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No.16646の一覧
[0] Muv-Luv Go to the chaos world【無事完結?】[キモオタ屑人間](2013/04/30 18:08)
[1] 経緯1[キモオタ屑人間](2010/05/10 19:02)
[2] 経緯2[キモオタ屑人間](2010/05/10 19:05)
[3] 1話[キモオタ屑人間](2010/05/11 12:00)
[4] 2話[キモオタ屑人間](2010/05/13 13:19)
[5] 3話[キモオタ屑人間](2010/08/13 16:42)
[6] 4話[キモオタ屑人間](2010/09/06 03:39)
[7] 5話 R15かも知れないです[キモオタ屑人間](2011/01/29 13:35)
[8] 6話[キモオタ屑人間](2011/01/30 03:33)
[10] 7話 ほんと更新おくれてすいません[キモオタ屑人間](2011/11/27 03:06)
[11] 8話 [キモオタ屑人間](2011/11/29 05:58)
[13] 9話[キモオタ屑人間](2013/04/30 14:25)
[14] interlude ~上位存在~[キモオタ屑人間](2013/04/30 05:52)
[15] END[キモオタ屑人間](2013/04/30 19:13)
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[16646] Muv-Luv Go to the chaos world【無事完結?】
Name: キモオタ屑人間◆9481ac27 ID:0a0c3e51 次を表示する
Date: 2013/04/30 18:08
 桜が咲き乱れている。
辺りを覆う桜吹雪はまるで新たな旅立ちを祝福するかのように一面を桜色に染め上げている。

そして、桜吹雪の中、人類の英雄である白銀武は消えようと、役目を果たし、元いた世界に帰ろうとしていた。 
全ての人類の命運をかけ、多くの犠牲を強いられ、まさしく人類の全てをつぎ込んだ『桜花作戦』。 

オリジナルハイヴの撃破により10年以内に滅亡していたとされる人類が約30年間は生存できる。

心を満たすのは大きな喪失感、それに加えてわずかな満足感。
恋人も、友人も、恩人でさえも無くしてしまった。
自分だけでなく誰もが、この世界に生きる全ての人間が理不尽によって絶望を味わい続けてきた。

 オリジナルハイヴを落としたといってもまだ戦力には大きな差がある。

月からの新たなユニットが投下されるかも知れない。
そもそも今回の戦いはまさに人類の全てをかけた。
戦術機も弾薬も戦艦も、そして何より戦士達が、若く、優秀な英雄達が今回の戦いで散っていった。

まだまだ絶望が待ち受けている。終わってなどおらず、始まっただけなのだ。
理不尽なる暴力と略奪に立ち向かう戦いは始まったばかりなのだ。
 それでも、今このときは間違いなく勝利であった。 

「……あんたは、あんた達は間違いなく『この世界』を救ったのよ」

 師である夕呼の言葉。
 彼女の言う事に心が救われる。

いつもの不敵な笑みがいつもより暖かく感じるのは感傷なのだろうか?
心は癒しを求めていた。疲れたといって誰かに寄りかかりたかった。出来ることなら恥をかなぐりすて夕呼に甘えたかった。

むしろこれだけの苦しみの後なのだからそれなりの報酬は与えられて当然だとか、具体的には可愛い女の子と青春とかなんとか…
そんな自分の子供っぽい考えと、この期に及んでそんな事が思いつく自分に苦笑い一つ。

 白銀武の戦いは終わった。

少なくともこの世界での戦いは終わったらしい、消え行く自分の身体とどこかに呼び寄せられる感覚が自分に時間が無いことを明確に知らせてくれる。

だから疲れきった心に鞭を打ち笑顔をつくる。
不思議とあれほどの喪失感が消えている。
見栄っ張りだからなのか、それとも意外と自分はタフなのか、どちらにせよ晴れ晴れな気持ちで別れを迎えることが出来るのは幸せなことなのだろう。

