<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

Muv-LuvSS投稿掲示板


[広告]


No.30479の一覧
[0] 【第十四話投稿】Muvluv AL -Duties of Another World Heroes-[なっちょす](2014/09/10 01:21)
[1] プロローグ[なっちょす](2012/07/16 02:08)
[2] 第一話[なっちょす](2012/07/16 02:10)
[3] 第二話[なっちょす](2012/07/16 02:10)
[4] 第三話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[5] 第四話[なっちょす](2012/07/16 02:21)
[6] 第五話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[7] 第六話[なっちょす](2012/07/16 02:13)
[8] 第七話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[9] 第八話[なっちょす](2012/07/16 02:16)
[10] 第九話[なっちょす](2012/07/16 02:15)
[11] 第十話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[12] 第十一話[なっちょす](2012/07/16 02:17)
[13] 第十二話[なっちょす](2012/07/16 02:18)
[14] 第十三話[なっちょす](2012/10/28 23:15)
[16] 第十四話[なっちょす](2014/09/10 01:21)
[17] キャラ設定[なっちょす](2012/10/28 23:18)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[30479] プロローグ
Name: なっちょす◆19e4962c ID:3f492d62 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/16 02:08

プロローグ
―2006年2月―
――シアトル・日本人居住区近郊100km・地下500m付近――

人類が長年戦ってきた地球外起源敵性生物、通称「BETA」…
“彼”は今、その醜い生物が作ったとは思えないほど華麗な巣の中にいた


「綺麗だなぁーホントにあの『たこ助』共が作ったのかねぇ?」


角膜に直接投影されるメインカメラからの華麗な映像に、思わず呟く


「はははっ、だったら誰が作るんだ?」


「そうですよ、全く。
  そんな事ばかり言ってますと、少佐にドヤさr
 「それだけは勘弁してください」
 …あらつまらない」


「けど『たこ助』って良いネーミングですね~」


「フフフッ、そうね」


“彼”の気の抜けたつぶやきに部隊全員が反応する

彼らは第一戦術機甲大隊第17小隊:通称ウォードック隊と呼ばれていた
此度ウォードック隊は“あの日”以来、新たに確認された第27ハイブ“ソルトハイブ”への帝国・米国共同による攻勢作戦に参加
同じ大隊のクレイン隊と共に割り当てられていたゲートから侵入したのだ


