―4月―
――国連軍・横浜基地・二階・207教室――
「起りーつ…敬礼!!
着せーき」
「新兵諸君、ようこそ横浜基地へ!
私はこれから貴様達の教官となる、神宮司 まりも軍曹だ!
最初に、女とは言え私の指導は並大抵ではないと自負している。
故に生半可な気持ちでうける奴には地獄が待ち受けているだろう。
しかし、それらは必ず貴様たちの為を思っての事である!!
私の指導を受けるにあたっての規則はただ一つ。
妥協は許さん!!
そんな軟弱な考えとは、今ここで袂を別て!!
別てなかった奴は容赦なく切り捨てる!
心して構えろ!!
…私からの個人的な事は以上だ。
これから今後についてを説明する…」
教室につい先ほど入隊式を終えた新兵の声が響き、それを打ち消すようにまりもの声が響いた
「うは~まりもちゃん張り切ってんなぁ~」
「まぁ何事も最初のインパクトが重要だというからね~
こんなもんじゃない?」
外で待機していたタケルと宏一がちょっとビビっていた
「でも俺らってさ、実質いる意味無くね?」
タケルが今回決まった特別講師としての役について愚痴をこぼす
「良いじゃん、別に。
ウチらの技術を新兵が吸収できれば、その分生存率が上がるってことだろ?
だったらちょっとしか関与しなくても、ウチは全身全霊で指導するよ」
「うわぁ…お前、ぜってースパルタ教育する気だろ」
「さぁ?」
黒い笑みを浮かべながら「…じいちゃん直伝のスパルタ教育、きっついぞぉ~」とブツブツつぶやく宏一を見て、タケルは軽く引く
その時ガラリと音を立てて教室の戸が開いた
「白銀大尉、如月大尉、お願いします」
ひょっこりと顔を出すまりもが二人を呼ぶ
「了か~い」
二人がまりもに連れられて教室に入った
中にいた5名の訓練生が起立し敬礼、まりもの声で着席する
「このお二方は、今回特別に貴様等の特別講師を担当する事になった白銀大尉と如月大尉だ。
普段は特殊任務に就いていらっしゃる為、常時貴様等の指導を行える訳ではない。
故に、指導に当たってもらう以上、全身全霊で挑むように!!」
「了解!!」×5
「では、大尉…
出来れば自己紹介を」
まりもが一歩下がり、タケルが教壇に登った
「今、神宮司軍曹から紹介があった通り、今回特別に君達の指導を行う事になった白銀 武大尉だ。
俺はあまりかたっ苦しいのは嫌いだから、訓練時以外、例えば休日とかは敬礼は要らないからな。
出来れば“タケル”と気安く読んでくれるとありがたい」
タケルの自己紹介に唖然とするまりも
一方の訓練生はポカンとしていたが、タケルに対しての印象は悪くはならなかった
タケルと入れ替わりに宏一が教壇に立つ
「あ~、紹介にあった通り、今回君達の指導を行う事になったもう一方の方の如月 宏一大尉です。
ウチもタケルと同様、堅苦しいのは嫌いなので指導時以外の時は“宏一”とか“如月”とか呼び捨てでOKです。
てかそうしてください。
戦闘技術とかそっちの方がウチは専門なので、指導内容もそう言った事が多くなると思います。
あ、そうそう、勿論ウチも軍曹に負けない位の“指導”を行うつもりだから、覚悟するよーに…
ナメて掛かってきたら…わかるよね?
まぁこんなとこかな、以上!!」
宏一の紹介でも先程と同様唖然とするまりも
訓練生は、笑顔でさり気無く警告する宏一に対し“この人怒らせちゃヤバい”と直感で悟った
…後日、彼らは宏一がガチ切れしたところを目撃した際に“キレなくて良かった”と安堵する事になるのだが、それはまた別のお話
…
二人の自己紹介が終わると、まりもは訓練生たちを解散させる
訓練生たちは互いに出身地などの話をしながら退室していった
誰もいなくなった事を確認すると、タケルと宏一は互いに談笑を始める
しかし、その後ろでプルプルと小刻みに震えていたまりもが介入してきた
「白銀大尉、如月大尉!!
