Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION第44話 白銀 武の受難高天原襲撃事件の翌日、武は陽も昇らぬうちに帝都を出発し、横浜へと戻ってきていた。今回の事件の詳細は未だ判明していないが、現在帝都では撃墜した敵機の回収ならびに調査が行われており、詳細が分かり次第こちらにも連絡をもらえる手筈となっている。一つだけ解っている事は、高天原に展開していた部隊の全滅が確認されたとほぼ同時に、帝都周辺に展開していた敵も撤退したという事だけだ。本来ならば撤退する敵部隊を追いかけ、相手の所在を確認すべきなのは言うまでも無い。だが、守備隊の消耗は予想以上に激しく、敵の意図が不明である点も考慮して追撃は行われなかったらしい。しかし、どう考えてもこれはおかしいだろう―――何故ならば、守備隊に追撃を行うだけの余力が無いとしても、他に待機中の部隊を宛がえばそれで事は足りるからだ。日本の首都である帝都が、謎の部隊によって襲撃を受けた・・・・・・という事は、今後またこの様な事態が発生する可能性が高いという事になる。すなわち、日本はBETA以外の敵対勢力からも狙われているという事になるのだ。使われていた機体から米国やソ連の仕業ではないか・・・・・・などという声も上がっていたが、流石に両国ともそこまで愚かな事はしないだろう。中には『横浜の牝狐の仕業に違いない』『今回の一件は、帝国側に恩を売る為の自作自演』『良いタイミングで逸早く援軍に駆けつけたのが証拠ではないか』などと言い出す人物まで現れる始末になっていた。「(確かに高天原の存在を知っていたり、あのタイミングで援軍を送ってきたりすれば先生が疑われてしまうのも解る・・・・・・でも、あの先生がそんな面倒な事をする人か?あの施設を手に入れたいだけなら、別にこんな事しなくても力尽くでモノにするのが先生だもんなぁ・・・・・・)」昨日の夜からこの様な事ばかりが頭を過ぎってしまう。しかし、それに関しては政威大将軍である悠陽がハッキリと否定する事でそれ以上の詮索は行われなかった。武と同じ考えを持っているのは悠陽だけではない。キョウスケもまた彼らと同じ考えだった。ただし彼の場合は、違った視点から物事を捉えていたことが理由だったのだが―――「本来なら真っ先に副司令の元へ報告に行くべきなんだろうが、こんな朝早くから出向いてはまた何か言われるだろうな・・・・・・」既に昨日の内に大まかな報告は行ってはいるが、詳細に関しては自分達の口から伝える手筈になっている。かといって、この様な早朝から押しかけてしまえば、また要らぬ事をブツブツと言われてしまうのがオチだろうというのが彼らの考えだ。彼女に対しての接し方は、なるべく下手に出るように行った方が無難・・・・・・というのが最早セオリーと言ってもいいだろう。「そうですね・・・・・・俺は訓練部隊に搬入される機体を見に行くつもりなんですが、大尉はどうします?」「先に朝食を済ませる事にする。頃合を見計らって副司令に今回の件の報告に行くつもりだ」「分かりました。それじゃ、また後で」「ああ、またな」簡単な挨拶を済ませ、その場を後にするキョウスケ。そして彼らに遅れること約半時間、ようやく朝日が顔を出し始めた頃だろうか・・・・・・数台の大型車両が横浜基地へと到着し、格納庫が徐々に慌しくなり始める。「さてと、冥夜達も格納庫に来てる頃合だろうし、俺も行くとするか・・・・・・」恐らく自分達の機体が今日搬入されてくる事は、彼女達も聞かされている筈だ。今までの世界でも彼女達は、まるで新しい玩具を与えられた子供の様にその状況を楽しんでいた。玩具などと言っては大仰な代物だが、あのはしゃぎ具合を見る限りはそう取られても仕方が無いだろう。その中でもアラド辺りが特に騒いでいる様子が目に浮かぶ。「俺も昔はそうだったんだしな・・・・・・あんまり人の事は言えないか」苦笑いを浮かべその様な事を考えながら武は、ゆったりとした足取りで格納庫へと向かうのだった―――・・・207衛士訓練部隊用ハンガー・・・「見て見て!もう搬入されて来てるよ!!」「あれが私達の・・・97式・・・吹雪!」格納庫へと搬入された吹雪が次々とハンガーに固定されて行く。さながらその風景は、戦術機の見本市とでも言った所だろうか?「お、なんか吹雪じゃねえ機体も在るぜ?」「そうだな、何処となく吹雪に似ているけど・・・新型か?」搬入されてきた自分達の機体である吹雪に混じり、明らかに異彩を放つカラーリングで塗装された3機の戦術機―――それらは国連軍の所属である事を示す独自のカラーリングであるUNブルーではない。