第八話 取引
ネルガル重工本社会長室
「・・・君の名前は?」
アカツキが会長室に通された黒ずくめの男に尋ねる
「ハヤカワ・アキラだ。ネルガル会長アカツキ・ナガレ」
「へぇ、僕のこと、知ってんだ?じゃ、自己紹介はいらないね・・・
で、ハヤカワ君だっけ?君は僕らに何を望むんだい?」
アカツキの声は普段道理軽い口調だが、相手に気圧されない様にしていた
そんなアカツキにアキラは
「そうだな・・・ネルガルが俺に協力するのと、さっき送った研究所のマシンチャイルドの保護だ」
「ちょ、ちょっと!ふざけないでよ!アンタみたいな奴に如何してネルガルが協力しなくちゃならないのよ!!」
アキラの言葉を聞いてヒステリック気味に叫ぶエリナ
「黙れ、女!」
低い声で威圧するようにエリナに言うアキラ。さすがのエリナもアキラの雰囲気に黙り込む
「エリナ君、ちょっと黙っててくれないか・・・
ところで、君へのネルガルへの協力って例えばどういう事をすればいいんだい?」
「!?会長!!」
アカツキに言われ益々気迫を失うエリナだったがアカツキの言葉を聴き、また突っかかりだした。それもその筈、アカツキの言葉は”君への協力は惜しまない”と言っているのと同じだ。そう言ったアカツキに突っかかるのは会長秘書の性だろう
しかしアカツキはエリナのそれを流すと、アキラに話をさせるべく黙らせた
「そうだな、まずは俺の専用の機体を作ってもらう。それと、俺をネルガルで開発中の新造戦艦ND-001に乗せてもらおうか・・・」
さらっと言うアキラ。それを聞いたエリナがまた何かを言おうとするがアカツキが先に口を開いた
「なぜND-001を知っているか聞きたいけど、僕でも知らない非公式の研究所を知っていたんだ。調べるなんて造作も無い事だろ?」
そういうアカツキに沈黙で答えるアキラ
「沈黙は肯定と取らせてもらうよ・・・
それで、君にうちが協力することで何のメリットがあるんだい?何のメリットもなしに研究所の情報をちらすだけで僕が、企業人が動くとは思ってないよね?」
それを聞いたアキラは
「もちろんだ、非公式の研究所などこの世から消してしまえばいくらでも言い訳が付く。
だから俺はある情報を持ってきた。お前にとって今、一番欲しい情報だと思うが・・・」
それを聞いたアカツキは考えた
(僕が今一番欲しい情報?何なんだ?
ボソンジャンプ・・・は無いよな流石に。なんたって今、地球上で一番研究が進んでるのがうちなんだから
木連の情勢?しかしそんなの聞いても僕には余り関係ないし。戦争が続けば儲かるといってもボソンジャンプを独占しての移動手段を立ち上げる方がいいもんね。じゃあ、一体なんだってんだ?僕が今一番欲しい情報って?)
考えて考えて、結局はアキラに答えを聞くアカツキ
「一体何なんだい?僕が今一番欲しい情報ってのは?」
「ネルガルの社長と社長派の人間のこれまでの悪行を詰めたデータだ・・・お前とて、ネルガルを統一できなかったら好き勝手できないだろう?」
それを聞いたアカツキは
「それは本当かい!?
・・・如何してそんな情報を・・・?」
「企業秘密だ。
それで、俺の話を受けるのか?受けないのか?」
アカツキは思う。おいしい話だと。ただその話を持ちかけて来たのが目の前の真っ黒な男だと言うのがアカツキを不安にさせるのだが
「・・・ふぅ、分かったよ。受けるよ。それでいいんだろう?
それで、データを・・・」
「ちょ、会長!?いくら社長派を一掃できるからと言って、こんな話・・・」
アカツキは素直に受けようと思うが、エリナは快く受けようとは思わない。何故なら彼女はアカツキにストレスで連続でミスをしてもらい、その後アカツキの失脚、そしてゆくゆくは自分が会長にと思っていたのだ。それなのにストレスの原因である社長派を一掃、というか大人しくさせるのが嫌だったのだ
「エリナ君・・・此処は素直にこの話を受けることだ。きっと彼は念のために僕らのことも調べているはず・・・」
そういう少し暗いアカツキの言葉を聴きながらアキラを除き見るエリナ。その視線に気づいたか、アキラはエリナを馬鹿にするように笑っている。エリナは、逆らわないほうがいいと、少し思った
「そうそう、ところでもう一つの君のお願い、マシンチャイルドの保護だっけ?今すぐそこにうちのシークレットサービスを向かわせるよ。」
急にパッと明るくなったアカツキがアキラに言うちなみにエリナはまだ沈んでいる・・・
しかし、そんなアカツキにアキラは
「それには及ばん。もう既に昨日の夜遅くに研究所を襲撃、そしてマシンチャイルドの救出をしている。」
「えっ!?じゃあ、如何して保護しろって言うんだい?もう君が助け出したんだろ?」
何を言ってるんだろうと思うアカツキ。だがアキラの次の言葉を聴いてそんな考えが一瞬にぶっ飛んでしまった
「いや、そうなんだが・・・
俺が救出したマシンチャイルドは二人。そして二人とも女の子だ。しかも一人は年頃の女の子でな・・・そんな子を俺の手元に居させておくにはいかんし、何より彼女らは一般常識を知らなくてな。ネルガルに教育でも頼もうかと・・・」
そこまで言ったアキラを待っていたのはアカツキとエリナの笑い声であった。此処まで図太いのは流石はナデシコクルーになる者だと思える
そして笑いながらアカツキは
「クッククク・・・じゃあ何かい?君はその子らの為に?クククク、ハハハハハハハハ!!」
「何が可笑しい?」
アカツキの態度に少々怒気を含ませつつも言うアキラ
「だって、だってぇ。フフフフ・・・ギャップが、フフ・・・違いすぎるんですもの。ウフフフフフフフフ」
「と、取り敢えず、俺は二人を迎えに行くぞ!
アカツキ、車の手配をしろ!
エリナ、女物の服を用意しておけ!」
エリナに言われ、恥ずかしそうなアキラであった
あとがき
テストの結果が出ました
再テストを迫られるMADです
いや、大変ですねこういうやり取りをする話は。
かなり変でしょうけど、まだ続けます。続くといったら続きます。
それでは、また今度