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No.40706の一覧
[0] ボクラノセカイ (エヴァ二次創作)[名無し](2014/11/17 23:42)
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[40706] 10
Name: 名無し◆df6f5276 ID:ab7f50ab 前を表示する
Date: 2014/11/19 13:13
翌朝。玄関を出れば、相変わらずの朝日が見渡す景色を明るく照らしていた。
近頃は学校にも慣れたこともあり、陽の光が余計に眩しく見える。

何気なく、アスカの家の方を見てみた。
扉は閉められ、開く気配はない。キョウコさんは仕事だろうが、アスカはどうだろうか。学校に行ったのか、はたまた寝てるのか……。これまで数日、遅刻はしたことなかったみたいだから、おそらくは前者だろう。

(待つのもあれだし、僕も行くかな……)

軽快に階段を降りる。
背中にはリュック。片手には手提げ袋。その中には、青いハンカチに包まれた弁当箱。そして――

「……あれ?」

「――遅いわよ。何してたのよ」

階段を降りた道路。その壁際には、アスカが立っていた。
腕を組み、相変わらずご機嫌ななめの御様子。ていうか、未だかつて機嫌がよかったところを見たことがない。
彼女も、笑うことがあるのだろうか……。

「……と、何してるの?こんなところで」

「……別に。ただ、なんとなくよ」

(全然答えになってない……)

その時、彼女に用件があることを思い出した。理由は分からないけど、こうして目の前にいるのはちょうどいい。

「はい、これ……」

彼女に、手提げ袋の中のもう一つの弁当箱を差し出す。

「……また、作ったわけ?」

「うん。いらなかった?」

少しだけ、彼女は弁当箱を見つめていた。何を想ってるのだろうか。同じ体勢で、大きな瞳をピンク色のハンカチに包まれたそれに向けていた。そして――

「――仕方ないわね。受け取ってあげるわ」

彼女は、弁当を受け取る。――笑顔を見せながら。

「あ……」

「……何よ。バカみたいな顔して……」

「いや、アスカも笑うんだなって思って……」

「え?」

「初めて見たよ。アスカのその表情。……うん、いいと思うよ。とっても」

「~~~~ッ!!」

突然、彼女はたじろぎ始める。その場を後退りながら、手で顔を隠そうとしていた。

「……?どうしたの?」

「な、なんでもないわよ!」

「いやでも……」

「なんでもないって言ってるでしょ!」

彼女はそっぽを向いて、学校へと向かう。一瞬見えた彼女の顔は、真っ赤に染まっていた。

そして彼女は、顔を見せないまま声を荒げる。

「ほら!さっさと行くわよ!――シンジ!!」

「……え?」

(今、僕のことを名前で……)

……どうやら、彼女は自分の感情を表すのが“かなり”苦手なようだ。もちろん僕も人のことは言えないけど、彼女の場合、段違いにそれが強い。
女帝なんて言われてるけど、とても人間くさい。でも、なんだかとても安心した。

そんな不器用な彼女を、僕は追いかける。なだらかな上り坂を駆けあがって……。

「遅いわよ!シンジ!」

「待ってよ!アスカ!」

空には雲一つない。今日もよく晴れそうだ。


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