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No.296の一覧
[0] 機動戦艦バルドナデシコARMS[CVTB](2005/07/31 22:49)
[1] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ2[CVTB](2005/07/01 21:39)
[2] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ3[CVTB](2005/08/29 14:56)
[3] 第一話[CVTB](2005/07/21 22:48)
[4] 第二話[CVTB](2005/07/31 22:47)
[5] 第三話[CVTB](2005/08/29 15:40)
[6] 第四話[CVTB](2005/09/09 21:14)
[7] 第五話[CVTB](2005/10/06 08:20)
[8] 第六話[CVTB](2005/11/22 22:31)
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[296] 第四話
Name: CVTB 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/09/09 21:14
 海上のチューリップが無人機械を続々と吐き出す。ほぼ全てはバッタ等の小型兵器ばかりで、ザクのような―――全てザクだったが―――大型兵器は三機のみ。そのほぼ全てがより脅威を感じたか、ナデシコへと向かい、チューリップと残りの少数は連合軍の艦へと進路を向けた。
 ブリッジは迎撃準備を進めながらも、緑の巨人についての話はすぐには止まらなかった。

「あれって、有名なものなの、ジュン君?」
「うん、まあね。確か、旧世紀にやってた機動戦士ガン……何たらっていうアニメの、主人公機と同じぐらい有名で人気のあるザコロボットだよ」
「ザコとは失礼な!副長、お前はザクを侮っている!ザクほどバリエーションのあり、人気のあるロボットはそうはいないんだぞ!ただのやられ役みたいに言っちゃあ困るな!」
「ヤマダの言う通りだ。人気のあるからこそ、後の同じ系列の作品でもリメイクされているしな!名パイロットも多くあれを使っていた!いわば男の機体って奴だ」
「ヤマダって言うな、博士! 俺はダイゴウジガイだ!」
「博士じゃねえ! つうかお前、ゲキガンガーファンじゃなかったのかよ!」
「確かにそうだが、それはそれ、これはこれって言う先人の名言がある! これは基本なだけだ。あくまでゲキガンガーだけのマニアではない!」

(すまん、ガイ。オレはお前の事、おはようからおやすみまで暮らしを見つめるゲキガンガー一色のファンだと思ってた)

 と、会話を聞いていたオモイカネがそう呟いたり呟かなかったり。

「……まあ、その類の談義は置いておきましょう。重要なのは、その能力です」
「見た限り、大きさだけでもエステの二倍以上ある。質量でぶつけられるだけでも、厄介だ」
「見掛け倒しなら、御の字なんじゃがのう……」
「敵接近まで、60秒を切りました!」
「エステバリス、機動兵器を迎撃して下さい!」
「行くぜ!ダイゴウジガイ、出る!」
「グラビティブラストは?」
「あと五分です!」
「三分で!チャージ、急いで!」

 さっきまでの世間話ライクな雰囲気が一変し、戦場のそれへと変わっていた。決して無視できないほどの数が接近しているのもあったし、何より会話中に更に問題が発生していた。連合軍艦の一隻、クロッカスがチューリップに一番近い位置にいたのが災いし、その大きな口の中に飲み込まれていた。最早猶予は無い。そう判断し、ナデシコは艦首を残り二隻へと矛先を変えたチューリップへと向けた。



 透達、第一小隊はウイルスの群れを超え、ナデシコの回線内に突入した。突入前に数多くのウイルスと交戦した為かなりの時間を食ったが、流石は情報管理係の有数の腕を持つ第一小隊の隊員、大した被害を貰う事も無く撃退した。

「んじゃ透、この先に彩音とカイラが待機してる筈だ。一気に行こうぜ!」
「ああ……いや、その必要は無いみたいだ」

 透と、聞き返そうとする柏木の前に、先行していた筈の彩音機とカイラ機が姿を見せ、二人に合流した。先行していた為多くの敵を引き付けており、損傷が所々に目立っていた。行動自体には支障は無いものの、戦闘とまではどうかと疑問がつく。

「どうした、カイラ、彩音?」
「全員に撤退命令が出たよ。上からクレームが来たみたい」
「まあ、あのオッサンの勇み足だろうって薄々予想出来てたからな」
「それに外の状況もやばいらしくて、早くしないと退路が無くなっちまうよ」
「……離脱するわよ」
「そう都合良くは……行かないみたいだな」

 背を向けようとする四人の側に、新たなウイルスが転送される。エステバリスが、電子の空間に次々と湧き出してくる。オモイカネが生成した防衛装置が、今更ながらのタイミングで透達を妨害していた。
 退かねば回線を使用している戦艦が落とされて退却不能になるかもしれない。だが敵はさっきより明らかに動きが違う。考えている時間も惜しく、透は一つの決断を下した。

「俺が殿を取る。皆は退路を確保してくれ。洋介は二人の援護を頼む」
「おいおい、そりゃ無いぜ……と言いたいが、二人はちょっと無理そうだな。任せとけ。死ぬなよ、相棒! 
 ――――どけどけえっ!」
「それは、こっちの台詞だ!
 ――――草原の狼を、舐めるんじゃねえ!」