まるで燃え盛る炎の様な色彩を描くそれらの機体は、訓練兵達の注目を集めるにはうってつけの物といったところだろうか。『それは烈火って言う機体だ。正式名称98式戦術歩行戦闘機・烈火・・・吹雪に似てるのは兄弟機だからだよ』ふと、自分達の背後から聞こえて来る覚えのある声―――「あ!タケルさん!!」「皆揃ってるな・・・・・・これが今日からお前達の機体になる戦術機だ。壊すなとは言わないが、大事に扱ってくれよ?」「タケルさん!あの烈火ってのも俺達の機体なんですか?」他とは少し違う機体である烈火に対し、興味津々と言った表情で武に問いかけるアラド。やはり想像通り、彼が一番はしゃいでいる様だ。「本来なら全員吹雪に乗ってもらう予定だったんだけどな。搬入を急がせた結果、予定数の吹雪を用意できなかったからってこいつを回してもらう事になったんだよ」「それにしては1機多いみたいだけど、予備機か何かなのか?」「いや、1機は教導用の機体で、俺か神宮司軍曹が乗る予定だ」「―――という事は、残る2機は俺達の誰かが乗るって事か・・・・・・タケルさん!俺、あの烈火って機体に乗ってみてぇ!!」目を輝かせながら主張するアラド。やはりこういった所は、まだまだ子供と言わざるを得ない点だ。「何言ってるのよアラド……乗ってみたいからって理由だけで搭乗許可が貰える訳無いでしょ?」「ゼオラさんの言うとおりだと思います。恐らくは、私達の適性値の結果によって宛がわれる機体が選別される筈です」いつもどおり呆れた口調で答えるゼオラに対し、霞はやや落ち着きながら自らの予想を語る。彼女らの言う事は正論かもしれないが、それをすんなりと受け入れる事が出来るアラドでは無い。「そんなの言ってみなきゃ分かんねぇじゃないかよ・・・・・・なあタケルさん、この通り!俺に烈火を使わせて下さいッス!!」顔の前で手を合わせ、切願するアラド。確かに彼の願いを聞き入れてやりたい所だが、流石にそうも行かない。どうしたものかと考えていた矢先、非常に良いタイミングで一人の女性士官が入室してくる。「敬礼!」分隊長である千鶴が号令を掛け、その場に居た全員が彼女に向けて敬礼を行うのを確認すると、その人物は徐に口を開く。「まったく・・・・・・しょうがないなお前達は・・・朝食はちゃんと取ったのか?」「神宮司教官、お願いがあります!」何時にない真面目な表情で彼女に訴えかけるアラド。流石のまりもも、普段とは違う彼の表情を見て驚いているのが良く分かる。「どうしたバランガ?」「本日搬入された烈火を自分に使わせて頂きたいのです」「・・・・・・残念だがそれは無理だ」「ど、どうしてですか!?」いきなり真っ向から否定されてしまうアラド。堪らずその理由を尋ねてみるが、返って来た答えは至極簡単な物であった。「気持ちは解るが焦るな。搬入されたばかりで機体の整備が終わっていない上に、シミュレーターの準備も整っていない。それに私もこの機体が搬入される事を聞かされたのは、昨日夜遅くだったのでな……正直、誰をあてがうか検討中といったところだ」「それにな、アラド・・・・・・お前達はまだシミュレーター教習も終わって無いだろ?俺は一応、全員の適性結果を見たうえで決める方が良いだろうと考えているんだ・・・・・・神宮司軍曹もそれで異論はありませんか?」会話のタイミングが途切れた隙を見計らって補足を加える武。そんな彼に対し、『大尉のお考えならば、私はそれに従うまでです』とまりもが答えたため、その場に居た者は納得せざるを得ない状況となっていたのは言うまでも無い。本来ならば武は訓練教官補佐といった立場だ。まりもに全ての決定権がある訳ではないが、武にあるという訳でもない。彼女が彼の考えに従うと言ったのは、あくまで上官に対する建前という訳だ。「ちなみにこの吹雪は、帝国軍が開発した初の純国産高等練習機だ。第三世代機の訓練用として開発された機体だが、練習機と言って侮るなよ?完全武装すれば十分実戦に耐え得る……烈火については、恥ずかしながら私も詳しい事を知らされていないので何とも言えんのだが―――」「そうなんですか・・・練習機だって聞いてたから、そんな凄い機体だなんて考えてませんでしたよ」「ところで白銀大尉、先程烈火は吹雪の兄弟機だと仰っていましたが、この機体も練習機なのでしょうか?」訓練用の機体として搬入された物である以上、千鶴の疑問も尤もであろう。この先、自分達が扱う事になる機体ならば、詳細を知っておくに越した事は無い。「いや、この機体は耐用年数の近い撃震に代わる機体として開発された物なんだ」「という事は、吹雪とは違って出力も高いんじゃないんですか?」第一世代機とはいえ、度重なる改修などが行われ、今もなお現役の機体である撃震。