"バトルオーバー九州!"(後)
九州中部戦線におけるBETA群早期撃滅を図り、前進を開始した日本国・日本帝国両軍はともすれば攻勢を頓挫しかけた。戦闘に最適化された兵員から充足する普通科連隊を有する陸上自衛軍普通科連隊はともかくとして、帝国陸軍の主力を為す歩兵連隊には、機械化歩兵装甲をもたずトラックのような非装甲車輌を足とするだけの自動車化歩兵から成る部隊もある。そうした部隊は当初より被害が続出し、10m前進するだけでも一苦労という状態に陥っていた。
先鋒を任された5121小隊や戦線各所で斬り込み役となった戦術機甲部隊は、快調に敵群を破ることに成功していたが、結局のところ主力戦車や支援装甲車輌から成る機甲部隊や歩兵連隊がついて来ることが出来なければ、敵中で孤立することを避ける為にも彼らはいずれ退却しなければならないことになる。
戦線押し上げとBETA群の覆滅が成るか否かは、スーパーエースたる5121小隊や人類の剣、陸戦の花形ともてはやされる戦術機甲部隊ではなく、その他大勢に括られる歩兵達に掛かっていた。
『こちらCP、足を止めるな。貴隊が2230までにあと100m前進しなければ、"アロー"が孤立することになる』
『ふざけるな、無理だ! もうこっちは対戦車火器がほとんどない! それとD-4に要塞級、いいか! フ・ォ・ー・ト級だ! そいつが邪魔で前進出来ない!』
『こちら"ニンジャ"、グリッドC-5に要撃級の群れが直撃した! どこの歩兵部隊か分からんが蹂躙されている……増援を出してやってくれ!』
帝国陸軍歩兵連隊にとって悪夢であったのは、要塞級と要撃級の群れであった。突撃級がいないだけマシだったかもしれないが(突進力に優れる突撃級は早々に防衛線の火網に絡み取られて全滅した)、貧弱な火力しかもたない歩兵部隊にとっては要撃級の突破力も厄介であったし、要塞級の堅固な外殻も歩兵が携行する対戦車榴弾や対戦車ミサイルで撃破するのにも厳しいものがある。
C-5と便宜上呼称される区域まで前進していた歩兵連隊がいい例となる。
前面に立ち塞がる小型種を擲弾銃と軽機関銃の乱打で排除した彼らは、当初調子よく前進していたが、それも要撃級の群れにぶちあたるまでの話であった。先頭の数体を84mm無反動砲や使い捨ての対戦車兵器パンツァーファウスト3等で撃退したところで、前衛の一個中隊が要撃級の群れに飲み込まれてしまい、その後も敵味方が混濁する中で有効な反撃が出来ず、手酷くやられてしまっていた。
「そっちは生きてるか!」
「駄目だ! うちの班は、俺ともうひとりしか残ってねえ!」
「くそっ、対戦車火器を集めろ!」
頭部や胴体を対戦車榴弾で撃ち抜かれ、力なく横たわる要撃級の死骸と死骸の合間に歩兵達は銃架を据え付け、死体漁り屋(スカベンジャー)さながら集ってくる小型種に鉛弾を撃ちかけ続ける。その後背では数人の兵士が本来の持ち主を失った弾薬や手榴弾、対戦車火器を掻き集めていた。兵士級と闘士級の群れは脅威と言えば脅威だが、それよりも大型種の方が遥かに厄介な相手であった。
「ちっ、要塞級なおも前進中!」
D-4と呼ばれる区域を目の前にして進撃を止めたのは、学兵部隊と帝国陸軍将兵から成る大隊規模の混成部隊であった。学兵部隊の白兵能力と帝国陸軍将兵の集中射撃によって、こちらは大型種をも退けながら前進を続けることが出来ていたが、遂に大きな障害にぶちあたった。
全高66m、学兵の感覚からしても超ド級と形容しても差し支えない怪物、要塞級がD-4区域に居座っていたのである。要塞級の武器はその巨体と50mは伸長する衝角であり、接近さえしなければ損害を受けることはない。だがしかしその分厚い装甲は生半可な火器では到底貫徹し得ず、主力戦車や戦術機が運用する120mm戦車砲ならばともかく、結局のところ歩兵の携行する対戦車火器では、接近して零距離から攻撃する他にこれを撃破する方策はなかった。