何なのですか!? 先程の自己紹介は!!」
プンスカと怒りながら言うまりも
頬にうっすらと赤みを帯びて怒る様に、二人は和んでいた
「別に良いじゃないすか~まりもちゃん。
まりもちゃんだって年上の人に敬語で話されるのは嫌でしょ?」
「白銀大尉、しかし其れでは軍規が…」
「障子と規律は破くためにある!!」
「「!?」」
「「「…………」」」
「…あれ?
もしかして、今ウチ滑った?」
「…盛大にな」
orzと落ち込む宏一
そんな姿を後目にタケルは言葉を続けた
「…ともかく、俺は年上に敬語使われるのは性に合わないから、これで良いんです。
ちゃんと場所さえ弁えてくれれば…ですけど」
「大尉…」
「だから、まりもちゃんも俺のことは“白銀”とか“タケル”で呼んで下さいよ~
何かまりもちゃんに“白銀大尉”とか敬語で話されると、どうも背中が痒くって…」
背中をかくフリをするタケル
そんな姿を見たまりもは、クスッと笑った
「ダメです、大尉。
大尉にも性分があるように、これが私の性分ですから」
微笑みながら言ったまりもに、タケルは「この笑顔には敵わないなぁ」と苦笑した
「…で、いつまでタケルは恋愛原子核を爆発させているのかな?」
「「っ!?」」
二人が振り向くと、宏一がジト目にニヤケ顔という如何にも怪しい表情で二人を見ていた
「き、如月大尉…」「お、おま…」
「いやはや、しかしまぁ真っ昼間からお熱いことで…
全く、タケル、お前には鑑という幼なじみがいるというのになぁ」
「だー!!
何をおまえは勘違いしてんだ!」
タケルが反論するが、宏一のターンは終わらない
「まぁ、ウチは別に目の前でイチャイチャされようが何してようが構わないけど~
これを博士が知ったら…どうなることやら」
このセリフに二人は一瞬顔面を蒼白にさせた後―まりもだけデフォメ時のアウアウ顔で―「それだけは止めて!!」と息を合わせて懇願する
…二人には宏一のニヤケ顔が悪魔の様に思えてきていた
「ま、別にウチは口が堅いんで言ったりはしませんがぁ~
本人が直接見聞きしたら…どうしようもないよね☆?」
物凄く爽やかな笑顔を浮かべる宏一
一方の二人はプルプルと小刻みに震えながら恐る恐る後ろを振り返った
…しかし、最早この後の展開が予想出来ている為か、まりもは涙目である
「さっすが白銀、恋愛原子核の名は伊達じゃないわねぇ~
そのまま まりもの事ベットに押し倒しても良いわよ?
むしろ押し倒しなさい」
「ちょ、ちょっと夕呼!?」
目幅いっぱいの涙を流しながらうなだれるまりも
タケルも同様に涙を流ししつつ、明後日の方向を向きながら空笑いをしていた
「…で、何でまた博士がこんな所に?」
「ん? …そうそう!!
如月、ハイコレ」
「何ですか、コレ?」
夕呼から手渡された書類を宏一はパラパラと捲る
「アンタの機体の整備記録と改修案。
飛鳶の製造は相当の突貫工事だったみたいね…所々だけど、規定強度を大幅に下回ってるパーツがあるそうよ?
だからその回収についての報告書ってことらしいわ。
…これとは別口なのだけど、確か飛鳶って電磁収縮炭素帯の代わりに人工筋肉使ってたわよね?」
「ん~厳密には、電磁収縮炭素帯を人間に筋肉の様に組み合わせただけですけど…
それがどうかしましたか?」
「あら、そういえばそうだったわね…まぁ良いわ。
私の研究の延長線上で、従来の義体用人工筋肉よりも強度とか敏捷性とか収縮性とかが大幅に向上したものが完成したの。
計算上では、大型化すれば戦術機にも使用可能よ。
基が義体用だから、電磁収縮炭素帯よりも全ての性能面で勝ってるわ。 正に飛鳶向きじゃない?」
「ん~でも費用とか整備性がバカにならないんじゃないでしょうか?
