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No.4008の一覧
[0] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION (Muv-Luv オルタ&SRWOGクロスオーバー作品)[アルト](2013/01/21 20:25)
[1] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第0話 プロローグ[アルト](2008/08/28 21:08)
[2] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第1話 異世界からの来訪者[アルト](2008/08/29 21:41)
[3] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第2話 新たなる出会い・・・そして・・・[アルト](2008/08/31 20:44)
[4] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第3話 イレギュラー[アルト](2008/08/31 20:40)
[5] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第4話 再会[アルト](2008/09/16 23:44)
[6] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第5話 姉妹の絆[アルト](2008/09/04 01:33)
[7] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第6話 不協和音[アルト](2008/09/05 08:43)
[8] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第7話 過去、そして現在(いま)・・・[アルト](2008/09/07 08:55)
[9] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第8話 侵入者の影[アルト](2008/10/16 22:13)
[10] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第9話 抹消された戦術機(前編)[アルト](2008/09/12 22:09)
[11] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第10話 抹消された戦術機(後編)[アルト](2008/10/16 22:17)
[12] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第11話 戦乙女再び[アルト](2008/09/21 23:33)
[13] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第12話 白銀の力[アルト](2008/09/23 21:34)
[14] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第13話 激突!孤狼と白銀[アルト](2008/10/16 22:30)
[15] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第14話 失われし記憶[アルト](2008/10/16 22:41)
[16] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第15話 真実が明かされるとき[アルト](2008/10/18 23:16)
[17] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第16話 純夏の想い[アルト](2008/10/22 01:41)
[18] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第17話 拒絶[アルト](2008/10/24 01:19)
[19] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第18話 得られたモノ[アルト](2008/10/24 01:19)
[20] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第19話 とある日常の訓練風景[アルト](2010/10/05 18:39)
[21] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第20話 BETA侵攻[アルト](2008/10/28 21:51)
[22] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第21話 紅き機神来たりて・・・[アルト](2008/10/30 17:56)
[23] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第22話 覚醒[アルト](2008/11/01 01:04)
[24] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第23話 新たなる力[アルト](2008/11/06 00:09)
[25] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第24話 邂逅[アルト](2008/11/06 00:07)
[26] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第25話 忘れられぬ日々[アルト](2008/11/16 21:36)
[27] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第26話 立脚点[アルト](2008/11/16 21:35)
[28] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第27話 運命のあの日[アルト](2008/11/22 00:26)
[29] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第28話 蠢く陰謀[アルト](2008/12/06 21:15)
[30] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第29話 総戦技演習へ向けて[アルト](2008/12/07 00:13)
[31] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第30話 島を行く[アルト](2008/12/20 00:23)
[32] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第31話 動き出す影[アルト](2009/01/12 15:06)
[33] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第32話 南国の激闘[アルト](2009/01/12 23:27)
[34] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第33話 脱出[アルト](2009/02/02 21:19)
[35] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第34話 吹き荒れる熱風、疾風の如く[アルト](2009/03/13 00:46)
[36] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第35話 暴れまわる幽霊達[アルト](2009/03/13 00:45)
[37] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第36話 Dancing dolls[アルト](2009/03/19 22:21)
[38] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第37話 疑念[アルト](2009/04/06 23:14)
[39] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第38話 一時の休息、そして新たなる始まり[アルト](2009/04/09 22:43)
[40] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第39話 悠陽からの招待状[アルト](2009/04/29 20:43)
[41] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第40話 新たなる仲間[アルト](2009/05/04 17:07)
[42] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第41話 天照計画(Project Amaterasu・プロジェクトアマテラス)[アルト](2009/05/18 22:58)
[43] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第42話 武神の産声[アルト](2009/06/10 23:09)
[44] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第43話 彼方への扉[アルト](2009/05/29 18:53)
[45] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第44話 白銀 武の受難[アルト](2009/06/10 23:29)
[46] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第45話 天元山での出会い(前編)[アルト](2009/08/03 18:37)
[47] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第46話 天元山での出会い(中編)[アルト](2009/08/04 00:13)
[48] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第47話 天元山での出会い(後編)[アルト](2009/08/31 01:05)
[49] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第48話 御守岩をぶった切れ!![アルト](2010/01/05 14:14)
[50] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第49話 迫り来る悪夢[アルト](2010/01/07 20:32)
[51] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第50話 数多の可能性[アルト](2010/01/10 23:19)
[52] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第51話 成すべきこと[アルト](2010/01/16 20:49)
[53] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第52話 護りたい背中[アルト](2010/01/31 21:06)
[54] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第53話 歪められた12.5事件[アルト](2010/01/27 22:43)
[55] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第54話 夕呼の企み[アルト](2010/01/31 21:03)
[56] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第55話 共に歩む尊き者よ[アルト](2010/02/04 00:28)
[57] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第56話 月が闇を照らすとき[アルト](2010/02/08 20:21)
[58] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第57話 シャドウミラー包囲網を突破せよ[アルト](2010/03/19 01:22)
[59] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第58話 合流(前編)[アルト](2010/05/02 22:47)
[60] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第59話 合流(後編)[アルト](2010/07/02 00:40)
[61] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第60話 偽りの仮面[アルト](2010/07/03 21:44)
[62] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第61話 DCの遺産[アルト](2010/08/01 22:10)
[63] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第62話 奪還作戦[アルト](2010/09/03 23:00)
[64] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第63話 究極の名を冠したモノ[アルト](2010/09/12 18:29)
[65] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第64話 ゲイム・システム[アルト](2010/10/02 23:51)
[66] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第65話 潰えし野望[アルト](2010/11/01 18:55)
[67] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第66話 開かれた次元の扉[アルト](2010/11/12 20:46)
[68] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第67話 新西暦と呼ばれる世界[アルト](2010/11/15 23:18)
[69] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第68話 導かれた悪意(前編)[アルト](2011/01/08 19:35)
[70] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第69話 導かれた悪意(後編)[アルト](2011/01/20 23:44)
[71] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第70話 因果律の番人[アルト](2011/02/02 21:30)
[75] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第71話 帰郷[アルト](2012/07/15 19:01)
[76] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第72話 A-01新生[アルト](2012/07/15 19:08)
[77] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第73話 明かされた出生の秘密[アルト](2012/11/05 11:54)
[78] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第74話 解隊式[アルト](2013/01/21 20:24)
[79] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第75話 ベーオウルブズ(前編)[アルト](2013/01/28 17:37)
[80] 本編登場機体設定資料(ネタバレ含む)[アルト](2011/01/20 23:46)
[81] 本編登場キャラクター設定資料(ネタバレ含む)[アルト](2010/01/27 22:49)
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[4008] Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION 第5話 姉妹の絆
Name: アルト◆ceb42498 ID:f0f37b8f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/09/04 01:33
Muv-Luv ALTERNATIVE ORIGINAL GENERATION

