ支度するから」
「…わかった…………」
朝から鉄砲を突きつけられ、完全に眼が覚めた裕輔はふぅと溜息を吐きながら布団を片付ける。
まさかここまで自分に懐くとは…裕輔としても完全に予想外だった。
それにしても早朝に男の部屋に女の子が一人で来るってどーなのよ。
種子島は比較的新しい商人の国なので規律などは緩いのだが、少し考えてみて欲しい。
「…?」
それに――――ジッと改まって柚美を観察する裕輔。
見られている柚美は子首を傾げて頭に疑問符を浮かべるばかりである。
柚美は黒髪黒眼、ショートボブといったまさしく大和撫子の素晴らしい所を全て持っている。
胸は控えめだが、掌サイズも趣があってまたすばらしい逸材である。
背丈もそれほどに高くなく、可愛らしいといった印象を受ける。胸に関してもこれからに期待大だ。
そして何より――――――柚美最大の武器は服装にあった。
スクール水着+セーラー服=∞
柚美は一つでも破壊力大な装備を二つも持っているのである。
まず一番下にスクール水着を身につけ、セーラー服の上部分のみを羽織るという柚美スタイル。
何気なく髪を纏めているカチューシャも得点が高い。
(…すごく、衝撃的です)
実際柚美を初見した時、裕輔の体には電撃が走りっぱなしだった。
なんだ、このエロティックかつ可愛い生き物は。これは存在を許してもいいのか。
二次元でもそれはそれは可愛らしかったが、三次元はそれを軽々と上回る衝撃だった。
「………」
「…なに?」
「わ、悪いけど部屋から出て行ってくれ。
これから着替えるから? な? な?」
朝寝起きから柚美のセクシーな姿を見れば、自ずとどうなるか答えはわかっているだろうに。
裕輔は己の愚を恨みながら、顔でにっこりと笑みを作って柚美にお願いをする。
ヒントは朝の男の生理現象、それに普段着からしてエロカワイイ柚美。
(ぐっ…迂闊…! こうなることは自明の理だったというのに)
ぶっちゃけ裕輔は性欲を持て余していた。
「…ん。……わかった」
どうして裕輔は及び腰でいるんだろう?
疑問に思いながらも柚美は裕輔の部屋から出るのだった。
■
裕輔と柚美が出会ったのは種子島家に来て間もない頃の事。
鉄砲隊が組織していない頃の柚美は単なる一人の鉄砲の技師でしかなかった。
柚美の父親と重彦は懇意にしている仲だが、柚美は柚美自身の力を見て欲しいという思いがとても強い。
そのため柚美は鉄砲の試験部隊の一員として参加し、たくさんの人間の中で必至に修練を積んでいた。
裕輔が柚美を発見したのも鉄砲の意見を聞かれた時にたまたま一団に埋もれていた柚美を発見したのが始まりである。
初めて裕輔に声をかけられ、柚美は混乱した。
そのころの柚美は未だ原石。ただの一般兵に過ぎなかった。
そんな自分に浅井朝倉からの使者である裕輔が声をかけてきたのだから驚きである。
【セーラー服とスクール水着……あるっ!】
はっきり言って意味がわからなかった。
しかし今柚美が種子島家で一部隊を預けられ、武将として扱われるようになったのは裕輔のおかげである。
裕輔は原作知識により柚美の才能を見抜き、重彦にそれを伝えた。重彦がそれに注目し、柚美を登用したのだ。
この異例の出身に敬愛する父親の力は関係ない。
国主である重彦が柚美の鉄砲の腕を認め、純粋に柚美は力で一角の武将へとのし上がった。
それが柚美にはとてもうれしく、強く記憶に刻まれることになった。
それ以来柚美と裕輔との間に繋がりが出来た。
柚美からすれば裕輔は自分を高く買ってくれた恩人だし、裕輔からすれば可愛い女の子とコミュニケイションがとれる。
そんな関係が何時しか変化したのは、裕輔は柚美を遊びに誘った時の事―――――――
「準備よし。軍資金よし(重彦からのお小遣い)! じゃあ行くか!」
「………楽しみ………」
裕輔も身なりをきっちりと整え、財布もきちんと懐に入れる。
今日は重彦にも城下町に繰り出すことを伝えているし、一日中遊べる。
先陣をきって城下町へと繰り出す裕輔と、裕輔の後ろをちょこちょこついて回る柚美。
はたから見れば仲の良い兄妹にうつる事間違いなしだった。
■
さて、城下町に来たわけだけど。
「………」
じっと俺の事を期待のまなざしで見つめる柚美。
