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No.19794の一覧
[0] 天河くんの家庭の事情(逆行・TS・百合・ハーレム?)[裕ちゃん](2010/07/24 18:18)
[1] 天河くんの家庭の事情_00話[裕ちゃん](2010/07/23 17:46)
[2] 天河くんの家庭の事情_01話[裕ちゃん](2010/06/26 12:59)
[3] 天河くんの家庭の事情_02話[裕ちゃん](2010/06/24 07:53)
[4] 天河くんの家庭の事情_03話[裕ちゃん](2010/06/24 07:53)
[5] 天河くんの家庭の事情_04話[裕ちゃん](2010/06/24 07:54)
[6] 天河くんの家庭の事情_05話[裕ちゃん](2010/07/10 22:31)
[7] 天河くんの家庭の事情_06話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[8] 天河くんの家庭の事情_07話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[9] 天河くんの家庭の事情_08話[裕ちゃん](2010/06/24 07:55)
[10] 天河くんの家庭の事情_09話[裕ちゃん](2010/06/24 07:56)
[11] 天河くんの家庭の事情_10話[裕ちゃん](2010/06/24 07:56)
[12] 天河くんの家庭の事情_11話[裕ちゃん](2010/06/24 07:57)
[13] 天河くんの家庭の事情_12話[裕ちゃん](2010/06/24 07:57)
[14] 天河くんの家庭の事情_13話[裕ちゃん](2010/06/26 02:01)
[15] 天河くんの家庭の事情_14話[裕ちゃん](2010/06/26 11:24)
[16] 天河くんの家庭の事情_15話[裕ちゃん](2010/06/26 23:40)
[17] 天河くんの家庭の事情_16話[裕ちゃん](2010/06/27 16:35)
[18] 天河くんの家庭の事情_17話[裕ちゃん](2010/06/28 08:57)
[19] 天河くんの家庭の事情_18話[裕ちゃん](2010/06/29 14:42)
[20] 天河くんの家庭の事情_19話[裕ちゃん](2010/07/04 17:21)
[21] 天河くんの家庭の事情_20話[裕ちゃん](2010/07/04 17:14)
[22] 天河くんの家庭の事情_21話[裕ちゃん](2010/07/05 09:30)
[23] 天河くんの家庭の事情_22話[裕ちゃん](2010/07/08 08:50)
[24] 天河くんの家庭の事情_23話[裕ちゃん](2010/07/10 15:38)
[25] 天河くんの家庭の事情_24話[裕ちゃん](2010/07/11 07:03)
[26] 天河くんの家庭の事情_25話[裕ちゃん](2010/07/12 19:19)
[27] 天河くんの家庭の事情_26話[裕ちゃん](2010/07/13 18:42)
[29] 天河くんの家庭の事情_27話[裕ちゃん](2010/07/15 00:46)
[30] 天河くんの家庭の事情_28話[裕ちゃん](2010/07/15 14:17)
[31] 天河くんの家庭の事情_29話[裕ちゃん](2010/07/16 17:35)
[32] 天河くんの家庭の事情_30話[裕ちゃん](2010/07/16 22:08)
[33] 天河くんの家庭の事情_31話[裕ちゃん](2010/07/17 01:50)
[34] 天河くんの家庭の事情_32話[裕ちゃん](2010/07/21 01:43)
[35] 天河くんの家庭の事情_33話[裕ちゃん](2010/07/21 23:39)
[36] 天河くんの家庭の事情_34話[裕ちゃん](2010/07/22 04:13)
[37] 天河くんの家庭の事情_35話[裕ちゃん](2010/07/24 18:16)
[38] 天河くんの家庭の事情_小話_01話[裕ちゃん](2010/06/25 20:30)
[39] 天河くんの家庭の事情_小話_02話[裕ちゃん](2010/07/07 03:26)
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[19794] 天河くんの家庭の事情_20話
Name: 裕ちゃん◆1f57e0f7 ID:326b293b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/04 17:14
サセボドックの大食堂でそれは始まった。

「「「「「メリークリマスース!!!」」」」」

それはアオからの『忘年会合わせてのクリスマスパーティーをやろう!』という発案が元で開催が決定した。
そしてドックの従業員全員が、忙しい中普段の仕事以上に気合いを入れて準備を進め今日にいたる。
参加者はサセボドックの関係者全員に加えて、機密を見せない状態にした上で関係者の家族も参加している。
そのおかげで恐ろしい程の人になってしまっている。
会場はサセボドック内の大食堂なのだが椅子の数が足りないために、準備の段階で机と椅子が運び出されており立食パーティーになっている。

