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No.4530の一覧
[0] 俺の道(現実→DQ3トリップ)[緑茶爺](2008/10/21 17:53)
[1] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第一話[緑茶爺](2008/10/21 11:49)
[2] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第二話[緑茶爺](2008/10/22 09:25)
[3] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第三話[緑茶爺](2008/10/22 09:28)
[4] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第四話[緑茶爺](2008/10/22 14:44)
[5] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第五話[緑茶爺](2008/10/22 19:06)
[6] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第六話[緑茶爺](2008/10/23 13:25)
[7] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第七話[緑茶爺](2008/10/24 18:39)
[8] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第八話[緑茶爺](2008/11/06 12:12)
[9] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第九話[緑茶爺](2008/11/29 15:58)
[10] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第九話 番外編[緑茶爺](2008/11/29 15:59)
[11] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第十話[緑茶爺](2009/07/04 20:49)
[12] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第十一話[緑茶爺](2009/12/15 18:06)
[13] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第八話終了時ステータス[緑茶爺](2008/11/06 12:11)
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[4530] 俺の道(現実→DQ3トリップ)第三話
Name: 緑茶爺◆9b0f1c9a ID:8b4f46b1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/22 09:28

「…うわー、お金持ちだぁ…。」



ひと休みした後、所持金のチェックをしたんだが、これがまた結構とんでもない金額だった。

総合計 16万5224G。

ドラクエでこれってもう何でも買い放題だぞ。ってそういえば装備的にはあまり買う必要がないんだった。
じゃぁ何に使えばいいんだ。というか、それ以前に価値がわかったら怖ろしくて、こんな大金もってられないぞ?

預け所に行くか? 確か夜でもやっていた筈だし。
そうだな、ルイーダの酒場で食事がてら預けに行こう。
ここアリアハンなら治安も良さそうだし、持ち歩いていても大丈夫な気もするが、万が一ってこともあるだろう。
備えあれば憂いなし。

となれば善は急げ。
と行動したときに、自然と剣を装備していることに気づく。やっぱこの自然さが不自然だなぁ。
まぁ、いいか。些細なことだ。もう何か慣れてきている自分に呆れるやら何やら。

部屋のカギを閉め、必要な荷物を持っているか確認する。
ギルドカードも持ってるし、お金も武器も持っている。OKだ。
さて出発。


「ちょっと、出かけてきます。」


カウンターにカギを預け、一路ルイーダの酒場へ。
明日来るって言ってたのに、その日の内に来ることになろうとは。





日はすっかり沈み、夜の帳が下りた街。
夕方の喧噪は落ち着き、行き交う人もまばらだ。
だが食事処や遊戯店などは、まだまだ人の出入りが激しいようだが。

こうして街を見渡すと、実に様々な店がある。
道具屋や武器防具屋などとっても、色々な店が軒を連ねる。
もう閉まっていて確認できないが、値段や品揃えの差異などもあるのだろう。
買い物のときは気をつけないとな。ぼったくられる可能性もあるかも、だ。



そうこうしてルイーダの酒場にたどり着いた。

なるほど。このルイーダの酒場が本来の姿か。煌びやかな灯りの灯った華やかな外観。
ただ、店のあり方から考えるに、一般市民はあまり近づかないのだろう。
店の近くにいる連中は、あまり堅気には見えない。一癖二癖ありそうな連中だ。

店に入ると、それは更に顕著に見てとれた。
昼間来た時とは雰囲気が明らかに違う。
柄の悪そうな連中やら、やたらおどおどしているような連中やら、実に様々だ。

人間観察はひとまず置いておいて、預け所に行かないとな。



「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件で?」


いかにも人の良さそうな、恰幅のよい男性。まるでトルネコのようだ。


「お金を預けたいのですが。」

「はい。こちらのご利用は初めてでしょうか?」

「ええ、そうなんです。」

「では、こちらに御署名をお願いします。」


そういって差し出されたのは、口座開設に必要な書類だった。
この辺はしっかりしているようだ。これなら安心して預けられそうだ。

必要事項に記入を終え店員に渡すと、店員は書類をチェックし不備がないことを確認した。


「結構です。ではお客様、今回のお預け入れ金額はいくらほどで?」

「15万Gです。」


…あ、一瞬店員が固まった。そりゃ固まるわな。この世界の平均年収がいくらかは知らないが、結構とんでもない金額だろう。15万Gなんてのは。
店で買える最強装備でも3〜4万Gだもんな。