その目はこれから遊園地に行く子供が親を見つめるが如しである。
そんな可愛らしい妹分の視線は気持ちよくもあり、責任重大でもあった。
ゲームをプレイして人物の趣味嗜好を知っている、という事が初めて役立ったというか。
柚美と俺とのコミュニケイションは怖いくらいに上手く嵌まった。
ただ知識だけで何でも出来るというわけでもないので、それなりに苦労はしたが。
「柚美君、今日は君にキモカワイイという概念を与えようと思う」
「きも、かわい…? 気持ち悪いけど、可愛い…? よく…わからない」
一見クールビューティーを地でいく柚美に話しかけるには苦労した。
いくら話しかけても初めは「…うん」とか「…そう」で会話が途切れ、会話が続かなかった。
そこで俺が出した対柚美最終兵器によって一気に関係が軟化し、話しやすくなったのである。
「…どういう…こと…?」
「くくく、見ればわかるさ」
「…裕輔、意地悪」
意地悪く笑うと、意趣返しに柚美の武器・試作型箒星を背中に押しつけられる。
首筋に嫌な感じのジリジリを感じないため、気楽なものだ。
命の危険を感じた時に察知する首筋のチリチリする感覚は結構役に立つ。
これがあれば相手が自分を殺す気なのかそうでないのかがすぐにわかるし。
今日の目的地は城下町の呉服屋、現代風に言うと服屋。
この時代に可愛い物や『萌え』を主眼として扱っている店はないので、オーダーメイドで造ってもらうしか萌えアイテムを手に入れる事は出来ない。
そのため暇を見つけて萌えアイテム作成を呉服屋に頼んでおいたのである。
横では無表情ながらも【むぅ】と少しヘソを曲げた柚美がいる。
今朝のようにかなりドキドキさせられる時も偶にはあるが、基本的に柚美を妹みたいに思ってる。
なんというか、その、うん。ランス的に柚美はセーフでも、俺からすればアウトなのだ。
不躾ではあるが身体的に言えば柚美はオールオッケー。
しかしどうにも柚美には幼いところがあるので、精神的にそういう対象にはならない。
そういう対象として見るよりも可愛い物を近くで愛でていたい、父親的母性みたいな?
「そこの呉服屋だから、それまでのお楽しみってやつだな」
「…なら行く。早く………行く…」
「ちょ、おいおい」
目的地がわかるや否や柚美は眼を輝かせ、俺の手をぐいぐいと引いて早く早くと急かす。
柚美に尻尾が生えていたのなら、きっと犬のように全力でふりふりとふられているに間違いない。
俺はそんな柚美に微笑ましいものを感じながら、手を引かれて小走りで城下町を駆けて行く。
「ああ、平和だな…」
商人の国・種子島家は活気に満ち溢れている。
道のあちこちに露天が溢れだし、まるで毎日が祭りのよう。
この国と浅井朝倉にいる間は自分が戦国時代にいる事すら忘れてしまう時もある日々。
今日も種子島家は平和だった。
■
種子島家の呉服屋はなんとも品揃えが素晴らしい店である。
一度一郎様の付き人で浅井朝倉の呉服屋に行ったけど、ここまでの品揃えではなかった。
店の規模もかなり大きいし、所狭しと反物や着物が積まれている。
これでも京の都の呉服屋のほうが大きいというのだから驚きである。
「お邪魔する。ご主人、この前頼んでおいたブツはどうなってる?」
「ああ、浅井朝倉の方ですか…ちょっとお待ちを。
言われたとおり人形を作りましたよ。きっとお気に入られると思います」
店の主人は若く、30代後半の中年男性。
前に来たとき人形の詳しい要望を指示するためにかなり仲良くなったのだが、なんでも二代目だとか。
商人たちにとって種子島家ほど住みやすい場所はないので、京から引っ越してきたのだろうだ。
二代目主人の夢は京にあった公家ご用達の店を超える事。
そのために日々山千海千の腹黒い商人たちと商談という名の戦いを繰り広げているそうな。
「………楽しみ……」
あまり呉服屋の二代目の事ばかり考えていてもどうかと思うので、横にいる柚美の様子を窺う。
柚美は店に入ってからというものの期待値がマックスを突破したのか、ずいぶんとソワソワしている。
わたし、期待していますというオーラが惜しみもなく放たれていた。
ここまで期待されると、俺のチョイスがちゃんと正しかったのかすら不安になってしまう。
だ、大丈夫だ、うん。柚美は徳川の狸達を見てヘブン状態に陥っていたし。