第5話 姉妹の絆




「・・・タケル、そなたも良く知る人物だ・・・」
「え?」
「・・・姉上だ」
「・・・な、何だってっ!!」

冥夜が口にした人物・・・
それは冥夜の双子の姉であり、この国の征夷大将軍でもある人物・・・

・・・煌武院 悠陽・・・

煌武院家では双子は忌児であるとされ、妹の冥夜は遠縁の御剣家へ養子と出された。
そして、あの事件・・・12.5事件の際に二人の関係は一部の者に明かされる事となったのである。
二人の立場が公のものになったその後も冥夜は彼女の事を表だって姉上と呼ぶ事は無かった。
それ以上に驚いたのは悠陽にも記憶が有ると言う事だ・・・
状況を整理する為に武は冥夜に問う。

「・・・何で殿下が・・・いや、それよりもお前、今姉上って・・・」
「・・・解らない。私自身も話を聞いた時に驚いたのだ。何故姉上にも記憶があるのか・・・」
「そうか・・・じゃあ、お前が悠陽殿下の事を姉上って呼ぶ様になった理由を教えてくれないか?」
「・・・」

その言葉に対し彼女は黙り込んでしまう・・・
迂闊だった・・・
武は昔から思った事を口に出してしまう癖がある。
彼は冥夜が自分の口から悠陽の事を姉と呼ぶ所を聞いた事が無い。
単純にどう言った理由から彼女が悠陽の事を『殿下』では無く『姉上』と呼ぶ様になったかが知りたかっただけなのだ。
しかし、この件に関しては自分が気軽に立ち入って良い事では無かったと察する。
その事を後悔した彼は素直に謝っていた。

「・・・スマン、嫌ならいいんだ。いくら俺が図々しいとは言っても、聞いて良い事と悪い事が有った・・・」
「いや、構わない・・・どこから話すべきかと考えていた」

そう言うと、冥夜は事の始まりをゆっくりとした口調で話しだす。


『あれは丁度2年ぐらい前、その頃の私はまだ訓練学校にも入隊しておらず、帝都にある実家に居たのだ・・・
明星作戦が終わった頃だったと思う・・・その日を境に自分の頭の中に変な記憶が現れたのだ。最初は疲れているからだと思っていた・・・
もしくは夢か何かだと・・・でも、それは夢と言うには余りにも鮮明で、体にもその感触が有った。それから程無くして、私はとある人物に呼び出され、向かった先に居たのが姉上だった・・・』


