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No.30479の一覧
[0] 【第十四話投稿】Muvluv AL -Duties of Another World Heroes-[なっちょす](2014/09/10 01:21)
[1] プロローグ[なっちょす](2012/07/16 02:08)
[2] 第一話[なっちょす](2012/07/16 02:10)
[3] 第二話[なっちょす](2012/07/16 02:10)
[4] 第三話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[5] 第四話[なっちょす](2012/07/16 02:21)
[6] 第五話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[7] 第六話[なっちょす](2012/07/16 02:13)
[8] 第七話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[9] 第八話[なっちょす](2012/07/16 02:16)
[10] 第九話[なっちょす](2012/07/16 02:15)
[11] 第十話[なっちょす](2012/07/16 02:20)
[12] 第十一話[なっちょす](2012/07/16 02:17)
[13] 第十二話[なっちょす](2012/07/16 02:18)
[14] 第十三話[なっちょす](2012/10/28 23:15)
[16] 第十四話[なっちょす](2014/09/10 01:21)
[17] キャラ設定[なっちょす](2012/10/28 23:18)
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[30479] 第二話
Name: なっちょす◆19e4962c ID:3f492d62 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/16 02:10

青年は夢を見ていた

小学校ではいろいろな仲間と遊び、中学では初めての挫折を味わって、高校では青春を邑楽している自身の姿…そんな内容の夢だった

青年はそれが自分の半生であることにすぐに気が付いた

今ではいくら望んでも送ることが出来ない生活に青年が一種の感傷に浸っていると、高校生活の途中で映像が切り替わる
そこにはかつての友人も家族も知り合いもいない
ただ果てしない塩原が広がっていた

青年は気が付けばいつの間にか一衛士としてBETAと戦うことになっていた
ある中隊に配備されるも部隊内で浮いていた
が、彼等は互いに協力して幾多の戦場を戦い抜き、いつの間にか裂こうにも裂けない固い絆が生まれた

自然と青年の目尻に涙が溜まっていた
再度映像が切り替わる

その風景は青年にとって忘れることができないものだった

青年達の中隊は、とある難民を保護していた
レーダーにノイズが走り、そしてラファールのエレメントが接近してきた


(―っ!!)


青年達は一斉にそのエレメントを警戒する


(…まさか)


接近してくる戦術機の銃口が、青年達に向けられた


(…やめろ)


青年達は左手に装備していた追加装甲を咄嗟に構え、防御姿勢を取る
難民が後ろにいる故に、回避・攻撃行動ができないのだ


(…やめてくれ!)


接近してくるエレメントは120mmをバラまき、その内数発が構えていた追加装甲に命中
120mmが弾け、アルミ片を含んだスモークが辺りを青年達諸とも包み込む
レーダーが使えなくなった彼らは、頭部センサーモジュールを動かし目視による索敵を開始…
互いの背中を守りつつ、難民を守る様に陣形を組み直し始めた

突如、ある戦術機側面のスモークが縦に割れる

その戦術機の衛士が割れたスモークにメインカメラを向けた
彼の角膜一杯には、振り上げられ、振り下ろそうとされるフォルケイトソードが映った
咄嗟に追加装甲でこれを防ごうとした
だが、それよりも振り下ろされるのが早い

フォルケイトソード独特の刃先が彼の戦術機の頭部に吸い込まれ、彼諸共両断してゆく


「(やめろぉぉぉっ!!)」


自身の叫び声と共に青年“如月 宏一”は目を覚ました


「…ゆ、夢?」


宏一は額に溜まっていた大粒の汗を拭う
一呼吸意識を落ち着かせると周囲の警戒に入った


(地上にいつの間にか出てたんだ… でも、塩原じゃない?)


自分の目で現状を確認する為、コックピットハッチを開き身を外に乗り出す


(一面荒野、潮の香りはしない… 内陸部…?)