服装は各々がドレスやら高そうなスーツを着込んでおり、中には燕尾服を着ている気合いの入った人もいた。
特に目立つのがアオ・ルリ・ラピスの3人だろう。
まずルリは背中の半ばまで伸びた髪をアップにまとめ、ドレスもプリーツの入ったロングドレスで落ち着いた雰囲気になっている。
ラピスは普段通り髪を後ろへ流しており、淡いピンクのワンピースドレスで可愛らしくまとめていた。
最後にアオは髪を後ろでまとめ、黒のスーツで完全に男装していた。
これはルリとラピスの強い要望によるのだが、アオの男装に大多数の女性からため息が漏れていた。
そこに加え、落ち着いたドレスで大人の色気たっぷりなマナカも加わっている。
そんな4人とアキトは一緒にいる上にアオ達から親しげに話しかけられるものだから嫉妬の視線が集中していた。
その為に、アキトは会場に入ってから感じる視線を気にしてしきりに辺りを見渡している。

そして、この会場にはマナカに加え年末で忙しいはずのアカツキ・エリナやプロス・ゴートも参加している。
本来ならアカツキ達はネルガルグループのパーティーへ参加しているはずであった。
しかし、アオからの招待状が届いたアカツキはかなり強引に代役を仕立ててサセボへとやってきたのだ。
その際にアオを驚かせようと考え、参加するのは難しいと返信を出して当日に飛び入り参加する事に決めた。
それはアカツキなりの『仕事よりもアオが大事だよ』というアピールであった。
そのアカツキが一人壇上へと上がる。

「やあ。みんなしてお前誰だって顔しているのはとても心外だけど。ネルガル会長のアカツキ・ナガレだ。
懇意にさせて貰っているアオ君からのたっての願いでね。こうして参加させて頂いた訳だ。
参加させて貰ってる代わりといってはなんだけど、このパーティーはうちで全部まかなわせて貰うよ。
だから追加注文も好きなだけしていいから安心して食べて飲んで大いに楽しんでくれたまえ。
来年、再来年とうちとの関係が続いていけることを願いつつ挨拶に代えさせて貰うよ。
では、乾杯」
「「「「「乾杯!」」」」」

説明混じりだったために長い挨拶になってしまったが、しょうがないだろう。
参加者全員が唱和をしてからは、一気に賑やかさが増した。
いきなり飲み比べを始める人も出てきている。

「やあ、アオ君・ルリ君・ラピス君。それと弟君は始めましてだね。メリークリスマス」
「アカツキさん、メリークリスマス」
「アカツキ、メリークリスマス」
「はじめまして...会長さん?」
「あぁ、弟君。アオ君の弟なんだから敬称はいらないし敬語も必要ない。アカツキとでも呼んでくれ」
「あ、あぁ...わかったよ、アカツキ」
「ナガレ、メリークリスマス。それで、予定はどうしたの?」
「腹の探り合いで退屈なパーティーに参加するくらいならこっちに来るさ」
「無理しないようにね。まあ、何にしてもありがとね」
「どう致しまして。それで、アオ君達3人に僕からのクリスマスプレゼントだ。
ちなみに、ボクは男にプレゼントをあげる趣味はないから弟君にはないよ」
「あぁ、俺も初対面のアカツキからプレゼントを貰ったら逆に怖い」

そう言ってアオ達3人に渡されたのは細長い包みが3つだった。
包装を取り、箱を開けると中に入っていたのはネックレスだった。

「「「ネックレス?」」」

思わず3人の声が出た。
ネックレスはプラチナ製で、台座の中央にはひし形にカットされた青い石があり、それを囲むような形に意匠が施されていた。
しかし、その中央の石にはどこか見覚えがあった。

「ナガレ、この石って...?」
「やっぱり気付いたみたいだね。まぁ、想像通りだよ。お守りと思って肌身離さず持っていて貰えると嬉しいよ」

アキトには親が亡くなったのがネルガルの仕業だという事などを話していない。
そこで勘ぐられないようにチューリップクリスタルなどの言葉をあえて用いずに会話をしていた。
そのネックレスを見詰めながら、アオ達はしきりに感心していた。