「・・・この様な場所に呼び出して申し訳ないと思います」
「・・・いえ、殿下・・・そのようなお言葉、私の様なものには勿体ないお言葉です・・・」
「・・・」
「・・・」

二人の間に沈黙が訪れる・・・

「・・・そなたは、やはり私の事を姉とは呼んでくれないのですね」
「今の私は将軍家所縁の者・・・たとえそれが表向きの事であり、殿下と血の繋がりが有ったとしてもその様な事はできませぬ」
「・・・」

悠陽の表情が暗くなる・・・

「・・・畏れながら殿下・・・本日はどのような御用件でしょうか?」
「・・・」
「・・・殿下?」

彼女の表情は暗いままだ・・・
しかし、このままでは話が進まない。
そう判断したからだろうか、ゆっくりと悠陽が口を開いた・・・

「そなたに尋ねたい事があります」
「なんなりと」
「最近、変な夢を見ました・・・いえ、あれは夢では無いのかも知れません・・・」
「・・・どう言う事でしょう?」
「オルタネイティヴ第四計画・・・桜花作戦・・・そして白銀 武」
「っ!!殿下っ!その者の名前をどこで!?」
「・・・やはりそなたも知っていましたか」

冥夜は驚いていた・・・
オルタネイティヴⅣに関しては日本主導で行われている極秘計画だ。
その件に関してなら知っていてもおかしくは無いだろう。
しかし、その終極とも言える桜花作戦・・・
これが実行に移されるのはまだ数年先の話であり、現段階では作戦名がつけられている筈もない。
それ以上に武の名前が出た事が一番の驚きだ・・・
この時点で彼女はは『白銀 武』の事は知らない筈である。
そう・・・二人の出会いはあの12.5事件の時だ。
それ以前に武と悠陽が出会っていた事などあり得ないと彼女は思っていた・・・

「驚くのも無理はありませんね・・・これから話す事はすべて事実です。その話を聞いた上でそなたの意見も聴かせて欲しいのです」
「・・・はい」

悠陽の口から語られた事・・・それはまさに自分の中に最近になって現れた記憶と殆どが一致していた。
武の事、オルタネイティヴ計画の事、12.5事件の事・・・そして、あの時手渡された人形の事・・・

「・・・殿下」
「どうしました?」
「・・・実は、私にも有るのです。これから先の未来に起こりうる・・・いや、正確には起こるであろう事態の記憶が・・・そして、私は仲間と共に桜花作戦において・・・」
「それ以上は言わなくても構いません・・・私も知っている事です・・・」
「・・・では、殿下にも私と同じ様な事が起こっていると?」
「・・・そうです」

どう言う事だろうか・・・
この様な事は普通に考えたらありえない・・・
ただ一つ分かっている事と言えば、自分と悠陽は桜花作戦終了後、それまでの記憶を持ったまま時間を遡ったと言う事だけだ・・・
徐に悠陽が口を開く・・・

「・・・あの時、私には声が聞こえたような気がしました」
「・・・声?」
「そう、そなたの声が・・・『姉上』と呼ぶ声が・・・初めてそう呼んでくれたような気がしたのです・・・私は嬉しかった、そなたに姉上と呼ばれる日が来るとは思っていなかったから・・・」

その時、悠陽の目から大粒の涙が零れ落ちた・・・

「・・・たとえ幻聴でも構わなかった・・・私はそなたから姉と呼ばれた事が嬉しくてたまらなかったのです・・・」

冥夜は全てを覚えていた・・・
平和な世界を取り戻す為、そして愛する者を守る為、自分共々あ号標的を撃てと武に言った事も・・・
凄乃皇から放たれた荷電粒子砲の閃光に消える中、自分の目の前に現れた悠陽の姿・・・
例え幻と言えどその姿を見たとき、思わず『姉上』と呼んでいた自分の事を・・・

「・・・冥夜・・・」
「・・・はい・・・」
「もう良いのです・・・掟や柵に囚われずとも良いのです・・・私は私、冥夜は冥夜なのですから・・・私とそなた、たとえ離れていても心は共に在る・・・私はそう思いたいのです・・・だからせめて、私と二人きりの時は姉と呼んでくれませんか?」

冥夜は自分の胸が締め付けられる想いだった・・・
そう・・・自分自身もかつてそう思っていたのだ。
たとえ離れていようとも、心は・・・心だけは共に在りたいと・・・
冥夜自身が気づいた時、彼女の瞳からも大粒の涙が零れ落ちていた・・・