 社霞と目が合う。ふわりとした微笑に心が温かくなる。

「…また」
「ああ、またな!」

いよいよお別れだ。すでに視界は暗転し、意識は何者かに連れ去られていく感覚。

 このまま自分がどこに行くのかは白銀武には分からない。元の世界に帰れる保障は無い。

もしかしたらここよりはるかな絶望が待ち受けているのかも知れない。
だが例えどんな世界であったとしても白銀武は生きていく、そして自分の役割を果たすのだ。

 だけどやっぱり少し疲れた。

二回連続でシリアスな世界は精神的に参る。
そして何よりろくに女を抱いてない。

しかも知り合った可愛い女の子は手を出し難い立場、なおかつ死ぬ。
これ重要。精神的にダメージでかい。知り合いが死ぬのはマジ勘弁。しかも美少女。倍プッシュ。

 これだけ頑張ったんだからご褒美の一つ的な世界があっても良いじゃない。
ゲームだってエンディングのあとに裏ステージとかあるじゃない。

 でもダークド○アムとかエスター○はかんべんな。
もっとこう…ボーナスステージ的な、女の子がいっぱいでウハウハで世界中ちっちゃい女の子とおっきい女の子で、いつの間にかツユダク特盛り玉付きハーレム的な…

 そんなことを考えながら白銀武はこの世界から姿を消した。

「……ゃ…」

 誰かに、自分がよく知る誰かに呼ばれる感覚。遠くから聞こえるその声は何度も聞いた、身近で愛しい…

「…き…よ…ける……ちゃん…」

 もう少しで届きそうななんとももどかしい感じ。
必死に呼びかけるその声は確かに白銀武の脳に響き…

「…いい加減、起きなさいよぉ!!」
「いってぇぇえぇぇぇ!!!」

 脳天からつま先まで、凄まじい衝撃が駆け抜ける。思わずその場で頭を抱え、恥も忘れてその場で転げまわる。

「もう!武ちゃん!恥ずかしいから止めてよ!!」

 声が聞こえた。確かに空気を震わせて直接鼓膜をノックしている感
覚。転がることも止めて、声のする方を向く。

 赤い髪、大きなリボン、くりっとした大きな瞳、普段から勝気なその瞳はわずかに怒気をはらんでおり、いかにも私は怒っているとこっちを睨みつけて―

鑑純夏がそこにいた。

 人に暴力を振るうな、とか、殴り返してやろうか、とかそんなことを考える暇も無かった。

頭でどんな事を考えようとも身体は正直だった。言い訳も面子も無かった。愛しい人に出会えたら、きっと誰だってこうするのだろうと、意外に客観的な頭は結論づけた。

「純夏!!」
「っぇぇえええっぇぇ!??たっ、武ちゃん!!???」

 思いっきり抱きしめる。なりふり構わず、全力で抱きしめる。先ほど受けた痛みはまだ引いておらず、鈍痛となって頭蓋に響いている。

 しかしその痛みが、腕の中から感じる暖かさが、確かに純夏が生きているということを、今、ここが現実だということを確かに伝えてくれた。

「良かった、純夏無事だったんだな…」

さらに強く抱きしめる。ふんわりと純夏の髪の匂いが鼻腔をくすぐる。

「たったっ武ちゃん!!恥ずかしいよ!!」

 じたばたと腕の中で純夏がもがく、なんとも可愛らしい。
それに純夏も満更ではないのかきつく抱きしめる白銀武の胸の中でうっとりしている。

「武ちゃん…」
「純夏…」

自然と二人が目を閉じる。そして互いに頬を寄せ合い唇が触れ――


ピーーーー!!!!

「「うわあぁぁっぁぁああぁぁあ!!」」

けたたましいホイッスルの音で二人とも現実に戻される。

「ロープを超えると危ないので直ぐに戻ってくださぁい!!」

 ホイッスルの聞こえた方を見ればピンクの髪の毛の小柄な女の子が目を吊り上げてこちらを睨みつけている。

「あっ…すいませーん」

 純夏は何事も無かったかのようにごつごつとした岩の上を歩いていく。

「ほら武ちゃんも早く!」

 純夏は人ごみの中に戻るとせかすように手を握って武を引っ張っていく。

一方白銀武は今の状況に凄まじいまでの違和感を感じていた。

「あっ…あぁ…」

 呆然と辺りを見回す。荒れた岩肌、微かに輝く青い光、広い大空洞…
 紛れも無くハイブであった。
しかし記憶と食い違う箇所がいくつかあった。

それは人が歩きやすいように通路の整備がなされている事、反応路の近くに施設のような建物がちらほらと見えること、まるで採掘現場のように穴だらけなこと、反応炉の明かりだけでなく通路にそって幾つもの明かりが配備されていること。