「そっか。しかし...綺麗に出来てるね」
「使うのがもったいないくらいですね」
「アカツキありがと」

かなり意匠も凝っている為に、3人共気に入ったようだ。
だが凝っているとはいっても、普段から着けていられるように控えめだが映えるデザインになっていた。

「ほんとありがとね、ナガレ。ちゃんと着けさせて貰うよ。」
「あぁ、そうして貰えるとありがたいね」
「それで、お返しに私からのプレゼントと言いたいんだけど...」

その言葉を密かに待っていたアカツキが期待の篭った目でアオを見るが、当のアオは何か言い出しにくそうにしていた。
ルリとラピスもアオとアカツキを見ながら苦笑している。

「ごめんね、エリナから今日明日は抜けられない会合が入ってるって言われてて...
来るとは思わなかったし渡しにも行けないだろうからって宅急便で送ってあるんだよね。
ナガレの分だけじゃなくて、エリナ達の分もね...」
「なっ!!」

想定外の言葉に思わずアカツキが絶句した。
しかし、こうなる事を勘付いていたのかアカツキ以外のエリナ・プロス・ゴートは少し残念そうにしているくらいでほとんど動じていなかった。
そしてエリナがプレゼントを手渡しして貰うチャンスをふいにしたアカツキを冷やかに見詰めながら、ため息交じりに言い放つ。

「だから言ったじゃない。アオ相手に下手な小細工すると逆効果だって」
「く...くそぅ」

アカツキはその場にしゃがみこんでいじけ出してしまった。
そんなアカツキを横目で眺め苦笑してはいたが、いつもの事だと思いスルーしたアオはマナカへプレゼントを渡していた。

「ありがとう、アオさん」
「研究所ではビーカーで飲み物を飲んでそうなマナカさんにコーヒーカップとティーカップをプレゼントです」
「あら、ちゃんと洗って滅菌してるわよ?」
「いや、そういう問題ではないんですけどね...」
「でも、嬉しいからしっかり使わせて貰うわね」
「はい」

それからアオはルリとラピスと一緒に挨拶周りをしに会場を回っていった。
エリカは仲のいいマナカと一緒になって話に華を咲かせているし、プロスとゴートは揃って角の方から全体を眺めている。
そしてアカツキは挨拶の合間でも、アオが逐一アキトの方を気にしてちらちらと視線を向けているのが癇に障ったのか、アキトへと話しかけていた。

「弟君、改めて挨拶させて貰うよ。アカツキ・ナガレだ」
「どうも、テンカワ・アキトです。姉が良く話してくれますよ」
「へぇ、それは興味あるね。アオ君はなんて話してくれるんだい?」
「そうですね『一言でいえば、何でも相談出来て悪巧みなんかも出来る悪友。友人としては一番かなぁ~』って言ってました」

その言葉を聞いたアカツキは嬉しそうに顔を綻ばせる。
逆にアキトはアカツキを無条件で褒めるアオの顔を思い出し、面白くないような顔をしている。

「僕もアオ君から君の事はよく聞いてるよ。
『才能はあるし意志も強くてやるとなったらとことんだけど、考えが後ろ向きなのと頑固すぎて頭が固いのが玉に瑕かな』といった感じだったね」

アカツキが教えてくれたお返しにアオが言っていたアキトの評価を伝え返した。
アキトは才能があるという言葉に驚き喜んだが、後の欠点が身に覚えありすぎて少し落ち込んでいた。
アカツキはそのアキトを見ながら、どう考えても目の前のアキトがアオと結びつかない事が気にかかっていた。
それに加え、どこか頼りなさげで優柔不断そうな雰囲気がするアキトを気にかける事に若干イラついてもいた。

(アオ君自身の事を話していないという事はまだ認められていないという事だからしょうがないか。
それにアオ君自身も既に姉として生まれ変わりを起こしたような物と言っていたからな)

そう考え直すと、先程からアオとアキトの絡みを見て気にかかっていた事を聞いてみた。

「弟君。一つ君に尋ねたいんだが、君はアオ君についてどう思ってどう考えてるんだい?」
「姉さんを?どうって言われてもな...」
「嫌なら構わない。僕としては君とも仲良くしたいからね。君とは2歳違いだけど、同年代で同性の友人ってのもいい物だろうし...」