「なにか案はあるか!?」
最前線を支える帝国陸軍の分隊長が、学兵にアイディアを求めた。彼も自ら自動小銃を手に取り、バースト射撃で要塞級前面にわだかまる兵士級と闘士級を狙撃する。要塞級の衝角による迎撃もそうだが、小型種がまだ多数要塞級の周囲をうろついているのも、接近を難しくしているひとつの要因であった。
一方で先頭を往く学兵を指揮する学兵側の分隊長は、6kgもの重量を誇る96式手榴弾を数個連ねた手製の即席対戦車武器を幾つか作っていた。密着させて使えば要塞級の脚くらいならば吹き飛ばせるかもしれない、そんな考えの下に作られたものだが、小型種も多く存在しており悠長にやっている時間はとれそうもなく、どうも出番はなさそうだ。
「ないですね。馬鹿正直に多方位から接近して運良く生き残った奴が、あのくそったれに一撃食らわせる感じでいきましょうか?」
既に数人の学兵と帝国兵は使い捨ての対戦車ロケット、パンツァーファウスト3を抱えて待機している。全員で一斉に躍り掛かりさえすれば確かに衝角の迎撃は受けるだろうが、2、3人の犠牲で要塞級を撃破出来るかもしれなかった。古来より歩兵が要塞を攻略する際には犠牲を省みぬ肉薄攻撃が必要とされてきたものであり、それが今日も繰り返されようとしていた。
要撃級を主とする大型種の突撃破砕に足をとられ、立ち塞がる要塞級に一歩の前進もままならなくなる――これはいまや九州中部戦線のあらゆる場所で見ることが出来る光景であった。支援砲撃を実施する特科・砲兵科も舞い込むオーダーに対応しきれず、また大火力を誇る重ウォードレス"可憐"や自走式電磁投射砲といった装備は、前線でそう多くは運用されていない。
歩兵達は正真正銘、自身の勇気だけでこれを退けなければならなかった。
『ドラム缶野郎、何退がってきてやがんだ!』
『馬鹿か! もう俺たちしか残ってねえんだよ!』
『てめえらが邪魔で……くそっ!』
また戦場の一角が、要撃級の群れに飲み込まれた。
津波の如く押し寄せる厚いBETAの陣容を前にして、先を往く機械化装甲歩兵達は無秩序に後退。彼らにとって最悪であったのはその機械化歩兵装甲の誇る巨体によって、後方から火力支援にあたっていた学兵達の射線が遮られたことであった。学兵達は保持する40mm高射機関砲は迎撃に使用出来ないままに、無慈悲にも機械化装甲歩兵達を弾き飛ばした要撃級の群れに蹂躙されることとなった。
『っ……ああ゛っ!』
「駄目だッ! 退くな!」
前線において学兵達を取り纏める下士官が周囲を叱咤激励する。
自身も40mm高射機関砲を躊躇なく投げ捨て、超硬度カトラス片手に要撃級と白兵戦を演じていた。だが周囲では押し寄せる要撃級の勢いに呑まれたまま勝手に後退をはじめる学兵が現れ始め、ごくごく僅かなものだけが踏み止まってそこで戦おうとしている。上半身を逸らして要撃級の前腕を避わした下士官は、それに気づいて舌打ちした。
ここで組織的抵抗を止めて散を乱して逃げ出せばもうここは破られる。そしてここが破られれば、両隣の戦区も崩壊する。
要撃級の頭部を蹴り込みながら、どうしたものかと思案に暮れた下士官はじきに部下達の中からあがる声を聞いた。
「その心は闇を払う銀の剣!」
次の瞬間、言葉を紡いだ学兵と要撃級が激突した。前腕の動きを見切ることに失敗した学兵は、強烈な横殴りを喰らった上で物言わぬ肉塊となって空中へと吹き飛ばされる。ウォードレスの装甲板と人工筋肉が四散し、生体部品に用いられている白い血と、第6世代クローンの全身を駆け巡る赤い血が路面を汚す。
だが彼の紡いだ言葉を、すぐに隣の学兵が継いだ。
「絶望と悲しみの海から生まれ出て」
それは、死の歌だった。
