悪魔であるヴィーネは、悪魔でありながら天使以上の美しい心を持っていた。
だがヴィーネの天使らしさは、天使にとっては屈辱的なレベルであった。
ある日のこと、ヴィーネはガヴリール、ラフィエル、サターニャと温泉に行った。
天使と悪魔は生まれたままの姿になると、胸と股をガードされる。前者は聖なる光、
後者は黒い靄によって。
大浴場に現れたガヴリールとラフィエルの両天使は、胸と股が線状の聖なる光でガードされていた。悪魔のサターニャは胸と股に黒い靄がかかっていた。
ではヴィーネは、彼女は驚愕する姿であった。何と首から下の全てが聖なる光で覆われて凄まじい輝きを放っていたのだ。
ヴィーネをガードする聖なる光のレベルは、ガヴリール曰く"最上級神様クラス"とのことだ。ラフィエルは心が洗われると、完全にヴィーネの輝きに脱帽していた。ガヴリールとラフィエルは、ヴィーネにひざまずき祈りを捧げた。
ちなみに、ガヴリールは天使学校首席。ラフィエルは天使学校次席である。その二人の聖なる光のレベルが、悪魔のヴィーネの前ではかすんでいた。
それからしばらくして、ガヴリールとラフィエルの後輩タプリスと、ガヴリールの妹のハニエルが、ヴィーネに聖なる光で挑んだ。
結果は、ヴィーネの完勝。タプリスとハニエルの聖なる光は、ガヴリールとラフィエルのレベルと同じだった。全身を覆うヴィーネの聖なる光に、二人が敵うはずがなかった。
それからしばらくして、聖なる光を纏うヴィーネという悪魔がいる。そんな噂が天界で流れ始めた。天使学校の女子天使は、悪魔が聖なる光を纏うということを決して受け入れなかった。天使の聖なる光が悪魔のまやかしの聖なる光を打ち破る、そんなシナリオを女子天使たちは描いていた。
とある天界の大浴場。そこにヴィーネはやって来た。迎え撃つのは、数多の天使学校の女子天使たち。彼女たちは一斉に生まれたままの姿になった。
だが、彼女たちの聖なる光はガヴリールとラフィエルのレベルと同じだった。勝負は決していた。優しいヴィーネは、遠慮がちに服を脱いだ。全身を覆う聖なる光で、女子天使たちを全員圧倒した。天界中の天使学校の女子天使が結集しても、ヴィーネに負けるだろう。
そう、ヴィーネをガードする聖なる光は、最上級神様クラス。天使はいくら修行を積んでも神の領域には達しない。そのような神の中でも最上級の領域に、ヴィーネの聖なる光は達しているのだ。もはや天使がヴィーネに聖なる光で勝負しても、勝てるはずがなかった。
それからしばらくして、その圧倒的なヴィーネに、天使の全プライドをかけて挑む天使がいた。
それは、ゼルエル。ガヴリールの姉にして、"神の腕"といわれる女子天使の誰もが憧れる天使だ。
ゼルエルは、天使学校にいるときから凄まじい修行を積んできた。天使学校を歴代トップで卒業し、ガヴリールやラフィエルよりも遥かに優秀だ。天界の大学に通っていて、そこでもトップ。神の腕という名の通り、神からも信頼されている。
そんなゼルエルが、何人かの女子天使たちを従えてヴィーネの前に現れた。場所は、天界の大浴場。ゼルエルとヴィーネの勝負が始まった。
まず、ゼルエルと同行した女子天使たちが生まれたままの姿に。彼女たちは天界の大学でゼルエルに次ぐ優秀な女子天使たち。だが、彼女たちの聖なる光は、今までヴィーネにくちゃくちゃに負けた天使たちと同じレベルだった。もう、ゼルエルしかいなかった。
ゼルエルは、意を決して服を脱いだ。しかし、ゼルエルをガードする聖なる光は、胸と股にそれぞれ一本ずつの聖なる光の線だった。ガヴリールやラフィエル、そして目の前の女子天使たちの聖なる光と変わらなかった。やはり、天使は神にはなれなかったのだ。ゼルエルは屈辱に顔を歪めた。
ヴィーネはここでも優しかった。余裕の表情ではあったが、遠慮しながら徐に服を脱いだ。全身が聖なる光で覆われ、途轍もない輝きを周囲に放った。女子天使たち、ゼルエルはヴィーネに負けた。
ゼルエルをもってしても、ヴィーネにくちゃくちゃに負けた。天使は神に決して勝てないというこれ以上ない例だ。ゼルエルがどれだけの修行を重ねても、ヴィーネの聖なる光のレベルに達することは決してないだろう。
悪魔のヴィーネの聖なる光に、女子天使たちの聖なる光が負ける。ヴィーネは凄かった。凄すぎた。