ここ数年は後方での警戒任務や拠点防衛などを中心に配備されているが、信頼性と言った面でこの機体を推す熟練衛士も多い事で有名だ。それに代わる物として開発された機体ならば、スペックは少なく見積もっても陽炎以上の機体だろうと予測される。そんな機体をこれから初めて戦術機に乗ろうとしている自分達に宛がうなどと言うことは、普通ならば考えられない。彼女達でなくとも驚いていたに違いないだろう。「その辺は安心してくれ。こいつに搭載されている主機は、吹雪と同じ出力を落した物に換装されているんだ。まあ、細かな仕様は違うけど出力が抑えられた分、練習機として扱えると思う」この時武は、過去に自分がテストを行っていたときの事を思い出していた。当時の烈火は、不知火に匹敵する主機を搭載し、武御雷並の瞬発力を備えた機体だった。撃震からこの機体に乗り換えて間もない頃の彼は、そのピーキーな仕様に苦戦していたのである。「・・・・・・白銀詳しいね。実は乗った事があるとか?」「ああ、俺はこいつの元開発衛士なんだよ」その言葉を聞いた途端、その場に居た全員の表情が驚きに変わる。流石に大騒ぎしたりする者は居なかったが、口々に凄いなどといった声が聞こえてくる。自分達とそう違わない年齢でありながら特務大尉としての階級であり、その上元開発衛士という肩書きを持つ人物。叩けば出るホコリのように・・・・・・と言っては失礼に当たるかもしれないが、毎度毎度彼には驚かされてばかりだというのが彼女達の本音だ。ここで更に、過去に帝国斯衛軍大将である紅蓮 醍三郎にスカウトされた事や、政威大将軍である煌武院 悠陽とも知り合いだ・・・・・・などと言ったらどうなるのだろうか?驚く彼らを他所に、武は一人その様なことを考えながらその状況を楽しんでいた。「さて・・・私はもう行くが、各自程々にしておけよ?集合時間には遅れるな」「敬礼!」去り際になにやら悲しそうな表情で一点を見つめるまりも―――ほんの一瞬の出来事であったが、これを見逃す武ではない。彼女が見つめていた先に居る人物・・・・・・それは御剣 冥夜その人である。先程から彼女は殆ど口も利かず、感傷に浸っている様な面持ちを浮かべたまま黙り込んでいるのだ。皆に気付かれないように距離を取り、多少の受け答えはしているものの、明らかに様子がおかしい事は間違いない。「どうした冥夜?」そんな彼女に対し、そっと語りかける武。「ああ・・・・・・そなたなら聞かずとも解るであろう?」「武御雷・・・か?」「・・・姉上のお気持ちは自分でも理解しているつもりだ・・・・・・出来ればこの場にこの機体が来ない事を願っていたのだがな・・・・・・」帝国城内省直属斯衛軍制式の特別仕様機・・・そしてこの機体は、冥夜のためだけに存在する薄紫色の機体。訓練兵用に用意されたこの格納庫に佇むその姿は、明らかに異質な存在と言っても良いだろう。「俺がこんな事言うのも変だけどさ・・・・・・殿下はお前の事を想ってこの機体を用意してくれたんだろ?だったら素直に喜べば良いじゃないか」「しかし、あの機体がここに在るだけで必要の無い諍いが起こってしまうのも事実。そなたも解っているだろう?」「ああ、あの正規兵達に色々言われた事は覚えてる・・・・・・ひょっとしてお前、その事を気にしているのか?」武の問いに対し、何も答えようとしない冥夜。「もし、お前が考えている事がそうだったとしても、気にする必要は無いぜ?今回も俺が何とかしてやるよ」「それは駄目だ・・・それでは何の解決にもならん」その言葉に対し、彼女は真っ向から彼の申し出を拒否する。武自身、彼女にそう言ったところで簡単に受け入れて貰えるとは思っていなかった。しかし、こうもあっさりと否定されてしまうとそれ以上の反論もできず、返す言葉が見つからない―――「うおっ!これって武御雷じゃないッスか!!」一瞬流れた沈黙は、何事にも興味本位で顔を突っ込む少年の一声によって掻き消される。「うわぁ~・・・凄く綺麗・・・」「間近で見ると本当に綺麗ですのね・・・ピカピカしててまるで宝石みたいですの」「やっぱり材質が違うのかしら・・・・・・」「こんな所から見てたって解んねえよ。もっと近づいてみようぜ!」そうやって皆を扇動する様な形で武御雷へ近寄ろうとするアラド―――「待てアラド!その機体に近づくなっ!!」「えっ?」「どうしたんだよタケル?そんなに慌てて・・・・・・」この機体がここに在る……すなわち、それが意味する事は至極簡単な理由だ。しかし、詳しい事情を言う事は出来ないだろう。冥夜と悠陽の関係が公になっていない以上、この武御雷の持つ意味やそれらの仔細や顛末を打ち明ける訳にも行かないのである。