宏一は自身が気を失うまでの過程を思い返す
まさか…と呟くと急いで管制ユニットに身を滑らせた


「急いで現在座標を確認してくれる?」


『既に確認しました、大尉殿』


彼の要望に“相棒”は答えた



「相変わらず仕事が早いね。で、座標は?」


『北緯35度48分,東経139度64分付近です』


(北緯35度,東経139度…!?)


「それに間違いは無いよね?」


『はい、精度に多少の誤差はありますが間違いありません』


宏一は言葉にならないうねり声を上げながら、眉間を押さえながら項垂れる


『ここは日本帝国です』


……

数分後、動かなくなっていた宏一が沈黙を破る


「…近くに基地はある? 帝国軍でも国連軍でも何でもいいから」


『東南方向、約10km地点に国連軍横浜基地があります』


(国連軍横浜基地…どこかで聞いたな…っ!!)


ハッと気が付き、操縦桿を握り直す宏一


「よし、そこに向かおう」


『大尉殿、何かアテでも有るのですか?』


「まぁ一応ね。
 それと回線は送受信共にオープンにしておいて」


『了解。
 …送信システムに異常が確認されました。送信は不可能です』


「なら文面形式での送信は?」


『可能』


「ならそれを」


『了解』


指示を出すと同時に、宏一は機を東南方向に進める


『上空にUAV。
 更に横浜基地より戦術機と思わしき反応が6つ。此方に来ます』


「了解。
 向こうから何か言ってきたら教えて」


「了解」の返事を聞くと、回線と広域レーダーに注意を向けた

……


「ボギー、ホーネット隊及び白銀・伊隅大尉両機との距離1000切りました。
 白銀機の望遠カメラ映像をモニターに出します」


「わかったわ」


夕呼はピアティフからの報告を聞くと、管制室の全面に設置されている大型モニターに目をやる
そこには白銀が搭乗している『撃震・改』の望遠センサーからの映像が映された


(色は黒系、機体の形状は不知火…けどいろいろと細部の形状が少し違うみたいね)


ぼんやりと映る機影から、夕呼は大まかな機種の判断を試みる
しかし彼女にはそれが無駄だと知っていた


「レーダー、反応は相変わらず?」


「はい。反応は相変わらず皆無です。
 UAVを飛ばしておいて正解でした」


「わかったわ」


何故ならばその機体はステルス機だったからである
夕呼達はたまたまレーダーに映った影を発見し、急遽UAVを使って確認
その後、レーダーの反応が無くなっていたのだ


(このご時世にステルス機を所持しているのはアメリカ程度… なら、何故内陸部から現れるの?)


幾つかのケースを自問自答し、ステルス機が内陸部から現れた理由を考え、一つの結果に辿り着いた


(やっぱり、あの重力異常場が原因としか考えられないわね)


「距離500を切りました。
 ホーネットマムがボギーへの交信の許可を求めています」


「許可しなさい」


(さて、吉とでるか凶とでるか… 見ものね)


吉が出ることを祈りつつ、夕呼はモニターに注目していた

……


「白銀、どう思う?」


「見たところ敵意はないようですね。
 ただ乗ってる機体がねぇ…」


タケルはみちるからの通信に苦笑しながら答える
みちるも同意見だった


「ホーネットマム、何か言ってきたか?」


『ネガティブです。大尉』


ホーネットマムからの報告に、みちるは最悪のケースを考慮して87式の安全装置を外した


『大尉、どうしますか?』


「…取り合えず様子を窺おう。話はそれか…んっ?」


ポーンと音を立て、みちるの視界の隅にブースト圧縮された文面形式の通信が受信された事が表示される
みちるはそれを展開、内容を読む


「―通信機器に異常が発生、受信は可能、送信は不可…?」


文面を読み終えたタケルが呟く


「その様だな…
 よし、ホーネット隊は現地点で待機、援護を。
 『了解』
 ボギーとのコンタクトには私と白銀で向かう」


「了解」の返事を聞くと同時にペダルを踏み、みちるとタケルはボギーに向かって匍匐飛行していく

……


『国連機、二手に別れました』


相棒からの報告を聞くと宏一は機を止めた


数秒後、50m程先に蒼い国連カラーの撃震が二機着地し、通信が入った


『此方、国連軍横浜基地所属 白銀 武大尉だ。
 貴官は当国連軍基地の敷地に侵入している。貴官の氏名、所属、階級及び目的を答えよ』


(白銀 武がいる…というと今は2001年。
 でも今“大尉”って言ってたよな?どういう事なんだ?)