「それにしても全然たこ助さんたちは現れないですねぇ~」


ウォードック4:美桜乃 雫 中尉が苦笑しながら言う


「―確かに全く現れない…
 ウォードック2、何か反応有るか?」


ウォードック1:龍浪 響 大尉は先程とは変わって表情を引き締める


「ウォードック2よりウォードック1、こちらにも反応はありません」


ウォードック2:千堂 柚香 中尉もセンサーに反応がない事を伝えると同時に、同様に表情を引き締める


「おかしいわね…私が一回潜ったときはもっとワンサカ出てきたわよ?」


ウォードック3:エレン・エイス中尉も自らのハイブに潜った体験から疑問に感じる

そう、彼らはまだとても巧妙に隠されたゲートから侵入して以来、数回の小規模な戦車級との戦闘以外に全く戦闘らしきものを行っていなかった


「そうか…
 ―松風、そっちはどうだ?」


『そちらと同様だ。
 向こうはどうなんだ?』


クレイン隊の暫定隊長であり昔からの戦友でもある松風大尉に龍浪は聞いてみたが、結果は同様だった


「今少佐にも確認してみる。 ちょっと待ってろ」


龍浪は『少佐』こと神宮司まりも少佐にも確認をとる


『龍浪か、どうした?』


「少佐、こちらは全くBETAに遭遇しないのですがそちらはどうですか?」


『なんだ、龍浪“達”もか』


「“達”…ですか?」


『ああ、此方も全く遭遇してない。
 米軍も同様だ』


「クサいですね」


『ああ、かなりクサいな。
 …よし、何か少しでも反応があったら報告しろ』


「了解、切ります」


『―龍浪、どうだった?』


「米軍や向こうも同様らしい。
 …クサいな」


『あぁ…』


“彼”はそんな龍浪と松風の通信内容から、自らが知っているBETAの情報から相手の出方を考えていた
…そして一つの結論を出す


「…まさか、罠とか―?」


『おいおい、いきなりだな。BETAにそんな事出来んのか?』


「BETAが罠を張るなんて、そんな事…有り得ないわよ」


そんな予想を松風とエレンはあっさりと否定した
しかし彼にはそう“思わざるおえない”理由があった


「なら、なぜBETAはハイブを“地上”はなく“海底”に作ったんだ?
 塩原は奴等にとってもあまり良い環境ではないと思うが、少なくとも海底よりはマシなはず。
 他のハイブの二の舞にならない様にしたとも考えられない?」


「つまり“G弾による攻撃”を恐れて海底に作ったとでも言いたいの?
 バカげてるわ」


“彼”の疑問に対し、エレンは反論する


「それに、先の超大型種“母艦級”の連続出現タイミングもグットタイミングすぎないか?
 それに先月現れた新種…
 アイツの攻撃についてどう考えても、ね…」


「「「「『………』」」」」


さらに続けて説明する彼のとある言葉に、誰も反論が出来なかった

先月現れた新種…
別に新種の登場自体への驚きはさほどでもなかった
彼らが言葉を失った理由は、その新種の“攻撃の種類”に対してであった

BETAの大抵の攻撃タイプは個体が持つ触手・爪・装甲・歯による接近しての格闘による物理攻撃であるが、その新種の攻撃タイプは全く異なっていた


―彼らの格闘能力に、高機動飛行能力と射撃能力が加わったのだ―


それまで人類はBETAが長距離攻撃してくるのは主に光線級だけであり、個々の機動能力は戦術機に遠く及ばないと“決めつけて”いた
新種が登場した時も、誰もがそう思っていた

…しかし、その新種は違っていた
中距離からの小・大型エネルギー弾と生体誘導兵器(“生物として生きているミサイル”とでも言った方がわかりやすいかもしれない)による集中砲火で、一個中隊の戦術機が瞬く間に全滅
辛うじて砲撃を三次元機動によって避けた一個小隊もたった一匹の新種がその機動について行き、刺身にされてしまったのだ

当然ほかの部隊は混乱を極めた。
そんな中でまともに指揮系統が機能するわけもなく、次々に帝国・米軍構わずマーカーが消えてゆく

しかし、その様なカオスな状況内で何とか冷静を取り戻せたウォードック隊は彼が考えた奇策によって何とか士気を取り戻す事に成功
その後両軍はS-11の集中投入によって勝利を収める

だが、その代償も大きかった
両軍合わせて全体の20%の戦術機を失い40%が何かしら損傷を受けた
更に戦闘車両に限っては50%以上も一気に失っていたのだ


その後、帝国海軍と米国偵察衛星による懸命な残党追跡によってこの第27ハイブの存在が明らかとなり、又、何度かの襲撃によって塩原に存在していた巧みに偽装された三つのゲートを発見することができた
この際、海底に存在していたゲートは直ぐに見つけたのだが、例によって戦術機に本格的な潜水能力は無い故に魚雷と爆雷を用いた攻撃によって完全に潰していた

