第十三話 ナデシコ発進その2
エステバリスコックピット
「ハア、ハア、ハア・・・
やつらが来た・・・」
ピンクのエステバリスの中で呟くアキト。表情が暗く、そして青い。今アキトの頭の中では、いつも通り火星での惨劇が繰り返されていた。守りきれず、生きてるのかどうかすら分からないアイ。もしかすると、アイを誘拐したのかもしれない黒く、怪しい男。生き残った火星の人たちは無事逃げ切れたのだろうか。そこまで考え、何時もの様にある記憶が、消し去りたい記憶が呼び起こされる。死体の山、燃え盛る炎、そして群れるバッタたち。
「畜生、チクショォオ!!
俺はコックになるんだ、まだ死にたくないんだよー!!!」
叫びエステを地上へつながるエレベーターへ向かわせるアキト。そんなアキトのエステを見て期待と悲しみに顔を染める者が居た
ブリッジ
「対空砲火を上に向けるのよ!そして天井ごと敵を焼き尽くすのよ!!」
「でも~、上にはまだ軍人さんが居るんじゃないの?」
「なっっ、そ、そんなのもうとっくに全滅してるに決まってるわよ!」
「それって、非人道的じゃありません?」
ムネタケの提案に間髪入れず指摘するミナトとメグミ
「きいぃぃ~!!五月蝿いわね!!アタシは連合宇宙軍少将でこの船の副提督なのよ!?だからアタシは偉いの!だからアタシの言うことを聞きなさ~い!!!」
「そんな事を言われましても此処は軍隊ではありません。ですから副提督の命令を聞く必要はありません」
今度はヒスイがムネタケのばかげた台詞を指摘した
「五月蝿いわよ!こ・・・」
「いい加減にせんかぁ!ムネタケ!軍人であるお前がうろたえてどうする!?」
ヒスイに言われ顔を真っ赤っ赤にしたムネタケが言い返そうとするが、フクベに言われ押し黙る
「艦長、何か策はないかね?」
「はい!これより海底ゲートを抜け、海底へ出ます!その後敵の後方よりこの艦の主砲を発射、これを殲滅します!!」
艦長であるユリカの作戦を聞き、何時の間にいたのか、プロスが拍手していた
「でもぉ、敵さんがそんなにも都合よく固まってくれるの~?」
「そうと決まればパイロットに囮をさせるのよ!」
ミナトの意見に蘇ったムネタケが言う。
「ばかな!?あれだけの数を相手に囮を出すだと!?」
ゴートが反論し、メグミもそれに賛同する。そこにルリが
「囮ならもう出てます。エレベーターにエステバリスが乗って地上へと向かってます」
「通信を繋げろ!」
叫ぶゴートの言うことを聞いて通信を繋ぐヒスイ
三人のオペレーターの仕事はそれぞれ違う。ルリがナデシコの主な運営、ヒスイが通信管制の管理、最後にラピスが火器管制である
そして通信が開く
「!?うわ!なんだこれぇ!?」
「何者だ、貴様!所属を答えろ!」
「テ、テンカワ・アキト。コックです・・・」
ゴートの声に畏縮しながらも答えるアキト
「コック!?如何してコックがロボットなんかに乗っているのよ!!?」
ムネタケの言葉を初めに好き勝手言うブリッジクルーたち
そんな中、ユリカが
「あ~~~~!!アキト、アキトだ~~!!!!
ひっさし振り~!!ねえねえ、地球には何時来たの~!!」
「アンタ、誰だ?なんで俺の名前を・・・」
「ほぇ?やっだな~~、私だよ。ユリカ、ミスマル・ユリカ!!ほら、火星でお隣だった・・・」
それを聞き、アキトは泣きながら誰かに助けを請うのだった
格納庫
「整備班そこの機体はもう使えるか?」
黒い機体を指差しながら、黒い制服に身を包んだアキラが近くに居た整備班に訊ねる
「あ、はい。何時でも行けます!」
それを聞いたアキラは礼も言わず機体に乗り込む
「ブリッジ、聞こえるか?俺も出て、敵を殲滅する!!」
そう言って、機体の足をエレベーターに向ける
「ここからは、俺も歴史に干渉してやる!確実に未来を変えてやる!!」
そう言いながらも、アキトが使ったエレベーターが降りてくるのを待つアキラだった
あとがき
久々の更新!
本当だったら、今回の話でナデシコを発進させたかったのだが、途中で私MAD、明日のテストの為勉強しなくてはならなくなった為、途中で切り上げました・・・誠に申し訳ございません
次回ではちゃんとナデシコを発進させますんで見捨てないでください。それではまた今度