193X年
日本帝国は国土防衛の為の超人兵士を完成させていた。
正式名称は『帝国陸軍全領域要撃支援工兵』
悪のバルボラ帝国から母なる国土を守るため、過酷な戦いに挑む正義の戦士なのだ。
そして彼らストライカーに様々な力を与えるストライカーシステム!
これらの力を使い国土防衛の任務を遂行する最強の戦士。
その名は。ストライカー零っ!
悪のバルボラ帝国に戦いを挑む、ストライカー零の物語が、今始まる!
第壱話 誕生!!電激ストライカー!!!!
運命の日、これから過酷な運命の渦に巻き込まれんとしていた一人の少年ネギ・スプリングフィールドは自作の歌を歌っていた。
「ピンチになったら現れる~♪どこからともなく現れる~♪」
英雄の子として生まれ、英雄として死ぬ。
そう決定づけられた彼の人生は決して楽ではないだろう。
しかしそれもまた彼の運命。
彼の人生、運命の時間に時計の針は刻刻と近づいていた。
「やっぱりかっこいいなー。」
ため息をつき、パタリと読んでいた本のページを閉じる。
僕はこれでもう何度目になるか分からないぐらい程読んでいる漫画の表紙を見つめた。
二ヶ月前、怪しいお婆ちゃんから購入して以来僕はずっと電激ストライカーに夢中だ。
続きを読みたいのだけど何処に問い合せてもそんなコミックは存在しないと言う。
困った僕はあの時のお婆ちゃんを探し回ったけど結局見つけ出すことが出来なかった。
電撃ストライカー!悪のバルボラ帝国から日本を守る正義のヒーロー!
どんなピンチにも決してあきらめず、どんな巨大な敵にも勇気をだして立ち向かう。
いつか、僕もストライカー零みたいに、強くて格好いいヒーローになるんだ!
それなのにネカネお姉ちゃんもスタンさんも僕がストライカーごっこをしているといつも邪魔をする。
そして無理やり魔法の勉強をさせようとするんだ!
僕を捨てて逃げたお父さんと同じになるなんて絶対に嫌だ!
「ネギ?今日はこれからスタンさんと魔法の勉強を・・・」
扉の向こうから、ネカネお姉ちゃんの声がする。
普段のネカネお姉ちゃんは好きだけど、こうやって魔法を教えようとする時のネカネお姉ちゃんは嫌いだ!
この毎週ある魔法の勉強も何故か僕が電激ストライカーに熱中してから始まったんだ。
魔法の勉強をサボる事にした僕はダンボールで作ったストライカーユニットを腕につけ、首にマフラーを巻きつけて窓から飛び出した。
「ね、ネギ。またそんな変な遊びをしようとして。魔法の勉強はどうするの!」
後ろからネカネお姉ちゃんの悲しそうな声がする。
何故か胸が締め付けられるほど苦しくなった。
だから振り向きながら僕は心からの本心を口にする。
「ネカネお姉ちゃん!僕は魔法使いにはなれないけど大きくなったら本物の正義のヒーローになるから。そしたら、その時はスタンおじさんもお姉ちゃんもきっと僕が守ってあげるから!」
そう言葉を残し、僕は走り去った。
その場には呆然と立ち去る少年を見続けるネカネ一人が残る。
「ネギ・・・」
その目、その瞳は何かを決心したかのように広く澄んでいた。
そして、彼ネギ・スプリングフィールドに降りかかる運命の時まで、この時既に半日を過ぎていた。
「ぎゃーーーー!!あ、悪魔だ、悪魔の大群だーーーーーーーーーーーーー!!!!」
そんな叫び声が聞こえたのはいつの事だったか。
遊びに夢中だった僕は村の異変に気がつくまで時間がかかった。
気がついた時遠目に見えるのは燃え上がる村々。
住み慣れた故郷、僕が将来守るはずだった村は無残にも破壊されていた。
「――ッハ、ハァ、ハァ゛…ッ、ハッ」
子供にしては鍛えられている程度の体力。
その全てを使い村に走る。
「お、姉ちゃ…んっ」
その目の裏に映る姿は悲しそうは目をしたネカネ。
守ると約束した姉を探し、途切れそうになる意識を必死につなぎとめ声を荒げる。