そして何より…

「BETAがいない…」

 そうBETAが一匹たりともいなかった。
ここは忘れるはずが無いハイブであった。
いくら変化があろうともここの景色とそこであったことは何があっても忘れられるものでは無い。

そしてBETAの代わりには観光客のような周りの一般人とつるはしかついだ幼女の集団。

「一体何がどうなって…」

 浮浪者のようにおぼつかない足取りでふらふらと歩き始める白銀武。
がやがやとざわつく人ごみの群れの中、純夏と隣りあわせで歩いて行く。

 純夏が何事か話しかけているがまったく耳に入ってこない。
ハイブの中だというのに周りの人間に絶望だとか憎しみだとかそんなものは一切無かった。

逆に皆笑いながら時々写真を撮ったりして雑談に興じながら歩いていく、その姿は工場見学の団体さんみたいだった。

 そしてつるはしをもった幼女たちはまるで炭鉱のように地面をほじくりトロッコに岩を集めて持っていく。
なんというかカオスであった。

「もう武ちゃん聞いて「はいっ到着しましたーー!!」

 純夏の台詞をさえぎるような大きい声で前方を歩いていた女の子が声を張り上げる。

ピンクの髪の毛に小柄な身体、平べったい胸にクリっとした瞳。実に良いょぅι゙ょであった。
 珠瀬 壬姫のようないかれた髪型でなくポニーテールというのが武のフェティズムをくすぐる。
そしてさらに特徴的であったのが服装であった。

白いTシャツ、ブラをつけずに乳首が浮かびそうで浮かばないギリギリの厚さ、下は作業着、靴はごつい安全靴、極めつけに頭には安全第一とかかれた黄色いヘルメット。

 どう見てもロリロリ土木作業員です本当にありがとうございました。

「こちらは約50年前に建造された反応炉でして地球でのオリジナルハイブとなっています。世界各国から集められた情報が一度にここに集まって上位存在様に集められて指示が送られるわけですね~」

 しかもやたらと詳しい。
 まさかという思いが白銀武の脳裏を掠める。しかしまだ足りない、この思いを確信に変えるには情報が必要なのだ。

「もう武ちゃん!せっかくハイブ見学会にこれたのにどうしてそんな顔してるの!あんなに楽しみにしてたのに…」

 いま何か聞こえた気がした

「純夏今なんて言った?」
「えっ?あんなに楽しみしてたのにって…」
「もっと前!!」
「ハイブ見学会にこれたのにって…」
「……もう一回お願い」
「もう武ちゃん!!変だよさっきから!!どうしたの?あんなにハイブに行ってみたいって言ってたのに来てみたらさっきからボーっとしちゃって!」

純夏が怒鳴りつける。しかし白銀武には聞こえない。むしろ想像が勢いよく現実へとシフトしていく。

「なぁ純夏」
「何よ」

 むすっとした表情の純夏。しかし白銀武の表情が先ほどと違った。なんと言うか目が―凄く、キラキラしている。

「ハイブってなんだ?」

 お前は何を言っているんだ?と返したかった。しかし白銀武の瞳はやたらと真剣だった、そしてやたらと輝いている。

「何って…BETAさんの採掘現場で地球での居住地みたいなもんでしょう?」
「BETAって?」
「Beings of the Extra Terrestrial origin which has affection in the human raceで人類に愛情を持つ地球外起源種だって」
「ぶっちゃけると?」
「ちっちゃい女の子とおっきい女の子ばっかの宇宙人集団」

 浮気しちゃだめだからね。
 なんて純夏の拗ねた声が聞こえた、がそんなものはもはやどうでも良かった。

楽園へとたどり着いたのだ。地獄をさまよい、日常を放棄し、幸せをかなぐり捨て、憎しみと苦痛の連鎖の果てに遂に白銀武は理想郷へとたどり着いたのだ。地に膝をつき両腕を高々と上げる。

「ぅううおおおぉぉぉぉおぉぉぉおおおぉぉぉぉぉおおっぉぉお!!!」

神様ありがとうございます。
白銀武は生まれて初めて神に感謝した。


BETAが怖いなら女の子にすればいいじゃない。


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