<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

ナデシコSS投稿掲示板


[広告]


No.296の一覧
[0] 機動戦艦バルドナデシコARMS[CVTB](2005/07/31 22:49)
[1] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ2[CVTB](2005/07/01 21:39)
[2] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ3[CVTB](2005/08/29 14:56)
[3] 第一話[CVTB](2005/07/21 22:48)
[4] 第二話[CVTB](2005/07/31 22:47)
[5] 第三話[CVTB](2005/08/29 15:40)
[6] 第四話[CVTB](2005/09/09 21:14)
[7] 第五話[CVTB](2005/10/06 08:20)
[8] 第六話[CVTB](2005/11/22 22:31)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[296] 第三話
Name: CVTB 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/08/29 15:40
 機動戦艦ナデシコ。当初、軍の大部分の人間は殆ど相手にもしていなかった。たかだか、いち民間企業の戦艦で何が出来ると侮っていたし、その証拠にナデシコに派遣した軍人はいなくなっても問題無いレベルの者を少数。しかし、それに搭載された強力兵器『グラビティブラスト』の威力を見るや否や、手のひらを返した。あの強力な戦艦の技術を軍のものに組み込みたい。だが初めに相手にせず、馬鹿にしていた立場からすれば、いち企業に頭を下げに行くような事はしたくなかった。
 それを出来るような人間も軍に確かに存在はしたが、方針を決める『お偉方』の大多数はプライドに拘り、別の方法を選択した。即ち、強引な接取。無理矢理に奪い取る。そんな単純で、強盗さながらの命令を、わざわざ連合軍のトップが下部全組織に命じた。




 極東方面軍治安維持局長官、権藤厳はその命令を成した時、自らに転がり込む利益を考慮し、実行に移そうとしていた。でっぷりと太り、脂ぎった身体の持ち主の彼は、昔からのし上がる為に謀略策略から蹴落としまで何でも行い、一時は治安統括本部所属参謀まで登り詰めたが、今では何らかの理由でこのポストに落とされていた。
 だがこの機会を手中に収めれば、上層部に恩が売れる。場合によっては、再び上に舞い戻る事も考えられた。そんな今はまだ狸の皮算用な事を頭に思い浮かべ、権藤は子供が見たら泣きそうな歪んだ笑みを思わず顔に現していた。





 そして上司の方針をもろに受け、活動しようとしている部隊の一つがあった。治安維持局情報管理係第一小隊。戦績は優秀だが、問題行動も多いこの部隊は、半ば邪魔者扱いで今回の作戦の先陣を務める事になった。
 情報管理係とは、現実世界ではなくネットワーク世界において、『シュミクラム』と言う戦闘機型のツールを使用、操縦して軍事活動を行う部署である。主な仕事はシュミクラムを用いて、ウイルスやハッカーの使用するシュミクラムと交戦する事である。彼等はニューロジャックと言うプラグを首元に挿入する事によって意識をネットワーク下に電子体という仮の身体で形成する事で、長所として仮想世界内で肉体を持ち、IFSより円滑なネットワーク下での行動を可能にしている。だが欠点もあり、IFSでは意識だけを泳がせるような状態で、仮想世界下での戦闘方法が確立されていない代わりに、意識だけではシュミクラムとは戦闘しないで済み、ウイルスに攻撃されても最悪一日程度の気絶で現実に復帰できるが、こちらはシュミクラム操作時に撃墜される、もしくは電子体状態で死に値する程の重症を負うと、現実に影響して怪我、あるいは死もある。どちらも、現在では一長一短であるのだ。
 その小隊の一人、シュミクラムパイロット相馬透は、ネットへの没入用の椅子に仲間とともに横たわっていた。意識は既に此処には無い、しかし首のケーブルを通して仮想世界への移動を終了させていた。西洋風の鎧をベースとした青いシュミクラムを待機させている透や他の仲間達の耳元に、オペレーター、瀬川みのりからの情報が届く。


「私達の任務は、ネルガル社の戦艦ナデシコにネットワーク上から侵入、コンピュータを掌握する、だそうです。皆さんは、用意されたルートを幾つか仲介して、現実世界でコンタクト中の連合軍の戦艦の回線から侵入します。ナデシコには没入装置が無いそうなので、妨害は主にウイルスと予想されます」
「だとよ。透、緊張してないか?」
「まさか。そっちこそヘマするなよ?」


 軍に入りたての頃は内部にいる筈の、友人の仇を見つける事で頭がいっぱいで余裕など殆ど無かったが、それもある程度収まった今では仇を忘れたわけではないものの、現相棒の柏木洋介と任務前に軽口を叩き合えるぐらいにまで落ち着きを取り戻していた。


「先行して敵を掃討しているキルステンと紫藤に追いつき、可能ならばナデシコのデータを収集、最低でもコンピュータの機能を破壊してくれ」
「了解」


 だらけたようなのんびりした口調の小隊長の声を背に受け、透と洋介のシュミクラムは仮想現実の回線の中を走り出した。




 同時刻、ナデシコは連合軍戦艦と遭遇していた。艦長を通して艦内にナデシコの真の目的、即ち火星の人民救助を発表したと同時、ムネタケ率いる軍の搭乗員が反乱、だが事前にその情報を入手していたプロスペクター達によって、それは事前に防がれた。
 その後すぐに、タイミングを計っていたか偶然か、ミスマルコウイチロウ提督の搭乗艦を筆頭とした連合宇宙軍の艦艇三隻が、宇宙へと向かおうとしたナデシコに立ちはだかったのだった。


