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No.40561の一覧
[0] 極悪世紀エヴァンゲリオン 俺の名を言ってみろっ(北斗の拳クロス、ジャギシンジ)[まーさ](2014/10/09 20:51)
[1] ふたりの悪党[まーさ](2014/10/06 02:28)
[2] ふたりの悪党2[まーさ](2014/10/07 00:50)
[3] ふたりの悪党3[まーさ](2014/10/08 01:17)
[4] その名はジャギ[まーさ](2014/10/10 00:57)
[5] その名はジャギ2[まーさ](2014/10/11 00:34)
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[40561] ふたりの悪党2
Name: まーさ◆674153c6 ID:3f1a4af9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/10/07 00:50
「なあ、アミバよ。オメエに渡したあのオレンジジュースみてえな液体、やっぱりやべえ薬でも混ざってたか?」
「LCLのことか。それなら怪しい成分は何も検出されなかったが」
「ふーん」
まだ納得できぬと言いたげにジャギが顎を撫でた。
「まあ、お前の気持ちもわからんでもない。検出の難しい新種のドラッグ成分か、あるいはあのインター・フェイス・ヘッドセットとかいう器材に何か仕掛けがあるかもしれん」
「……やっぱりそうか。どうもおかしいと思ったぜ。あいつを頭に取り付けて、あのデカブツに乗り込むと妙な気分になりやがるからな」
アミバがブランデーを注いだブラックコーヒーを啜りながら、薄く笑みを浮かべた。何か考えがあるとでもいいたげに。

「A10神経は別名ドーパミン神経とも呼ばれていてな。人間の脳領域である快感報酬に関連する脳領域、
これらをまとめて内側前脳快感回路というが、この部分を刺激するとドーパミンが分泌されるのはわかっている。
コカイン、メタンフェタミン、ヘロイン、アルコール、ニコチン、これらの成分は内側前脳快感回路に影響を与え、ドーパミンの分泌を促す事で知られていてな。
これが繰り返されると依存症になるわけだ。アル中やジャンキーは依存症患者の典型だな。
だからこそカルト教団はドラッグを使って、信者を依存させ、洗脳を施すわけだ。うまいものだよ」

「つまりネルフは何らかの形で俺に洗脳を仕掛けてるってわけか」
「証拠はないが、そう思っていた方がいいだろうな。
ルイジアナ州のニューオーリンズにあるチューレーン大学に精神医学神経学部を作ったロバート・ガルブレイス・ヒース博士は中隔(ちゅうかく)や視床(ししょう)
側坐核(そくざかく)といった快感を司る脳部位に電極を埋め込んで刺激を与えればどうなるかを研究していてな。
複数の患者を使って、実際に実験したのだ」

「人体実験か」
ジャギが身を乗り出し、テーブルに前のめりになると、アミバに話の続きを急かした。
「ああ、そうだ。そして、この実験でわかったのは人間は中隔を刺激され続けると圧倒的な幸福感に包まれるという事だ。
飯も食わず、水も飲まず、どんな痛みも餓死すら恐れぬほどな。結局の所、全ての幸福は脳の生みだす幻想ということだ」

「なるほどな」
ジャギは疑り深い。生い立ちが生い立ちなだけに猜疑心が人一倍強いのだ。
エヴァに搭乗する度に安堵感などというわけのわからぬ感覚に囚われるのだから、ジャギに疑うなという方が土台無理な話だった。

「あるいはあのエヴァとかいう怪物に搭乗する際の副作用かもしれんが。あれのパイロットは誰でもなれるわけではなさそうだからな。
今の所、あの使徒とかいう化け物が再び現れれば、まともに相手が出来るのはお前だけだ。用済みにでもならない限り、お前を廃人にするような真似はせんだろう」
アミバが空になったカップを持ち上げ、バーのマスターにコーヒーのおかわりを催促する。

「おもしれえじゃねえか。それなら俺達も俺達で連中の弱みを探りながら、せいぜい、用済みになるまでおこぼれに預かるとしようぜ。
所でアミバよ、おめえ、ネルフのジオフロントにいた赤木とかっていう金髪の姉ちゃんと最近仲良くしてるらしいが、もう食っちまったのかよ?」
アミバが唇の右端を持ち上げながらジャギの質問に答えてやった。
「ジャギよ、あの女はいいぞ、知性もあれば顔も良いし、何より肉感的だ。俺との相性も良い。会話も話題も肉体的な関係もな。
所でお前のほうはどうなんだ。あのミサトという女、お前の事だから既に手を出しているんだろう。
同じ屋根の下で暮らしているんだ、そうならない方が不思議だが」

ジャギがアミバに向かって頭を振って見せる。
「いや、まだだ。エヴァに乗るようになってから何だか気が乗らねえんだよ。普段の俺だったらさっさと手出してモノにしちまうんだがな」
「ほう、珍しい事もあるもんだな。やはりあのエヴァの影響かもしれんぞ、それは」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コンフォート17のエントランスに佇み、ジャギはタバコを吹かした。半ばほど吸ってから地面に投げ捨てる。
エレベーターに乗って通路を出るとミサトから借りている自室に引っ込んだ。
ベッドに体を横たえ、飲みかけのバーボンの瓶を掴む。このままエヴァに乗り続ける事で自分が自分で無くなっていくのが酷く不安だった。
(俺はクズの悪党でどうしようもねえろくでなしだ。ケダモノとして生きてきたこの俺に人間らしい心や安らぎなんざ必要ねえんだよ……
第一よ、今更そんなもん与えられてどうしようってんだ。俺は腑抜けになるのはまっぴらごめんだぜっ!)
自室の天井を見上げながらシミを眺めた。苦々しい感情がこみ上げてくる。それからジャギはこれまでの己の行いを振り返りながら自問しつづけた

(……そうだよな。俺はやっぱり俺だよ。三つ子の魂百までっていうしよ。どうしようもねえ悪たれのろくでなしだ。
俺はよ、やっぱり俺でしかねんだよな……このジャギ様はよ、どんな悪辣、非道な真似も顔色一つ変えずにやってきたんだ。
あのわけわかんねえのに乗ってから妙な気分を起こしちまったがよ、だからといって、俺は俺だよ)
ジャギがバーボンの中身を一息に飲み干すと壁に向かって瓶を叩きつけた。ガラスが砕け散り、壁がへこむ。
ベッドから降りるとバッグの中に隠し持っていたショットガンを取り出し、弾を詰め込んだ。
「へへ、久しぶりにヤクザでも狩って遊ぶとするか」
ジャギはまだ気づいてはいなかった。己の心に生じた変化を。そして、北斗と南斗の歴史が再び動き始めている事を。


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