将を射んと欲すればまず馬を射よとも言うからねという言葉は口の中だけで呟いていた。
その友人という言葉に感じ入った物があったのか、アキトは言葉を返す。

「少し長くなるけど、いいか?」
「あぁ、構わないよ。ただ、そうなると場所を変えた方がいいな」
「そうだな。姉さんの話になるし、知らない人に聞かれたくはないな」

アカツキは一転して真剣な表情に変わったアキトを見ると、周りの目が多いそこから外れるように促した。
食堂から出る際にプロスへ目配せするとシミュレータールームの方へ歩いて行く。
そして、中へ入るとアキトへ話を進めるように伝えた。

「ここなら誰も来ないだろうからね。気にしないで続けてくれていいよ」
「わかった。そうだな...姉さんは一言で言うととにかく凄い人だな。
俺はともかく両親にさえ知られずに18年間ずっと研究所なんて俺には想像も出来ない事だし。
それに、俺は知らなかっただけでずっと見てくれていたっていうのは正直嬉しいよ。まぁ、最初はびっくりしたけど...

あと、今の俺にとっては目標だし抜かしたい相手でもある。
姉さんが俺の知らない所で色々やってる事も俺を何かから守ろうとしている事も気付いてるし、何か言えない事があるのもわかってる。
俺はまだまだ守られてるばかりでコックもパイロットも格闘も中途半端だから毎日もどかしくてたまらないよ。
だけど、そんな俺に姉さんは守って欲しいって言ってくれた。
最初は頼まれただけだったけど、今は俺の意思で守れるようになりたいって思っている。

これが、今の俺が姉さんへ思っている事だな」
「正直驚いたよ。僕が思っていたよりしっかりと見れているし考えてもいるんだね」
「そんな事ないさ。アカツキはフクベさんの事も知ってるんだろ?今の俺じゃ全然足りないよ」
「逆にアオ君みたいな見方を出来る方が希有なんだけどね」
「例えそうだとしても、最低限そこまでにならないと守れないからな」

アカツキはアキトへの考えを少し改めていた。
最初、アカツキにはアオの意思が強いという評価が甘いんじゃないかと思っていたのだが、今の内容からアオが正しいと感じていた。
そして、考えが後ろ向きというのもかなり改善されて来ているとも感じていた。
しかし、気にかかっている事に関してはより強く感じるようにもなっていた。
そこでもう一つ質問を重ねる事にした。

「本当に君となら友人になれそうだな。それはそれとして、弟君。
話を変えるが、今日のアオ君を見てどう思った?」
「今日の...?」
「あぁ、言い方が悪かったかな。今日のアオ君のスーツ姿を見てだね。どんな感想でも構わないよ」

全然違う話題にアキトは眉を顰めたが、しっかりと考える。
二人きりで他に話を聞かれる心配がない事に加え、アカツキ自体に気を許して来てるのか正直に答えた。

「スーツも似合ってるしよかったけど、正直ドレスが見たかったかな...」
「じゃあ、ルリ君とラピス君についてはどう思う?」
「凄いいい子達だね。10歳くらいなのにしっかりしてるし、俺なんかよりよっぽど姉さんに信頼されてる。
ただ、正直羨ましいと思う事もある。それと、最近姉さんと話してると二人から変な視線感じるな...」

(ふむ...やっぱり気になった事は正しかったかな。ルリ君とラピス君がそういう事をしているなら確実だろうしね)

アキトと話してアカツキが感じたのは、アオの事を姉ではなく女性として見ているんじゃないかという疑問だった。
そしてその疑問は当たっているようだった。ただ、アキトがアオへ抱いている感情はアキト自身もアオも気付いていないようではあった。
アカツキはあえてその事を伝えるような事はせずに、普段のアオの事を聞くように話題に変え話を続けていった。

「しかし、色々聞いてるとますます思うんだが、アオ君は本当に何でも出来るね」
「そうなんだよな。知れば知る程遠くなるというか、たまに追いつけるのか不安になる時がある」
「それは君が頑張るしかない訳だが...アキト君、君のお嫁さんになる娘は大変だろうね」

先程の話で幾分アキトの事を認めたのだろうか、アキトの呼び方がいつの間にか弟君から名前に変わっていた。
アキトもそれについては敢えて何も言わなかったのだが、いきなりのお嫁さん発言に訝しげな顔をする。