宏一はそんな事を考えつつ返答した


「此方、J・D大尉。所属は機密につき答えられない。
 横浜基地副指令 香月博士に至急報告せねばならない事がある。お会いできないであろうか?」


(我ながら何という白々しい事を言うのだろうか)と苦笑しつつ、相手の返答を待つ


(ジョン・ドゥ大尉…“名無しの大尉”だと?
 …ふざけるな!)


一方のみちるは“名無しの大尉”と名乗った者に内心苛立ちを覚えるも、表情に出さずタケルの方に目をやっていた


『ジョン大尉。
 残念だが、我々にはその権限は無い』


タケルからのある程度予測していた質問を返され、宏一は―やれやれやっぱりね―とため息をついた

そんな時、彼の機のレーダーに見覚えのある反応が二つ出た
宏一はそれを確認するや否や、パワーをミリタリーに入れる
同時にみちる達に通信を送信
猶予は数秒と設定し、返答を待った



タケルは“ジョン・ドゥ”の意味を知らなかったが、馬鹿にされている事だけはわかった
だが、彼にとってはそんな事は日常的であったの為、規定通りの返答を返す

突如、目の前の戦術機の駆動音が跳ね上がる
ほぼ反射的にマニュアルで相手に照準を合わせる
ロックオンしないのは相手に悟られないようにするためだ
みちるも同様に照準をおこなう

ポーンと音が鳴る
文面通信…展開


『あなた方はAH戦は得意だろうか?』


あまりの唐突さと通信内容に、タケルは一瞬意味がわからなかった


「どういう意味だ?」


再び通信


『そのままの意味』


「抵抗すれば…
 『別に貴官等と戦うために聞いている訳じゃない』
 …? ならなんだ?」


『敵性反応。
 数2、距離6000。
 接触まで180sec』


再度タケルは相手が何を言っているのか訳が分からなくなった


(こんな内陸にBETA?単体で? 対BETA戦とAH戦が何で関係する?)


謎だらけだった


「貴様!ふざけるのもいい加減にしろ!!」


みちるが憤慨する


『ふざけてはいない。
 …適正な返答が無いため、自分だけで対応する』


タケルには最後の最後まで意味がわからなかった

……


―数分前―
――国連軍・横浜基地・作戦司令部――

司令部は混乱に見舞われていた

発端はボギーとタケル・みちるの両機の距離が100を切った辺りからだった
彼らからさらに西北に7km程先に再度大きな重力異常場を観測したのだが、それだけならここまで混乱はしない

問題はその異常場から新種、尚且つ飛行しているBETAの姿がUAVのカメラに写った事だった

管制室の全面にある巨大なモニター映し出されるその蟲の様な…いや、蟲ならまだ良いのかも知れない
蟲にBETAの醜さを混ぜた様な醜い姿が映されていた

その姿に、ある者は持っていたマグカップを落とし、またある者はただ口を開け、まさに彼らに“衝撃”を与えた
夕呼もその例外ではなく、目を丸く見開き、我を忘れさせられていた
気を取り直したオペレーターがホーネット隊とタケル・みちるの両機に、ほぼ悲痛な叫びとも聞こえる様な声で警告を発する


同時に夕呼も気を取り直したが、オペレーターの警告は間に合わないとだけしか考えられなかった

……


―現在―

オペレーターの悲痛な警告を聞いたタケルとみちるは、その声からただ事でないことを悟る
ハッと思い出したようにタケルはボギーの方を向くが、既にBETAに向かって行った後だった