「・・・泣かないで下さい姉上・・・今、やっと私にも決心が付きました・・・そして・・・姉上も私と同じ事を考えてくれていた事が嬉しいのです・・・」
「・・・冥、夜・・・?」
「・・・私も常々思っておりました・・・たとえ離れていても、心だけは、そしてその思いだけは共に在りたいと・・・」
「・・・やはり、私達は双子の姉妹なのですね・・・考える事まで同じとは・・・」

次第に悠陽の顔が笑顔になる・・・
それに釣られるように冥夜も次第に笑顔になっていた。

「・・・やっと・・・やっと呼んでくれましたね・・・」
「・・・え?」
「今、そなたは泣きながら私の事を『姉上』と呼んでくれました・・・」

冥夜はハッとした・・・状況に流されるままとはいえ、つい悠陽の事を姉と呼んでしまったのだ・・・

「も、申し訳ありません殿下!!」
「何を謝るのです?それに・・・先程のそなたの言葉は嘘だったのですか?」
「い、いえ・・・申し訳ありません・・・そ、その・・・あ、姉・・・上・・・」
「聞こえません・・・」
「申し訳ありません『姉上!』」
「よろしい・・・ふふふ・・・」

そう言うと悠陽は笑っていた・・・気づけば冥夜も・・・



「・・・と言う事があったのだ」
「そうか・・・良かったな冥夜・・・」
「うむ、そなたに感謝を・・・」
「・・・感謝されるような覚えは無いんだけどな」
「いや、そなたにはいつも助けられてばかりだ。私が姉上を姉上と呼べる様になったのもそなたのおかげなのだから・・・」
「そうやって改めて言われると照れるな・・・」

武は顔を赤くして答える。

「照れずとも良い。そんな顔をされてはこちらまで恥ずかしくなるではないか・・・」
「・・・スマン。ところで冥夜、何故訓練部隊に?」
「・・・何故だと?」
「ああ、殿下と上手く行ってるんだったらそのまま帝都に居ても問題無かったんじゃ無いのか?」
「・・・ハァ・・・そなたは本気でそう言っているのか?」
「いや、愚問だったな。お前はそう言う奴だったって事忘れてたよ。お前にも護りたいものがあったんだよな。その為にここへ来たんだろ?」
「・・・いや・・・私こそそなたのその鈍さを忘れていた・・・」
「?」
「いや、何でもない・・・私とて考えているのだ。もちろんそなたが言った事もここに来た理由の一つだ。だが、もしも私が記憶とは違う事を行ったとする。それが原因となって歴史が変わってしまう事も考えられた。だからなるべく以前の世界と同じ様な行動を取るべきだと思ったのだ」
「そうか・・・」
「まあ、他にも理由があるのだがな・・・」
「他の理由?」
「・・・ここに来なければ、そなたに会う事も出来ないと思ったからだ」
「そうだな・・・確かにここに来て俺に会わなけりゃ、歴史は大きく変わっていたかもしれないな」
「・・・ハァ・・・」
「何だよさっきから溜め息ばっかり付いて・・・」
「いや・・・何でもない、すっかり話し込んでしまったな。そなたも疲れているであろうに・・・」
「いや、大丈夫だ」
「そうか、では私は自分の部屋に戻るとする・・・タケル、おやすみ・・・」
「ああ、オヤスミ冥夜・・・」

そう言うと冥夜は武の部屋から出て行った。

『・・・すまないタケル・・・私がここに来た本当の理由・・・それはまだ話せないのだ・・・』

部屋を出た彼女は一人心の中で呟いていた。
彼女が横浜基地に来た本当の理由・・・
その理由は武にも関係している事だった。
この事を彼が知るのはもう少し先の話になるのだが・・・


今日は色々な事があった。
その疲れが今になって現れた為か、冥夜が立ち去った後直ぐに彼は体を休める為にベッドに横になる・・・

「・・・う~ん・・・眠れねぇ・・・」

一人呟く。
今日は色々な事が起こり過ぎた・・・
キョウスケ達の事、冥夜から聞かされた事・・・
そう思いながら、武は先ほどの冥夜の話と昼間聞かされた夕呼の話を思い出していた・・・