ウチの機体に施すという事は、タケルの機体にも施すって事になるのでしょうし…」
「その点は気にしなくて良いわ。
で、どうするの?」
「う~ん…」
宏一は悩んだ
飛鳶という信頼性に置いて不安の残る機体を使っているものの、だからと言って実戦証明されていない装備を気軽く使える訳ではなかったからだ
悩みに悩んだ結果、一つの案を出す
「とりあえずウチの飛鳶だけに装備してください。
後日稼働させてみて、外すか外さないかを決めます」
「わかったわ。
それじゃあ白銀、まりもの件よろしくね~」
ヒラヒラと手を振り、オホホホホと笑い声を上げながら夕呼は去っていった
「なんという悪女…」
宏一がぼそりとつぶやく
「ま、先生だからな。
…まりもちゃん、大丈夫?」
いち早く復帰したタケルが未だに壁に寄りかかっているまりもの心配をする
「また夕呼に弄られる要因を握られてしまったの…
もう嫌なのよ~コスプレするのは~」
((コスプレ!?))
―果たしてこの世界でのコスプレとは何なのだろう…?―
タケルと宏一は同様の疑問を抱いたが、ズンズンとネガティブ思考に落ちて行くまりもを見て、流石に聞く気になれなかった
…
―同基地・訓練兵兵舎―
「今日から国連軍人かぁ」
届けられていた荷物をベットに置き、葵は呟いた
「まだ“訓練兵”だけどね」
二段ベットの上で手足を伸ばしている、ワインレッドの髪を肩まで伸ばした少女が言葉を付けたした
「うっさい!
…え~と、なんだっけ?」
葵は相手の名前を叫ぼうとしたが、名前がわからなかった
「そう言えば自己紹介、まだだったわね。
アタシの名前は豊川 春華。
春華で良いわ」
先程言葉を付けたした少女―春華が名乗る
「私は今川 葵。
好きに呼んでいいわ」
葵は春華と同様に肩まで伸ばした藍色の髪を揺らしつつ春華と握手を交わした
「…さてと。
あたしらはしたし、みんなも自己紹介しようや!!」
春華が提案する
それに葵も賛同すると、濃緑の長髪少女が答えた
「わ、私の名前は風間 祷子といいます。
皆さん、是非とも祷子と呼んでください」
祷子が弱弱しく恥ずかしそうに言う
「ふ~ん…祷子か、よろしくな!!
それで祷子…
早速質問で悪いんだけど、そのケース何?」
春華が祷子の足元に置いてあったケースを指差して聞いた
「あ、これは私物のバイオリンです。
趣味で弾いておりまして、多少でありますが数曲弾けます」
一同「へ~」
「そんでアンタは?」
次に春華が指差して聞いたのは黒髪の長髪少女…
指名された瞬間にビクッと大きく反応する
「わわわ、私は春原 有希とい言います!
「落ちつけ落ち着け」
ははは、はい!
本当は帝国軍に志願したのですけど、なな何故か国連軍から採用届けがきまして、今に至りますぅ」
「めっちゃ緊張しとるな~」
「もう少し落ち着きなさいよ」
「めめめ、面目ありません!!」
ガバッと上半身を全屈させて謝る有希…
その際、おでこを二段ベットの支柱にぶつけるのはお約束である
「で、そこでコソコソしている君は?」
葵が部屋の隅にいたショートヘヤーの人物を見た
「ぼ、僕の名前は羽沢 俊也といいます。
特技とかは特に何も…」
「ぼく…?」
「えぇ…ハイ
「えーっ!!」×4
四人の驚愕の声が響いた
「っひ」
俊也は涙目になって驚く
「あ、アンタ男だったの?」
春華がポカンとしながら聞いた
「は、はい、男です」
「てっきり女の子だと思ってた…」
「私もです」
「はわわわ~」
「えぇ~!?」
周囲からの驚きの声に、俊也はorzと落ち込んでしまった
「まぁ羽沢は完全に予想外だったけど…あの特別講師も予想外だったね。
私、もうちょっと厳つい人かと思ってた」
「そうそう!!