離れてゆく戦術機から文面の通信が届いた


『死にたくなければここから離れろ』


――宏一side―

通信を送ると、兵装チェックを始めた

両手と両兵装担架に装備している87式は、36mmの残弾がそれぞれ500発ほど、120mmはフレシェット弾が各3発。36mm・120mmそれぞれの予備弾倉が左右に各1個ずつ

2振の74式長刀の耐久力は大体半分
腕部ナイフシースに収まっている計4振の試05式特殊長刀の耐久力は2/3程度…

まぁ、一個師団相手に単独で吶喊した割には驚異的な消費弾数の少なさじゃないかな
念の為明後日の方角に四門の87式を数発試射してみる


問題なし。良いことだ


次に各部の作動を確認してみる


…オールグリーン。



“アイツ”に頼めば一発だったけど、やっぱりこれらは自分でやらないと気が済まない

上空50m程に2匹の新種を視認、エンゲージ


…此方には気付いていないのかな?


背面飛行に移行し、それぞれの予想進路に向けて四門の87式を放つ
2匹のBETAは直前にバレルロール、致命弾を避けた


…やっぱり気付いてましたか
まぁフツーは気付くわな


一匹のBETAが反転し、降下してきた


お?やるか?


こっちも機をそのまま引き起こし、同時に四本の36mmを放つ

―交差―

…どうやら放った36mmは主に翅に命中したらしい
体を引き起こさずに地面に激突、噴煙が昇る


やったかな?
…いや


噴煙が登ったところから20本の紅い線がコッチに向かって伸びて来た
甲高い連続音の警告音が鳴り響く


―ミサイルかっ!


エンジンをフルスロットル
急激な加速に伴いかなりのGが襲ってきたが、そんな事は今はどうでもいい
三次元の複雑な機動を各部のRCSをフルに活用して行うがシーカーから逃れる事は出来ず、ミサイルは一向についてきた


落とすしかない…ね


視線ロックシステムを起動させ、向かってくるミサイルをオールロック
回避行動を取りつつトリガーを引く
四門の87式は回避行動に沿って各々の指定されたの目標に向かって36mmを的確に撃ち抜いていった

空中に散りばむ、20の閃光…


全弾撃墜成功
…奴等はっ!?


『左舷下方50m、後方60m上空』


相変わらず良い仕事してくれる
…まずはアイツから

上昇するため機を引き起こし、ロケットモーターに点火
更に強烈なG


「…っぐ!」


思わず声が漏れる
揺れるレクティルをマニュアルで合わせ、120mm二門を放つ


弾種は最近お気に入りの120mmフレシェット弾…
砲弾は着弾の直前で爆発、計12000本の劣化ウラン製の矢がBETAに降り注ぐ


矢が刺さり、もがくBETA…
そんな風景を想像すると自然と笑みがこぼれる


…我ながらえげつない


120mmフレシェット弾は、元々が小型種用の弾種故に中型種に分類されるこの種には致死的な効果は期待できない
でも、動きを止めることぐらいは出来る

ほら、その証拠にこんな近くまで反撃されずに近づけた


全身に刺さった矢にもがくBETAを追い越し、ソイツの10mほど上空で失速反転
翅の付け根に狙いを合わせ、36mmを発砲
根元から翅を千切り落とす

翅を失ったBETAはワタワタと足をバタつかせながら落下
地上に噴煙を上げてぶつかった
もう一方のBETAを探す


…いた


急降下して接近、発砲
再生中の翅を再度穴だらけに変える

接触の直前に逆噴射
ある程度速度を殺し、踵部のナイフを展開
奴の翅の付け根を踏みつけた後、反動のベクトルを変えバク宙しつつナイフをしまいながら地に足を付ける

着地と同時に先程地面に落下した奴からの砲撃
肩部RCSを吹かしこれを回避
反撃としてステップしながら両手の87式を撃つが、数発ごとに混ぜられている曳光弾が命中させても無駄である事を知らせる