「…すいません、聞き間違いでしょうか? 15万Gで?」

「ええ、そうです。」


店員が聞き返すのも無理はなかろう。俺もゲーム内で一括で入金する時に、こんな金額入れたことないしな。

これです、とカウンターにGの入った袋を載せる。


「…かしこまりました。少々お待ちください…。」


そう言い残し、店員は袋を持って店の奥に消えていった。
まぁ、数えること自体、時間はさして掛からないだろう。
1000G金貨が何枚もあったし。


そして待つこと暫し。


「お待たせいたしました、お客様。確かに15万Gお預かりいたします。
 では、こちらに預かり確認のサインをお願いします。」


はいです、…イルハっと。


「確かにお預かりいたしまた。では今後とも何卒ご贔屓によろしくお願いいたします。
 なお、武器防具、道具類のお預かりも同時に承っておりますので、そちらも是非ご利用くださいませ。
 本日はご利用いただき、誠にありがとうございました。」


さてっと、これで気兼ねなくゆっくりできるってもんだ。
あんな大金もってたんじゃ、おちおち昼寝も出来やしない。

さぁ、腹も減ったし、飯飯っと。

んーと、ここって注文はどうするんだろうな? 食券? 注文?

なんて事を考えていると、店員が席へ案内してくれた。おお、意外に行き届いたサービス。
腰後ろに下げていた武器を外し、机に立てかけておく。

店員さんが預かってくれるといったのだが、丁重にお断りした。
何となく、武器が近くにないと落ち着かない。


…俺はいつからそんな物騒な気性になったのか。まったく。


ちなみに店員さんは皆女性。そしてその格好は皆メイド然としたものだ。
バニーかと思ってたんだが…。ちと残念。なんつって。

店員さんから渡されたメニューに目を通してみる。
うーん、名前を見る限り、現実世界と大差ないように見受けられる。

腹が減ったので、パスタ、パン、スープ、サラダ、ドリンクがセットになった物を頼む。大盛りで。

料理が来るまで、まわりの様子を見ていたのだが、いかにも冒険者然としたのは意外に少ない。
そりゃそうか、こんな時間だもんな。皆飯食いに来てるのにフル装備なんて落ち着かないし、周りも迷惑だ。
軽装で、武器も持ってないのもいる。ってアレは普通の人なのかな?
俺みたいに武器を携帯したままってのは半数も居ないくらいか。

掲示板近くの席に座ったこともあったので、掲示板も眺めてみる。
うーん、依頼やら募集やらってのはホントに沢山あるんだな。正に多種多様。
レベル上げ仲間募集や、護衛の依頼、一緒に○○の街を目指しませんかなど、この中から探し出すのだけで骨が折れそうだな。

と、掲示板をつらつらと眺めていると、ふいに声をかけられた。


「あの、ここの席ご一緒してもいいですか?」


ん?
声をかけられた方を見ると、そこには活発そうな肩程まで長さの黒髪の女のコが。格好から察するに魔法使い、か?
活発そうな感じだから、武闘家と言われても納得してしまいそうだ。
…無粋な話だが、スタイルがいいな、このコ。顔が幼く見えるんだが、実年齢はもう少し上なのかな?
などと、若干邪なことを俺が考えていると、そのコは再度尋ねてきた。