二人とも若かったな!」
「如月大尉なんて私達よりも年下に見えました」
キャッキャッと会話が弾む
やがて会話の内容は女子高生よろしく恋バナとなり、ここでも女性関係に疎かった羽沢は弄られ落ち込むこととなる
そんな時、不意に戸をノック音が響くと宏一が入ってきた
5人は会話のネタにしていた為に、かなり驚く
「け、けいr…
「敬礼は不要だよ~」
は、はぁ…」
5人が敬礼しようとしたが、宏一はそれを止めさせる
「今は君たちの自由時間。
それに割り込んできたのはウチの方だから、する必要はないよ」
「はいっ!!」×5
ビシッと敬礼する5人
宏一は「だからいらないって」と苦笑しながら言った
「それで大尉はなんのご用で…」
葵が聞く
「あ~、うん。
羽沢の事についてなんだけど…
此処では基本的に性別は関係無いので、みんなと一緒にこの部屋で寝泊まりしてね~
「え…?」
それと…
神宮司軍曹からで、この後この基地の簡単な案内をするから先程の教室に1100に集合だってさ」
「了解」×5
「何か質問ある?
わかる範囲でなら答えられるよ」
この宏一のセリフに俊也が手を挙げた
「ぼ、僕もここで寝泊まりするんですか?
「Yes」
その、僕と女性のみなさんが一緒の部屋は…」
「まぁさっきも説明したとおり、この基地では基本的に性別が違うからと言って訓練生を別々の部屋に分けることは無いんだ。
勿論人数が多ければ話は別だけど、今回男は羽沢の只一人…
それに事前調査から羽沢の性格なら“変な間違い”を自ら起こすことはないって判断からこのような部屋割りになった訳よ。
それに前線なんて就寝場所はおろか、風呂・トイレも一緒の場所で、風呂に限っては狭い場所で同じ時間に一緒に入らなきゃならないなんて事もあるから贅沢は言えないんだぞ~?
ま、その時のための訓練だと思ってね」
「はい…了解しました」
ショボーンと落ち込む俊也
まさに(´・ω・`)の顔になる
「そんじゃね~
明日から頑張ろう!!」
宏一が手を振って出て行く
はぁぁぁ~と俊也が力無く崩れ、うなだれた
「ま、まぁこういう日もあるって…
べ、別に私は気にしないよ?」
葵が肩を叩きながら励ます
「アタシも気にしないな。
むしろアタシでヌいても良いんだよ~」
自分の胸を引き寄せ、腰をくねらせる春華
しかし、御世辞にも大きいとはあまり言えない胸を引き寄せていたので、春華は周囲から逆に同情の肩たたきをもらってしまう
「何でアタシ?」
「…そのうち大きくなるわよ」
「え…?
って、違ぁぁぁう!!」
葵の言葉でようやく周囲からの視線に気が付いた春華が顔を真っ赤にしながら反論する
が、逆にその行為は余計に生温かい同情の視線を増やすだけだった
「だから違うっての!!」
「まぁまぁ…」
女性陣が盛り上がっている中、取り残された人物は悩んでいた
「…僕、どこで寝ればいいんですか?」
5人部屋にもかかわらず4人分しか無いベットを見て、次第にいちいち悩む事がどーでも良くなる俊也だった
…
―数時間後―
――同基地・シミュレータールーム――
―――廃墟(都市)―――
『新しいBETAの増援、浮上まで―4!
―3!
―2!
―1!
