初めまして、カピバラです。
前置きは書きません。
そのまま本文をお読み下さい。
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別に見返りが欲しかったわけじゃない。
俺が生まれて、母さんはよりいっそう忙しくなっていった。
父さんは俺が生まれる少し前にトラックに引かれて死んでしまった。
だから母さんは女手1つで俺を18年間育ててくれた、ともいいずらいところが本当だ。
俺は母さんが働いている時はたいてい従兄弟の夫婦に預けられていた。
母さんは知らなかったらしいけど、俺は叔母さんおじさんから愛情なんて受けずにただ家事やらをやらされていた。
その屈辱な生活が何年か続き、心身共に俺のカラダは子供らしくなくなっていった。
子供特有のふっくらとした肌に対し、当時の俺のカラダは痩せ細ったガリガリのカラダだった。
俺がこんなカラダになり、肌にもキズが何ヵ所もついているにも関わらず母さんは何も言わず家庭の生活を優先した。
そのうち近所からも冷たい視線が突き刺さり、学校のいじめっこがさんざん俺をいじめていた。
ましては給食費を払えない母さんまでもを非難する大人の感情が高ぶった目をいつまでもこの目に焼きついている。
そして年月が経ち、俺は地元を離れ知り合いが誰もいない田舎の学校に行くことにした。
それならあの視線も気にしなくて良くなるし、あいつらにいじめられもしない、あの家から抜け出せる。
そう思いがけたら俺は荷物をまとめ、家を逃げるように出た。
駅の改札を潜り満員電車に乗ると、何故か人のぬくもりを感じ「俺はこれから自由なんだ」という感情が溢れた。
赤くなった目をこすりながらアナウンスを聞くと、ここらで人身事故があったらしい。
車内はざわざわとどよめきだし、人々の吐く息でさらに熱気が高まった気がした。
ガコンッッ
何かが擦りあった嫌な音が耳元でなりやまない。
車内はまた困惑と痛みにまみれた感情になり、「助けて」「死んじゃうよ!!」人々がなき叫びながら赤い液をダラダラと流す。
かくいう俺も全身から赤黒いどろどろとした液体が溢れて止まらない。
せっかく、やっとあそこから脱出できたのに。
今度は、平凡だけど楽しい生活が送れると思っていたのに。
あぁ、俺はこの世界からも脱出しなければいけないのか。
薄れる感情の中に抱いた言葉は自分でも良く、わからなかった。
これで、終わる……__
わけがない!!!
まだこちとら成人してない18だぞ!!?
俺はまだやり残したことがあるんだ!
まだ憧れのペットも飼っていない!
まだ冨樫先生の狩人×狩人が完結していない!
まだ、生きたい!!
まだ、生きたいんだ!!!
まだ、生き……んだ………
ま……生………ん…………
…………
次に目を覚ました時
俺は草木が悠々と生い茂る
ジャングル地帯のような木のそばで朝日を迎えた。