『先生と霞、冥夜、それに殿下も記憶を持ったまま時間を遡った・・・そして、その兆候が表れだしたのは明星作戦終了後・・・一体どう言う事なんだろうか・・・』

そう考えている間に疲れが押し寄せて来たのであろうか、気付けば彼の意識は深い闇へと吸い込まれて行く・・・


・・・翌日・・・

例によって霞に起こされた武はミーティングルームへと来ていた。
キョウスケ達にこの世界についての簡単なレクチャーが行われる為、それに参加するよう命令を受けた為だ。
この世界の日本の政治体制は内閣総理大臣を国家元首とする事とは異なり、
「皇帝」を日本帝国の元首とし、皇帝より任命された「政威大将軍」(将軍)が政務と軍の指揮権を委譲されるという形で統治している。
その下に、内閣総理大臣が位置しており、内閣総理大臣は将軍の政務を補佐する役割にある。
また、日本の首都は大政奉還後も京都であり、東京は経済中心地として発展してきた。
しかし、数年前のBETAの本土進攻の際、京都が壊滅したため現在は東京に遷都しているのである。
以前の世界の武はこの話を聞いた時は流石に混乱した。
その為、世間知らずも良い所だと言う感じの白い目で見られた事も少なくは無い。
しかし、キョウスケ達はもっと混乱していた様である。
あまりにも世界観が違いすぎたようだ・・・

程無くして、BETAに関するレクチャーが始まる。

BETA(ベータ)とは Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race の略で、
人類に敵対的な地球外起源種のことを指す。
現時点で分かっている事は、人類と同様の炭素系生命体。火星や月は既にBETAに支配されており、地球では1973年のBETA来襲以来、28年間にも渡って人類との戦争が続いている。
人類は再三BETAと接触しているが、生命体として認識されていない。
これはオルタネイティヴ計画の第3段階までの時点で分かっていることである。
BETAの言語やコミュニケーション手段は一切不明だが、高度な科学技術と、生物が生きる上で過酷な環境にも適応すると言う恐るべき能力を備えている。
地球に来た目的などは一切不明。
しかし『ハイヴ』と呼ばれるBETAの「巣」から外宇宙へシャトルのようなものを発射されているのが確認されている。
地球周辺の宇宙空間も既にBETAが支配しているが、衛星軌道上の人工衛星や、
ラグランジュ点で建造中の地球脱出用宇宙移民船などは攻撃を受けていない為、
BETAは地球そのものに対して、なんらかの目的があると現状では考えられている。
現時点で確認されている種の説明が始まり、暫くして画面が要塞級の映像に切り替わった時、キョウスケ達の表情が変わる・・・

「こ、こいつは・・・」
「どうしたの?」
「間違いないわね・・・あの時転移してきた怪物よコレ、どうやらこっちの世界のBETAって奴のお仲間だったみたいね」
「どう言う事かしら?」
「我々がこちらに転移して来るきっかけとなった事件・・・その直前に起こった重力震の時に発生した空間の歪みから、アンノウンが出現しました。それがこの要塞級と呼ばれるタイプに非常によく似ています・・・」
「・・・なるほど・・・他所の世界から転移して来るモノが居るんだもの、別に不思議な事じゃ無いでしょ?それにアンタ達の世界ではそういう転移事件が過去に何度も起こってると聞いたけど」
「ええ、ですが、この様な生物が転移してきたのは初めてです・・・」

彼らが見たと言う要塞級BETA。
現在こちらの世界で確認されている7種のうちの最大種で、全長52m、全幅37m、全高66m、標準的な特機よりも一回りほど大きい物だ。
動作は比較的緩慢であり、対人探知能力も高くはないが、防御力は高い為、120mm砲もしくは近接戦闘で、三胴構造各部の結合部を狙うのが効果的とされる。
彼らの攻撃が通じ難かったのは、弱点部位を的確に攻めれなかった事が要因であると言う事が分かった。
攻撃力は高く、10本の脚による打撃は要撃級のそれに勝るとも劣らないうえ、先端が鋭くなっているため踏みつけられると戦術機といえど串刺しとなる。
また、尾節には全長約50mの触手が収められており、その先端にはかぎ爪状の衝角(モース硬度15以上)がある。
この触手を器用に振り回して攻撃してくるため、側方・後方にも死角は存在しなくなっている。
この衝角が何かに激突した際に分泌される強酸性溶解液にも注意が必要で、戦闘の際にビルガーのシステムが一時動作不良に陥った原因もこれにあったようだ。
この時点での説明には体内から小型種が現れる事があると言う点が見当たらなかった。
恐らくはデータベースに登録されていないのであろう。
しかし、武や夕呼はその事を知っていた。
それは前の世界、横浜基地襲撃の際に解った事実であり、現時点ではこの二人以外に知っている者など居なかったのである。
かといって、情報を付け加えなかったのには理由がある。
その理由とは証拠だ。
それが無ければ皆を納得させる事も出来ないし、下手をすればそこから何を聞かれるか分かったものでは無かったからである。