―来るよ!!』
轟音と共に地面が噴き上がり、その付近の廃墟ビルを倒壊させる
ぽっかりと空いた穴からは噴き上がった土やコンクリの破片の落下を待たずに突撃級が最大速度でわき出す
「待ってました!」
タケルはそう言い放ちつつ、120mmを数発、突撃級の先頭少し前に向けて放った
着弾した120mmの砲弾が炸裂し、その爆風で先陣を務めていた数匹の突撃級が吹き上げられて行動不能となり、その巨体に次々と後続がぶつかってゆく
「燃え上が~れ♪
燃え上が~れ♪
燃え上が~れ、ベェタァ~♪」
宏一の不知火が脇のビルを飛び越え、動きの止まった突撃級に向けて120mmを乱射…
付近一帯が爆炎に包まれ、その場にいた突撃級は着火したナパーム剤によって焼かれ始めた
『突撃級のせん滅を確認。
後は要撃級だけだよ!』
「わかったぜ!!」「ほいほ~い」
燃え盛る突撃級の残骸を飛び越え二機の不知火が突撃級の出現口に向かう
二機が到着すると既にそこは要撃級と戦車級で溢れ返っており、白と赤の斑模様が出来あがっていた
「はーっはっはっはっ!!
いいか!?
逃げる奴はBETAだ!
逃げない奴は良く訓練されたBETAだ!
さぁ、BETAのバーベーキューだぜぇい!!」
ハイテンションの宏一が両手に抱える87式の120mmを全弾放つ
連鎖的に着弾し炸裂した120mmは先程と同様に付近一帯を爆炎に包み込み、その範囲内のBETAが燃え上がらせる
「うわぁ…
お前、大丈夫か?」
そんな宏一の姿を見てか、タケルは残党を掃討しつつやや引いた表情で宏一を見た
「…コンバットハイになった兵士を演じてみました。
どうだった?」
「…おまえな」
「これも鑑の訓練だよ。
コンバットハイになった兵士を、どう落ち着かせるか…
まぁ今回は何もしなかったけどね」
『え?
今までのって演技だったんですかぁ~!?』
キョトンとした表情だった純夏が驚愕しながら聞いた
「そだよ。
中々迫真だったろ~?」
タケル同様に残存BETAに36mmを放ちつつ、宏一が笑いながら返した
『全然気が付きませんでした~』
「やり過ぎだ、ボケ」
「やり過ぎくらいがちょうどいい(キリッ」
「ドヤるな!!」
…
『―今の戦車級で最後です。
当選域内の全てのBETAのせん滅を確認、お疲れさまでしたぁ☆』
純夏が満面の笑みで伝えると状況終了の文字と共に成績が出され、シミュレーターが元の位置へと戻ってゆく
戸が開き、二人が降りると、そこへ純夏が二本の合成玉露入りの水筒を持って走ってきた
「二人ともお疲れ~
はい飲み物!!」
「お、サンキュー」「ありがとね~」
「ねぇねぇ、私のCPどうだった?」
純夏が待ちきれないといった具合に二人に聞いた
「まぁまぁ良かったぞ。
でも、ピアティフさんと比べちゃぁ~まだまだだな」
ニヒル顔で決めるタケル
純夏は笑顔を維持したままタケルにレバーブローを決め、そのニヒル顔を遠くへ吹き飛ばした
「宏一君は?」
「う~ん、大まかには良いと思うよ。
けどもう少し詳細にいってほしいところもあったかな?