報復のつもりか、奴は腕のマシンガンを乱射
小型のエネルギー弾がウチのいた場所をハチの巣に変えてゆく


しぶとい奴め


片手の87式を腰部兵装担架に収納
空いた手で長刀を握る

発砲してくる方に水平跳躍で接近
降り注ぐエネルギー弾を掻い潜り、長刀の間合いまで接近、一閃を入れる

BETAの腕が宙を舞い、もう片方の腕に深い切創を刻む


『警告、七時方向』


耳に響く声に意識を七時の方向に向ける
其処には踏みつけたBETAが腕を振り上げ、その強靭な爪でウチの事を切り刻もうとしていた


…ッチィ


舌打ちしつつ87式を放棄
振り下ろされる腕を掴み、横方向に引っ張った

BATAが体勢を崩したところで腕を離し、その勢いのまま長刀で側宙切り
縦に二枚に下ろす


一方の腕を切り落とした方を見る
ソイツは結構な距離を離れ、ヨタヨタと走りながら横浜基地の方に向かっていた


やれやれ…


長刀を収容した後両手に05式を装備
逃げる背中を追っかけるように跳躍ユニットに火を入れた




逃げたBETAはタケル等二機に接近していた

両機が発砲するが、そんなのは無意味
弾かれた36mmが明後日の方向に飛んでゆく

それを確認した両機が同時に120mmを放つ
しかし、これはBETAに回避された


ウチとBETAの距離はまだ200m程
新種は意外にも足速いようだ

向こう側の二機の後ろに更に四機の撃震が合流、今度は全機で一斉に36mmを放った


そうやっても無駄なのに…


案の定結果は先程と同じ
弾かれた36mmが機体の近くを掠める


…てか迷惑なんで撃つのやめてくれません?


そんな人の心を知ってか、全機が一斉に発砲を止めバックステップで距離を稼ごうとしていた
その隙に一気にフルスロットル

BETAとの距離―50


今!!


エンジンをカットし着地、跳躍
05式を逆手に持ち、振り上げ、機体を反らす

着地地点にはBETAの背中
一気に両手を振り下ろし、二振りの05式をソイツの頭と背中に思いっきり喰い込ませた
踏みつけられたBETAがバランスを崩してヘッドスライディング
両手を捻って傷口を広げた後跳躍、奴の前に立つ

倒れていた奴はヨロヨロと立ち上がる


…ホント、しぶとい奴


立ち上がりきる前に接近、トドメに三枚肉に下ろした
機体に奴の体液が飛散したが、どうでもいい

付着した体液を振り払うと、05式をナイフシースに戻した
そして腰部の87式を装備


「…さて、ここからどうしたものかねぇ」


目の前には今の出来事を目撃していた戦術機が、全機ウチに向けて銃口を向けていた


…ぼやきの一つや二つ別にいいでしょ?


―― 宏一side end―



みちるは今の数分間が信じられなかった

新種のBETA…
そしてボギーの機動性・俊敏性の異常な高さ…
乗っていたのが不知火であるのならばともかく、撃震である今の状況では確実に勝ち目は無いであろう…

みちるがそんな事を考えていると、ボギーに動きがあった

すかさず照準を合わせた
タケルやホーネット隊も同様にしている

彼らは怖いのだ


誰しも初めて見る生き物や物体には何かしらの恐怖か興味、又は警戒をする

みちる達は最初こそは只の警戒だったが、その後の経過を見ている内に恐怖へとシフト…
致命的だったのは、手負いであるはずのにもかかわらず120mmを避け、36mmの集中砲火をものともせずに接近してきたBETA…
そして、それをいとも簡単に撃破したボギー…

