<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

Muv-LuvSS投稿掲示板


[広告]


No.35536の一覧
[0] 【チラ裏より】Muv-Luv Alternative Change The World[maeve](2016/05/06 12:09)
[1] §01 2001,10,22(Mon) 08:00 白銀家武自室[maeve](2012/10/20 17:45)
[2] §02 2001,10,22(Mon) 08:35 白銀家武自室 考察 3周目[maeve](2013/05/15 19:59)
[3] §03 2001,10,22(Mon) 13:00 白銀家武自室 考察 BETA世界[maeve](2012/10/20 17:46)
[4] §04 2001,10,22(Mon) 20:00 横浜基地面会室 接触[maeve](2012/12/12 17:12)
[5] §05 2001,10,22(Mon) 21:00 B19夕呼執務室 交渉[maeve](2012/12/06 20:40)
[6] §06 2001,10,22(Mon) 21:30 B19夕呼執務室 対価[maeve](2012/10/20 17:47)
[7] §07 2001,10,22(Mon) 22:00 B19夕呼執務室 考察 鑑純夏[maeve](2012/10/20 17:47)
[8] §08 2001,10,22(Mon) 22:30 B19夕呼執務室 考察 分岐世界[maeve](2012/10/20 17:47)
[9] §09 2001,10,22(Mon) 23:00 B19シリンダールーム[maeve](2012/10/20 17:48)
[10] §10 2001,10,23(Tue) 08:00 B19夕呼執務室[maeve](2012/12/06 21:12)
[11] §11 2001,10,23(Tue) 09:15 シミュレータルーム 考察 BETA戦[maeve](2013/01/19 17:36)
[12] §12 2001,10,23(Tue) 10:00 シミュレータルーム 考察 ハイヴ戦[maeve](2015/02/08 11:03)
[13] §13 2001,10,23(Tue) 11:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:23)
[14] §14 2001,10,23(Tue) 12:20 PX それぞれの再会[maeve](2012/12/16 23:01)
[15] §15 2001,10,23(Tue) 13:00 教室[maeve](2012/12/06 00:01)
[16] §16 2001,10,23(Tue) 13:50 ブリーフィングルーム[maeve](2013/05/15 20:03)
[17] §17 2001,10,23(Tue) 18:30 シミュレータルーム[maeve](2015/03/06 21:04)
[18] §18 2001,10,23(Tue) 22:00 B15白銀武個室[maeve](2015/06/19 19:23)
[19] §19 2001,10,23(Tue) 23:10 B19夕呼執務室 考察 因果特異体[maeve](2012/10/20 17:51)
[20] §20 2001,10,24(Wed) 09:00 B05医療センター Op.Milkyway[maeve](2015/02/08 11:06)
[21] §21 2001,10,24(Wed) 10:00 シミュレータルーム 考察 XM3[maeve](2012/12/06 21:17)
[22] §22 2001,10,24(Wed) 13:00 横浜某所 遺産[maeve](2012/11/10 07:00)
[23] §23 2001,10,24(Wed) 21:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/01/13 23:30)
[24] §24 2001,10,24(Wed) 22:00 B19シリンダールーム 暴露(改稿)[maeve](2013/04/04 22:05)
[25] §25 2001,10,24(Wed) 23:00 B19シリンダールーム 覚醒[maeve](2013/04/08 22:10)
[26] §26 2001,10,25(Thu) 10:00 帝都城 悠陽執務室[maeve](2016/05/06 11:58)
[27] §27 2001,10,26(Fri) 22:00 B19夕呼執務室[maeve](2016/05/06 12:35)
[28] §28 2001,10,27(Sat) 09:45 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:22)
[29] §29 2001,10,27(Sat) 11:00 帝都浜離宮茶室[maeve](2015/02/08 10:15)
[30] §30 2001,10,27(Sat) 12:45 帝都浜離宮 回想(改稿)[maeve](2012/12/16 18:30)
[31] §31 2001,10,27(Sat) 14:00 帝都城第2演武場[maeve](2015/01/23 23:26)
[32] §32 2001,10,27(Sat) 15:00 帝都城第2演武場管制棟[maeve](2016/05/06 11:59)
[33] §33 2001,10,27(Sat) 16:00 帝都浜離宮[maeve](2015/01/23 23:31)
[34] §34 2001,10,28(Sun) 10:00 帝都城第2演武場講堂 初期教導[maeve](2016/05/06 12:00)
[36] §35 2001,10,28(Sun) 13:00 帝都城来賓室[maeve](2016/05/06 12:00)
[37] §36 2001,10,28(Sun) 国連横浜基地[maeve](2012/11/08 22:20)
[38] §37 2001,10,29(Mon) 15:00  B19シリンダールーム 復活[maeve](2013/04/04 22:18)
[39] §38 2001,10,30(Tue) 10:00  A-00部隊執務室 唯依出向[maeve](2016/05/06 12:01)
[40] §39 2001,10,30(Tue) 11:00  B19夕呼執務室 考察 G元素(1)[maeve](2015/03/06 21:07)
[41] §40 2001,10,30(Tue) 15:00  A-00部隊執務室[maeve](2015/02/03 20:59)
[42] §41 2001,10,31(Wed) 10:00 シミュレータルーム[maeve](2016/05/06 12:03)
[43] §42 2001,10,31(Wed) 06:00 アラスカ州ユーコン川[maeve](2016/05/06 12:03)
[44] §43 2001,10,31(Wed) 10:00 司令部ビル 来賓応接室[maeve](2016/06/03 19:20)
[45] §44 2001,10,31(Wed) 12:00 ソ連軍統治区画内 機密研究エリア[maeve](2016/05/06 12:05)
[46] §45 2001,11,01(Thu) 13:00 アルゴス試験小隊専用野外格納庫 考察 戦術機[maeve](2016/05/06 12:06)
[47] §46 2001,11,02(Fri) 12:00 テストサイト18第2演習区画 E-102演習場[maeve](2016/05/06 11:50)
[48] §47 2001,11,02(Fri) 12:15 司令部棟 B05 相互評価演習専用指揮所[maeve](2016/05/06 12:06)
[49] §48 2001,11,03(Sat) 05:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/02/03 21:01)
[50] §49 2001,11,03(Sat) 09:00 日本南洋 某無人島[maeve](2015/01/04 19:23)
[51] §50 2001,11,02(Fri) 20:00 ユーコン基地[maeve](2016/05/06 12:07)
[52] §51 2001,11,03(Sat) 点景[maeve](2016/05/06 12:08)
[53] §52 2001,11,04(Sun) 07:30  A-00部隊執務室[maeve](2016/05/06 12:08)
[55] §53 2001,11,04(Sun) 20:00 B19夕呼執務室[maeve](2015/06/19 19:45)
[56] §54 2001,11,05(Mon) 09:00 ブリーフィングルーム[maeve](2015/01/24 18:43)
[57] §55 2001,11,06(Tue) 10:00 帝都城第2連隊戦術機ハンガー[maeve](2015/06/05 13:06)
[58] §56 2001,11,07(Wed) 10:00 横浜基地70番ハンガー[maeve](2015/03/06 20:56)
[59] §57 2001,11,08(Thu) 14:00 帝都浜離宮来賓室[maeve](2015/09/05 17:29)
[60] §58 2001,11,08(Thu) 15:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(1)[maeve](2013/04/16 21:00)
[61] §59 2001,11,08(Thu) 15:30 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(2)[maeve](2015/01/04 19:04)