両軍首脳部は発見したバイブに対して急遽調査を兼ねた攻撃を計画し実行


―そして今に話が繋がる


「ウチにはどう見てもあれはBETAが戦術機を意識して作り出したとしか考えられない。
 そうでないにしても、着実に人類の戦術に対応してきている様に感じるんだ」


「確かに言われてみれば筋は通る。
 しかし、何せ確証がないからな…それだけじゃ何ともいえないな」


「なら、お前はBETAがどのように出てくると予想するんだ?」


松風が聞く


「そうだなぁ~ウチなら…」


“彼”が説明を始めると同時に、ウォードック隊とクレイン隊は広場のような横坑に出た


「ウチならここで何かしらのアクションを起こすな」


“彼”はその横坑を見渡す
それと同時に、後方からまりも率いる帝国第一戦術機甲大隊とウォーケン率いる第七混成戦術機甲大隊がそれぞれ別々の横坑から姿を現した


『そこにいるのはウォードック隊とクレイン隊か?』


まりもから無線が入る


「し、少佐っ!?それにウォーケン少佐も…
 何故ここに?」

龍浪が慌てて無線に反応


『龍浪大尉か…
 それは我々も聞きたい。
 我々はあのゲートから道なりに一直線に進んできただけだ。何故別ルートから侵攻した筈の貴官等がここにいるのだ?』


『ウォーケン少佐、我々も同様にただ横坑に沿って侵攻してきただけです』


まりもが答え、龍浪と松風も同様に答える


『そうか…』


ウォーケンはそれらの返答を聞き、しばらく考え込んだ


『―神宮司少佐、此処からは共同で進行する事を提案する。
 その方が個別に撃破されにくくなり、又、BETA出現時に対しての火力も集中できる。
 何せ未知のタイプのハイブだ。仲間も多い方が兵の気分も落ち着くだろう』


ウォーケン少佐からの提案に、まりもも賛同
そして、まりも少佐率いる第一戦術機甲大隊(41機)、ウォードック隊(5機)、ウォーケン少佐の第七混成戦術機甲大隊(63機)計109機 による侵攻が始まった


「コマはそろった…」


“彼”はボソッと呟いた


「なんか言ったか?」


「何でもない、ただの独り言だよ」


……

それから五分経っただろうか、HQからの緊急通信によって事態が変動する



『移動してくる震源だと!? 間違いではないのか!?』


まりもはHQからの通信に声を荒げる


『いいえ、艦隊側も様々な方法で確認しましたが、間違いないそうです』


『種類は!?』


『振動パターンより、母艦級で有る可能性が高いようです。
 …えっ?
 …さ、更に震源数増大!
 数3!接敵まで450切りました』


『何だと!?』


流石のまりももオペレーターからの報告に驚愕する


「くそ! 当たっちまったか!」


“彼”は拳を握りしめた


『おい!本当に起こっちまったなぁ!』


「ああ、全くだよ畜生っ!」


松風からのツッコミに、彼は不機嫌に答える


『少佐!米軍はどう動…
 『…すまない、神宮司少佐。さらに悪い状況になったようだ。
  我々のセンサーに旅団規模の反応があった。距離は2000』
 っくそ! こっちもか!』


まりもは頭をフル回転させ、対策案を考える


『ウォーケン少佐!
 ここはS-11を用いた撤退作戦を提案する!』


『――っ!!ええい、仕方が無い!
 神宮司少佐!内容は!?』


ウォーケンは非常時であると判断し、S-11についての規定を無視することを決めた


『まず、此処にS-11を一発設置し、先頭のBETAが到達するのを安全圏で待機。
 到達次第起爆させ、時間を稼ぐ。
 その間に先程の合流点の三つの横坑にS-11を二発ずつ設置。
 設置が完了し我々の離脱が済み次第遠隔起爆させ横坑を潰すというものなのだが、どうであろうか?』


『現地点や分岐点にS-11を設置するに事には賛成だが、どうやら時間がないようだ』


まりも達の不知火のセンサーにも反応が出る
接敵まで3分程しかなかった


「ウォードック5より神宮司少佐。
 代案があるのですが、発言しても良いでしょうか?」


突然、“彼”が二人の通信に入り込む


『今はそんなじ…
 『良いだろう。 言ってみろ』
 …ウォーケン少佐!?』


「少佐、ありがとうございます。
 代案というのは、自分が此処に残り敵を抑えます。
 「『『―――っ!?』』」
 その間に少佐達が分岐点にS-11を設置。
 設置が完了次第、自分に連絡を入れ、少佐達は撤退してください。
 その後、自分はロケットモーターに点火しここを離脱。分岐点を通過し、安全圏に達した後起爆させます」 