「まあ、いいわ・・・その事に関しては追々考えましょう。引き続き話を続けるけど構わないかしら?」

そう言うと、夕呼は話を続けていた。

BETAについての話が終わると、次は戦術機に関する話だ。

戦術機とは対BETA戦用人型兵器のことで、正式には「戦術歩行戦闘機」という。
それまでは航空機を中心にした制空権争いが戦闘の主体であったのだが、BETAの光線属種(レーザー級)の出現により航空機が全く役に立たなくなったのである。
その為、1974年に対BETA戦用に開発されたのが人型兵器である「戦術機」だった。
戦術機は第1世代機から第3世代機まで存在し、第1世代機では機動性より防御性、耐久性を重視した重装甲装備が特徴である。
第2世代機では耐熱対弾複合装甲の使用を主要部に限定し、機体重量の軽量化と機動性の向上させている。
第3世代機では新素材による装甲の軽量化やデータリンクの高速大容量化、機動性重視の設計が特徴で、それまでの第1第2世代機と比べて機動性だけでなく、柔軟性、即応性も大幅に向上している。

基本的な操縦方法や運用方法などはPTと大差なさそうだと、この時は誰もが思っていた。

「パーソナルトルーパーだっけ?あれのパイロットをやってたんだから、
簡単な機種転換訓練で戦術機の操縦に関しては問題無いと思うわ・・・これまでの事で何か質問は有るかしら?」

これまでの説明に対し、自らの意見を伝えるべくキョウスケが発言する。

「何かしら?」
「戦術機に関する事は大体分かりました。しかし、戦力として考えるのであれば我々は自分の機体を使った方が良いと思うのですが」
「そうね・・・そう来るだろうと思って昨日の解析結果の資料を読ませて貰ったわ。提供して貰ったデータを見た結論から言って、戦術機のパーツを組み込む事で運用が可能になるかもしれない」
「本当ですか?」
「現在、双方のパーツの適合性をチェックしているところよ。上手く行けば何機かは使えるようになるでしょうね。でも、直ぐに使用可能になる訳ではないわ。それまでの間は戦術機を使って貰う事になると思う」
「なるほど」

そう言った直後、今度はエクセレンが自分達の今後の扱いについて質問していた。

「ああ、その事?それは今から説明させて貰うわ。アンタ達は極秘裏にアタシの計画に参加していた。そして、主な任務は第四計画においての試作機のテスト。それから有事の際はアタシの直衛任務を行う事となっている。テスト部隊って事にした理由は、アンタ達の機体の事もあってよ」

ここに来て少し疑問に思った事があったのだろうか。
ブリットが自分達全員がテスト部隊配属なのかと夕呼に問う。

「それに関してだけど、何名かは訓練部隊の方へ行って欲しいのよ」
「何故です?」
「それに関しては俺から説明させて下さい」

そう言ったのは武だった。
前もってこの提案をしていたのは彼で、彼も彼なりに考えがあっての事だ。
その理由はこうである。
常に自分が教官として207B訓練小隊の面々に付いている事が出来れば良いのだが、彼は特別教官と言う位置づけだ。
それ以外にも夕呼の手伝いもある。
そう言った理由から常に訓練部隊と共に居る訳にもいかない。
そこで彼女達の練度を上げる為にブリット達を表向きは訓練生と言う形で配属してはどうかと言うものだった。
無論、そのまま配属してしまってはかえって怪しまれる。
その為、他の訓練学校からの異動と言う形を取る事にしたのである。
これならば、兵役経験のある彼らであったとしても他校のレベルは自分達の物よりも高いと認識させる事が出来、尚且つ彼女達にも良い刺激が与えられると武は考えたのだ。