[62] §60 2001,11,08(Thu) 16:00 帝都浜離宮来賓室 考察 創造主(3)[maeve](2015/02/03 21:19)
[63] §61 2001,11,09(Fri) 11:05 新潟空港跡地付近[maeve](2015/10/07 16:50)
[64] §62 2001,11,10(Sat) 23:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/03/06 21:15)
[65] §63 2001,11,11(Sun) 05:50 燕市スポーツ施設体育センター跡[maeve](2015/06/19 19:48)
[66] §64 2001,11,11(Sun) 06:52 旧海辺の森跡付近[maeve](2016/06/03 19:25)
[67] §65 2001,11,11(Sun) 07:15 旧燕市公民館跡付近[maeve](2016/05/06 11:55)
[68] §66 2001,11,11(Sun) 07:24 連合艦隊第2艦隊旗艦“信濃”[maeve](2016/05/06 11:56)
[69] §67 2001,11,11(Sun) 07:44 旧新潟亀田IC付近[maeve](2015/09/11 17:22)
[70] §68 2001,11,11(Sun) 08:00 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 09:53)
[71] §69 2001,11,11(Sun) 08:15 三条市グリーンスポーツセンター跡[maeve](2015/02/08 10:00)
[72] §70 2001,11,11(Sun) 08:20 旧北陸自動車道新潟西IC付近[maeve](2014/12/29 20:34)
[73] §71 2001,11,11(Sun) 08:25 帝都上空[maeve](2015/08/21 18:44)
[74] §72 2001,11,11(Sun) 10:30 三条市荒沢R289沿い[maeve](2015/02/04 22:07)
[75] §73 2001.11.12(Mon) 09:30 PX[maeve](2015/09/05 17:34)
[76] §74 2001.11.13(Tue) 09:00 帝都港区赤坂 九條本家[maeve](2015/04/11 23:27)
[77] §75 2001,11,13(Tue) 10:30 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2015/12/26 14:19)
[78] §76 2001,11,13(Tue) 19:50 B19フロア 夕呼執務室 考察G元素(2)[maeve](2016/05/06 12:19)
[79] §77 2001,11,14(Wed) 09:00 講堂[maeve](2016/05/06 12:25)
[80] §78 2001,11,15(Thu) 22:22 B15 通路[maeve](2016/05/06 12:31)
[81] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路[maeve](2015/10/07 16:54)
[82] §80 2001,11,16(Fri) 10:15(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/09/05 17:41)
[83] §81 2001,11,16(Fri) 10:55(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト18[maeve](2015/10/07 16:57)
[84] §82 2001,11,16(Fri) 16:30(GMT-8) ユーコン基地 モニタールーム[maeve](2015/05/31 10:24)
[85] §83 2001,11,16(Fri) 21:00(GMT-8) リルフォート歓楽街 “Da Bone”[maeve](2015/10/07 17:03)
[86] §84 2001,11,17(Sat) 17:00(GMT-8) イーダル小隊専用野外格納庫 衛士控室[maeve](2015/06/20 23:51)
[87] §85 2001,11,18(Sun) 17:20(GMT-8) ユーコン基地 演習区画 テストサイト37 幕間?[maeve](2015/05/31 20:15)
[88] §86 2001,11,18(Sun) 22:00(GMT-8) アルゴス試験小隊専用野外格納庫[maeve](2016/05/06 11:46)
[89] §87 2001,11,19(Mon) 13:00(GMT-8) ユーコン基地 居住区フードコート[maeve](2015/06/19 20:13)
[90] §88 2001,11,19(Mon) 18:12(GMT-8) ユーコン基地 演習区外米国緩衝エリア[maeve](2015/12/26 14:23)
[91] §89 2001,11,19(Mon) 18:50(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/12/26 14:25)
[92] §90 2001,11,19(Mon) 20:45(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画 ПЗ計画研究施設[maeve](2015/10/07 17:13)
[93] §91 2001,11,19(Mon) 21:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画[maeve](2015/10/07 17:15)
[94] §92 2001,11,20(Tue) 03:30(GMT-8) ソビエト連邦租借地 ヴュンディック湖付近[maeve](2015/08/28 20:32)
[95] §93 2001,11,21(Wed) 14:30(GMT-8) ユーコン基地 ソビエト占有区画内 総合司令室[maeve](2015/10/07 17:20)
[96] §94 2001.11.22(Thu) 03:00(GMT-8) アラスカ州ランパート付近[maeve](2015/12/26 14:28)
[97] §95 2001.11.23(Fri) 18:00(GMT+9) 横浜基地 B20高度機密区画[maeve](2015/08/28 20:08)
[98] §96 2001.11.24(Sat) 15:00 横浜基地 B17 A-00部隊執務室[maeve](2016/06/03 19:39)
[99] §97 2001.11.25(Sun) 02:00(GMT-?) 某国某所[maeve](2015/12/26 14:33)
[100] §98 2001.11.25(Sun) 13:30 横浜基地 北格納庫管制制御室[maeve](2016/06/04 14:06)
[101] §99 2001.11.25(Sun) 18:00 横浜基地本館 メインバンケット モニタールーム[maeve](2015/10/31 14:40)
[102] §100 2001.11.26(Mon) 06:30 横浜基地本館 ゲスト棟[maeve](2016/05/06 11:44)
[103] §101 2001.11.26(Mon) 17:15 横浜基地 モニタールーム[maeve](2016/05/15 12:14)
[104] §102 2001.11.27(Tue) 06:00 国連横浜基地 第2グランド[maeve](2016/06/03 19:42)
[105] §103 2001.11.28(Wed) 09:00 国連横浜基地 XM3トライアル V-JIVES[maeve](2016/05/14 13:10)
[106] §104 2001.11.28(Wed) 17:00 国連横浜基地 米軍割当外部ハンガー ミーティングルーム[maeve](2016/06/04 06:10)
[107] §105 2001.11.28(Wed) 17:40 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2016/06/10 23:26)
[108] §106 2001.11.28(Wed) 18:00 国連横浜基地 Bゲート付近 〈Valkyrie-04〉コックピット[maeve](2019/03/26 22:16)
[109] §107 2001.11.28(Wed) 21:00 B19フロア 夕呼執務室[maeve](2019/03/30 00:03)
[110] §108 2001.11.28(Wed) 21:00(GMT-5) ニューヨーク レストラン “Par Se”[maeve](2019/06/30 17:55)
[112] §109 2001.11.29(Thu) 09:00(GMT-5) ニューヨーク国連本部 安保緊急理事会[maeve](2019/05/05 21:16)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[35536] §79 2001,11,15(Thu) 15:00(ユーコン標準時GMT-8) ユーコン基地滑走路
Name: maeve◆e33a0264 ID:341fe435 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/10/07 16:54
'15,03,06 update   ※口調に違和感が在ると思われますがご容赦
'15,10,07 誤字訂正    チェックしようにもWin8では止まる・・・orz