「・・・不用意に近づかない方が良いって事さブリット……お前らは知らないだろうけど、ここの整備班長は何事にも厳しい人でな」とっさに思いついた理由を語り始める武―――「整備中の機体に黙って近づいたりしたら、ほぼ間違いなく鉄拳制裁だ。朝っぱらからそんな痛い思いして一日が始まるのは嫌だろ?だから止めたんだよ」「……なるほど、それは確かに朝から気が滅入るな」ちなみに班長は、武が言うほど理不尽で厳しい人では無い。むしろ『戦術機に興味があるから見学させてくれ』などと言えば、喜んで見学させてくれるだろう。それどころか、聞いていない細かな所まで説明してくれる気さくな人物だ。班長には申し訳ないが、武の頭脳を持ってして簡単に思いつく嘘―――すなわち、現状で最も効果のある言い訳は、彼を引き合いに出す事ぐらいしか思いつかなかったのである。「ま、そういう事だ……ところで、こんな所でゆっくりしてていいのか?皆、今日も訓練があるんだろ?」これ以上この話題を続けていれば終いに襤褸が出るかもしれない……そう考えた武は、話題をすり替える事にした。こうやって話している間に、できればこの場に現れて欲しくない人物の事を考えていた為である。「―――そうね、白銀の言うとおりだわ」「ああ、見学に夢中になって時間が経つのを忘れてました……なんて言い訳、教官に通用する筈ないもんな」「…そうですね」「それにグズグズしてたら朝御飯食べる時間が無くなっちゃうよ」確かに武の言うとおり、これ以上この場に自分達が居る理由は無い。それどころか、先程まりもにも時間に遅れるなと言われたにも拘らず、遅刻してしまっては元も子もなくなってしまう。「タケルさんも朝御飯まだなんでしょ?私達と一緒に食べましょうよ」「悪いな、俺はまだ打ち合わせが残ってるんだ……皆で先に行っててくれ」彼女達は少々残念そうな顔をしていたが、仕事が残っているならば仕方が無いと考えたのだろう。武から訓練の方には出れるようにするつもりだという事を聞くと、彼女達は急いでその場を後にする。格納庫から訓練部隊の面々が退室したのを確認した武は、先程から感じていた気配の正体を探るべく、その人物に声を掛けていた。尤も、正体を探る必要などは無かったのだが―――「・・・・・・月詠中尉、もう出て来ていただいても構いませんよ」武が目を向けた場所は、何の変哲もないコンテナが積まれている格納庫の片隅。暫くして、そこからこの場に似つかわしくない服装を纏った女性達が現れる―――「我らの存在に気付いてらしたとは・・・・・・流石は武様ですね」「・・・大した事じゃありませんよ中尉。それと、その呼び方…できればやめて貰えませんか?」どう言った理由からかは知らないが、彼女は武に対し尊敬の意を表す様な口調で話しかけてくる。この場に自分達以外、誰も居ないとはいえ彼女にこの様に呼ばれる事など未だ嘗て無かったと言えるだろう。「そうは参りません……武様は悠陽殿下の大切な御友人の一人と伺っております。粗相があっては御無礼に当たりますので―――」真那の口から悠陽の名前が出た事で、武は嫌でも納得せざるを得ない状況になった。恐らく、彼女が横浜へ赴く事になった際、悠陽、もしくはそれに連なる誰かからそう聞かされたのだろう。「―――それに先程の一件、訓練兵にはあの様に言っておられましたが、冥夜様の心中を察しての行動と見受けられました。そう言った点を鑑みても、貴方様は我々が仕えるに相応しい御方だと考えております」「仕えるって……俺は五摂家の人間じゃないですし、ましてや斯衛の人間でもないんですよ?」「武様はそうおっしゃいますが、我らは既に殿下からの勅命を受けておりますゆえ……」武は一瞬、自分の耳を疑った。殿下からの勅命……そんな話、自分は何一つとして聞いてはいない。彼女の言う事が本当ならば、真那は悠陽の命により武に仕えるよう言われたという事になる。「ちょ、ちょっと待って下さい月詠中尉!今、俺に仕えるよう殿下から勅命を受けたって言いましたよね?」「はい……先日、殿下より文を賜りまして、今後は冥夜様の護衛と共に武様も御護りするよう仰せつかっております」「俺はそんな話聞いてませんよ!一体どういう事か説明して下さい!!」「……武様は何も聞いていないと申されるのですか?」「あ、当たり前です!そんな事、昨日殿下にお会いした時は何も―――」ここにきて武は、昨晩、去り際に交わした悠陽との会話を思い出していた―――『―――そなたには度々迷惑を掛けて本当に申し訳ないと思っております』『そんな事気にしないで下さい。