当たりを見回すと石化された村人が目に入る。
「僕が、魔法使いにならないなんていったから・・・?」
ネギの目の前には多くの悪魔の群生に石化された村人達。
「僕が悪い子だから、みんながこんな目にあったの・・・?」
涙が止まらない・・・。
「僕は、結局さいごまで誰も守れないんだ・・・うう・・・本当に僕が電撃ストライカーだったら・・・」
どこを探してもネカネお姉ちゃんがいないし、泣いても泣いても涙がでてくる。
「フォフォ、どうしたかね、少年?」
不意に後ろから声が聞こえた、さっきまで誰もいなかったのに。
振り返るとそこには変なかっこうをしたおじいさんが立っていた。
黒い服をきて、変な帽子を被っている。
このあたりで見たことのない人だ。
「おじいさん、誰?」
「おじさんは思い出コレクターさ。君が私を呼んだんだ。」
「呼んでないよ・・・あっちいってよ!」
「フォフォフォ。強い感情と大きなお大きな願い。私を呼び出すに足る強い願い。それを君は持っているね?」
「ねがい・・・?」
願いなら、ある。
僕は。
「おじさんは人の『思い出』と引き換えに何でも願いを叶えるのさ。」
このおじさん、魔法使いなのかな。
でも僕はなんでも願いを叶える魔法だなんて聞いた事ない。
でも、もし本当なら・・・
「ほ、本当なの!?」
「ああ、本当だとも」
「じゃあ、僕を電激ストライカーにしてよ!」
「いいとも、いいとも」
そういうと思い出コレクターと名乗ったおじさんは懐から一枚の紙を取り出した。
「この契約書にサインすれば、それで全て完了だよ」
「う、うん」
僕はおじさんが差し出した紙に差し出されたペンで自分の名前を書く。
ネギ・スプリングフィールド、と
「さあ、これで契約完了だ!君はたった今から電激ストライカーになるんだよ!でも君はまだ小さくて『思い出』が少ないから君が生まれてから今までの『思い出』を全部もらうよ」
「え!?」
言うとおじさんは、手にした杖をひとふりした。
目の前が暗くなって・・・。
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
「ぐ、く・・・な、何が・・・起きたんだ?」
俺は意識を失っていたのか?任務に向かう途中で?
頭がズキズキと痛む、
痛みをこらえつつ周囲を見渡すと周りは火の海に包まれていた。
「つ!?ここは、いやこれは。バルボラ帝国の侵攻にあったと言うのか!?」
意識を失っていたのは戦闘のせい?だが今は
俺は身を起し、機能チェックを試みる。
各部機能、異状なし、欠損部なし。
「・・・往くか」
轟!一陣の風が吹き渡る。
次の瞬間、彼の姿はここから消えていた。
空を飛んでいる。頬をなぶる上空の風は肌を切り裂くような冷たさだが。
今の俺にはそれすら気持ちがいい。
飛行はストライカーシステムの基本能力の一つだ。
エミッターとコレクターの間の電場によりイオンや空気が下向きに流れ、その反作用でイオン風をつくり、ストライカーを滑空させる。
膨大な電気エネルギーを使用できるストライカーシステムならではの高速飛行だ。
目を凝らして下を見る。
ほとんどの住民は石にでもなったかのように動かず静止している。
まるで時が止まってしまったかのようだ。
「ここは日本ではないのか?記憶してある地形にどれも一致しない」
その中で一つ目立つ場所が有った。
金髪でロングの女性が異形の物と単身でにらみ合っている。
「考えるのは後だ!今は・・・ストライカーシステム!天雷ッ!!」
『ストライカードライブ天雷』JPNS-005
天雷は大規模なプラズマを形成し、圧縮大気と共に敵を打ち倒す大技だ。
出力によっては敵を麻痺させる事もできる!
「先にすべき事がある!」
あとがき
今まで誰も書いたことが無い気がする・・・