それは、ものすごい夜だった。何が凄いって、まず嵐だ。風と雨と、雷鳴が我々の知らない場所で密やかに絡みあい、まとまり、束となって、ごうごうと窓を叩きつける。その音があまりにも大きくて、激しくて、割れるんじゃないかと横目でちらりと見たのと同時だったと思う。その時僕は生まれて初めて、絶頂というものを身体に思い知った―