俺は迷惑だなんて思ってませんよ』『今後も此度の様な事が起こらないとも限りません……そなたの力になれる様な信頼のおける者を手配しようと考えているのですが―――』ざっと思い返しただけでも、この最後の台詞……『信頼のおける者を手配しようと考えている』ぐらいしか考えられる物はない。しかし、その時にきっぱりと『そんな必要はない』と断った筈だった。という事は、既に水面下で計画は進められており、間違いなくこれは事後承諾という事に他ならない訳だ。完全にしてやられた……これが今現在の武の心境である。それが証拠に今現在彼は、盛大に眉を顰めながら項垂れている状態だ。「お、御心当りがありましたでしょうか?」心配そうな表情で、彼を気遣う真那。「―――確かに昨日の夜、それっぽい事を言われた様な気がしますけど……」「では、御了承頂けたと言う事で宜しいでしょうか?」武の顔を見ながら真那は、自分自身も申し訳なさそうな表情を浮かべている。恐らく彼女なりに武の事を気遣っているのだろう。「ハァ……少し考えさせて下さい……って言うのは通用しないんでしょうね」折角悠陽が自分の事を想ってしてくれた事である以上、流石に無下にする事は出来ない。そう踏んだ武は、いくつかの条件を提示する代わりに今回の事を受け入れることにした。その条件とは、なるべくなら自分の事を『武様』と呼ばないでほしいことなど、状況に応じて対処して欲しい点だ。一介の衛士である彼が、大勢の前で面と向って斯衛の人間にこの様な態度で接せられる事は大いに困る事態。ただでさえ、この若さで特務大尉という階級を与えられ、夕呼直属の部下といった肩書を持っている。そういった経緯から、彼は横浜基地内部でもかなり有名な部類に入る人物なのだ。これ以上厄介事に巻き込まれるのは、御免被るというのが彼の本音なのだろう。「畏まりました。今後は武様の仰せの通りにさせて頂きます」そう言うと彼女は、三人の部下と共にその場を後にする。「―――絶対俺の言った通りにならないような気がする……」『まあ良いじゃねえか坊主、あんな綺麗な嬢ちゃん達が部下になったみたいなモンだと気楽に考えろや』「部下、って言えるんですかねぇ……って、班長!?いつからそこに?」気付けば武の肩に手を回しながら、ウンウンと頷いている人物がそこに居た。格納庫の主、班長の飯塚である。「そんな細けえ事は気にすんな……ところで坊主―――」「な、何ですか班長?」「お前さんは普段から俺の事をあんな風に思ってたんだなあ……」「ゲッ!は、班長……あれは誤解ですよ!!」「ほほう、そうかそうか―――」そう言いながら徐々に自分の腕に力を込め始める飯塚班長。「ちょ、班長・・・・・・ぐ、ぐるじい」「え、何だって?最近歳のせいか耳が聞こえ辛くなってきてなぁ」完全にヘッドロックが極まった状態となり、限界の近い武はギブアップだと彼の手を叩く―――「―――とりあえず、誤解だって言うんなら弁明だけは聞いてやるか。言ってみろや坊主」そう言うと、少しだけ腕の力を緩める飯塚。「は、班長の名前を引き合いに出した事は謝ります・・・・・・この機体の出自とか意味合いとか、班長もご存知でしょう?」「まあな・・・・・・で、お前さんはあの嬢ちゃんを助けるために仕方なく俺の名前を出したってワケか?」「理解して貰えたようで助かります」「・・・・・・仕方ねえ、今回ばかりはあの嬢ちゃんに免じて、これで勘弁してやるよ」「ありが・・・・・・っ!!いってぇ!!」武の脳天に炸裂する横浜基地整備班班長飯塚の鉄拳制裁。目から火が出るとはまさにこの事だろう。まるで大きな岩の塊で殴られたかのような鈍い一撃は、数十枚の瓦をいとも容易く叩き割れそうな威力だった。「さ~て、仕事に戻るとすっかなあ」「ひ、酷いじゃないっすか班長!今さっきこれで勘弁してやるって・・・・・・」「おう、確かに言ったぞ。だからゲンコツ一発で許してやったんじゃねえか・・・・・・ん?まだ足りねえって言うんなら、もう一発行っとくか?」「スミマセン、ナンデモナイデス」頭を抑え、目尻に涙を浮かべながら謝る武。まさしく今回の一件は『壁に耳あり障子に目あり』、『身から出た錆』といえるだろう。流石の武と言えど、そう何度も彼の鍛えられた豪腕で殴られてはたまった物ではない。「何であんなに腕っ節の強い人が、整備兵なんてやってるんだろうな。衛士のほうがよっぽど向いてそうな気がするぜ」周りに誰の気配も感じられなくなった事を確認すると、一人小声で呟く武。全くもって学習能力の無い人物だと言わざるを得ないが、彼なりに今回の事は反省していた。確かに皆を納得させるためとはいえ、飯塚班長の名前を出した事は失言だっただろう。「っと、そろそろいい時間だな。とりあえず朝飯でも食ってから先生の所へ行くとするか」反省もそこそこにその場を後にする武。