学園長サイド
「どうしたもんかの?」
先程、ウェールズにいるネギ君の姉ネカネ・スプリングフィールドから、手紙が届いた。
本来ならネギ君に届けられるので、郵便局の手違いかと思ったのだが、宛先がワシになっておる。
「何なんじゃろ?」
ワシは手紙の封を開ける。
『こんにちは、ネカネ・スプリングフィールド。
いつもネギがお世話になっています。
早速ですが、お伝えしたい事があります。10日前、ウェールズの森で大怪我をした子供を発見し、ウェールズ魔法学校が保護しました。
ですが、どうにも彼は自分の名前以外何も覚えていないようなのです。何か彼の身分証明になる物がないか探してみると、一冊の赤い本を見付けました。
ですがその本、何所の国か解からない謎の文字で書かれており、こちらでは解読不可能です。
そこでこの文字、麻帆良の図書館島なら、何か詳しいことが記されているかもしれません。
ですので、この子をそちらで預かってもらいます。
本人は助けてくれた恩返しがしたいと言ってますので、ネギのサポートに回して下されば構いません。
明日にはそちらに到着するとおもいますので、どうかよろしくおねがいします』
「やれやれ、もう少し前もって伝えてくれんかのぉ」
そう呟きながら、ワシは早急に高畑君に連絡を取る。
さて、その子供がネギ君にどう影響するのかのぉ?
ネギサイド
「「いただきます」」
「召し上がれ~」
僕達は今、このかさんが作ってくれた朝食を食べている。
この前、麻帆良の正式な教師になってやっと一段落ついた所です。
「そういえばネギ君、今日おじいちゃんから呼び出されていなかったっけ?」
「あ、そういえばそうでしたね」
昨日タカミチから連絡があり、朝に学園長室に来てくれと言われていた。
「ネギ、アンタまた何かやらかしたんじゃないでしょうね?」
「な、そんな訳ありませ……」
否定しようとしたが、僕の思考が働く。
そういえばドッチ部の皆さんの体操服を吹き飛ばしちゃったし、勝手に夜中に図書館島に侵入したりした。
もしかして僕、それが原因で正式な教師は無かった事にされちゃうんじゃ……
「うぅ……僕、どうなっちゃうんでしょう……」
これじゃ、マギステル・マギになれないよう。
と、俯きながら嘆いていると、
「何を弱気な事を言っておるのだ!!」
「え?」
「ん?」
「ほぇ?」
僕、アスナさん、このかさんの順に、突然の声に驚く。
声のした方向へ視線を向けると、そこには、羽を羽ばたかせるワシと、そのワシの足に捕まった僕より少し小さい全裸の子供が居ました。
「……ネギ、アタシ疲れてるみたい。今日学校休むわ」
「すみませんアスナさん。僕もそうみたいです……」
「ほぇ~何なんや?」
「無視するな!」
突如、窓を蹴破り、ワシと子供が部屋に入ってきた。
「ネカネ・スプリングフィールドの弟、ネギ・スプリングフィールドだな?」
子供はワシから手を離し、着地してから僕へと視線を向けた。
「な、何なのよ、アンタ!」
「ほぇ~こりゃ掃除せなアカンな~」
アスナさんが鬼みたいに怒り、このかさんは箒と塵取りをだして混乱している。
「姉君にお前の事を任された。我が名はガッシュ・ベル!」
金髪の子は、僕に向かって名乗った。
これが、僕とガッシュの出会いだった。