Side ユウヤ


 暮れ泥んだ空を滲ませた鈍色を背景に、赤と青の標識灯が徐々に大きくなってくる。
光線属種の警戒高度を避ける為に、東南から低空で接近。
網膜投影視界を望遠に振らなくても既に視認できるのは、HSSTが3機―――。

基地管制とのやり取りも、傍受している。
既に先頭の1機が誘導に従い、着陸体勢に入ったところだった。


戦術機用のカーゴを積んだ3機のHSSTは、“横浜”を現地時間11月16日早朝6時に離陸、そのまま地球を周回すること無く、2時間後にはユーコン基地に到着。
現地時間[]は11月15日午後3時、緯度の高いユーコン[]の地、もうすぐ太陽は地平線下に姿を隠し、南西の空だけが明るい、そんな薄暮の刻だった。


「CP、〈Argos-01〉、Go ahead」

『〈Argos-01〉、CP、Go ahead』

「All the area is clear、over」

『Roger、out』


重要なゲストを載せたHSSTの、滑走路へのアプローチ。
その空域を警護するのに、何故かアルゴス試験小隊が就くことが多々ある。

“ラプター・クラッシャーズ”というさして有難くもない呼び名は、しかし、最強と言われたF-22EMDをF-22以外で凌駕した唯一の小隊。
今4騎の展開する MSR[マルチスタティック・レーダー]は戦術機のステルスも看破する。

ま、基地司令とハイネマンのおっさんに体よくプロパガンダとして駆り出されている訳だが、今回についてはそればかりではない。

勿論、今現在該当空域は護衛隊以外立ち入り禁止で、更にこの時間は通常の模擬戦や実機訓練も制限された。
過去にトラブルが在ったせいだが、その当事者が居る小隊で、一方の当事者が乗るHSSTを護ると言うのも皮肉と言えば皮肉なのだが・・・。
当時は“紅の姉妹”も試験運用中、融合状態では特にイーニァの破壊衝動が強く出てしまったため、抑制が効かなかったんだとかあとでクリスカに聞いた。

勿論XFJに深く関与し、“横浜”に一番近しい部隊がアルゴス。
最優先待遇で招待された形のゲストに対するホスト&ホステスとして抜擢された仕事の一環でもあった。

アルゴスでは最近“御大[Great Colonel]”と呼ぶあの御子神大佐が進めるXFJの更なる特化を概念実証する部隊、A-00―――。
そう、あのHSSTには、XM3のトライアルに参加する“白銀の雷閃”ほか“新潟の奇跡”で名を上げたA-00部隊と共に、クリスカとイーニァが乗っているのだ。


神経系の治癒には、横浜で行っても当初1ヶ月程度は掛かるだろうと言われていた。
それでも数年から十数年と比べれば破格だったのに、“横浜”には魔物だけでなく癒しの女神でも居るらしい。
二人の問題だった神経系は既に完治し、実はリハビリがてら先日の新潟迎撃戦にも参加したと聞かされた。
極秘部隊故、名前は出ていなかったが〈Fenrir-01〉唯依のエレメントだった〈Fenrir-02〉が横浜での二人のコード、・・・つまりあの[●●] “Amazing5”の一角と言うことだ。
無論、ユーコン復帰に際し横浜仕様の機体は外に出せず、プロミネンス側でハイネマンが用意したのが、今オレが乗っている機体、XFJ-Phase3の3号機。

昨日届いたばかりの新品で、今日からアルゴス所属となるクリスカとイーニァの乗機となる。
“横浜”に提供されたXFJ-01のフレームに、ハイネマンのオッサンがボーニング社製パーツを組み込んだもので、昨日の内にハードチェックを終え、今回のフライトが最終機動チェックを兼ねている。
OSについては横浜から届いたフレームに、予め正規版XM3が搭載されていた。
普通、最終チェックは担当衛士が行うのだが、実はオレ自身の1号機は、イロイロあって今はドックで部品の換装中―――。
チェックついでの間借り、である。
勿論、俺の機体も明日には仕上がる予定だった。



もうすぐ逢える―――。

2週間もかからずに、二人が帰ってくるのは結構・・・いや正直言えば滅茶苦茶嬉しい。
今朝方部隊エリアを徘徊していたら、ステラにもVGにも苦笑された。
チョビだけは、苦手意識が在るらしく、微妙な表情だったが。
横浜で完治と共に、“力”も安定させた故の、新潟迎撃戦参加。
以前の様に、もしかしたら以前以上に強くなっていることも、それを求めた彼女たちには僥倖であろう。



そして今回については、二人が戻ってくることと、同じくらい愉しみにしていることもある。


覚醒した“紅の姉妹”、けれど新潟迎撃戦に於いてそれ以上に隔絶した動きを見せていた“白銀の雷閃[シルバーライトニング]”―――。
プラチナ・コードや、インペリアルガード戦から見ても、そのキレが違う。
機動が更に進化しているのが判る。
御大[Great Colonel]”がすぐ間近に居る。
彼の齎す機体の進化が、更に“白銀の雷閃[シルバーライトニング]”を遙かな高みに押し上げているのは明白。

トライアルという名の“教導”。
それはその“単騎世界最高戦力”とガチンコ出来る機会なのだ。
期するモノが無いかといえば、嘘になる。


前回、“御大[Great Colonel]”の帰国以降、俺達だって遊んでいたわけではない。
XM3というOSが齎した異次元の機動は、一朝一夕に極められるそんなに浅いものではなかった。
そして不知火・弐型[セカンド]、今はXFJ-Phase3である機体との融合は、正しく“御大[Great Colonel]”が言ったとおり、様々な可能性を示した。
プロミネンス計画にXFJを置く事には、情報陽動の意味があることは理解しているが、一方で進化に携われと言われたのもまた事実。
―――要するに、ヤッちゃいけないとは一言も無く、好きに任されたのだ。

結果。
連日オレやチョビはPhase3の機体を、それこそ限界の限界と言えるまでブン回した。
如何に燃費も優れたPhase3とて、最大戦闘機動では、1時間が限界。
それを1日6回から8回も繰り返した。
ハイネマンのオッサンにすら顔を合わせるたびに小言を言われるくらい、推進剤を消費した。
こんな開発は絶対日本では出来ないな、と思うが、使えるものなら何でも使う。

こんがり飴色に焼けた噴射跳躍器のバーナーノズルにヴィンセントから賛辞すら貰った。
曰く戦術機も衛士もそして機動も極限状態まで達しないと、不完全燃焼の瑕疵が一切無いこの色は出ないそうだ。

その積み重ねから見えた方向性を更に突き詰めて、先日その結果をハイネマンのオッサンに具申したのだ。
推進剤の異常消費もその内容で納得してくれたらしく、その後は小言が消えた。
俄然興味を示したオッサンが即応してくれた成果が、今1号機に施されている換装である。