PXにて朝食を取った彼は一度自分の部屋へと戻った後、簡単な報告書を作成し夕呼のもとへと向かうのだった―――・・・香月 夕呼執務室・・・キョウスケと合流した武は、報告のために夕呼の執務室を訪れていた。報告書を受け取った夕呼は、簡単な質問を彼らにした後、自分の中でそれらを纏めるために書類を整理している。一応、昨日の内に簡単な報告は行っておいたため、然程報告に時間を取られることはなかったのは幸いだった。「先生、いくつか聞きたい事があるんですけど良いですか?」「何かしら?」「さっき戦術機用格納庫で斯衛の月詠中尉から聞かされた事なんですが―――」先程起こった一件を掻い摘んで説明する武。自分は聞かされてないが、ひょっとしたら彼女なら知っていたかもしれないと考えたためだ。「ああ、その事・・・・・・アンタ達が来る30分ぐらい前かしら?ピアティフが殿下からの親書を持ってきたわ」「それで?」「前々から挙がっていた話で、今はまだ本決まりってワケじゃ無いけど、丁度良い機会だから話しておくわね―――」夕呼の口から語られた内容は、一言で言えばとんでもない物だった。近々、帝国、斯衛、横浜基地のスタッフ内から選んだメンバーによって構成される特殊部隊が発足するらしい。所属は横浜基地A-01になる予定だが、指揮権は夕呼ではなく悠陽。しかし、基本的に同部隊の隊長が、独自の判断で行動する事が可能だという。結成目的は、オルタネイティヴⅣ、ならびに天照計画の完遂のため。そして―――「その中のメンバーとして斯衛の月詠中尉達も入ってるってワケ。解ったかしら?」「・・・・・・えっと、それが俺の護衛とどう繋がるんですか?」「アンタってホント鈍いわねぇ・・・・・・」「ワケが解りませんよ・・・・・・もっと解りやすく説明して下さい」話の内容と真那が自分の護衛につく事の接点が見出せない武。確かにこれだけでは話が見えないのも無理はないだろう。「要するに、その特殊部隊の隊長としてお前が任命された。そして、月詠中尉達は殿下の命でその部隊に異動となり、お前の護衛も視野に入れて行動するよう言われたんだろう」一瞬、武はキョウスケが何を言っているのかが理解できなかった。武以外の二人が黙したままだったのは、彼の出方を待っているからだろう。「・・・・・・えぇぇぇっ!お、俺が隊長ですか!?」状況を理解した武が素っ頓狂な声を張り上げる。「何をそんなに驚いているのよ。アンタの実績を考えればベストな人選でしょ?」「ちょっと待ってくださいよ!実績って言っても、特に俺何もしてないじゃないですか!!」「そんな事アタシに聞かれても知らないわよ。殿下直々の任命だし、今更覆す事は出来ないわ」帝国の最高権力者である悠陽直々のご指名とあらば、両手を挙げて喜ぶべき事だろう。しかし、武は素直に喜べない。それどころか、今日は何て厄日なんだろうかなどと言う考えが頭を過ぎっている状態だ。そんな彼の受難はこれだけで終わる筈はなかった。「まあ、今すぐにってワケじゃないわ。近々配属される人員の選定が行われる予定だけど、それが終わるのは207訓練部隊の面々が任官してからでしょうね。それまでにしっかりと下地を整えておきなさい」「キョウスケ大尉達もその部隊に配属されるんですか?」「その予定は無いわ。伊隅達は勿論のこと、彼らは彼らで動いてもらう予定よ」人員は帝国、斯衛、横浜基地の中から選ばれると聞いた。ひょっとすればA-01自体を再編成するのかとも思った武だったが、夕呼はあっさりとそれを否定する。現状で解っているメンバーと言えば、真那と部下の三人だけ―――恐らく正式な発足が訓練部隊の任官後というのは、冥夜の護衛が終了するのを待ってという事だろう。以前の世界でも、彼女の任官後に真那達はその任を解かれている。その後、斯衛軍第16大隊に配属となった筈だが、今回はそれが新設部隊に変わったという事だ。確かに自分はA-01所属であるが、誰かと隊を組んでいる訳ではない。現在は試作機のテストと並行して訓練部隊の教官を務めているが、それらが終われば前線に赴く機会も増えるだろう。となれば必然的に隊を率いる事を命じられる筈だ。幸いなことに、配属となるメンバーは自分も良く知る人物。今後どの様な人物が自分の下に着く事になるかは分からないが、余程の事が無い限り問題児を押し付けられる事もないだろう。「・・・・・・解りました。正直、納得行かない部分がありますけど、頑張らせてもらいます」「俺達も出来る限り協力するつもりだ。何かあったら相談してくれ」「ありがとうございます大尉。それで先生、今後部隊発足までの間、俺は何をすればいいんでしょう?」唐突に新設される部隊の隊長に任命された武。