「いきなり俺のお嫁さん発言をされても困るし、そもそも何で俺と結婚する相手は大変なんだ?」
「いやあ、単純な事だよ。今の君の家族はアオ君だろ?だから、君にとっての女性の基準はアオ君、この場合はルリ君やラピス君も含めてかな?になってるのさ。
だから、無意識にしろどこかで彼女と同じような振る舞いを相手に求める。しかし、彼女ほどの女性が他にいるとは思えないからねぇ」
「う~ん...」

どこか納得のいかない顔をして考えるアキトにアカツキは答えやすいように質問を変える。

「じゃあ、君に彼女が出来たとして一緒に住み始めたとしよう。一緒に住むにあたって相手には何を求める?」
「特に変わった事はないぞ?炊事・掃除・洗濯...生活するのに必要な事くらいは毎日するだろう?
全部任せるような事はしないし、交代でやったりとか手分けすればいいかなとは思う」
「ふむ。では、その相手が仕事を持っていたとしたら?」
「それは俺もそうだし、お互い様だから何も変わらないだろ。そもそも姉さん達の方がよっぽど忙しいのに全部やってるぞ?」

アキトがその言葉を言うと、アカツキは意を得たりとばかりにニヤリと笑った。
そしてアキトも自身が放った言葉に気付いて、神妙な顔つきになる。

「だろ?それがアオ君達が基準になってるって事だ。『そもそも姉さん達の方がよっぽど忙しいのに全部やってるぞ?』だって?
決して無理とは言わないが、あのレベルを他の女性に求めるのは少々酷だと思うぞ。
だからと言って自分で全部やり出すと女性は自分は必要ないと思うからね。これは君にとってかなり大きな問題だぞ」
「ぐっ...そうかもしれない.....」

アキトはがっくりと肩を落としていた。
確かに、アキトが誰かと生活をすると考えた時に真っ先に浮かんでいたのはアオだったのだ。
そして、それを違う女性に置き換え家事が疎かになった事を考えた時それに耐えられる自身がなかった。

「あぁ、何か駄目だと耐えられそうにない」
「本当に大問題だね。僕からのアドバイスとしてはそれでも問題ない程好きな相手かアオ君達くらい家事が出来る相手を見つける事だね」
「あぁ...せいぜいそうさせて貰うよ...姉さんか...」

しかし、この話題が切っ掛けとなって、アキトはアオと二人で生活するという事を想像し始めるのだった。
そして、実の姉とそういう事を考える自分がおかしいのではないかと悩む毎日が始まってる事となる。

「それにしてもアオ君に苦手な物なんて想像つかないな。アキト君、弟だからこそ何か知らないのかい?」
「強いて言えば、ルリ君とラピス君には滅法弱いくらいかな...」
「確かにな。あの子達のお願いは断れないみたいだが.....アキト君、彼女の苦手な物知りたくないか?」
「確かに俺も知りたいな...」
「いつも煮え湯を飲まされっぱなしだからね。一つくらい弱みを握っておきたいとは思わないか?」
「...わからなくもないけど」

そしていつの間にかアオの弱みを握る話へと変わっていた。
お互い後ろめたいからなのか、シミュレーターの影の方へ移動してしゃがみ込み声も小声になっていた。

「だろう?一度でいいからこちらの言うがままにしてみたいじゃないか」
「姉さんを俺の言うがまま...?」

アカツキはアキトという馬を共犯者にしたてあげる為に懐柔しようと言葉を重ねていく。
アキトは先程のアオとの二人暮らしが頭に残っており、それを想像して顔を赤くする。
その様子を見たアカツキは作戦の成功を確信したのだが

「アキトとナガレは私に何をさせたいの?」

こういう噂をすると影がさすのである。
アキトとアカツキは身体をびくりと震わせてその体勢で硬直していた。

「あれ?聞いてるから続けていいよ?」

アオがとても興味深そうな瞳で二人に聞いていた。
しかし、それを受ける二人は硬直しながら冷や汗を流している。
そしてアオの後ろには二人を汚物を見るような目で見つめるルリとラピスがいた。