―――今のオレで、そして、この新たな試みが“単騎世界最高戦力”と言われる白銀少佐に何処まで迫れるのか、それが楽しみでしょうがない。



ま、それは飽く迄個人的希望。
今回のトライアルが勿論それだけじゃないことも理解している。


プラチナ・コードが世界に公開されたのは先月の10月27日。
その驚異のシミュレーション結果に於いて使用されたのがXM3と言うOSだった。

ユーコンのプロミネンス計画で、その新概念OS・XM3が公開・供与されたのは僅か4日後の10月31日。
様々な思惑が絡み合った結果なのだろうが、“御大[Great Colonel]”は、そのOSを搭載した不知火・弐型 Phase3とACTVを用い、AH戦にて世界最強と言われたF-22EMDを完封、米軍の軍事ドクトリンすら覆した。

そして“新潟の奇跡”が現地時間で11月11日―――国際標準時では11月10日。


量産体制の整備が来年となるため、軍、或いは国単位の供与については、日本帝国内の事情もありようやく協議が開始されるといった段階であるらしいが、このプロミネンス参加部隊に関しては、先行優先供与とされている。
その為、11月初めの時点では、先のテロにて実質壊滅に追い込まれ、機材や人員の不足から撤退を検討していたアフリカ連合・大東亜連合・東欧州社会主義同盟・豪州軍第二からも代替小隊が順次派遣される事が決まり、欧州連合も残されたスレイブニル小隊の人員・機材補充とともに、新たな欧州第二となる実験小隊を送り込んできた。
但しその実質は、XM3LTEの受領と教導を一月程行い、人員・装備を入れ替えていくコトで、国家間供与に先行しXM3搭載機を拡充、検証する事を目論んでいたのは明白。
と言っても技術の演繹も標榜するプロミネンスとしてその事に何ら問題はない。


だが、“新潟の奇跡”は、国連や各国の軍部を激震させた。

あれだけ戦域の広がった迎撃戦に於いて、人的損害“0”と言うのは、それほどの意味を持つ。
ほんの一部突出した技量の持ち主が数名居たところで、達成できることではない。
無論、その一因に光線属種先行撃破という戦術が在ることは間違いないが、それでも取りこぼしは多いのだ。
損耗の激しい最前線国家の防衛戦である。
今回の新潟が“初陣”である衛士だって相当数、存在している。
謂わば、その全員が“死の8分間”をクリアしたというのは、正しく“奇跡”。

つまりはXM3の齎したのは、新兵までをも含む“全衛士の底上げ”―――。
既に使いものに成るかという“実戦証明[combat proof]”ではなく、使うことによって何が齎されるかという“効果検証[ verification of benefits ]”に於いて極めて高い利得を示したというコトにほかならない。


特に最前線国家や、それらを取りまとめる各国連基地が一刻も早い確認と供与を求めたのは、最早必然であった。


それを受けての、“白銀の雷閃”を迎えたXM3トライアル。


更には“新潟の奇跡”がXM3の力だけではないことも、既に公然の秘密。
世界中の最前線から、一線級の部隊が中隊規模で三々五々集まってきたのは、XM3というOSにも勿論興味があるが、それ以上に“白銀の雷閃”を擁する“横浜”が何を見せてくれるのか、―――そういうことだ。



そんな周囲の思惑を知ってか知らずか、3機のHSSTは、順次滑走路へと滑り降りて行った。


Sideout





Side イルフリーデ (Ilfriede von Feulner西ドイツ陸軍第44戦術機甲大隊第1中隊第3小隊長) 

 ユーコン基地 バンケットホール  18:00


若いなぁ―――。

初めて見た生“白銀の雷閃[シルバーライトニング]”、白銀少佐の第一印象は、それね。
過去の経験を思い出し、日本人は若く見えるからなぁとも思ったけど、聞けば来月で18に成るという若さ。
昨年の研修にてドーバーを訪れ、弟の様に接していた清十郎より背は高くて、流石に小学生には見えないけどね・・・17で少佐、―――か。

まあ、世界的に衛士の生存率を劇的に向上させ得るXM3の発案、あの異次元の機動を創始した“単騎世界最高戦力”であるコトを考慮すればおかしいことでは無いのだろうけど、それでも私より僅かとは言え年下とは想像すらしていなかった。
プラチナ・コード、インペリアルガードジェネラル戦、そして先日の新潟迎撃戦など、戦術機機動は目にしていても、その衛士としての姿を見るのは初めて。
少佐といえば憧れのアイヒベルガー様の様な精悍にして剛毅なイメージを抱いていただけにちょっと拍子抜け・・・。
むしろ歓迎式典[Welcome Ceremony]の舞台上での少し緊張した様子は、やはり清十郎を思い出させた。



その状況は、この歓迎会[Welcome Party]でも同じ。
始まる前、ハルトウィック大佐と話している様子や、同じXFJを駆るアルゴス試験小隊―――通称“ラプター・クラッシャーズ”と談笑しているのも見たけど、プライベートでは気さくで奢らず、寧ろ階級に拘らず目上に謙る様子。
それ自体は好ましくも思えたけど、逆に“単騎世界最高戦力”としての霊光は感じられない。
その彼が、グレートブリテン防衛戦の七英雄の一、"黒き狼王[ Schwarzerkönigswolf ]"と呼ばれしアイヒベルガー様よりも強いのだと思うと、ちょっと・・・と言うか、かなり複雑。
ルナも威厳が無いと少し失望していたけど、逆にヘルガはあれこそが“謙譲の美徳”であると力説していた。


今回のトライアル、最終的な参加人数は、衛士だけでもプロミネンス計画から10小隊、ゲストとして外部から14中隊の合計200名余りと聞いた。
各中隊のサポート人員を含む総勢では250名に達する規模。

歓迎式典で揃えられた200を超える多種多様の戦術機隊列は、まさに圧巻―――。
師団規模の戦術機が一堂に会するコトなど滅多にないだけに、戦術機狂いのルナが狂喜乱舞するのも仕方ないこととは思ったけど―――EF-2000[タイフーン]で踊るのは止めてよね。


そしてここは、ハルトウィック大佐が饗してくれた宴の会場。
基地司令の主催だけに、式典の後全ての隊は一度散会し、今は正装にて参加している。
件のA-00中隊も、メンテナンスサイトを完備した野外格納庫が割り当てられているはずだが、公式に場所は明示されていない。
新潟迎撃戦でお目見えしたXFJ-01横浜仕様も、整備中らしく先刻の歓迎式典には並んでいなかった。
機密上、整備場を完全隔離することが要請に応じる条件だったとも聞いた。

ホールの中は勿論国連のC型軍装が多いけど、それにも地域色が在ったり、または各国からの参加もそれなりの数が居るだけに多種多様。
こう言うのを見ると、プロミネンス計画の標榜する理念も満更じゃないと思うけど・・・、今回は何しろ米国の参加がないし、ね。
米国に関しては、大隊規模での参加が見込まれるため、月末に行われる横浜でのトライアルに参加するそうだ。
今回参加しているチームは殆どが最前線国家であるだけに、同じような境遇、相互理解と近親感が湧くのは必然かもしれない。


―――まあ、そんな細かいことはどうでもいいんだけど・・・。

要は、最前線国家が多いだけに、此処で用意された食事に気を取られている方も大勢いる。
気取らない立食形式とは言え、BETAに侵食されていない豊かな米国にある基地を象徴するような、自然食材に溢れた豪華な食事。