「機動戦艦ナデシコに告ぐ!! 地球連合宇宙軍提督として命じる!! 直ちに停船せよ!」
「ミスマル提督……軍の方とは、既に話がついている筈ですが?」
「確かに。だが、宇宙からは木星蜥蜴、地球でも謎の戦闘兵器が跋扈している今、一致団結して人々に襲い来る脅威を払うべきではないかね!?」
「お父様……」


 プロスペクターとコウイチロウの舌戦が開始されようとしたその時、ユリカが割り込む。静かな、だが確かな口調にしっかりと意思を持った視線を携え、モニターの向こうの父に反論する。


「確かに、地球の脅威を払わねばならない事も事実です。しかし、火星に移り住んだ人々もまた地球の人々と同じはずです!私も火星に住んでいた事があるから、そう思うんです。
 人任せにするつもりはありませんが、これは役割だと思うんです。私達は火星の人達を助けに向かい、お父様達は地球を救う。多分そういう機会だと。
 だから、お父様、行かせて下さい!」
「むぅ……しかし……正直、私は娘を反逆者にしたくは無いのだ!」
「ですが……」
「それは……」




 オモイカネは現実の皆と同様、固唾を呑んで見守っていた。
 この件は自分がいる、いないは関係ない筈だ。だが現実にはマスターキーを抜くどころか、この場で交渉を終わらせようとしている。これもまた、何処かで聞くようなちょっとの変化がどうたらこうたらの現象の一端なんだろうか。


『……謎だ。だが、まあいい』


 過去のマイワイフの驚くべき真面目さにちょっと目を白黒とさせながらも問題を四文字で一蹴すると、思い出したように警戒に移る。確かこの時も、近場の海に眠っていたチューリップがこの集合に呼応するように現れた筈だからだ。自動警戒のまま行く末を見ていてもいいのだが、この調子では何となく何とかなりそうな気がしていた。
 そこにひいきがあったかと聞かれれば、否定できないのもまた事実ではあったが。


『……ん?』


 程無く警戒網に引っかかる。と言っても現実ではなく、ネットワーク上にだった。大型の電子体反応が、数機。以前には無かったシュミクラムだの電子体没入だのという情報は、収集時に入手したので今は驚かない。
 反応は軍属。前方の連合宇宙軍の艦の回線を仲介していて、既に第一層に侵入、自動簡易迎撃ウイルスでは壁にも時間稼ぎにもなっていない様子だった。
 目標は行動の様子から、自分のいる中枢部だろう。外部と内部の二段構えで、ナデシコを落とす。
 そうはさせない、と言いたい所だが、更に都合悪く外でも引っかかる。ある意味予定通り、チューリップが起動、こちらへ機械を放出しながら向かっていた。
 オモイカネなき今、自分が『オモイカネ』だ。戦闘時の処理は自分でなければナデシコの力を発揮できない。ネット上には幾つかの『分身』をばら撒き、艦内へ警報を鳴らした。




 警報とオモイカネの報告によって、ナデシコはチューリップの存在を確認、即座に戦闘態勢に入ろうとする。連合軍側もそれに気づき、一度交渉を中止して敵の方へ艦を向ける。


「艦内全域、第一種戦闘体制!お父様、これは後ほど!」
「あっ、こら――――」
「各員、所定の位置について下さい!」
「オモイカネ、良好です。外部からハッキングを行使されていますが、どうしますか?」
「お願い、ルリちゃん、そっちは任せます。ヤマダさんのエステバリスは?」
「準備オッケイだぜ、艦長!」
「艦長、チューリップがパンジーに接近!内部から無人兵器を放出し始めました!
 バッタ、ジョロに……ええっ?」
「どうした、メグミ君」
「ええっと……いえ、その……」


 口ごもり、自身信じられないような顔をしながらも、メグミはモニターの一角に映像を移す。そこに映されたジョロと、バッタと、そしてもう一つの兵器を見た時、ほぼ全員が驚き、あるいは引きつった。


「…………?」
「……ふむ」
「ロボットですか?」
「木星蜥蜴も、新型を投入してきましたか」
「エステより随分と大きいですな、ミスター」


 それがただの新兵器としか認識していないルリ、フクベ、ユリカ、プロスペクター、ゴートを除き。
 ルリは昔からテレビなどの娯楽に触れる機会が皆無だったし、ユリカもあまりそういうのは見ない。そしてフクベ、プロスペクター、ゴートは年配に入っているのでちょっと厳しいかもしれない。逆に言えば、それ以外の人間は多少の差あれどそれを知っていた。ガイやウリバタケは興奮すら隠そうとはしていなかった。
 つまりは、そういう事である。


『――――ザクかよ!?』


 オモイカネ、ガイ、ウリバタケの一斉射ツッコミの通り、あの某機動戦士で、モノアイで有名な緑の巨人、ザクが背中にバッタをくっつけながら、空を駆けて戦艦に向かっていた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
やべえ、マハラジャ列車面白すぎ。
後KAGEKIYOメドレーに燃え。ドルアーガのゲーセンに期待。
ああ、文書くの遅いなあ。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022527933120728