「ダメでした? 誰か待ち合わせがいましたか?」

「…いや、そういったことはないんだが…。」

「じゃぁ、ご一緒しても大丈夫?」


まぁ、一人飯より人数が居た方が食事も進むしな。見るからに純朴そうなコだし。特に裏はなさそうだ。


「ああ、いいよ、座りな。」

「やったぁ!ありがとうございます! …で、あのー、実はもう一人いるんですけど…。」


なんだいそりゃ。まぁ、4人掛けのテーブルだから一人二人増えるくらい構いやしないが。


「ああ、良いよ、俺は。人数が多い方が食事も楽しいしな。」


そう言うと、ありがとうございますっといってもう一人を手招きした。

そうしてやってきたのは、年の頃は黒髪のコと同じくらいの綺麗な緑がかった、髪の毛をお下げ、ではないな。
何と言ったか、確かツインテールだったか。そんな髪型にした不思議な髪の色の女のコ。
身なり的におとなしめな感じ。どことなく僧侶っぽい雰囲気だ。
…しかし、このコもスタイルがいい。この世界のコ達は、みんなこんなにスタイルがいいもんなのか…。

お兄さんには悩ましいぞ。

そして二人に席を勧めると、黒髪のコは俺の隣に、緑髪のコはその隣、俺の正面に座った。


「で、君たちは食事は済んだのかな?」


ルイーダの酒場に来るんだ、主な目的は食事かギルド関係だろう。
で、こんな時間だ。目的は自ずと知れる。


「あ、まだなんです。二人とも。」


ん? こりゃたかられたかな? って、まぁいいか。手持ちもあるし、こんな可愛いコ二人と食事できるんなら安いもんか。


「そうか、じゃぁ、何か好きな物頼みな。お代は俺が持つよ。」


えっ?と顔を見合わせる二人。


「折角、こんなに可愛いコ達と話す機会があるんだ。晩飯の一食や二食、奢るさ。」


二人ともその言葉に頬を朱く染める。初心な反応だなぁ。まったく若い子はみんな小悪魔だ。

「でも…。」と渋る二人だったが、そこは年長者に格好つけさせろ、と無理矢理納得させた。

というこで二人の分も追加注文。
で、店員さんを呼んだんだが、そこに来たのは何とルイーダだった。


「あら、色男。もう二人もひっかけたのかい?」


…アンタは注文取りなんてやってないでカウンターに居なさいな。


「…そんなんじゃないですよ。一時の交流って奴です。」

「それが引っかけたっていうんじゃない。」


ねー、なんて二人に視線を送るルイーダ。ほら見ろ、返答に困ってるじゃないか。

二人がルイーダに注文を伝え終わると、そうそうに追い返した。からかいに来ただけか。まったく。


「…あの、あなたはルイーダさんと親しいんですか?」


黒髪の子がおずおずと聞いてきた。


「え? いや、今日の昼間に知り合ったばかりだけど…。」

「…とてもそんな風には見えなかったんですけど…。」


あー、ゲームでも知ってたし、この世界に来て、初めてちゃんと喋った人だからかな?
もともと俺は人見知りする質でもないし、普通に喋ってたと思ったんだがな。


「あー、人見知りしないしな、俺。」

「そうなんですかって、そうですよね。私たちが声をかけても特に動じた様子もなかったですし。」


まぁ、別な意味で動じたがな。こんな可愛いコ達に声かけられた経験なんてないから。


「そうだ、そいえば、何で俺なんかに声を?」


そうなのだ。別に一人で食事を取ってるやつなんかざらにいる。
何でその中で俺なのかが気になっていたのだ。


「…それは、あなたの横に置いているその剣が、物凄い立派な剣のようだったんで…。」


なんだいそりゃ。剣目当てってかい。


「いえ!そうじゃなくて、そんな立派な剣を持っているなら、持ち主であるあなたは、さぞや経験豊富な冒険者なのかと思って…。」

なるほどね。興味本位からか。だが…。


「うーん、期待に背くようで申し訳ないんだが、俺は今日、ギルドに登録したばっかりの初心者だよ?」


えぇっ!?と二人して驚く。そりゃそうだわな、武器に不釣り合いだよな。


「とてもそんな風には見えないんですけど…。堂々としてるし、身構えも落ちついてるし…。」


