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No.296の一覧
[0] 機動戦艦バルドナデシコARMS[CVTB](2005/07/31 22:49)
[1] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ2[CVTB](2005/07/01 21:39)
[2] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ3[CVTB](2005/08/29 14:56)
[3] 第一話[CVTB](2005/07/21 22:48)
[4] 第二話[CVTB](2005/07/31 22:47)
[5] 第三話[CVTB](2005/08/29 15:40)
[6] 第四話[CVTB](2005/09/09 21:14)
[7] 第五話[CVTB](2005/10/06 08:20)
[8] 第六話[CVTB](2005/11/22 22:31)
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[296] 第五話
Name: CVTB 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/10/06 08:20
 地球脱出の為に飛び立ったナデシコは、地球を覆うビッグバリアを抜け、既に大気圏外にいた。
 途中連合軍の部隊やミサイル射撃、ビッグバリアの解除拒否という障害や、ムネタケが率いた反乱チーム脱走のハプニングがあったものの、概ねゆったりと、特別気負いも何の問題も無く、むしろ士気の高いまま航行していた。

「……という訳でまずは宇宙に無事出る事が出来ましたが、まずはコロニー・サツキミドリ二号が目的地です」
「確か、残りの補充物資を搬入するとか、書類に書いていましたね」
「そうです、副長。正確には、補充物資とエステバリス、ならびに残りのパイロットです」
「ルリちゃん、あとどれくらい時間がかかるの?」
「オモイカネの計算によると、今の速度ではあと十分もかからないそうです。メグミさんが、サツキミドリの方に受け入れの通信をしていますから……」
「――――艦長、大変です! サツキミドリから緊急通信!
 謎の生物の軍団から、襲撃を受けているとの事です!」
「ナデシコ、全速前進! 目標、サツキミドリ二号です!」
「謎の生物の軍団……木星蜥蜴ではないのかね?」
「そこまでは……ただ、今まで見たことの無い軍団って言ってます」
「もしかして、木星蜥蜴の新兵器かもね、ユリカ」
「うーん……そうなのかなあ」

 何かが引っかかり、今すぐの断定を避けたユリカ。
 聞いている言葉から、何となく勘程度のレベルで、木星蜥蜴とは違うような気がしていた。
 木星蜥蜴なら、何故今まで通り無人兵器を出さず、生物を出すのか?
 そもそも、報告の生物とは何なのか? 宇宙空間で生存できる生物なんて、生み出せるのだろうか?

「もうすぐサツキミドリだ。ユリカ、エステバリスを出しておくよ」
「えっ? ……ああ、うん、お願い。メグミちゃん、艦内に戦闘態勢、知らせて。ルリちゃん、念の為にグラビティブラスト、チャージ」

 じきに戦闘が始まる。正体はそこで見ればいい。
 そう判断し、ユリカは思考を断ち切った。



 サツキミドリコロニー。
 ネルガルが所有するこのコロニーの内部では、ネルガルが開発・設計した兵器の実験場や、新型技術の研究所が多数立ち並んでいた。
 ネルガルだけでなく一部の軍・企業もスペースを保持していたが、所有権の問題や技術漏洩の危険性から、ネルガルの割合が大きいのは言うまでもない。
 だが、コロニーへの敵襲、しかもコロニーを破壊しかねないほどの襲撃となれば流石に無視してはいられない。多くの非戦闘民がデータを持って逃げる中、ネルガルの部隊は財産を守るため、その他はネルガルに多少なりとも恩を売るため、他にも戦うため、新型のデータを取るためと数々の思惑が混ざりながら、戦闘が開始された。

 コロニーの外周部を走るように飛ぶ、二機の人型ロボット。微妙に丸みを帯びた装甲に、12mはあろうかと言う巨大な体躯。地球連合軍が最近ようやく製作に着手しだした試作量産型モビルスーツ『SA』。二機は色違いの赤と白であるだけで、性能に違いは無い。
 一直線に飛び続ける先には、何らかの物体。
 否、それはよく見ると生物だった。狐のような、薄い茶色の生物が片手に銃を携え、二十以上の編隊を組みながらミサイルのようなものに掴まって高速で対面から突撃して来た。背後からも、同じものが数十。
 前の狐がミサイルから手を離す。荷物を切り離した火の槍は、一直線に敵を貫かんと飛び込んでくる。当たれば装甲を前から後ろまで串刺し、その後中から某世紀末救世主ばりに破裂だ。

「サンダース、散開しろ! 上下から挟み込む!」
「了解っス、ヘンリー中尉! ネルガルのエステバリスに負けないだけの性能、見せてやるっスよ!」

 背中から爆発的なフレアを放出し、二機のロボットが上下に分かれる。虚空に放たれたミサイルはそのまま敵の群れに刺さり、同士討ちを巻き起こした。

「ざまあみろっス……げっ!」

 慌てて操縦桿を引き、機体を急速旋回させるサンダース。目の前から、U字型の戦闘機が群れを成して掠め、過ぎていく。

「油断するな、サンダース!」
「す、すいません!
 ……こいつ、オリジナルのデータバンクにある奴っス! フラッシュDタイプっス!」
「つう事は、こいつら蜥蜴野郎じゃ無くて、噂のあいつらか!」