高らかに歌い上げた瞬間にその学兵は無残にも要撃級の前腕で撲殺され、優速かつ巨大な体躯に吹き飛ばされて肉片ひとつ残らず吹き飛ばされた。それでも歌は続いた。無線通信を介して伝播する歌声は戦区の別を超え、いつしか戦線の至るところで歩兵達の耳に入った。
「戦友達のつくった血の池で」
歌い手達は、要塞級に撲殺され、
「涙で編んだ鎖をひき」
要撃級に轢殺され、
「悲しみで鍛えられた軍刀を振るう」
戦車級に食い殺される。
だがそれでも歌は止まなかった。
「どこかのだれかの未来のために!」
押し寄せるBETAを目前にして、終始押されっぱなしであった機械化装甲歩兵達が足を止め、無駄とわかっていながらも12,7mm機関銃弾と数少ない対戦車榴弾を撃ちかけて敵勢の漸減を試みる。そこにウォードレス兵達が肩を並べ、機械化装甲歩兵の手に負えない大型種に対して40mm高射機関砲弾と凶悪なまでの格闘能力をぶつけはじめた。
戦線全域で生を求めての後退と停滞が消える。
「ちくしょう……誰だマーチを歌い始めたのは!? ひきょうだ……ひきょうだぞ!」
「立てッ、もうやるしかねえんだ! いいか敵陣をぶち抜いて、蹂躙してやろう……じゃあなきゃ駄目だ! どこかで勝てなきゃもう駄目なんだよ! いま勝てなきゃ、もうずるずると俺たちは逃げ続けちまうことになるんだ!」
そして前線が爆発的に押し上げられた。
歩兵達の行く手に待つのは死。だが戦友の屍を乗り越え、その死を更なる死で上書きしながら人類軍の決死的な突撃は敢行された。
「よし突撃しろ! わかってるだろ? この戦い最後に男と女がひとりずつ残ってりゃ俺らの勝利だ、ってやつだ!」
「くっそ……子に明日を! 人に愛を取り戻そう! われらはそう――!」
――戦うために生まれてきた。
「全力突撃(ガンパレード)!」
「聞いたか、突撃行軍歌だ! 全軍突撃(ガンパレード)! どこかのだれかの未来の為に! 戦って死ね!」
「全員抜刀(オールハンデッド)、全力突撃(ガンパレード)!」
絶叫。
前方にそびえる要塞級に言霊を叩きつけた歩兵達は、無謀とも思える吶喊を開始した。それまで身を隠していたBETAの死骸や廃墟から対戦車火器を抱えて躍り出た歩兵に、すぐさまその衝角は襲い掛かり、機械化装甲歩兵もウォードレス兵も生身の歩兵も大差なく吹き飛ばされ、先端より滲出する溶解液によって瞬間的に蒸発させられてしまう。
それでも彼らは足を止めなかった。全世界に宣言するかのように叫んだ歌の手前、もはや後退はあり得ない。要塞級の周囲を固める小型種の群れが、ばら撒かれた96式手榴弾によって跡形もなく吹き飛ばされ、衝角による迎撃を掻い潜った機械化装甲歩兵がようやく要塞級の懐へと飛び込むことに成功した。
「それは子供の頃に聞いた話、誰もが笑うおとぎ話」
「でもわたしは笑わない、わたしは信じられる」
機械化装甲歩兵の携行する対戦車榴弾が、要塞級の尾部や胸部を直撃する。数発の対戦車榴弾から成る第一波は僅かに要塞級を身動ぎさせたに過ぎなかったが、合流したウォードレス兵も加わっての第二波は、要塞級の胸部をようやく穿った。至近距離から放たれた対戦車榴弾は要塞級の堅牢な外殻をぶち抜き、更に数少ない2、3の対戦車ミサイルが要塞級の最も脆弱な箇所――脚部や尾部の接合部位に激突する。
「あなたの横顔を見ているから」
66mのあまりにも高い壁が、歩兵の力のみで崩れた。脚部、尾部が胴体から脱落し、地鳴りと共に要塞級が前のめりに突っ伏する。神々の援軍も超兵器の掩護もないただただ人間の底力が、生ける要塞を粉砕した瞬間であった。周囲に未だ生き残っていた兵士級が脱落した要塞級の脚や外殻に押し潰され、侵略者に相応しい無残な姿を晒す。
「いけいけいけいけッ! 全力突撃(ガンパレード)!」
『こちらHQ、ひとたび前進を停止せよ……』
「はるかなる未来への階段をかけあがる」