ハルトウィック大佐の歓迎の言葉に続いた乾杯に、会場は大いに沸いた。


2,3摘まんでみて、うん、確かに、美味しいけど・・・。
味音痴と言われるのは心外だけど、他の人が食事に気を取られ、動き出さない今がチャンス。
威厳が無かろうが、称号に疑問を感じていようが、今回の目玉、今後を考えれば友誼を結ぶに越したことのない相手。
先ずは基地司令と我が大隊長様と雑談しているから、流石に他の隊は近づかず、食事に専念している様子。
私も同じ隊といえど、上位の会話を遮るような無礼は出来ない。
ブラウアー中尉にはいつも“天然”と言われるけど、これでも貴族の端くれ、その位の気配りは出来るんですのよ?
オホホホ―――。


「―――お初にお目にかかるが、ご挨拶をさせていただいて、宜しいだろうか?」


そう思っていたら、いつの間にかハルトウィック大佐と大隊長との会話が途切れ、白銀少佐が場を離れていた。
そのタイミングで彼を確保してくれたのは、ヘルガ。

うーん、脇に居並ぶ天然素材のスイーツを横目に、断腸の思いだったのは想像に難くない。

―――その尊い犠牲、無駄にはしないわ!

すかさずルナと共にヘルガに並ぶ。



振り向いた少佐は既に何かを食していた様子。
咥えていた肉片を強引に飲み込んだ。
間を置かずに彼の両サイドには、外連無くC型軍装の尉官が付く。
その隙のない動きは、寧ろ彼女たちの方が只者ではないと感じさせるほど機敏な動きだった。


「―――食事中にご無礼を致しました。」


私が謝罪を入れるが、やっぱり清十郎を思わせる。
顔は・・・うん、悪くはないけど、アイヒベルガー様のような精悍さはあまり感じず、寧ろ唐突な接触に慌てた様子。
すかさず隣から差し出されたグラスの水を少し煽り、改めて向き直る少佐。


「―――失礼致しました。」

「―――私、国連軍大西洋方面第1軍・ドーバー基地所属・西独陸軍第44戦術機甲大隊、ツェルベルス大隊第1中隊第3小隊長大尉 イルフリーデ・フォイルナーと申します。
以後、お見知りおきを・・・。」

「国連太平洋方面第11軍A-0大隊長少佐であります、白銀武です。」

「・・・同じく同小隊に所属しています中尉、ヘルガローゼ・ファルケンマイヤーと申します。
先程の唐突なお声かけをご容赦ください。」

「あ、いえこちらこそ。」

「―――お会いできて光栄に存じます、同じく第1中隊第3小隊中尉、ルナテレジア・ヴィッツレーベンです。
よろしくお願い致しますね。
―――そちらのお二方は、同じ隊の方ですか?」

「は―――。
白銀と同じく、国連太平洋方面第11軍A-0大隊にて、A-00概念実証試験中隊に所属致します少尉、榊千鶴です。
ツェルベルス大隊と言えば、ドーバー地獄門[コンプレックス]の雄、先程ご挨拶申し上げた七英雄様の麾下とお見受けします。
ご高名は予予拝聴致しております。」

「・・・失礼を承知で付かぬ事をお聴きするが、榊――と言うのは、日本では多い苗字なのだろうか?
つい先日も“高天原”の推進総責任者の名で、耳にしたが・・・?」


日本通のヘルガが不思議そうに尋ねる。
これもつい先日公表されたギガフロート“高天原”は欧州でも各国政府が情報収集に躍起になっている人工の大地。
欧州各国も勿論国土奪還が悲願だけど、BETAに侵された大地はその本格的な復興までどれほどの時間がかかるのか、正直解らない。
日本政府は移民の受け入れや将来的な借款にも含みを持たせており、国土を喪った状態の大陸各国としては、垂涎の技術。
・・・悔しいけど北海にしか面していなかった我が西ドイツには、無かった技術ね。


「・・・榊是親は私の父です。」


ヘルガが息を呑む。
眼鏡の奥の清冽な瞳に、透徹した明確な意志を宿す。
・・・なるほど、日本国首相のご令嬢とも成れば立場上任官拒否も可能なはず。
それをおして、しかも損耗率の高い国連軍衛士に任官するには、相応の覚悟があることが伺える。


「・・・榊と同じく、A-00概念実証試験中隊に所属します少尉、鎧衣美琴と申します。
“メグスラシルの娘たち”と呼ばれる御三方にお会いできて光栄です。」

「は?―――“メグスラシルの娘たち”って、なんですか?」


続いて言われた挨拶に、私は殆ど素で反応してしまった。
でもヘルガもルナも同様な疑問符を頭上に浮かべていたから、構わないわよね?


「―――北欧神話の原典の1つ、“詩・エッダ”の“ヴァフスルーズニルの言葉”にある一節ですね。
曰く、

【メグスラシルの娘たちの血統の3つが村へ行った。
彼女たちは、世界中に幸運を運ぶ者である、しかし、彼女たちは巨人の中で成長する。】

・・・ツェルベルスで七英雄に鍛えられ、欧州を転戦するフォイルナー大尉の小隊が参加すると、負けがないことから、そう呼ばれていると聞きました。」

「 まあ! 」



―――このコ達、凄い。

今回のユーコン・トライアルは提供側の彼女たちに取っては、XM3のPRの場に過ぎないハズ。
即応が常のツェルベルスでさえ、完全にそのエリアを外れる今回のトライアルは、昼間の教導を除き、半ば休暇の意味も暗黙に含まれているのだ。
なのに、参加する隊の情報を、詳細に調べている・・・。
“メグスラシルの娘たち”等と呼ばれているなんて、私達自身が今初めて聞いた。
少なくとも私たちは、白銀少佐のパーソナリティはおろか、率いる中隊の構成員すら知らない。


ヤルわね―――情報戦では、後塵を拝したと言うコトね。


「もし、宜しければ先程中断させてしまいました食事をしながら新潟でのおはなしを聞かせていただいても宜しいでしょうか?」


ルナが尋ねたのは、少佐ではなく、敢えて榊少尉。
少尉は素早く周囲を見回し、最後に少佐を見てから了承してくれた。


その後、中断させてしまった軽い食事を取りながら詳しく聞けば、彼女たち4名はあの新潟戦にて“8騎駆け”を行った“Amazing5”の内の4騎を完璧にサポートしていた4騎。
しかも、実戦はそれが初陣だと言う新兵[ルーキー]とのこと。
主に説明は榊少尉が行ってくれる。
その間、鎧衣少尉はルナと一緒に居なくなっては、幾つかの皿を運んでくる。
鎧衣少尉が居ない時には、榊少尉が少佐の同意を得ながら話を進め、鎧衣少尉が戻ってくると、
少佐は次から次へと渡されるモノを食すという循環。
その所為で少佐はあまり口を挟まない、と言うか話す機会を与えられていないかの様子。