みちるは微かに震える手に喝を入れ、急遽組む事となった相方のタケルを見る
…そんなタケルはニヤけていた

その事に驚いているとボギーがみちる達の50m程先で停止する
片手に装備していた87式の砲口は上に向けられていた


『先程は失礼。再度申告させてもらう。
 至急連絡せねばならない事がある。国連軍横浜基地副指令、香月博士にお会いできないであろうか』


みちるは困惑した
自分達にそんな権限は無いため管制室に命令を仰いでいるものの、一向に返答が無いのだ


『繰り返す…』


(自分はこの撃震で抵抗する事が出来るのだろうか?
 勝つ事が出来るのだろうか?
 …いいや、勝たなくてはならない
 それが私達の使命だから)


みちるが自問自答していたその時、夕呼から直接通信が入った


『いいわ、連れてきなさい』


……


夕呼達のいる地下機密ハンガーは、異様な雰囲気に包まれていた
この雰囲気の原因は、六機の蒼い撃震に囲まれてやって来た一機の黒い戦術機にあった
その黒い戦術機は指定されたハンガーの前まで移動し、停止
ハンガーにロックされる


その機体はきっと不知火をベースに開発されたのだろう
どこか不知火の雰囲気を醸し出していたが、しかし最早不知火とは言えはなかった


不知火がベースと思われる頭部のアイカメラは武御雷のようなツインアイになっており、レドームの中心には大きなブレードがそびえ立っている
胴体形状は不知火の様に複雑ではなくステルス機のような洗礼された斜面で構成されており、背部に兵装担架を四基も装備していた
ジャンプユニットの外見は米国製戦術機に多く見られるような物であったが、カナードに前進翼、スライドノズルといった先進技術が、肩部装甲は胴体と同じように斜面で構成され幾つものスラスターノズルがステルス性を考慮しつつ埋設されている


これだけでも異様な雰囲気の原因となったが、左右の肩部装甲には帝国軍機を示す日の丸と不知火をモチーフにした犬の顔にウォードッグと描かれたマークがプリントされ、その異様さを増長させていた


夕呼が拡声器を使い、機から降りるように指示する
頭部前方の上部胴体装甲がスライド
一人の衛士が両手を上げつつ出て来た
その顔付きから10代半ばの日本人青年であると夕呼は判断する
青年が口を開く


「自分の名は如月 宏一。 階級は大尉!
 所属は言えないが、至急香月博士に報告しなければならないことがある!!」


大尉の階級章をつけた青年…如月 宏一は大声で叫んだ


第二話END

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


第二話です
やっと(?)オリ主が登場・合流しました
そして初の戦闘シーンです
どうでしょうか?
今回もいろいろと突っ込みどころがありますが、温かい目で見てやってください


さて今回の話の捕捉設定(と報告)です
・宏一の機体が他のウォードック隊の機体と違う理由は後日公開
・機体の開発経緯も後日
・“相棒”についても次回公開(多分ほとんどの人が気づいているかもしれませんが…(^^;))
・横浜基地に配属されている部隊の“ホーネット隊”リーダーは女性(外人さん)
・XM3はまだ夕呼・武・霞の三人と一部の技術・整備部門の人が知るのみ
・武の分の不知火はXM3での武の変態機動への対応強化中
・新種のBETAのイメージ元は『マクロスF』の“大型ヴァジュラ”です
・“試05式特殊長刀”はいわゆる“マチェット”タイプの長刀。短刀より長く、長刀より短いため“特殊長刀”の名が付いた。 TDA世界の05年試験採用開始。
・宏一の機体には背部に(半ば強引に)兵装担架が四基装備されており、そのうち外側の二基の基部は水平方向(x軸)の回転ができる。(ただし可動範囲は0~100°程度。内側もある程度はできる)


毎度乱筆ですみません
こんなもんですかね。
一部かなり強引ですが、そこは勘弁してくださいw


次回予告
ついに魔女の元にやってきた宏一
彼女からの無慈悲な攻勢に宏一は耐えられるのか?
次回『胸の鼓動は動悸』
次回もいろんな意味でサービス、サービスゥ!【Cv.伊隅 みちる】



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