ちらりとそんな不安が心から覗きながらも俺と柚美は店の奥に引っ込んだ主人を待つ事にした。
「おまたせ致しました。品はこちらになります」
待つこと暫し、柚美の我慢がかなり危ないゲージに達した時。
店の奥から二代目が風呂敷で何かを包み、俺へと手渡しに出てきた。
俺が想像していたものよりもかなり大きく出来たらしく、小学生のランドセルくらいの大きさに仕上がっている。
「それじゃあ中身を確認<クイクイ>…するのは後にするわ。
これ代金。これからも頼むことがあるかもしれないけど、その時はよろしく」
「へぇ、確かに。これからも御贔屓にお願いしますよ」
ちゃんとした仕上がりになっていたか確かめようとしたが、柚美が袖を引っ張るのでひとまず品を受け取る事に。
柚美はアノ状態になるのを人に見られるのを酷く嫌う。
俺の時でも散々誤魔化しになっていない誤魔化しをし、何度もアノ状態を晒してやっと認めるようになったのだから。
「…早く。早く…!」
「それじゃあご主人、またよろしくな~」
辛抱たまらん! とばかりに風呂敷を持っている俺の袖を引っ張る柚美。
俺はひっぱられるがままに柚美に連れられ、店から強制退去する事になった。
■
柚美は狭い路地に入り、きょろきょろと人目がないことを確認。
まるでお預けされている犬のように、裕輔に早く早くと風呂敷の中身を見せるようにせがむ。
裕輔はもったいぶりながらも柚美の両手の上で風呂敷を乗せ、その包みを剥いだ。
「―――――――――!?」
まず柚美の目に飛び込んだのは明るい太陽のような黄色。
どうやら人形らしく、反物の生地の中にはふわふわの綿が詰められている。
柚美は目の色を変えて裕輔がオーダーメイドした人形に見入った。
その人形はどうやらネズミをモチーフにしているらしいが、ガリガリではなくふっくらとした柔らかい形状をしている。
長く黄色で先端が黒い耳は可愛らしくちょこんと頭の上に付いており、ほっぺたはデフォルメちっくに赤い丸が両頬に二つ。
基本的に黄色の色をしているがハムスターのように背中は茶色の模様が彩っている。
尻尾は重力に逆らうようにしてギザギザと質量を持って逆立っていた。
ぶっちゃけてしまうとピ○チュウそのものだった。
この世界に任天○はないので、著作権も問題ないのである。
ふおおおおおぉぉぉ……!
まるで薬でも決めているかのような恍惚の笑みを浮かべる柚美。
それが柚美に与えた変化は顕著なものだった。
頬は運命の恋人と出会ったように上気し、目は夢見る乙女のように宝石の輝きを放つ。
力の限りピカチュ○の人形を抱きしめ、あらんばかりに頬ずりした。
「キャーーーー! キャーーーー! キャーーーー!!!
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いぃぃーーーーーいい!!!
何コレ何コレ何コレ何コレ何コレ!!!????」
きゃあきゃあと歓声を上げ、いつものクールビューティーな柚美は完全に消え去ってしまう。
柚美の他人に隠したい趣味とは【可愛い物を見つけると我を忘れてしまう】なのだ。
可愛いものを見つけると柚美は我を忘れ、所構わずヘブン!状態になってしまうのである。
「可愛い…うん、確かに可愛い」
もはや柚美の視界に入っていない裕輔は柚美を慈しむ目で見ながら愛でる。
可愛いと言っている本人が一番可愛いとは裕輔の言である。
この状態の柚美を見ていると妹にしか思えず、父親的な立場から慈しむ心境になってしまうのだ。
「キャーーー! キャーーー! キャーーーー! ……はっ!」
高い高いをするみたいに人形を掲げ、くるくると回って喜びを表現していた柚美。
だがはっと生暖かく自分をみる裕輔が視界に入り、一瞬にして我に帰る。
そして顔を真っ赤にしながらこういうのだ。
「その…うん………ネズミなのに可愛い……勉強になった。
けれど…出来ればその…父や他の人には…」
さっきまでの自分の行動を思い出しながら、もじもじとお願いするのである。
裕輔は我慢できず反射的に柚美の頭をかいぐりかいぐり撫でまわした。
「うんうん、柚美は可愛い。こうなるとネズミも随分と可愛くなるもんだろ?」
「…衝撃的だった」
「我を忘れるくらい?」