話自体は色気もなにも無いが、やはり彼女たちが参加した“新潟迎撃戦”になってしまうのはしかたない。
衛士としても、指揮官としても、現場に居た生の声は貴重よね。

榊少尉の語る内容は、基本レポートにあるものなのだけど、一部隊の一個人としての視線は、俯瞰的なレポートと異なり、やはり生々しい。
徹底されていた光線属種優先排除と、逐次誘導を駆使した面密度上昇に依るキルレート向上戦術―――。
私とヘルガは、つい聞き惚れていた。

ふと気づけば、ルナは鎧衣少尉と戦術機の装備について話し込んでいる。
更に視線を巡らせれば、白銀少佐はいつの間にか、別のグループに居た。


あれは・・・見知った顔ね。
たしか、ユーロファイタス国連派遣部隊“レインダンス中隊[レインダンサーズ]”のメンバー。
派遣部隊だけに、明確な基地所属をせず、英国から貸し出された2隻の改装空母を母体に、主に地中海を周回するEF-2000の先行検証機による教導部隊―――その実質は私達と同じ即応部隊。
イベリア半島周辺の作戦では、何度か共闘したことがある。

今話しているのは、その中隊長〈Raindance-01〉モニカ・ジアコーザ大尉以下、第2小隊長〈Raindance-02〉レイチェル・ナイトレイ中尉、第3小隊長〈Raindance-03〉ナディア・マンツェル中尉の3人。
“プリマ・ドンナ”と呼ばれる突撃前衛長を兼ねる中隊長は、ツェルベルスの第2中隊長をして、ブンダ~バ~ルゥ~と言わしめた程の女傑。

・・・本当に人類最前線のACE級が集まったんだなと、思わずに居られない。

但し、勿論その場にもやはり二人の〈Garm〉が少佐の両脇に張り付いていて、場のコントロールは彼女たちがしている様に見えた。
何せ、周囲には少佐に声を掛けたそうに見える、他のパーティ参加者がそれとなく屯しているのが判る。
甲斐甲斐しく少佐の食事を仕切りながら、上手く実力者との会話に終始し、他からのアプローチを巧みにさばいている・・・と言うことなのね。

視線を戻すと、榊少尉がクスリと笑った。


なるほど、見事な連携―――。

当初目標の白銀少佐よりも、このコたちが欲しい、と思ってしまったのは、仕方ないじゃない?
後でヘルガには呆れられたけど・・・。






今回ツェルベルスは、プロミネンス計画の司令官であるハルトウィック大佐から、直々のご指名を戴きこのトライアルに参加となった。
大隊長である、憧れのアイヒベルガー様がハルトウィック大佐の知己という伝手もあり、また先の大きな掃討戦を終え、次の作戦までの狭間に当たったことも幸いし、ここユーコンに訪れることが出来ている。
とは言え、地獄門・ドーバーを守護する最強の一角であるツェルベルス大隊を全て動かして基地を空けることは出来るわけもなく、第1中隊 Schwarz(黒)隊のみのが参加、第2、第3中隊はお留守番。
今は中佐となられ大隊指揮官として中隊編成からは外れた〈Zerberus-00〉アイヒベルガー様以下、13名が参加。
〈Zerberus-01〉ジークリンデ様が中隊長兼第小隊長、先般大尉となった私〈Zerberus-03〉イルフリーデ・フォイルナーが第3小隊を率いている。
因みにメンバーは、突撃前衛:〈Zerberus-05〉ヘルガローゼ・ファルケンマイヤー中尉、制圧支援:〈Zerberus-07〉ルナテレジア・ヴィッツレーベン 中尉、強襲掃討:〈Zerberus-08〉ヴォルフガング・ブラウアー中尉と、同格の中尉3名ばかりで構成された若干特殊な小隊。
今、口の悪いブラウアー中尉は、第2小隊のメンバーと飽食中の様子。

正規任官から既に1年半が過ぎ、出撃回数は先月で20回を超えた。
消耗の激しい最前線にてツェルベルスで在ってすら先任や同期、そして部下を喪うことも珍しくなく、昨年末の作戦で大きく損耗したSchwarz(黒)隊に再編成され今に至っている。
そして何故か私達第3小隊は出撃の半分近くが、小隊規模の出向先でのコト。
中尉ばかりの隊になっているのは、そのためなのよね。
出先の分隊指示を行うには、中尉以上であると遣り易いのは確かだし。
広い戦域をカバーせざるを得ないドーバー基地群でも、最強と言われるツェルベルスの名前を借り、士気を高めたい要望は各地多々在る様で、中隊単位では第3中隊、小隊規模では私達が担当する事が多い。
しかも、それでツェルベルスの名を落とすわけにはいかない。

今のところ出向いた先々での合同戦、その全てに勝利していることもあり、かなり早い昇進なのは自覚している。
勿論、地方とは言え公爵家という出自が多分に影響していることも理解しているし、それに応える覚悟も、まあ多分だけど、在る。
そうは言っても、死ぬときにはあっさり死ぬのがBETA戦だからね。

貴族であり騎士の家系、安全な後方に下がることなど良しとせず、常に最前線に立つ家系。
そんな私達に、“メグスラシルの娘たち”なる二つ名が付けられていることを知ったのも初めてだけど。




「・・・なんでアンタが居るのよ?」


そこに突然飛び込んできたのは、耳に馴染んだ感のあるツンツンボイス。


「―――まあ、御機嫌よう、ベル。
相変わらず可愛らしいわ!
貴女も来ていらしたのね。」

「―――ちッ! 久々の自然食材をたんまり堪能してたら、出遅れたわ。
ご一緒しているのは白銀少佐麾下、〈Garm〉隊の方とお見受けするわ。
イルフィ紹介して下さらない?」


状況を見回して、白銀少佐に絡むのは難しいと判断した模様。
見れば鎧衣少尉も苦笑していた。


「仕方がありませんわ。
・・・榊少尉、鎧衣少尉、ご紹介しますね。
―――此方の少々口の悪い御方は、国連欧州方面軍モン・サン=ミシェル要塞所属、仏陸軍第13戦術竜騎兵連隊、第131戦術機大隊ロレーヌ中隊長、ベルナデット・リヴィエール大尉、ですわ。」

「相変わらず一言余計だけど、紹介に預かったベルナデット・リヴィエール、よ。
階級は気にしないから、気軽にベルと呼んで下さらない?」


あ、ズルイ!
私達だってまだそこまで踏み込んで居ないのに・・・。
これだからラテン系はもう!


「国連太平洋方面第11軍A-0大隊、A-00概念実証試験中隊所属少尉、榊千鶴です。
お初にお目にかかります、ベル大尉。」

「公式の場以外、・・・と言うかここでも大尉はいらないわ。」

「・・・わかったわ。」


苦笑するも即応。
慣れた感が在るのは、何故?