“彼”は唖然としているウォーケンとまりも、通信を聞いていた龍浪をおいてその案に至った経緯を続けて話し始める


「この案に至った経緯としまして、ウォーケン少佐の部隊のF-18EやF-22A、我々の不知火よりも私の機体の方が最高速度・加速性・機動性が勝っているためです。
 しかしそれでも多少の討ち漏らしが発生するかもしれませんが、大した数ではないでしょう」


“彼”の代案に、皆が唖然としている中、ウォーケンが口を開く


『―無謀すぎる!
 せめて我々も…
 「ウォーケン少佐、気持ちはありがたいのですが、我々人類には今、一機でも多くの戦術機が必要なのです。無駄に損害は増やせません!!」
 それもそうだが―』


『―ウォードック5、成功させられる可能性でもあるのか?
 『少佐っ!?』』


まりもは顔を伏せたまま“彼”に聞く


「――少なくても、ゼロではありません。
 先月の戦いっぷりは、見てくれたでしょ?」


“彼”はその問いに渾身の笑顔で答えた

“彼”は先月の戦いの際に単機で新種を5匹同時に渡り合い、倒していたのだ


『―そうか、そうだな。
 …すまない、頼んだ』


まりもは相変わらず顔を伏せたまま答える
しかし、それでも他人には歯を食いしばっているのがわかった


「了解です。少佐☆」


“彼”はいつものように能天気に答える
同時に、両軍の戦術機が離脱し始めた


「――頼んだぞ。
 そんで、絶対に…
 「何当たり前のこと言ってんだ龍浪? ウチは元々も帰るつもりだぞ?」
 …そうだな。よし、そしたら帰ったら合成ケバブ奢ってやる!」


「おっ!? 言ったなぁ? 忘れんなよ?」


「あたりめーだ。
 …そんじゃ、地上で会おう!」


「ああ!! 地上でな!」


最後まで残っていた龍浪達ウォードック隊も、離脱する

“彼”は全機が離脱したことをレーダーで確認する


「さぁて…
 どうしましょうかねぇ?」


『さぁ? お任せします、大尉』


“彼”の質問に“彼”の相棒は答える
そして奥の方にBETAが姿を現した


「げ! 新種もいるよ…」


『その様ですね』


“彼”と相棒がそんな他愛もない会話をしていると、まりもから極秘通信が入る


「ん? 少佐?どうし…
 『―ウォードック5、聞こえているな』
 えぇ、はい」


“彼”はいつもと違うまりもの雰囲気に少し押される


『―これは死守命令だ、命令違反は許さん。
 …必ず、…必ず帰ってくるんだぞ!! 如月っ!!』


「―っ!!」


そう言って顔を上げたまりもの目尻には、涙が溜まっていた


「―なぁ~に泣いているんですか、まりもちゃん?
 『―っ!!こっ、これはだな。…それより貴様! 今なんて…』
 当たり前ですよ、まりもちゃん。
 『っ!!』
 …ウチは必ず帰りますよ」


『―必ず、だぞ』


「――えぇ。必ず、です」


そう宣言すると“彼”こと如月 宏一大尉は通信を切った
同時に、両手と背部両外側装備ラックに搭載されている87式突撃砲に初弾が装填されていることを確認、跳躍ユニットに火を入れつ


「さぁ、行きますか!」


自分に言い聞かせるように言う


(そうだ。まだ、俺は死ねない。俺は死ぬ訳にはいかないんだ!)


「いつでも気分は…」


(あいつらの為にも …だから!!)


「ロックンロォォォルッ!!」


(必ず生きて帰るっ!!)


宏一は自身の思いを心に刻みつつ、同時に雄叫びをあげながらBETAに向けてフットペダルを踏み込んだ


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.060762166976929