九州中部戦線全域で突撃行軍歌が、悪態交じりに歓喜交じりに、絶叫と共に歌われた。突撃行軍歌に慣れ親しんでいる学兵は勿論、歌詞を知らないはずの帝国軍人すらもがそれを歌った。そうして全前線部隊による無秩序かつ出鱈目な突撃が開始され、BETA大戦史上であり得ない事態が発生する。
「弾がない? ――全員着剣、抜刀しろ! 俺に続け、突撃しろ!」
「あなたの瞳をしっている――ちくしょおおおおお!」
機械化歩兵装甲もウォードレスも身に着けていない、生身の歩兵達による銃剣突撃。その行く手には兵士級と闘士級の群れがある――彼らは格闘を以てそれを殲滅せんとする。非力な人類が取るべきではない無謀な戦術、それにBETA達は機械的に対処した。
闘士級の鼻が次々と歩兵達の頭を捥ぎ、四肢をむしり取る。膂力と俊敏性では闘士級にはかなわない歩兵達だが、それでも闘士級が動きを止める一瞬にその白刃を喰らわせた。隣の戦友が殺される瞬間――その鼻を以て、隣の戦友を殺す瞬間だけ闘士級は動きを止める。その戦友が生命と引き換えにつくった僅かな時間に、彼らは闘士級に斬撃と刺突を喰らわせるのだ。
「いまならわたしはしんじぃ……あ゛っ」
「っ――あなたのつくる未来がみえる!」
闘士級を1:3(闘士級:歩兵)のキルレシオで退けた歩兵中隊は、そのまま兵士級の群れに突っ込んだ。炸裂するM26手榴弾、閃く白刃が兵士級に襲い掛かり、兵士級はその両腕を以て命知らずの歩兵達を迎え撃った。その腕に捕らえられた歩兵は為す術もなくその身体を砕かれるか捕食されるが、そうして兵士級が非力な人間を解体する間に、新手が続々と殺到する。
「うおおおおお!」
前を疾走していた戦友の解体に勤しむ兵士級に、新手の歩兵達が群がり着剣した89式小銃を以てその全身をめった刺しにする。兵士級の死骸と戦友のそれが一緒くたになった肉塊を乗り越え乗り越え、歩兵達はどこまでもBETA群に肉薄する本来ならばBETAの専売特許であるはずの被害を度外視した突撃戦は、今日だけ人類の得意戦術となっていた。
「あなたの差し出す手をとって」
「わたしも一緒に駆けあがろう」
歩兵が、戦車が、戦術機が等しく肩を並べて吶喊する。残弾が確認されることなく吐き出される大小口径弾が、小型種大型種の別なくBETAをなぎ倒す。弾薬がなくなればあとは
あらゆるものを武器として突撃を継続した。すなわちそれは銃剣であり、銃身であり、刀剣であり、四肢であり、履帯だった。これは世界の最終防衛機構たる"絢爛舞踏"や、人類決戦存在たる"HERO"によく似た戦い方であった。如何なるものをも武器に転用し、ひたすらに敵を殺し続けるやり方だ。
「幾千万のわたしとあなたであの運命に打ち勝とう!」
「ガンパレードマーチ! ガンパレードマーチ!」
74式戦車が路上に打ち捨てられた乗用車を踏み潰しながら、時速60kmで猛進し小型種の群れに突っ込んでいく。兵士級を正面装甲で弾き飛ばし、履帯で踏み潰す。前面に立ち塞がった戦車級をも弾き飛ばした鋼鉄の獣は、砲塔上面に取り付けられたリモート式重機関銃を乱射しながら更に前進していく。
なんとか追い縋り74式戦車に引っ付くことに成功した戦車級も現れたが、彼らはすぐに鉄片と爆風のダブルパンチを下腹に喰らって吹っ飛んだ。74式戦車全周に取り付けられた爆発反応装甲が起動し、自身を小爆発させることで密着した戦車級を駆除してみせたのだ。
更にその後を96式装輪装甲車や73式装甲車が続き、装甲車上面にしがみついていたウォードレス兵達が飛び降りて追い縋る小型種や近づいてくる要撃級に逆襲を掛ける。
最先頭を往く5121小隊と戦術機甲部隊の前進速度は、いよいよ神速の域にまで達しようとしていた。既に多くの弾倉から砲弾は消えていたが、それはあまり関係がなかった。突撃行軍歌が無線通信一杯に入り込む戦場では、弾切れはごく当たり前であり接近戦は是とすべき戦術であった。
士魂号が超硬度大太刀を手に、不知火が近接戦闘長刀を手に吶喊する。