「同じく、A-00概念実証試験中隊所属少尉、鎧衣美琴、です。
・・・薔薇の“前衛砲兵”がこんなに気さくな方だとは思わなかった。
宜しく、ベル。」


にっこり笑う鎧衣少尉に、親指を立てるベル。


「ええ―――、こちらこそ宜しく。
で、どうせツェルベルスの三つ首娘に早々捕まって、碌な物食べてないんでしょう?
取り分け美味だったモノを2,3種がめてきたから、一緒にどう?
・・・ま、紹介してもらったし、味音痴のイルフィは兎も角、ヘルガも構わないわよ?」


大きめの皿に載せられたスイーツの数々。
早々に無くなったのは、コイツががめた所為か!
先刻そこを盛大に後ろ髪引かれつつ横目に通り過ぎたヘルガ、コレまで止めたら・・・後で殺されるわね。






「・・・ご相伴、良い?」


天然素材スイーツを咥え、至福の涙にくれるヘルガを躱して、唐突に声を賭けてきた者が居た。


「―――え?、あ、ああ。
・・・貴様等も〈Garm〉、か―――。」

「A-00概念実証試験中隊所属少尉、彩峰慧。
―――宜しく・・・。」

「あ、同じくA-00概念実証試験中隊所属少尉、珠瀬壬姫です。
よろしくお願いします!」


いつの間にか白銀少佐に付いていた残りの2名が戻ってきた。
これもスイーツの効果なの?
・・・ヤルわね、ベル。
大食いだけ在る見事な手並み―――。


「仏陸軍第13戦術竜騎兵連隊、第131戦術機大隊ロレーヌ中隊長、ベルナデット・リヴィエール、よ。
ベルで良いわ。」

「ん、―――了解。
で、ベル、中隊指揮官は基地司令や白銀と別室に向かった。
ツェルベルスは良いけど、―――行かなくて良いの?」


見れば、白銀少佐とジアコーザ大尉の他、ハルトウィック大佐と共にアイヒベルガー様やジークリンデ様も別室に向かっている様子。
他にも中隊長レベルには伝令が走っている。
―――なるほど、それで白銀少佐のガード役が不要に成ったわけか。


「!、感謝するわ、彩峰少尉。」


ベルは彼女に大皿を押し付けると、そう言う。


「言いずらそう・・・慧でいい―――」

「わかった、“K”、この礼は後日、ね。
皆も失礼するわ―――。」


そう言って、小さな身体をいからせて、離れて行った。
・・・相変わらず慌ただしいわね。


「―――ところで、私達も“K”とお呼びして宜しいでしょうか?
私の事は、ルナとお呼び頂いて構いませんので・・・。」


ルナ、Dunke!
日本人の名前は、少し発音しづらくて、苦手なのよね。



その日決まった彼女たちの呼び方[TAC NAME]は、“Cz”、“K”、“Miky”、“Mikt”だった。


Sideout






Side まりも


私は、この基地でのホストであるアルゴス試験小隊と一緒にテーブルを囲んで、久々の自然食材と美味しいカリフォルニアワインに舌鼓を打っていた。
勿論、こんな席で“狂◯モード”になる事は自重。
最近彼方クンが体質改善と言う名の怪しい施術[遺伝子改善]で酒精耐性を上げてくれたから、多少のお酒なら大丈夫。
尤も根本は変わっていないらしいから、深酒するとダメらしいけど。


先刻までここで弟さんに絡んでいたモニカは、白銀クンに挨拶に行った。
彼女とは私が夕呼に乞われて特務部隊の教導隊に着任した直後くらいに、一度会ったことがある。
今回A-00に着任するまでは知らなかったが、ユーロファイタス国連派遣先行検証部隊“レインダンス中隊[レインダンサーズ]”は、第4計画とも繋がりがあったのだ。
その縁もあり、レインダンサーズには、彼方クンがユーコンに供給し始めたタイミングでXM3LTEと教導用のシステムが配備されている。
モニカはその中のAI・まりもちゃんが誰なのかすぐ判ったらしく、早速挨拶に来てくれた。
いきなり渡されたOSの理解・慣熟に、かなり助けられた、と。

ついでと言ってはなんだけど、ラブ・ハントに出ていた筈の、ヴァレリオ・ジアコーザ少尉も引っ張ってきた。
奇しくもアルゴス隊に属する彼は、モニカの実弟。
流石の彼も姉には弱いらしく、頭を抱えていた。



「大尉、白銀少佐は・・・大丈夫なんですか?」


アルゴス隊専属オペレータのフェーベ・テオドラキス伍長が訊いてくる。


「そうねェ、一人で放逐したら、何本かフラグ立てて来そうだけど、あのコ達が付いてるから大丈夫でしょ。」

「フラグ・・・ですか?」

「白銀クンや彼方クンがよく使うのよ。
ソフトウェアでサブルーチンに入るか入らないかの条件分岐なんですって。
つまりキッカケが無いとその先には進めないのよ。」

「なるほど、勉強になります!」


白銀クンは、あのコ達に任せている。
別に国際的に遺伝子ばらまいても良いんじゃない?って夕呼はケラケラ笑っていたけど、あまり心配していない。

あのコ達は明確に変わった。
実戦で死の8分を呆気無く超え、一部は初陣撃破数のレコードさえ打ち立てた。
そしてずっと望んでいた任官・・・。

でも、それだけでは無さそうだ。
既にあのコ達は、衛士に成ることが目的じゃない。
―――未来を見据えている。

悪い方向では無さそうだし、基本私は見ているしか無いんだけどね。



ここは日本を遠く離れたユーコンの地。

世界的に有名な単騎世界最高戦力、“白銀の雷閃[シルバーライトニング]”の国際的デビューと言っても良い。
技量は世界一でも素のパーソナリティはかなり甘々。
政治的な意味ではギリギリ不足無いけど、搦手には微妙?
微塵の隙もない御子神クンと違って若干の危惧はしていた。

若い少佐だけにハニトラでも引っ掛ければ有利に成ると考える勢力が存在するのは仕方のないこと。
今回の参加14中隊にも、明らかにそれを狙ったのでは?と思える色気過剰のチームも在る。

その辺はあのコ達も敏感で、他意の無さそうなツェルベルスやロレーヌ、レインダンスとは談笑しているのに、それを盾にしてその他は寄せ付けない。
そのツェルベルスやレインダンスに対しても、本人にはあまり話をさせていない。
鑑によれば、“無自覚フラグビルダー”である白銀クンに語らせてはいけないらしい。
新任と知れたらそれはそれで恨みの一つも買いそうだけど、そんな事で潰れる柔な覚悟ではない。

けど・・・いつの間にあんな技量[スキル]まで付けたのかしら・・・?