 互いに背を向け、敵に牙を向ける。仮想空間に、再び爆音が高鳴り始めた。



「せえぇ……のおぉぉっ! ゲキガンフレアーッ!」

 スーパーロボットパイロットのような威勢のいい掛け声を操縦桿に乗せ、ガイの乗るエステバリスはディストーションフィールドによる体当たりでバッタ達を蹴散らし、ザクの一機に肉薄する。ザクのライフルによる射撃をひらりとかわし、腹部に拳が直撃。そして突き抜けた後ろで、爆散。まさに異世界の兵器との戦闘を体験したガイは、一言で表せばげんなりしていた。

「いや、こんなもんなのか?」

 何だかサンタの正体が寝床に忍び込んでくる父親だと解った時のような、夢の壊れた顔をしていた。もう少し手応えがあって欲しかった。それは撃破の瞬間を目撃していたナデシコ艦内の一部の男達も同様だった。
 その間にも、残りのザクは空戦エステに僅かに及ばないぐらいの、しかしバッタに比べれば圧倒的な推力でガイを抜き去って、チャージ中のナデシコに攻撃を仕掛けてきた。ナデシコがライフルの射程に入った次点でザクが射撃するが、フィールドに弾かれて届かない。それを理解したザクは、次に自身の身を弾丸代わりに、体当たりをしかけた。

「ミサイル、発射!」
「ヤマダのエステを、艦の後方に呼び戻せ! 新たな敵三十、近づいているぞ!」

 士官学校から一、二の成績を持つ二人の指揮コンビネーションは、フクベ提督を再び感嘆させるに十分なものだった。ユリカが艦の現状を把握して指示すれば、ジュンはエステの行動を指揮して補佐する。ユリカに足りない所があれば(そんな事は余り見られないが)、ジュンが補佐する。
 一機は落ちたものの、ミサイルの波を乗り越えた一機のザクの体当たりが艦に突き刺さる。一撃だけでは大した傷も無く攻撃も行動も支障は無いが、フィールドの内部から連続して攻撃されると危ない。しかしその心配もするまでも無く、最後のザクも背中をライフルの雨にさらされて砕け散った。
 周囲の敵もほぼ殲滅し、戦闘区域の敵の数は僅か。そして大元のチューリップは新たな敵を生み出そうとしているのか、行動を停止している。
 チャージ完了の報告がまわってくる。今が頃合と、ルリの声を合図にユリカは打って出る決断をした。

「グラビティーブラスト、スタンバイ」
「行くよ? グラビティーブラスト、発射準備!」
「目標、敵大型艦、チューリップ!」
「発射っ!」

 号令一つ、ナデシコの前面から重力の塊が収束し、後に帯となってチューリップに伸びる。叩き、弄り、押し潰して、最後にチューリップは砂よりも細かな何かとなって虚空に消えていった。
 まさに圧倒的と呼ぶのも面倒なほどの、完全な破壊にして勝利だった。

「敵、消滅しました。プログラムに侵入していた軍の別部隊も、撤退しました」
「けど、あの……ロボットは何だったのかな?」
「まさかジオン軍じゃあるまいし……何処かの星で、埋まってたものだったりしてね。ま、それは置いといて……」
「そうだね。それじゃ、改めて。機動戦艦ナデシコ、火星へ向かって発進します!」
「ユリカ、コウイチロウ提督に何か言って行かなくていいの?」
「うん、生きて帰ってくるつもりだし、それに……その……つまり……スルーの方向でお願いします、ジュン君」
「やれやれ……帰ってきた時に何て言われる事やら」
「はうっ、ぐっすん。考えないようにしてたのに……」

 戦闘以外はまるで暢気で、戦艦だというのを忘れる雰囲気のナデシコ。それが去った空域では、残った連合軍艦の軍人達が改めて羨望と畏怖の視線をモニター上のナデシコに向けていた。
 自分達にもあのような兵器が、戦艦があれば木星蜥蜴などすぐに叩けるのに。そんなナデシコがもし連合軍の敵に回るような事があれば、どうすればいいのか。
 そんな問いに答えられるような人間は、今此処には存在せず。

「ユリカ……」

 寂しそうなコウイチロウの呟きが、連合軍艦トビウメのブリッジで静かに響くのみだった。






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あとがき
どっかで同じような書き込みを見たような気がするかもしれませんが、二週目開始。

綾川りのにやられた。ぽこつ☆でへぽこ☆でまじかるハンマーな片岡とも氏に精神殴られた。ナルキッソスに殺された。

という訳で失意と絶望とほんの少しのしょうがない事だらけの現実とか、60億分の1の奇跡とか俺ジャッジとかそんな冬の日の事を心に留めながら寝ます。
♪シリウス目指そう~ ソプラノの大記録~


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