う、昔からそれは言われてるんだよな。
年のわりに落ちついてるとか、雰囲気が年寄り臭いとか。


「そうかな? 俺としては普段通りにしているだけんだが…。」


そこでふと気づいたことが。
そいえば、折角卓を共にしているのに、それぞれの名前を聞いてなかったな。


「気がつかずに申し訳ない。名乗ってなかったな。俺の名前はイルハだ。よろしくな。」


二人とも、あっという顔をした。あまりに自然に会話が進んでいたので気づかなかったのだ。


「こちらこそすいません、あたしの名前はニル。職業は魔法使い、見習いです…。」


黒髪のコはやはり魔法使いだったか。そして語尾が小さくなって伏し目がちになる。別に見習いだっていいだろうに。


「私はハイネ。職業は僧侶見習いです。よろしくお願いします。」


そう言って深々とお辞儀をした。礼儀正しいコだ。


「ああ、よろしく。で、俺は申し訳ないが初心者な訳だが、この剣について聞きたいことでもあったn

「この男は初心者じゃないよ。」


おいおい、話を遮らないでくれよ。
料理を持ってきたルイーダが話の腰を折る。

え?っとまた固まる二人。


「…どういうことですか? ルイーダさん?」


話をややこしくしないでくれ…。


「いやね、確かに登録上は初心者かもしれないが、こいつの身なりや立ち振る舞いを見てれば、とても初心者とは思えないだろ?
 現にギルドカードがそれを証明しているしね。」

「「 ? 」」


二人の頭の上にハテナが見える。盛大に。

器用に運んできた料理を並べながら、ルイーダはさらに続ける。


「ほら、イルハ。あんたのギルドカードをそのコ達に見せてあげな。」


そう言って俺を促す。
まぁ、別に見せたところで減るもんじゃないしいいんだが、無用の混乱を招くような気が…。

って、この期待の視線じゃ見せないわけにもいかないな。


「…見てもでかい声だすなよ? これ以上騒ぎになりたくないんでな。」


そう言って二人に俺のギルドカードを手渡す。



あ、固まった。


「…な、なんです? これ…。このレベルといい、職業といい…。」


そりゃ不思議に思うよな。俺もよくわかんないもん。


「…うわぁ、凄いですね…この能力値…。これなら…。」


ん? これなら?


「あ!いえいえ、こちらの話で…。」


何事かニルちゃんが誤魔化そうとしたところにルイーダが、


「あぁ、そのコ達、パーティーを組みたがってるのよ。でも、その二人じゃまだ経験も浅いし、レベルも低い。
 他のパーティーでもお荷物になってしまうかもって事で、中々メンバーが集まらなかったのよ。」

「っル、ルイーダさんっ!」


二人とも、わたわたしながらルイーダの話を遮ろうとする。
だがルイーダは何処吹く風。話を続ける。


「で、そんなところへ、大層立派な武器を持った一人の男が現れた、と。身なりも身のこなしも経験十分。
 こりゃいいってんで、パーティーを組めないか声をかけたってとこなのよ、ね?二人とも?」


二人とも顔を朱くして頷く。


「「…はい。」」


あー、こりゃルイーダが一枚噛んでるな…。


「で、ルイーダさんは何が目的なんです?」

「あれ?ばれてる?」


わからいでか。あからさまにけしかけてるだろうが、この二人を。


「いや、別に深い意味は無いのよ。このままじゃ二人が可哀想ってのと、アンタみたいに変わったのが組んだら面白そうだなぁって。」


おいおい、安易だな。


「そんなんで組まされたら、この二人が可哀想でしょうが。」


なぁ、と二人を見ると、あれ?


「いえ、私たちはあなたとパーディーが組んでみたいんです。これは嘘偽り無い本心です。
 確かにきっかけはルイーダさんからの助言でしたが、あなたがここに入ってきたときから、あなたに惹かれていたんです。
 その立ち振る舞いや、装備品、私たちの目から見ても熟練の冒険者だと直ぐ分かりました。
 それで、ルイーダさんに聞いて助言を頂いたんです。
 本当は初心者ではないんですよね?ギルドカードは嘘をつきませんから。何か事情がおありなんでしょう。