例えばBETAの出現位置とか、具体的な規模とか…」
「ほうほう…」
「出現予想位置とかは一応戦術機の方でも調べられるけど、乱戦状態だとそんな暇も無いから教えてくれるとかなり助かるね。
…あと、ウチは別に気にしないから良いけど、タケルとウチ以外に人がいる場合は丁寧語を使った方がいいよ。一応ウチらは上官扱いになってるから」
「わっかりましたぁ☆
いろいろとアドバイスありがとうございます!」
パタンとメモ帳を閉じ、宏一にお辞儀する純夏
宏一にタケルのこの後の予定の有無を確認すると、ズルズルとタケルを引っ張ってその場を去っていった
「さて、どうしようかな」
宏一は着替えを済ませると、一人自身の機体があるハンガーへと向かった
…
「クマさーん!」
ハンガーに着いた宏一は一人の老けた整備士のもとへと駆けよる
「お!? 如月大尉か」
宏一に気が付いた整備士…熊谷整備長は持っていた書類を近くの整備士に渡し、宏一の方に寄っていく
「なんだかウチの機体、相当凄い事になってたみたいで…」
「あぁ、相当ひどかった。
脚部と腕部はそうでもなかったんだが、胴体の骨格が金属疲労寸前だったぞ?
念の為超音波とX線検査しておいて正解だったわい」
ジョリジョリと髭の伸び始めた顎をさすりながら言う
「うわぁ~全く気が付かなかったわ…」
「まぁこれに関しちゃワシ等整備士の管轄だ。
衛士がそんな気にすることでない」
「そう言って貰えると有り難いです。
…それで大体どれ位掛かりますか?」
「今、工作部が新しく骨格を作り直してるからの…
大体早くて3日、遅くで一週間だろな」
「…そうですか、わかりました。
では宜しくお願いします!」
「あい、わかった。任しとき!!」
宏一はクマさんと別れると、タブレットにヘッドセットを付けて飛鳶にとの回路を開く
「アル、起きてるか?」
『大尉、如何なされましたか?』
「胴体の骨格系に致命的な疲労が見つかったらしい。
だからそれの修理を行うよって事を伝えにね」
『その事でしたらすでに把握しています。
現在、新しい骨格フレームは約30%が完成しています。 この調子であれば明日にはフレームは完成しているでしょう。
また、ここの整備士のレベルから考えるに、フレームの入れ替えには約二日程かかると推測されます』
「随分と詳しいね」
『伊達に整備されていません』
なんじゃそりゃ―と宏一は苦笑する
その後宏一は夕呼から提案された改装案についての説明をした
『―了解。
では、改装後にこちらの方で基本的な調整を設定しておきます』
「助かる。
…そう言えばタケルの不知火改造の進展について、何か分かる?」
『一分お待ちを…
…
……
………
白銀大尉の不知火改造は、現在約55%完了しています。ただ、主機及び背・腰部兵装担架基部の調達・製造に予想外に時間がかかっているようです』
「なるほど…
じゃあ完成はまだまだだね」
『少なくとも、後一週間はかかりそうです』
「わかった。サンキュー」
ヘッドセットを外した宏一は、自分の部屋に向かい、その場を後にした
第十二話END
こんにちは
なっちょすです!!
宣言していた更新日からだいぶ経ってしまい、スミマセン
各話を修正中、表現などに行き詰まってしまい、書くモチベーションが無くなっていました
しかし、今のところ完全休載の危険ゾーンからは脱していますので、これから月1~3話投稿を目指して頑張っていきますので、これからも様々な御意見、ご感想、応援等をよろしくお願いします!!
さてさて前置きはこのくらいにしておき、アニメ「トータル・イクリプス」はじまりましたね
早速見ましたが、撃震がカッコよすぎますw!!
何なんですか、あのカッコよさは!?
そして見事なヤラレッぷり…ww
…いや、何というか…
タケルちゃんが最強だって言われた理由がなんとなくわかります
それに関してなのですが、当小説でのTEのも設定はもしかしたら小説版とアニメ版がごちゃ混ぜになるかもしれません…
オペ子とかオペ子とかオペ子とか…
なのでアニメ版をご覧になって無い方などには一部分かりにくい所が生じるかもしれませんが、その際は気軽く感想掲示板に書き込んでください
アニメ本編のネタばれにならない程度にお教えします
最後に一つ
一応修正後に各話を数回ずつ読み直してはいるのですが、稀に誤字や変な表現等の見落としがあるかもしれません
もし発見した方は、お手数ですが感想掲示板までお願いします
では、何かありましたら感想掲示板まで!!