「神宮司大尉は、行かなくて宜しいのですか?」


穏やかな声はステラ・ブレーメル少尉。
彼方クンがアルゴス隊メンバーのパーソナリティを教えてくれたとき、唯一ファーストネームで呼んだ娘。
その気になれば手早いから墜としちゃったのかと思ったけど、そこまでは未だみたい。


「ありがとう。
でも大丈夫よ、内容は知っているから。
既に正規版XM3に換装されているアルゴス試験小隊には、関係ないし、ね。」

「・・・。」

「・・・帝国は軍のトップの一元化が成されたことから、XM3も正規版の配備計画が決まったの。
それに伴い、ソフトウェア版のXM3LITE国外供給の前倒しを検討している。
XM3LTEはUSBと言うハード込みだから、生産性が悪くて大量頒布には適さないから・・・。」

「!!、LITE版をもう頒布するんですかッ?」

「LTEを大量に作る時間が無いの。
知ってると思うけど、彼方クンは対人戦なんか歯牙にも掛けてない。
何処までも対BETA戦の為なのよ。」

「!・・・・」

「今回は、それに留まらず、今回のトライアル参加者に限り、6中隊・・・レインダンサーズは既に確定だから、残り5中隊分の“正規版”供与も行う・・・それが今、白銀クンが説明しに行った内容。」

「!!、正規版までッ!?」

「あら、もうとっくに貴女達に出しているもの、今更でしょ?
供給量の問題で、帝国の後、ってだけで、いずれ希望すれば工場出荷から付くように成るわ。
来年度以降のユーロファイタスはほぼ確定じゃないかしら・・・。」


アルゴスのみんなが押し黙る。
開発衛士や、そのサポートをしてきたメンバーだけに、軍事機密の取り扱いにはイヤと言うほど神経を使ってきたことだろう。
軍事戦略的には極めて有利な立場となれる有用性の高いシステムをこんなにもあっさりと頒布することなど普通の感覚ではない。


人類の勝利の為―――。

それは理想ではあるが、一方では綺麗事でもある。
この期に及んで互いの足を引っ張り合う人類の敵は、最終的には人類なのだから。


「でもね、彼方クンは、“漆黒の殲滅者[ダーク・アニヒレーター]”って言うんでしょ?
歯牙にも掛けてないけど、対策してないわけでもない―――。」

「え?」

「XM3LTEは、基本的にスタンドアロン―――。
つまり機動モデルも、最初からUSB内メモリに保存されたものをBASEに、自己進化していく。
データリンクには繋がらないし、セキュリティは強固で、個人認識までしているから、基本漏れる心配はない。
その代わりに、XM3全体のグローバル進化・・・機動モデルの追加や新しいコンボの入手には、アップデータに接続することによる、データ交換が必要となるわ。」

「・・・。」

「一方でXM3LITE版はソフトウェアインストールに依るXM3環境の実現。
但し、それこそ第1世代機の戦術機環境にまで合わせてあるため、モデルの保存エリアを、戦術機そのものに求めていない。
その為、データリンクを介して個人モデルの管理までしている。
何時もクラウド上にデータが在るから、機体の乗り換えにも対応できるし、グローバルな進化も勝手に済ませてくれる。
・・・その代わり、機密性は無いわ。」

「―――!!ッ LITEにすると言うことは、自軍の戦術機機動特性を全て握られる[●●●●●●]、と言うことですか!?」


返したのはドーゥル中尉。


「XM3は、知っての通り進化する[●●●●]OSなのよ、ね。
同じXM3を使う数多のデータ・・・メガデータを使って、最も適した機動モデルに集約していく。
勿論、細かい機体種別や、装備、状況、地域性、作戦内容に分類しながら、行う。
個々人のモデルは、そのグローバルモデルとの差分で表現されカスタマイズされるため、操作性が激変するような激しい変化はしないけど、個人のクセや指向に合わせたパーソナルモデルとして形成される。
最近では、難易度の高い高度なコンボを構築した場合、最初に実施した人の名前が冠されるそうよ。
昔の体操競技の高難易度技の様に。
それも全てのデータを管理しているから出来ることね。」


ある意味、これは踏み絵。

XM3の進化はそのまま戦術機機動の進化にも等しい。
それがBETAに対する最大の武器に成ることは間違いない。
個人モデルが残されることで、例えば極端な個性を有する場合でも、その個性を殺すような統合はしない。
常に更新され、何時でも享受できる環境に成る。

その一方で、集約されたデータは謂わば開発者には筒抜けに成るわけで、秘密主義・国粋主義者には受け入れられないかもしれない。

だが逆に言えば、それを忌避するのは後ろめたいモノを有していると公言しているようなものなのだ。


“人類”としてBETAに対峙するのか、“国家”としてBETAを横目に相克を繰り返すのか―――。

その選択を突き付けた、と言って良い。


「・・・流石“御大[Great Colonel]”、ヤッてくれるなぁ・・・。」

「―――あら、今までのOSだって個人の間接思考制御に於けるフィードバックモデルや機体の制御ログはデータリンクで管理されていたわ。
今までも共用・標準化され応用されてきた。
それ自体に機密って意識が在ったのかしらね。
使いたいところは、黙って持っていったでしょう。
明示されてその進化の恩恵を受けると思えば、今までよりどれだけマシなことか。
しかも基本管理できるのは開発者である彼方クンだけ・・・。
彼さえ敵に回さなければ、垂れ流しだった今までよりセキュリティレベルは格段に上がるわ。」


唖然とする面々。
私だって、彼方クンに言われて初めて気付いたのだ。
一応のセキュリティは存在していても、基本何処からでも繋げられるデータリンクのハッキングなど、その手の知識を持っていれば造作も無いことらしい。


「けど、そんなら正規版まで配布する必要なんか、無いじゃん?」

「機動上は、LTEがレベル4,LITEがレベル5、正規版がリミットレスって成っているけど、正規版が別格[●●]なのは、理解しているわよね?」


私は思わず微笑みながらジアコーザ少尉とマナンダル少尉を見つめて言う。


「・・・以前御子神大佐にお聞きしました。
解像度、サンプリング周波数、全く別物だと。」


応えたのはブレーメル少尉だったけど。


「そうね。
今までのOSは、1秒間24枚のフィルムムービー、時折ジャムしてつっかえるわ。
XM3LITEは秒間30枚のTV放送。
そして正規版は、軍用に転用され始めたHDTVを更に5倍位早くしたもの―――。
画像解像度は約7倍、1秒間に300枚。
―――けれど、確かに、人の目で見た場合の情報量は実質あまり変わらない。
それは人の感覚がそんなに細かくも速くもないからよね。
拡大したりスローにしたりして初めて細部に違いが在るのが判るのよ。

でも、その情報を“機械”が使うのなら、話は変わってくる。
人が認識できない時間に機械が感知し対応することでより肌理の細かい制御ができる。

・・・だから1秒間に10発以上発射される突撃砲の射撃管制までアビオニクスに取り込める。
その為の、ファームウェアのクロック周波数更新まで行うのが“正規版”。

―――XM3が、人の認知しているサンプリングの隙間を埋めてくれるのよ。」


彼方クンにとってLITEやLTEは飽く迄、今ある末端の戦術機まで使えるようにし、次の正規版に慣らす為のチュートリアル、暫定ダウングレード版に過ぎないのだ。


「・・・それを限定とは言え供与するのは、“飴”であり、“問い”。
XM3は、此処迄到達出来るという希望と、いずれ日本の帝国軍は全て正規版が装備される。
それで良いのか?、という問いかけ、かしらね。」


アルゴスのみんなが引いていた。
ひとり、ブレーメル少尉だけが可笑しそうに微笑む。


確かに歯牙にも掛けていない。
敵対したら、殲滅―――、だもんね。


まあ、今日のところはレインダンサーズ以外様子見よね。

明日、その差を歴然と示してくれるわ。

―――白銀クンがね♪


Sideout



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.032013893127441