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No.4492の一覧
[0] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)[Kei](2008/10/19 10:30)
[1] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第1話[Kei](2008/10/19 10:31)
[2] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第2話[Kei](2008/10/19 10:33)
[3] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第3話[Kei](2008/10/19 10:40)
[4] 登場人物紹介[Kei](2008/10/25 22:30)
[5] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第4話[Kei](2008/10/25 23:47)
[6] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第5話[Kei](2008/10/25 23:27)
[7] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第6話[Kei](2008/11/18 17:08)
[8] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第7話[Kei](2008/11/19 01:23)
[9] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第8話[Kei](2008/12/17 23:25)
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[4492] あかりの碁(ヒカ碁逆行モノ)第1章第3話
Name: Kei◆4db8a14a ID:e8c5ac92 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/19 10:40
碁会所

あかり「本当だ、じーちゃんばっかりね。」
ヒカル「そういう事いうと、北島さんの血圧が上がるって。」
あかり「北島さんて誰?」
ヒカル「塔矢アキラをひいきにしてて、俺のことはいっつも目の敵に
してるんだ。」
あかり「そんな人、血圧を上げちゃえばいいのよ。」

市川「女の子が来るなんて珍しいわ。あなた、ここ初めて?」
あかり「まるっきり初めてです。誰でも打てるんですよね。」
市川「打てるわよ。名前書いてください。棋力はどれぐらい?」

あかり「よく判りません。あたしまだ人と対局したことがないんです。
でも当人は『塔矢アキラのライバル』だって言ってます。」
ヒカル「あかり、余計なこと言うなって!怪しまれるだろう。」

「ぷっ!」市川は思わず噴き出してしまった。よりにもよって
『塔矢アキラのライバル』を名乗るとは。ここが、塔矢名人経営の
碁会所ということを知らないのだろう。

あかり「あっ、あの子、あの子と打てますか?」
市川「あ、うーん、あの子は。」
アキラ「対局相手を探してるの?いいよ、ボク打つよ。」
市川「アキラくん、でもこの娘・・・」

アキラ「奥へ行こうか。ボクは塔矢アキラ。」
あかり「あたしは藤崎あかり、6年生よ。」
アキラ「ボクもだよ。」

市川「ちょっと待ってよ。お金がまだよ。」
あかり「入り口の案内で見ました。子どもは、500円ですよね。」

ヒカル「お金忘れたって塔矢に頼めば、あいつタダにしてくれるぜ。」
あかり「何言ってんの!ひかると違ってあたしは、お小遣いちゃんと
もらってるんだからね。」
市川「え、何?」
あかり「いえ、何でもないです。はい500円、ここに置きますね。」

2人は席についた。
アキラ「棋力はどれぐらい?」
あかり「よく判らないけど、本人は『最強の初段』って言ってます。」
ヒカル「だから、余計なこというなって。」

アキラ「よく判らないけど『最強の初段』なの?じゃあ置き石は、
とりあえず5子ぐらいにしようか?」

プロの初段とアマチュアの初段の間には、普通はそれ以上の差がある。
既にプロレベルの実力があるアキラは、適当に手加減して互角の碁に
するつもりだった。でも、女の子相手だからと言って、負けてあげる
つもりはサラサラなかった。

あかり「置き石ってハンデのことよね?ヒカル、どうするの。」
ヒカルはアキラの顔を見た。5子はそれなりに大きなハンデだが、
普通のアマ相手には余裕である。アキラは涼しい顔をしている。
そんなに無茶な手は打たないだろう。

ヒカル「ちょうどいいかもな。」
あかり「では、それでいいです。始めましょう。お願いします。」
アキラ「お願いします。」

5子というのは60目に相当する大きなハンデである。上手は、
黒石を殺して白地を確保しなければ勝負にならない。しばらくして
アキラは、違和感を持った。

切り結んでも黒の応手には乱れというものが、まるで見当たらない。
地合いの差は詰まっているが、大きく黒石を殺してのものではない。
アキラの攻めは、巧みに交わされしのがれている。黒が囲える所を
大きく囲わず、手を緩めている。

「もてあそばれてる。」そう感じたアキラは、あかりの表情を見つめた。

アキラの視線に気付いたあかりは、あわてて顔を伏せた。彼女は
盤面よりボクの顔色ばかり窺っているようだ。ニコニコと笑顔を
見せながらどんな手にも動じない。手つきはまるで初心者なのに。

「そっちがその気なら、ボクにも考えがある。」
アキラは気合を入れ直した。

彼女の様子は、上気して頬に少し赤みが差しているものの、
相変わらず微笑みを浮かべ余裕の表情だ。

アキラは時間をかけて30手先まで読み切り、逆転する手を考えた。
黒が正しい応手を打てば逆転はないが、必死で考えなくては、
複雑な変化が最後まで読みきれるものか。

しかし彼女は一手の間違いも犯さず、最後まで完璧に打ち切った。
2目差で敗れたアキラは呆然として、彼女が席を立ったことにも
しばらく気がつかないほどだった。

碁会所を出るあかりに、市川は『全国子ども囲碁大会』の
チラシを渡したのだった。

「えっ負けた・・・?」「アキラくんが負けたのかい!?」
「2目差で」「置き碁だったんだろう?」「女の子に5子で。」
「じゃあアキラくんが手加減したんだろう?」

アキラ「2目差とか・・・そんなレベルじゃない・・・
置き碁なんて関係ない。あの深い読み・・・
彼女には、高段のプロに匹敵する棋力がある。」

市川「アキラくんが負けたってホントなの!?だってあの娘、
今まで人と一度も対局したことがないって言ったのよ。」
アキラ「一度も・・・対局したことがない?なんなんだ?あの娘は。」


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