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No.7384の一覧
[0] 戦国ランス 現実→転生 オリ主、オリ有り 【習作】 第6話うp[てすと](2009/04/01 19:54)
[1] 第1話「え?戦国時代の日本じゃなくてJAPAN?」[てすと](2009/03/15 23:53)
[2] 第2話「まさか死亡フラグが建ったキャラに転生するなんて・・・」[てすと](2009/03/16 14:53)
[3] 第3話「まずは死亡フラグの回避が先決です」[てすと](2009/03/16 14:52)
[4] 閑話1 ~妹から見た兄~[てすと](2009/04/01 15:48)
[5] 第4話「あと少しで原作開始」[てすと](2009/03/26 12:54)
[6] 第5話「意外なところで出会うもんだ」[てすと](2009/03/28 18:42)
[7] 第6話 「あれ?なんでこんな事になってるんだっけ・・・」[てすと](2009/04/01 20:07)
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[7384] 閑話1 ~妹から見た兄~
Name: てすと◆851f9a6e ID:e1742470 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/04/01 15:48

私の兄上は昔から変わっていた。
5歳しか違わないが身にまとう空気がより年上のそれであった。

昔から自分の事を気にかけてくれており、勉学や武芸について良き師でもあった。
子供の頃から父上に領地のことについて進言をしたり、農民に対しどうすれば作物が多く取れるか等の助言を行ったり等、
普通の子供であればできないような事を多く行ってきた。
神童等と周りの者から慕われる兄上であったが、その度に苦笑いをしていたのを覚えている。

そんな人とはすこし違った兄上の様子が最近おかしかった。
というより兄上がおかしいのはいつも通りであったが、ふとした拍子に考え事をすることが多くなっていた。
兄上は気づいていないようだが、その様子が屋敷の侍女たちの間で評判になっている。
兄上の表情は同い年の女から年上まで幅広い層のハートをつかんでいるらしい。

・・・話がそれたが元に戻す。
私が不思議に思って何で悩んでいるのかについて尋ねると、キョトンとした顔をして頭を撫でながら苦笑いをするのだ。
兄上はいつも私からの質問に答えたくないときには私の頭を撫でながら困ったような顔をするのだ。
そんな顔をされたら聞きたいことがあってもそれ以上聞くことができなくなってしまう。
・・・兄上はずるいと思う。

でも兄上を困らせるの嫌だから私はそれ以上は聞かないようにしている。
そうすれば兄上が自分の頭を撫でてくれるからだ。

私は兄上を困らせないように勉学と武芸に励む。
兄上の役に立てるように自分を鍛える。
いつか兄上に認めてもらうために・・・。



兄の様子がおかしくなってから少し経ったある日の晩。
私は兄上の様子が不安になり、その事について相談しようと父の部屋に向かっていた。
暗い廊下を蝋燭の火を頼りに進んでいく。
私の影は、まるで私の心を映しているかのようにゆらゆらと絶え間なくゆれていた。
影は生き物のように蠢く。これが私の心だというのならどれだけ醜いのだろう。
その影の様子を見て私は更に不安をかきたてられながらも、父の部屋へと急いだ。


すこし早足になりながらたどり着いた父の部屋はフスマが少し空いており、中から光が漏れ出していた。
どうやら中に父以外の者がいるようで、話の最中だということが伺えた。

( こんな時間に誰でしょうか?この時間は執務も終わっている時間でしょうけど・・・)

こんな時間に父を尋ねる人がいないと知っていたからこそ、兄の事を相談しようと思っていた五十六イソロクはすこし不思議に思いながらもフスマの隙間から部屋の中をのぞきこんだ。


部屋の中には男が2人座りながら向かい合っていた。
1人は五十六が相談をしようとしていた父であり五十六イソロクも驚かなかったが、もう1人の存在が五十六の心を揺さぶった。
もう一人の人物は見間違えようのない彼女の兄二十一ハタカズであった。


(なぜ兄上がこんな時間に?・・・!もしや最近の兄上の様子がおかしいのは父上が原因・・・?)


もしそうであれば納得がいく。
父上のことだ。どうせこんな時間に呼び出して兄上が困るようなことを頼んだのだろうと五十六は思ったが、その内容を知りたかったのでこのまま隠れて2人の様子を見ることに決めたのであった。


五十六が覗きだしてからしばらく経った後、酒を酌み交わしていた男2人であったが突然父が尋ねるように聞いた。
「今回急に酒に付き合えと誘ったが・・・なぜだかわかるか?」

優しく、しかし嘘は許さないといった目で兄をまっすぐ見据えていた。
兄はその視線に気づき、頭を下げて視線をそらしてしまった。
長いようで短いような静寂の後、兄上はポツリと答えた。

「・・・なんでもない。」

それは明らかな嘘。
目を背けながら口にされた言葉はとても真実ではないと理解できた。

しばしの静寂の後、父上が苦々しそうに続けた。

「父にも答えれぬほどの事なのか・・・?まぁ・・・今日呼び出したのは心配だったからだ。
ここ最近顔色が優れぬようだがどうした?鍛錬にもあまり集中できてないそうじゃないか。」

優しく父上が問いかけるが、兄上は黙ったままだった。
父上はその様子を見て溜息を吐きながら続けた。

「ワシとしては気にするほどの事ではないと思っていたのだがな・・・。最近のお前の様子がおかしいと家臣達から何度も告げられてな。あまりに言う者が多かったからこの場を設けて聞こうとしたわけだ。」