「なるほど、そう言う事でしたら構いません。自分達も白銀大尉のお手伝いをさせて貰いますよ」
「頼むよブルックリン少尉。それから俺の事は呼び捨てでも構わないぜ、同い年だしさ白銀でもタケルでも好きな方で呼んでくれ」
「ああ解った。じゃあ俺もブリットで構わないよ。お互い頑張ろうなタケル」
「ああ、こっちこそよろしく頼むよブリット。他の人達も階級なんか気にしないで呼んでくれ」
「解ったわ白銀君。私はクスハ・ミズハ。改めてよろしくね。私の事もクスハで構わないから」
「よろしく、クスハ」
「俺もタケルさんって呼んで良いッスか?」
「おう、構わないぞ・・・えーっと・・・」
「アラドッス。アラド・バランガ」
「よろしくなアラド」
「ウッス、こちらこそヨロシクッス。ところでタケルさん、その訓練部隊に配属になるメンバーって誰になるんですか?」
「そうだな・・・俺が考えたメンバーは比較的207小隊のメンバーと年齢が近い方がいいと思ったんだけど」
「ゲッ・・・と言う事は俺もメンバーに入ってるって事?」
「まあそう言う事になるかな」
「うへぇ・・・また訓練かよ・・・最悪だぜ」
「文句を言わないのアラド」
「・・・アラドには丁度いい機会だと思う」
「お、お前らなぁ・・・」
「ハハハ、彼女達の言う通りだぞアラド・・・えーっと・・・」
「ゼオラです。ゼオラ・シュバイツァー。よろしくお願いします白銀大尉」
「・・・ラトゥーニ・スゥボータです」
「こっちこそよろしくなゼオラ、ラトゥーニ」

そんな彼らのやり取りを見て何かを思ったのか、エクセレンが口を開く。

「若いって良いわねぇ~。副司令さんもそう思わない?」
「ちょっと、何でそこでアタシに振るのよ?大体ねぇ、アタシはまだまだ若いわよっ!!」

武は夕呼の反応に驚いていた。

『先生でもあんな反応をする時が有るんだな・・・ちょっと意外だ』

その間も夕呼とエクセレンの漫才の様な会話が続く。

「そう言うアンタこそどうなのよ?そんな発言が出るって事は実は結構おばさんなんじゃないの?」
「嫌ですわ副司令さん。私はこう見えても23歳、まだまだピッチピチなのよん」
「ムカつくわね・・・」

エクセレンの年齢を聞いた夕呼はそれ以上何も言い返せないでいた。
それを見たキョウスケが口を挟む。

「ならお前も訓練部隊に行ってみるか?」
「別に構わないわよ?さっきチラッと見たんだけど、訓練生の制服、可愛かったしねぇ~」
「キョウスケ中尉、流石にエクセレン少尉じゃ無理がありますよ」

そう言ったのはブリットだ。
その表情は苦笑いを浮かべている。

「あ~ら、ブリット君・・・それはどう言う意味かしら?お姉さんに解り易く説明して貰えるか・し・ら?」

明らかに失言だった・・・
しかし彼が後悔した時にはもう遅い・・・
そんな彼に助け船を出したのは意外な人物だった。

「ブリットはエクセレン程の人物じゃ訓練生だと言う事に無理があると言う意味で言ったんですの。
エクセレンなら訓練生よりも先生の方が似合ってると思いますのよ?」
「そうなのブリット君?」
「は、ハイッ!俺が生徒だったらエクセレン少尉みたいな方が教官だったらなぁ~なんて・・・」
「そっかぁ・・・ンフフ、そう言う事なら許してあげるわ」
「ならアンタも教官やってみる?」
「え?」
「だってアンタの同僚がそう言ってるんですもの、アタシとしては別に構わないわよ?」
「んー・・・なんだか面白そうねぇ・・・ヨシッ、じゃあこれからは私の事を女教師ブロウニングと呼んでもらって結構よ。生徒の憧れ・・・まぶしい白衣・・・あ~考えただけでも楽しそう」
「・・・保健教師が混ざっているぞ・・・冗談はそれ位にしておけエクセレン」
「私は本気よ?」
「・・・副司令、あまりアイツを煽らないで頂きたい・・・」
「そうね・・・いつの間にか本題から話がずれてるし・・・何だか疲れちゃったわ。白銀、後よろしく・・・」

そう言うと彼女は部屋を出て行く。
引きとめようとした武であったが、『アタシは忙しいし疲れた』の一言で逆に追い返されてしまった。

「お前も大変だなタケル」
「そう言ってくれるのはキョウスケさんだけですよ・・・」
「そうか・・・落ち込んでいる所すまないが話を続けてくれるか?」
「はい。と言う訳で、訓練部隊にはブリット、クスハ、アラド、ゼオラ、ラトゥーニの5名に行って貰おうと思います。正式な配属は明日からと言う事になってるんだけど、この後空いた時間に一度紹介したいと思うからそのつもりでいてくれ」

そんな中、自分の役割を伝えられていないアルフィミィは自分はどうすれば良いのか分からないでいた。
それを察してか、エクセレンが武に問う。

「ところでアルフィミィちゃんはどうなるのかしら?」
「んー・・・実はまだ決まって無いんですよ。えーっと、アルフィミィで良かったっけ?」
「はい、アルフィミィ・ブロウニングと申しますですの」
「あ、アルフィミィちゃん?貴女今ブロウニングって・・・」