 それで…、出会ったばかりでこんなことをお願いするのも心苦しいのですが、是非ともパーティーを組んで、私たちを鍛えていただけませんか?」


真摯にこちらの瞳を見つめながら話すハイネちゃん。

…まいったな。確かに初心者ではないといえばそうなんだが、初心者といえば初心者なんだよな。
だが、今事情を説明するわけにもいかないし…。
しかし、こんな瞳で見つめられたら断りづらいしなぁ。

うーん…。


「…そうですね、じゃぁ一回この3人で依頼を受けましょう。それでも続けられるとなったら正式にパーティーを組んでみましょうか。」


まぁ、何とも中途半端だがしょうがない。
二人は見習いだと言うし、俺もギルドカード上の能力は確かに高いんだが、実体験が乏しいので両方のテストを兼ねてってとこかな。

その返事を聞いた二人は表情を明るくさせる。


「「ありがとうございますっ」」


綺麗にハモった返事だ。


「いやいや、俺も迷惑をかけることになるかもしれないからな。こちらからもよろしくお願いするよ。」


そう言って二人と握手をする。

こんな華奢な手で冒険に出ようとするんだからな。
何か事情があるのか、それともこの世界では当たり前のことなのか。
ま、それは今はいいだろう。
この二人に迷惑が掛からないように、俺も気合いを入れないとな。


「さ、話がまとまった所で料理を食べておくれ。せっかくの料理が冷めちまうよ?」


ルイーダに促され、俺たちは席に座り直す。
ルイーダはなにやら満足げな表情で、俺の肩を叩いてからカウンターに戻っていった。
…何か、上手くしてやられてみたいだな。





「あの、イルハさん。」

「ん?」


食事の手を止めることなく、ニルちゃんを見る。
不作法だとは思うのだが、空腹にこの料理では手を止めることは出来そうもない。
それくらいここの料理は旨い。


「イルハさんの職業の「使者」って一体何なんですか?」


そうだよな、そりゃ見たこと無い職業だもんな。


「すまん。それについては俺にも説明できないんだ。俺自身、何のことなのか分からなくてね。
 ルイーダさんにも分からないそうだ。こんな職業見たことも聞いたこともないってね。」

「そうなんですか…。でも何か格好良いですね。他に誰もいない職業なんて!」


素直な子だなぁ。俺なんかは何か裏があるんじゃなかろうかと、正直怯えていたりするんだが。


「でも使者って何の使者なんですかね。色々考えられると思うのですが。」


ハイネちゃんの言うとおり。捉え方は幾らでもある言葉なんだよな、「使者」って。


「あぁ、そうなんだ。何処からの、誰からの使者って所が問題なんだよな。
 こんな抽象的なものじゃなくて、もっとはっきりした職業が良かったよ、俺は。」


苦笑しつつ、最後の一口のパスタを食べる。うん、旨い。





そして今日はひとまず、これにて解散となった。

勿論会計は俺持ち。でも3人分でも6Gだからな。安いモンだ。
って宿代の2Gって物凄く安いんだな。素泊まりではあるが、風呂もトイレもついててこの値段だもんな。



驚いたことに宿は同じ宿だった。彼女らは俺より上の階のツインだそうだ。
こりゃいいやってことで、宿のロビーで明日の軽い打ち合わせをした。
依頼はやめて、周辺でのレベルアップを兼ねた腕試し。
行程は1泊野宿予定だ。それ以上だと彼女らも負担が大きいだろう。
俺も自分がどの程度やれるのか、様子を見たいってのが本音だしな。

いくらギルドカードが嘘をつかないとはいえ、心配は心配だ。
二人の女のコの命を預かるようなもんだかなら。過信は禁物だ。



そして二人と別れた後、宿の大浴場へ。

これが思いの外、良い風呂だった。
まぁ、シンプルな大浴場だったんだが、疲れていたせいもあるんだろう。
正に極楽だった。あー、極楽極楽。



さて、明日はちと気合いをいれていかないとな。

あー、おかしいな、今日がこんな冒険の初日。
こんなに色々なことに、訳も分からず巻き込まれた筈なのに、結構普通に対応してしまっている自分が居る。

これからどうなるか。どうなっていくのか。



俺の明日はどっちだ?



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