「~~~~~~~~~~~~!!」
<ズドン!!>
「のわっ!? お、俺が悪かったから本気で撃つな!!」
恥ずかしさのあまりポーズではなく、本当に火縄銃に火を点火して発砲する柚美。
その顔は熟れたトマトのように真紅に染まり、よっぽど恥ずかしかったのか目に僅かに涙を溜めている。
やり過ぎたと裕輔が謝る事でやっと柚美は鉄砲を下ろした。
「…反省、した?」
「しましたしました。本当にすまない、このとーり!」
「なら、いい。…次にも素晴らしい物を………用意してくれたら……許す」
許すついでにさり気なく次の約束を取り付ける柚美。
裕輔はその事を微笑ましく思いながら、了解と快く返事をするのだった。
柚美が何故他人から可愛いものを愛でている自分を隠しているのには理由がある。
もちろん自分が恥ずかしいというのがあるが、何よりも相手に盛大に引かれてしまうのである。
普段の柚美が無口で感情を表に出さない時とヘブン状態の柚美では天と地ほどの差がある。
それ故柚美のヘブン状態を見てしまった者は例外なく引いてしまい、それ以来柚美と相対する時一歩引いてしまうのである。
そもそも柚美は無口で友達も少ない。その少ない友達が引いてしまい失うのだから、柚美が自分の趣味を隠してしまうのも自然の流れだった。
裕輔に最初取り乱した所を見られた時、盛大に引かれてしまったと柚美は思った。
ポカーンと面食らい呆然とした表情を浮かべる裕輔に自分の失敗を悟り、必至になかった事にしようと取り繕った。
なかった事にしてしまえば大抵の人は敢えてそこに触れようとせず、なかったように扱ってくれるから。
だから、裕輔の言った言葉と行動は鮮烈だった。
【柚実はかぁいいな、うん。柚実は可愛い】
裕輔は父親が娘に向けるような慈愛の眼差しで柚美の頭を思い切り撫でたのである。
裕輔も柚美の可愛さにやられて思わず撫でてしまった口だ。裕輔はすぐに我に返り、勝手に頭を撫でた事を柚美に謝罪した。
柚美は裕輔の謝罪も放っておいて、心のままに裕輔に疑問を投げかけた。
【…私が、可愛い…? 気持ち悪い、じゃなくて…?】
【気持ち悪い? なんでだよ?】
ごく自然に、わけがわからないと裕輔はそのまま柚美に訊ね返す。
裕輔の嘘偽りない言葉に、柚美の中で裕輔の立ち位置が大きく変化した。
それ以来、裕輔は柚美が自分の趣味を隠すことなく出せる少ない人間となった。
裕輔が可愛い物を見せてくれると言えばランランルンルン気分で裕輔について行く。
それを繰り返している内に裕輔は柚美が心を開いている数少ない人間のポジションを獲得したのである。
■
「ん……」
悩ましい声を上げ、柚美は自分の部屋で目を覚ました。
枕もとには裕輔がプレゼントしてくれた人形がちょこんと鎮座している。
昨晩はピカチュ○の人形を抱いて眠ったから裕輔の夢を見たのかな、と柚美は寝ぼけ眼で考える。
随分と懐かしい夢だ。
まだ箒星が試作型であった頃だから、結構前の話である。
今では箒星は完成し、敵を狙撃できるほどの完成度を誇っている。
「…裕輔、大丈夫、かな…?」
裕輔が種子島家を出て数日がたった。
浅井朝倉と織田が戦となった事は既に諸国に広がり切っている。
―――――――しかも悪い事に浅井朝倉は相当劣勢らしい。
数日前にいなくなった裕輔を案じ、柚美はぎゅっと人形を抱く。
せっかく仲良くなったのに、ずっと種子島にいればいいのに。柚美はそう思う。
裕輔がいなくなってから種子島家は随分寂しくなったと思う。あくまで柚美視点だが。
敬愛する父親も流行り病に倒れ、あまり具合がよくない。
最近は何故か漠然とした不安が頭をよぎり、柚美を落ち込ませる。
「…約束した。だから…大丈夫」
裕輔と柚美の間で交わされた約束。
次はピカチュ○と同じかそれ以上に可愛いものを見せてやるという約束。
約束…まだ守ってもらって、ない…
柚美はもう一度強く人形を胸に抱きながら眠りにつく。
二度寝するもの偶にはいいものだ。
あとがき
番外編その二。柚美と裕輔の日常編。
350番のキリ番を取られた○っかさんに捧げます。
ちなみに柚美の父親が現時点でもかろうじて生きています。原作では事故で亡くなりましたが、ここでも…
次回のキリ番は未定ですが、400~500番くらいでやりたいかも? です。