彼女がブロウニングを名乗った事にその場に居た殆どの物が驚いていた。
そんな中、アクセルが徐に口を開く。

「ブロウニングを名乗ってはどうだと提案したのは俺だ」
「どう言う事かしら?」
「別に大した意味は無い。理由は簡単だ。こいつが行動する時にキッチリとした名前が必要だと思って、な」
「そう・・・」
「ついでに言わせて貰うと、エクセレンの妹って事で認識して貰えれば良いですの。私はもう一人のエクセレン、言うなれば双子の様なもの・・・でも、双子と言うには見た目に無理がありますの。だから私は妹と言う事にした方が何かと都合が良いだろうと言った訳ですの。これにはエクセレンはエクセレン、私は私と言う意味合いも込められていますのよ?」
「・・・解ったわアルフィミィちゃん。今日から貴女は私の妹、娘って言うには無理があるしね」
「それは流石に無理があると思いますの」

そう言った彼女達には笑みが浮かんでいた。
エクセレンは思っていた。
昨日の彼女の発言から、彼女が未だに自分のコピーである事を気にしていると・・・
いくら表面上は気にしていないと言ってはいても、やはり心のどこかでその事に対しての負い目を感じているのだと思っていた。
しかし、彼女は彼女なりに自分と言うものを見つけたのであろう。
恐らくその発端となったのはアクセル・アルマーだ・・・
気付けばエクセレンは、彼に礼を言っていた。

「何か言ったか?エクセレン・ブロウニング」
「何でもないわ。タケル君、私から提案があるんだけど良いかしら?」
「何でしょうか?」
「うちの妹も訓練部隊に配属って事は無理?」
「ええっ!?」
「そんなに驚かなくても良いでしょ?」
「すみません・・・でも、訓練内容ってかなり厳しいですよ?そんな所にこんな小さい子を配属させるのはちょっとどうかと・・・」
「訓練が大変だって言う事は私も十分理解しているつもりよ。
私がこの子を配属させたいって言う理由はね、単純に同年代の子達と一緒に過ごさせてあげたいって事なのよ。この子はまだまだ学ぶ事が沢山あるわ。その為には私達大人と一緒に居るよりは年齢の近い子達と一緒の方が良いって思った訳。それにね、アルフィミィちゃんにもお友達が必要でしょ?そう言った考えからこの子を訓練部隊に配属させたいって思ったのよ」
「・・・なるほど。アルフィミィ、君はどうしたい?お姉さんはああ言ってるけど」
「・・・私もそうしたいですの」
「そうか、じゃあ俺の方で手配しておくよ」
「ありがとう御座いますのタケル、それにエクセレンも」

そう言った彼女は笑顔だった。
こうして互いの絆を深めあう事が出来た彼女達。
そんな二人を見た武は、冥夜と悠陽の関係もこの様なものになったのだろうと思っていた。
そして改めて、皆がこの様に笑って暮らせる世界を取り戻してみせると言う決意を胸に彼はまた一歩前へ進んで行くのであった。


あとがき

第五話です。
感想掲示板を読ませて頂いていると頑張って良い物を書こうと言う気になります^^
頂いている感想を読ませて貰うと、色々なネタも生まれてきたり、中には採用させて貰おうと思う物もあります。
応援して下さる皆様にこの場を借りて感謝の言葉を送らせて頂きますね。

さてさて、感想掲示板の方に多数寄せられておりましたが、皆さまの予想通りループして来ていたのは悠陽殿下です。
同じような手法を何度も使うなよ・・・と言われそうですが、冥夜と悠陽の記憶のループに関しては小説を書くに当たって、当初から考えていた設定です。
実はマブラヴシリーズのオルタードフェイブルをプレイした後、オルタ世界の彼女達もこんな関係になっていれば良かったのになぁと思った事がありました。
やはり色々な意味で彼女達にも幸せになって欲しかったですし、ある意味自分のエゴを押しつけてしまうようなやり方になってしまいましたが、自分は後悔していません。
皆様にも納得して頂けると嬉しいです。
流石にOGの面々を全員訓練部隊へ配属と言う事は難しいと考えました。
よって、本編でも書かれている通り年齢の近いメンバーを訓練部隊の207C小隊へ配属と言う形にしました。
最初はアルフィミィをどうするかで悩んだのですが、冥夜と悠陽について書いているうちに、彼女達にも姉妹的な設定を与えても良いのではないだろうかと言う考えに落ち着きました。
賛否両論あるでしょうが、ご理解いただければ幸いです。

最後に、何だか説明クサイ内容になってしまった事をお詫びさせて頂きます。


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