魔王
「マイファーザッ、マイファーザー」
「なんーだむすこー」
「いもうとがほーしーいー」
「ふはははは!! 妹が欲しければいくらでも産み出してやろう」
「‥‥‥てめぇ!!!」
悪逆無道の限りを尽くす俺の親父。
こいつは最近、俺をネグレクトしている。
「かいがいしゅっちょう」?
知ったことか!!!!
「おう、おとうさん!」
「なんだ、今忙しいんだ‥‥‥」
「お、おれと‥‥‥サッカーしてくれよ!!」
「なんだ、今忙しいんだ‥‥‥」
「うわあああああ!!! あんあん!!」
「‥‥‥」
「うわああああああああああああああああああああああ!!!」
ビシッ。
「ひぐぅああっ!!」
「‥‥‥」
「おと、おとうさん‥‥‥」
「泣くな!!!!!!!!!」
「!!」
この時から、俺は親父を越えると決めたーーー。
さて、親父に妹をチェックインさせるにはどうすればいい?
答えは簡単。
我が母に頼めばよろしい。
「マイマーザー、マイマーザー」
「なにーよむすこー」
「いもうとがほーしーいー」
「は? ダメよ、ただでさえあなたで手一杯なんだから」
「どうして!????」
「ただでさえあなたで手一杯なんだから」
「どうして!?」
「ええいっ!!!!! ママよっっっ!!」
「母ッッッッッ!!!!!」
この時から、俺は養子縁組を頼ることにしたーーー。
「しやーくしょー、しやくしょ」
「なんーだこぞうー」
「おさなごがほーしーいー」
「出直して参れっっっ!!!!」
「‥‥‥ああああああああああああああああああああああああ
!!!!あんあん!!ああああああああああああ」
僕は、どうしたらいいんだろうーーー。
道端に、セミの抜け殻が落ちていた。
セミの抜け殻は、幸運の証だ。
ぼくはそれを拾って、家に帰ってーーー。
ブゥゥゥーン!! ぐしゃ!!
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんあん!!」
僕の好きなわきみちゃん。
わきみちゃんは、団地に住んでいる。
今日は砂場であそんでるみたい。
「ねぇ、わきみちゃん‥‥‥」
「なぁに?」
「ぼくと、サッカーしてくれない?」
「やだよ、玉遊びなんて。きょうび」
「ええ‥‥‥じゃあ、なにして遊ぶんだよ、今時の若い子って」
「そうねぇ、‥‥‥あっ!! あれ見て!!」
「あれ?」
おばあさんが歩いていた。
「帰れー!! 帰れー!!」
「‥‥‥」
「ねぇ、あのおばあさんが何に対して叫んでるか、賭けない?」
「そんな遊びいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
完