どうやら他の者の間でも結構問題になっていたようだった。
・・・しかし父上。
先程の言葉前半部分で左の眉がしきりに動いていましたよ?確実に嘘でしょうね・・・。
大方心配だったけど聞くか聞かないか悩んでたところに、他の者からも兄上の事を尋ねられたのでそこを利用したんですね・・・。

( まったく素直じゃないんですから・・・。そこは兄上にも遺伝してるようですが・・・。)

心の中で溜息を吐きながら呟く。
父上からそこまで言われても兄上は視線を落としたままだった。
父上はじっと兄上を見つめて言葉を待っている。
長いような短いような静寂の後、兄上が静かに口を開いた。

「これからの事について悩んでおりました。」

父上はその言葉を聞いて少し驚いたような表情をしていた。

「これからの事とはいったいどのようなことをだ?」

父上に尋ねられた兄上は言い辛いのか顔をゆがめていたが、父上のまっすぐな視線を見て観念したのかその内容を語りだした。

「馬鹿馬鹿しい話なのですが・・・。実は・・・武者修行の旅にでるかどうかということで悩んでいました。
最近、自分の限界という物が見えてきてしまい・・・。それを超えるためには武者修行をして諸国をめぐるしかないだろうと・・・・。」

兄上の言葉は途切れ途切れで何かを搾り出しているようにも見えた。
そんな兄上の言葉を聞いて、父上はすこしの間何かを考え込んでいるようだった。
なにやら重苦しい空気の中沈黙が続いたが、それを破ったのは父上だった。

「・・・・・・それだけの事でなぜそこまで思いつめる必要がある?」

それもそうだった。私にも何が兄上をそこまで悩ましているか気になっていたが、こんな理由だとは思っていなかったのだ。
父上はまだまだ殺しても死なないくらい元気だし、領地も今のところ兄が行った事業は成功して問題はない。
旅の安全に関しても、兄ほどの腕があれば余程の無茶をしない限り死ぬことはない。
一体どこに問題があるのかと不思議に思っていると、兄上がその理由を語りだした。

兄上曰く、JAPANはあと数年で危ない状態になるということだった。現時点でも各地で様々な小競り合いが起きており、いつ誰が天下を取るための戦を始めるかは時間の問題だと。現在各地で人ではないものの活動が活発で、何か災厄が起きることの前触れであるということだった。
私は兄上の喋った内容自体も驚きだったが、なぜ兄上がそこまでJAPANの事を深く見ていた事に最も驚かされた。
なんでそこまでJAPAN全土で起こっていることを知っているのか、何故知る必要があったのかという疑問が私を不安にした。
そんな事を考える兄が、どこか自分の届かない所に行ってしまうのではないかと不安になってしまった。

父上はその話を何もいわずに黙って聞いていた。
話が終わり、静寂が訪れると今まで目を閉じていた父上が突然目を見開いて立ち上がった。

「っ・・・このたわけがぁぁ!」

突然立ち上がっての一喝。兄上を見ると予想外の出来事に驚いているのが見えた。

「さっきから黙って聞いておれば・・・!お前の言っている事はすべて自分中心ではないか!
確かにJAPANがそのような状況になっている事など、ワシでもなんとなくならわかっとるわ!
・・・しかし何故お前がそのような事でなやむ必要がある?
お前は昔からどこか落ち着いた子供であったことは周知の事実。
子供ながらに稽古をつけてくれだのせがんだり、領地運営に口をだしたりと普通の子供がしないような事もしておった。
しかし・・・それもすべては自分のためでなく人のためになる事ばかりであろう?
・・・・・・おおかた今回の事もどうせ守るための力が欲しいとかそんな理由であろう・・・。
お前の考えそうなことぐらいすぐ分かる・・・。」

父上は心底呆れたような表情をしながら溜息を吐いて座りなおした。

「お前が何のためにそこまでしたいのかはワシにはわからんし、知る必要もないと思っておる。・・・・・・お前はワシら自慢の息子じゃ。そのお前がしたいと思ったからにはそれなりの理由があるであろうて・・・。」

「家のことは心配せんでもワシがなんとかしてみせる。お前が生まれる前まではそうじゃったから大丈夫じゃ。たまには親を頼れ。」

父上はそう言ってやれやれと言いながら溜息を吐いていた。
兄上の方を見るとじっとしたまま小刻みに震えていた。
頬に光る物が見えて気づく。
兄上は何も言わないまま黙って声を押し殺しながら泣いているようだった。

話はどうやら終わりのようで、あとは父と兄が酒を酌み交わしているだけだった。
聞き耳を立てていた私は、ここにいる意味はもうなくなったと静かに自分の部屋に帰る。
兄上は旅にでるのだろう。
妹である私はそれを止めることができない。止めてはいけない。
だから一度1人になろう。
今のままじゃきっと旅立つ兄上を引き止めてしまうだろうから。
絶対に泣いてしまうから。
できるなら今迄で一番の笑顔で送りたい。



心からの言葉と一緒に兄を送り出そう。















あとがき
今更ながらに閑話1加筆
ちょっと文章のつながりがおかしいけど勘弁してください・・・orz


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