しかし、その部隊はすぐに活動を始めるというわけではない以上、それまでどうすれば良いのかが解らないのだ。「とりあえずは教官職と試作機のテストね」「改型のテストですか?」「アンタが色々とやってる間、代わりに速瀬がテストを受け持ってくれてたから問題ないわ―――」ふと、数日前に水月に話しかけられた事を思い出す。恐らく彼女は、自分の代わりにテストをこなしていた事を伝えるつもりだったのだろう。そしてその埋め合わせ、もしくは何か別の物を要求するつもりでいたのではないかという考えが頭を過ぎる。もしそうだとしたら、あの時話しぐらいは聞いておくべきだったかも知れないと、今になって彼は後悔していた。彼女の性格を考えれば、後に引き伸ばした分だけ無理難題を吹っ掛けられる可能性が高い。「(ヤバいな……後で中尉を探して埋め合わせをしておかないと、何言われるか分んねえぞこりゃ―――)」「―――ちょっと、聞いてるの白銀?」水月に対してどう対応すべきかを模索していた武は、夕呼の一声によって現実に引き戻される。「―――す、すみません。それで、テストする機体は何なんです?」「アンタには近々帝国から搬入されてくる新型のテストをやってもらうつもりよ」「新型機・・・・・・ってまさか!?」「アンタの推察どおり、武御那神斬のテストよ。元々あれの最終調整は横浜で行う手筈になってたんだけど、中々良い開発衛士が見つからなかったのよ。今回の一件で、良い人材が見つかったって先方もかなり喜んでたわ」次から次へと明らかになる新事実。まるで一生分の不幸が一気に押し寄せてきたような錯覚に陥る。いくら軍人とはいえ、これだけの事を一度に指示されてしまえば誰だって気が滅入るだろう。今の武がまさにそれだ。「あら、どうしたの白銀?嬉しすぎて言葉も出ないのかしら?」「そんな風に見えますか?だったら先生、一度眼科で診て貰った方が良いですよ・・・・・・」項垂れる武を他所に、話を進めて行く夕呼。普段の彼女ならば、武がこの様な反応をすれば間違いなく黙ってはいないだろう。それを無視するかのように会話を続けているという事は、この状況を大いに楽しんでいる証拠なのである。新型機のテストを行う衛士に抜擢されるという事は、簡単にいえばエースパイロットの称号みたいなものだ。しかし、その機体が『武御那神斬』と聞かされれば話は変わってくる。昨日の事件終了間際、些細な誤解から起こった出来事によって、正直気が進まないのだ。そんな武の事などお構いなしに、次から次へと話を弾ませる夕呼。現在の彼では、彼女の話す内容の半分以上を受け止める事が出来ず、右の耳から左の耳へと素通りしている状態だ。「とにかく武御那神斬と一緒に、帝国側から何名か出向してくる予定だから上手くやんなさいよ?アンタが上手くやってくれないとアタシも恥をかくんだから……」「―――どうせ何を言っても無駄だって事は、よ~く解りましたよ。とりあえず、自分にできる事をやらせて貰います」「それで構わないわ。アンタにできる事を精一杯頑張りなさい……私からは以上よ」報告が完了した事により、二人は執務室を後にする。武はキョウスケと別れた後、急いで水月のもとへと向かった。先程考えたように、今の内に埋め合わせをしておかないと不味いと感じたからである。「この時間帯だと、ヴァルキリーズはPXに居る可能性が高いな……とりあえず行ってみるか―――」時計は午前8時半を過ぎた辺り―――基本的にヴァルキリーズの面々は他の部隊とは違い、やや遅れてPXを利用するケースが多い。それは彼女達が夕呼直属の特殊部隊である事が一つの理由だ。ヴァルキリーズの面々は、公に素性を明かす事が出来ない。流石にPXなどといった多くの人が集まる場所は、そういう訳にも行かないため、彼女達はあえて時間をずらしているのである。「あ、居た居た……速瀬中尉~」PXに到着した武は、運良く食事用のトレーを手に取ろうとしていた水月を捕まえる事に成功する。「なんだ、白銀か……で、朝っぱらから一体何の用かしら?」先程まで遙と談笑していた彼女は、武の顔を見るや否や不機嫌そうな表情を浮かべる。「そんな邪険にあしらわないで下さいよ……先日、お付き合いできなかったんでそのお詫びをと思ったんですが……」「それで?」「と、とりあえず、ここは俺に奢らせて下さい。この前のお詫びと俺の代わりに改型のテストをやって貰ったお礼って事で」「ふ~ん……アンタにしちゃ豪く殊勝な事じゃない。でも私も安く見られたものよねぇ~」「え?」「アンタが私に詫びたいって事と、礼をしたいって事は解ったわ。でも、朝食を御馳走するってだけじゃ割に合わないって意味よ」武は『やはりそう来たか』とほくそ笑む。ここまでは彼の予想通り事が運んでいた。