 ムーンサルトで反転ざま、ヘンリーが両手のショットガンを連射。弾道上にいた敵生物が、血も流さず風船のように弾けとび、戦闘機は黒い闇に砕け散る。

「ついに来たっスね!『ボゾン』の本陣が!」


 木星蜥蜴との戦争開始直前辺りに見つかったとある『オーパーツ』によると、ボゾン……彼等は我々、つまり人類とは根本的に違っていたらしい。
 果たして、生物と呼んでいいのかどうかも解らなかったようだ。
 ただ、生命誕生以来三十数億年、幾度と無く生物が滅んだのもボゾンの仕業のようだ。
 最後に恐竜を滅ぼしてから、彼等はこの地球で眠りについているらしい。
 そしていつの日か目覚めれば、再び……

 そこでオーパーツの伝承は途切れている。後は、ボゾンの各種兵器の情報程度で、残りはデータが破損していて判別できなかった。
 初めは一笑に付していた軍高官達だが、ヘンリーとサンダースが『ボス』と呼ぶ上官が勝手に開発したこの試作兵器が思いの外中々の性能を発揮していた事と、おりしも示し合わせたように木星蜥蜴の襲撃ならびに謎のロボット軍団の発生によって、ボゾンというエイリアン迎撃目的ではなく、『主要兵器になり得るか』をテストする機体として試作開発が開始された。


 サンダースもバルカン砲を乱射、怯む敵を次々と葬っていく。だが所詮付け焼刃、何処から湧いてくるのか生物と戦闘機群は更に数を増してコロニーの周囲に迫っていた。
 加えて間の悪い事に、もう一つの乱入者がこの宙域に接近して来ていた。
 近場を漂っていたチューリップが戦闘活動を確認、攻撃を目的として接近していた。やがて口を開き、無人機を射出。連合軍にとって幸いな事に、蜥蜴は生物をも相手にし、生物も蜥蜴にも敵対行動を取っていた事だった。
 それでも、サツキミドリ崩壊は時間の問題と化していた。

「もう潮時だな……サンダース! 予定通りデータの収集を終了し、ボスへ報告する為に離脱する!
 高速型に変形して切り抜けるぞ!」
「了解っス!」

 人型が変形し、一瞬にして戦闘機のようなフォルムに移る。先程に倍加する熱を背後に放出し、何もかも置いて二機は駆け抜けた。
 あっという間の出来事。彼等が何処へ行ったのか今は誰も知らず、追う者も追える者もそこには存在しなかった。



 一方で、ナデシコに搭乗予定のエステバリスパイロット三人組、スバルリョーコ、アマノヒカル、マキイズミの三人もまた、迎撃に飛び出していた。
 既に人間側の大多数は落とされ、三人を含む少数を残すのみ。三つ巴の乱戦で生物側がほぼ殲滅状態になったとはいえ、チューリップからは無尽蔵ともいえる無人兵器。
 どれだけ長い間戦っただろうか、余りにも多すぎる数に、精神は焦燥し、辟易していた。
 それでも、口調はまだ軽い。軽くなくなれば、それこそ終わりだ。

「このままじゃ、ジリ貧じゃねーか?」
「ナデシコってのはまだかな?」
「……来たみたいね」

 イズミの呟きと同時、少し遠くを何かが通り過ぎていった。
 真空の空間では音は聞こえない。ただその辺りの機械が軒並み、人ならざる力で押し潰され、引き裂かれた。それを目撃し、続いてそれが一列に遠くのチューリップに伸びて一撃で破壊したのに気づき、反対側からの白い戦艦からの通信が届いて、やっと一息つく事が出来ると解った。

「こちら、ネルガル所属の機動戦艦ナデシコ、私は艦長のミスマルユリカです! そこのエステバリスの人達、状況は?」
「助かったぜ! コロニーの奴は大方脱出したが、迎撃隊はオレ達を除いて殆ど奇妙なバケモノと蜥蜴にやられた。
 ああ、オレはスバルリョーコだ」
「私はアマノヒカル。あのエイリアンは何だろねえ?」
「……ミナミハルオでございます」

 それは違うだろ、と旧世代のある漫才師をほうふつとさせるツッコミが二人からイズミに炸裂する。

「冗談。マキイズミ……舌っ足らずな声は出せません……クックック」
「いやそれもどうだか」
「ともかく、彼女達はわが社の社員で、予定搭乗員ですね。艦長、先に回収しますか?」
「申し訳ありませんが、掃討戦でもうひと頑張りして貰います。索敵状況でも随分敵が少ないですから、それからにしましょう。
 ヤマダさん、出動してください」
「よっしゃあ、やっと出番が来たか!」
「人使いが荒いなあ」
「もうちょっと、がんばろっか」
「……レツゴー三匹」
「……本当に意味が解りません」

 ナデシコに乗る人はバカばっかですか?とこっそりオモイカネに問うルリに、オモイカネはさあ?と曖昧な笑みを浮かべて肩をすくめるだけだった。


 ちなみにその後の結果については言うまでも無いだろう。
 ナデシコは難なく無事な物資を回収し、火星へと進路を取った。
 ただ戦闘データを見ても、結局木星蜥蜴とも敵対する謎の生物―――この次点ではエイリアンと仮称した―――は解らなかった。
 それの正体が解るのは、火星到着後、そして8ヵ月後に地球に降りてからである事は、誰も知るよしも無かった。






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何か……何かが違う。
何かとはまだ解りませんが、何かが……という引っ掛かりを覚えている今日この頃です。
次回までに解決できればいいのですが。ついでに文章の短さと遅筆さも。

種死は凄いね、中澤工ばりの投げっぱなしだったよ最終回
では次回。

PS 感想への返答前回忘れてすみませんorz


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