『闇をはらう黄金の翼をもつ少女』
『それはこどものころに信じた夢』
胸部・腹部装甲の至るところが抉られ、凹まされ、満身創痍といった様相を呈しながらも5121小隊1番機の士魂号重装甲仕様は要撃級を刀の錆にしながら突き進んでいく。突撃行軍歌ガンパレードマーチが歌われるこの戦場で、退くようなことがあればその時は芝村さんに笑われるでしょうね――などとそんなことを壬生屋は考えていた。
『誰もが笑う夢の話』
そして聞き覚えのある声が、壬生屋の耳に入り込んだ。
次の瞬間には壬生屋機に横合いから急接近した要撃級が、比喩でもなんでもなく八つ裂きになる。壬生屋のそれにも比肩する疾風怒濤の斬撃の主は、士魂号重装甲西洋型――絢爛舞踏であった。既に単機で1000のBETAを屠殺した彼は不敵に笑いながら、自機を士魂号重装甲仕様の脇に寄せた。
『よお、元気そうだな』
「……どこいってたんですか」
対する壬生屋もすこし頬を緩ませながら、大太刀を構え直す。
ふたりはそう言葉をかわさないままに、戦場を吹き抜ける風となった。日本大鎧を纏った人型戦車と西洋甲冑を纏った人型戦車が並び立ち、剣先は音速にも届こうかという速度で振るわれる大太刀と剣鈴が目前に迫るBETAどもを物言わぬ肉塊へと変えていく。
『でも私は笑わない、私は信じられる』
『あなたの言葉おぼえているから』
そして全ての前線部隊は、5121小隊に追いつかんとただひたすらに突撃を敢行していく。彼らは「全員抜刀、全軍突撃」を合言葉に遂に一歩も退かなかった。その代償は大きかったが、その戦果も大きかった。日付が変わり7月10日0100時には、九州中部戦線からBETAの姿は消えていた。
人類がBETAに勝利する――それがいつの間にかおとぎ話になりつつあったこの絶望的な世界で、この一瞬だけ九州中部戦線の将兵だけはおとぎ話を現実にすべく、突撃行軍歌を歌った。どこかのだれかの未来の為に、地に希望を天に夢を、子に明日を人に愛を取り戻す。この時代、彼らはまさにその為だけに生まれてきた。それを思い起こした彼らは自身の生命を擲って、勝利を拾った。
そうよ未来はいつだって
このマーチとともにある
ガンパレードマーチ……ガンパレードマーチ
【九州編】完、【京都編】に続く
【京都編】は「明らかにあり得ない設定」、つまりチラシの裏でしか出来ない展開になると思います
突撃行軍歌ガンパレードマーチは絶技であるとも言われており、これを歌うと異世界と繋がるゲートが開かれ、新たな可能性や世界外の法則が降りてくるという話もあった……気がします。実際に原作中ではステータスが上昇後、戦域から撤退不可能になりますから、戦意高揚の一言では片付けられない、何か常識外の力が働くのは間違いなさそうです。
幻獣共生派には【京都編】で活躍してもらいます。【九州編】内で5121小隊、あるいは戦術機甲部隊にぶつけようとも思いましたが、完全に登場させるタイミングを失いました。
それとセプテントリオンの試作兵器(RB)、"8本腕の怪物"はウェブ上で行われたTRPG(一応公式)に登場した機体です。端的に言えば士翼号(の特別改修機"希望号"、更に性能三割増の"改")の100倍の性能を誇るそうですが、ぶっちゃけ詳細はわかりません。大口径スペシウムレーザーバズーカを有する希望号や宇宙空間で敵艦の撃破を目的として水爆を運用する"人形"の100倍(もしかすると200倍)の火力を持っているってどういうことなんですかねえ……。そんな超科学を誇るセプテントリオンにとってもG弾やBETA由来素材は非常に魅力的な代物です。(副次的効果とはいえ)時空間をねじ曲げたり、重力を偏向させる超兵器を未だセプテントリオンも実用化出来ていないからです。
以降は開発話なんかを入れたいのですが、開発・外交・戦略は輪をかけてお粗末な話になりそうです……