彼女の性格からして、朝食を奢る程度で済む筈が無い事は簡単に想像が付く。「ん~……確かにそうですよねぇ。それじゃあ、他に何かして欲しい事ってありますか?」この一言は、ある意味博打に近いものである。だが、その後の相手の出方とこちら側が提示する条件次第で何とかなるケースも多い。「何でも良いわけ?」「(よし、喰い付いた!)流石に何でもってわけには行かないですけど、俺にできる範囲内ならOKですよ」相手の出方……すなわち、相手がいきなり条件を指定して来なかった場合である。ここで真っ先に条件を指定されてしまうと、ほぼ間違いなくそれを実行しなくてはならない。しかし、相手が遠慮して今の水月の様に切り返したならば、こちらのテリトリーに引き込む事が可能になる訳だ。「そうねぇ……」何かを考え込む水月―――この時武は、こう言っておけば無理難題を押し付けられる事も無いだろうと考えていた。念の為に用心はしているが、自分の手足の様に働けなどと言ったり、お前に支給される給料を全部よこせなどとは言わないだろう。時折無茶苦茶な事を言う彼女だが、流石にそんな鬼の様な人物では無い……筈だ。「とりあえず、今日一日私に付き合いなさい。今回はそれで勘弁してあげるわ」どんな事を要求されるのかと心配していた武だったが、蓋を開けてみれば拍子抜けするほど簡単な事だった。「そ、そんな事で良いんですか?」「何よ、これじゃ不満だって言うの?」「いや、そんな簡単な事で良いのかと思って……」「一体アンタ、どんな事を想像してたのよ―――」流石にさっき考えていた事をそのまま言う訳にもいかない武は、適当な事を言って誤魔化す事にした。「―――ま、良いわ。後でシミュレータールームに来なさい。時間はそうねぇ……10時頃で良いわ」「解りました。模擬戦ってわけですね」「そうよ。久々に私の実力を見せつけてやるから覚悟しなさいよ?」「お手柔らかに頼みます。それじゃ、また後で」武は京塚のおばちゃんのもとへと向かい、水月の食事代は自分に付けておいてくれと頼むとその場を後にする。「さてと、聞いていたわね遙?」武が居なくなった事を確認した水月は、ニヤリと口元を緩め遙に今の出来事の確認を取る。「う、うん……やっぱり何か企んでたんだね水月」「企むだなんて失礼ね!私は白銀の気持ちを無駄にしちゃ悪いと思っただけよ」「その割には悪巧みを実行しようとする悪役の様に見えますが……」「盗み聞きなんて趣味が悪いわね。宗像、アンタも一口乗ってみる?」「私は遠慮しておきます。中尉と白銀の邪魔をしては悪いですから」「相変わらずねぇアンタは……まあいいわ。日頃の溜まりに溜まったストレスの捌け口も見つかった事だし、今日は命一杯楽しませて貰う事にしましょ」彼女がそんな事を企んでいた事に気付かなかった武は、その後夜遅くまで彼女に振り回される事となった。数時間に及ぶシミュレーター訓練に加え、延々と彼女の愚痴を聞かされ続けたのだ。ようやく解放された武は、ふら付いた足取りで自室へと戻ると、倒れ込むようにベッドに横になる。「お、俺が甘かった……二度と中尉にあんな事言うもんかぁぁぁぁぁっ!!」こうして武の受難続きの一日は幕を閉じた。しかし、彼を驚愕させる事態はこれで終わりを告げた訳では無かったのである―――あとがき第44話です。今回のお話は、新展開へ向けての序章といった感じです。新設部隊の事や月詠さんの事もそうですが、オリジナルの展開を今後も織り交ぜていく予定です。さて、訓練部隊に配備された吹雪や烈火ですが、どの機体に誰を乗せるかを決めかねている状況です。順当に行けばアラドや彩峰辺りを烈火に乗せるのが良いのではないかと思うのですが、如何なものでしょうか?他力本願ですが、皆様に意見を求めたいと思います。武御雷に関してのイベントですが、当初は原作通りに行く予定でした。しかし、少し違った展開にしてみるのも面白いのではないかと考え、この様な描写とさせて頂きました。流れ的には、冥夜に武御雷の事を話しに行こうとしていた月詠中尉だったが、武と冥夜の会話を耳にした事で踏みとどまった・・・と言った感じです。月詠さんがタケルちゃんの事を武様と呼ぶのは、オルタ世界では違和感があるかも知れませんが、この世界のタケルちゃんは素性もしっかりしてますし疑われる理由もありません。それどころか、過去に悠陽と面識があり、悠陽自身が友人の一人と考えている以上はこう言う流れでも良いのではと思った次第です。次回以降の流れとしては、天元山噴火に伴う救助活動方面のストーリーで進めていく予定です。が、どう言った話に持って行くかは今はまだ秘密ですwそれでは次回も楽しみにお待ち下さい。感想の方もお待ちしてます^^