回想
ニアサードインパクトより一年後のこと
旧ネルフ職員より保護されたサクラはろくに食事を摂らず病室で寝ているばかりだった
コンコン…ガチャ…
アスカ「鈴原…の妹ね…?」
サクラ「お姉ちゃんは誰なん?」
アスカ「お兄さんのクラスメート…トウジの…友達よ…」
サクラ「…」
アスカ「……!!」ギュッ
おもむろにサクラを抱きしめるアスカ
その痩せ細った体はアスカの心を更に傷付けてきたのだろう。
アスカ「ごめんね…ごめんね…お兄さんやお父さんを守れないで…辛かったよね?もう独りぼっちじゃないから…私が一緒に居てあげるから…」
回想終わり
…痛々しい包帯だらけだったアスカさん。
自失していた私を救ったのは彼女だった。
今思えばアスカさんらしくなかったとは思うけど
辛いのはアスカさんも同じやったんや…。
世界を守れなかった事と碇シンジさんを失った事…。
そして悔しかったと思う…。
どうしてあの時わざわざ私のところに来てくれたのだろう?
自分でも恥ずかしいし、考え過ぎかもしれないけど、私の答えはこうだ。
碇シンジさんが戻ってきたときの希望となる存在を見つけたかったのだと思う。
当時は碇シンジさんの生存の有無は確認されていなかったけど
アスカさんは生きていると信じていた。
そう、もし帰ってきた時に彼を安心させてあげたかったのかもしれない。
私にそんな器があるかどうかは知らないが、帰ってきた時に一人でも大切な人を守った事を伝えかったのだと思う。
もっとも皮肉な事に数年前まで私は腑が煮えくりかえる程碇シンジさんを憎んでたのだが…。
とにかく当時の彼女はとにかく必死だったのだろう。
それともう一つ…あの日のことを思い出す…
回想
アスカ「おら~!サクラ~!相手しなさいよ~!」
サクラ(16歳)「アスカねーちゃん!?うっっっっわ!酒くっっさ!!」
アスカ「レディに向かって臭いとはらんらのよー!あんたの方こそ勉強ばっかやってるとリツコみたいにつまんない女になるワヨーーー!」
サクラ「余計なお世話ですーー、ウチにゃリツコさんみたいになって数年後の碇シンジ奪還作戦に参加するっちゅーー大きな夢があるんや!何としても世界中の人の苦しみを分からせたらなアカンのや!」
アスカ「……」
アスカの表情が一瞬曇る
アスカ「……いーい夢じゃないのー!碇シンジを取り戻したら二番目に殴らせたげるわーー!」
サクラ「アカーーン!一発目はウチなんやーー!」
あぁ、あの時もアスカさんは無理をして私に合わせてくれてたんだ…
悲しかったに違いない…それとあの後…。
ベッドの上
アスカ「スーースーーー、ムニャ」
サクラ「なんでウチがフロアで寝なあかんのや…?明日もガッコあんのに…」
アスカ「シン……」
サクラ「ん、どしたんねーちゃん?」
アスカ「シン…ジ…シンジぃ……」ポロポロ
サクラ「(何や碇シンジの夢でも見とるんか?夢の中でもねーちゃんを傷つけて…!許さへん…許さへんからな)」