「出来る事ならするから何をさせたいのか言ってみて?
じゃないと何をすればいいのかわからないわよ?」

今度は何で言ってくれないの?と寂しそうに尋ねている。
ルリとラピスは気付いているのだが、アオは純粋に疑問に思っているだけなのだ。
しかし、アキトとアカツキに取ってはわかってて聞いてるとしか思えず何も答える事が出来ない。
そんなやり取りは二人が泣きながら土下座をするまで続いたらしい。
突然そんな事をされたアオは理由がわからずにうろたえていたが、一応納得した。
しかし、別れ際に

「ほんとに何かあったら言ってね?相談してくれないのは寂しいんだからね?」

そんな事を言われていた。
二人はわかったとは返したが(絶対に言えません)と心の中で返していた。

それからアオはルリとラピスの年齢と時間の兼ね合いで二人を連れて先に上がらせて貰う事にした。
アカツキとアキトはまだぎこちなかったが、マナカやエリナ、プロスとゴートは快く送ってくれた。

アオは家につくと、ルリとラピスを用事があるからとリビングで待ってるように伝えると自身の部屋へと向かった。
机の引き出しを開けると、その中にはブランド名が小さく印刷された小さい白色の紙袋が3つ入っていた。
それを取り出すと後ろ手に隠しつつ2人が待つリビングへと向かっていった。

「ルリちゃん、ラピス。お待たせ」
「いいえ。どうしましたか?」
「アオ、用事って何?」

ルリとラピスはソファーに座っており、アオの事を待っていた。
二人は用事が何かは気付いているようで、期待に満ちた目でアオを見ていた。
そんな二人を恥ずかしそうにみつめると、隠していた紙袋を二人に差し出す。

「気付いてるとは思うけど、クリスマスプレゼントを二人に渡そうと思ってね」
「ルリと同じやつ?」
「あれ、でも袋が3つありますね...」
「うん。じゃあ、みんなで開けようか」

アオはそう言うとルリとラピスの間に座ると、それぞれが袋を開く。
中にはリボンをあしらった袋と同じく白いケースが入っていた。
それを開けたルリとラピスは声を失った。

「え!?あの...」
「アオ、これって?」

中には綺麗なシルバーの光沢をしたリングが入っていた。
中央には小さな石が3つはめ込まれて意匠はシンプルだが、とても綺麗にまとまっている。
アオはしきりにリングとアオの顔を見るルリとラピスに頬笑みかけると指輪に込めた思いを伝えていく。

「中央の石はブルーダイヤとピンクダイヤとブラックダイヤで私達の髪の色に合わせていて、それをプラチナの台座で繋げるようにしてるの。
それで、この指輪を見てルリちゃんとラピスと私はいつも心が繋がってるんだよって感じて貰えるように、そんなイメージをデザインして貰ったんだよ。
え~っと...だから、これからはいつも着けて貰えると嬉しいなって思います。」

ちょっと恥ずかしそうに、だがしっかりとした口調でルリとラピスに伝えていた。
その言葉を聞く内に二人は感極まって涙を流していた。

「...嬉しいです」
「アオ、好き」
「喜んで貰えてよかった...」

二人してアオの腕にすがりついている。
絶対に離してたまるものかというくらいにすがりついてくるので少し痛かったが、今はそれも心地いいくらいだ。

「二人には色々迷惑かけてきたのにちゃんとしたお礼を一度もした事なかったからね。
だから、少しでもこれでお返しになったなら嬉しいな」

ルリにもラピスにも心から喜んで貰えて心から安心したアオは優しげな笑みを浮かべてありがとうと呟いた。
しかし、ルリとラピスが涙の跡もそのままに上目使いにアオを見上げると思いもかけない言葉を返した。

「アオさん。まだまだ足りませんよ?」
「え!?」
「うん。アオは私達に一生分の迷惑かけてる」
「ラピスの言う通りです。ですから一生私達にお返しして3人で幸せになるんです」
「うん。私とルリに一杯返しなさい」

余りの言葉にアオは呆気に取られてしまった。
しかし、すぐにクスクスと笑うと二人の頭を抱き寄せる。

「えぇ、私はルリ姫とラピス姫の騎士ですから重々承知しておりますよ。
でもよろしいのですか?私は歯止めが効きませんから、二人がお腹一杯になっても幸せにするのを止める気はありませんよ?」
「「はい、それで構いません」」

そうしてクリスマスイブの夜は更けていった。


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