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No.296の一覧
[0] 機動戦艦バルドナデシコARMS[CVTB](2005/07/31 22:49)
[1] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ2[CVTB](2005/07/01 21:39)
[2] 機動戦艦バルドナデシコARMSプロローグ3[CVTB](2005/08/29 14:56)
[3] 第一話[CVTB](2005/07/21 22:48)
[4] 第二話[CVTB](2005/07/31 22:47)
[5] 第三話[CVTB](2005/08/29 15:40)
[6] 第四話[CVTB](2005/09/09 21:14)
[7] 第五話[CVTB](2005/10/06 08:20)
[8] 第六話[CVTB](2005/11/22 22:31)
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[296] 第六話
Name: CVTB 前を表示する
Date: 2005/11/22 22:31
 サツキミドリを発って数十日、ナデシコは以前以上に順風満帆に火星に進路を取っていた。散発的な攻撃はあるが、全てフィールドに任せて迎撃をする必要も無く、今までの連戦連勝とも相俟って、結果的に緊張感が薄れていた。後にいやが応にも空気が一変するのだが、それは後の話である。



 冷たい海。二月になったばかりで、まだまだ肌寒い海。
 一組の男女が、波打ち際を境界線にして立ち尽くしていた。
 少女は海の向こうへ歩き始めていた。裸足で、身を刺すような冷たさを少しも気にも留めない様子で、歩みを止めず、一歩一歩。
 男は動けず、ただ手に『彼女の生きた証』を持ったまま、徐々に離れていく背中をじっと見つめていた。
 彼女のしようとしている事は、多分第三者には完全には理解できないようなことで。それでも、これは彼女が選んだ最後の道で。
 同じであり、先輩である境遇者の彼女を見て胸が潰れそうになる。彼に出来るのは、どうしようもない現実に押し潰されそうになりながら、最後の言葉をかけることしか出来なくて。

「なあ……最後にもう一つだけ質問していいか?」
「うん」
「お前、今……引き止めて欲しいか? それとも……背中を押して欲しいか?」
「……さあ…どっちだろうね。あはは、よくわからないね」

 そう言って最後にもう一度笑った。その間にも足は止まらない。
 以前は波打ち際で止まっていたその足。でも今は止まらない。
 だから、それが答えなんだと


「ルリちゃん、何してるの?」
「艦長。……いきなりでびっくりしました」
「あはは、ごめんね」
「今日も、オモイカネが地球脱出前に集めたいろいろなメディアを、オモイカネと一緒に見てました。暇ですから」
「あ、あれだね。前にリスト見た時、随分色々偏ってたけど」
『放っといて』

 オモイカネの文字盤のツッコミも、むなしく空中に浮かぶのみ。

「今日は何を見てるの?」
「どう足掻いても間近に迫った死を回避できない一組の男女の話の舞台映像です」
「……面白い?」
「解りません。私、少女ですから」
「…………」
「艦長は、書類仕事をしていたんじゃないんですか?」
「あ、うん。ひと段落ついたところ。ちょっと個人的に調べたい事があって」

 近くの無人の椅子を引っ張り出し、腰掛けながら画面の先のオモイカネにラーメンでも注文するように頼むユリカ。

「サツキミドリで交戦したエイリアンのデータ、もう一度出してくれる?」
『オーケイ』

 大型モニターに様々な情報が表示される。エイリアンらしき敵との戦闘中に捉えた姿形と、木星蜥蜴の敵のそれとを交互に見比べる。既にジュンやプロスペクター、ゴートにフクベ達と何度も相互の関連性を話し合ってきたが、答はいつも決まっていた。

「うーん、解んないね」

 サツキミドリでの戦闘機や地球で交戦したザクの残骸を調べると、蜥蜴の無人機械とは技術レベルに異なる場所が多すぎた。かと思えば、地球のザクはバッタを背中につけてその推力で飛行していた。ウリバタケ曰く、ザクは空を飛べるようにはなっていないらしく、付着していたバッタの残骸から、バッタがザクのシステムを乗っ取って動かしていた。
 と言う事は、蜥蜴の物ならわざわざ乗っ取る必要も無い訳で、少なくともザクは蜥蜴とは別系統と考えられる。
 アニメをそのまま参考にするのも色々問題だが、思考の一助にはなる。ユリカもあの形で空を飛べるとは思えなかった。

「ルリちゃん、エイリアンってどう思う?」
「エイリアン……ですか?」

 舞台の映像を見終わり、世界各地の格闘家が落ち物で対決するパズルゲームをしていたルリは、話を振られて少し思い出すように呻いた。

「ん……オモイカネからの受け売りでは、エイリアンと言えば、やっぱり侵略者のイメージが強いと思います。昔からその手の映画や漫画、ゲームは数多くあるそうですから。それらの多くは、異形のバケモノとなっています」
「そうだねぇ……」
「代表例と言えば、エイリアンVSプレデターやメタ○スラ○グ、バ○デ○ークにマーズアタックでしょうか」
「……何それ?」
「知りません。オモイカネが、これが有名だと例を挙げましたから」

 ユリカにも殆ど理解できなかったが、ルリがどこかへ『逝って』しまわないうちに、オモイカネを改造してもらった方がいいかもしれないと、少しくらっとした頭でユリカはそう感じた。



 火星宙域にナデシコが漸くたどり着いた頃、その姿をじっと見つめている無機質な数個の瞳があった。どこから飛んできたか、数機の偵察用飛行カメラ。
 そして、その目的を果たさせている張本人達も、宙域の無人機械と交戦状態に入ったナデシコに向けるレンズの遥か向こうにいた。

「戦艦か……地球の新型か?」
「情報によれば、地球のネルガルが開発した新型戦艦『ナデシコ』かと。公式発表では、ここ火星に取り残された人民を救助するという目的を発表しています」
「連合軍の発表にわざわざ逆らって、しかも単艦でとは、ただの救助目的とは思えんな。
 よもや……アレを嗅ぎつけたか?」
「極冠の遺跡ですか? 確かにアレを地球に取られれば、我々は計画に支障が発生し、最悪劣勢を強いられますが……いかがなさいますか?」
「構わん、放って置け。単艦程度ではこの混迷たる火星、生き抜けはせぬよ。
 だが監視は忘れるな」
「畏まりました」

 副官らしき男が去り、その場で一番偉そうな男が、大学の大講義室並みの部屋に幾つも並ぶモニターに次々と目を通す。火星軍があらかた逃走した現在、現最高指揮官であるその男は、身なりも雰囲気も威風堂々そのものであり、軍人たる気風を以って部屋の下層部で働く部下を見回しながらも知らせられる周囲空域の状況に気を配っていた。

 前述の通り、火星は地球以上に様々な勢力が入り乱れていた。火星の残軍が確認したのは以下の通りである。
 木星より現れたと噂され、最初に火星に攻撃を仕掛けた『木星蜥蜴』。小型の完全な無人機と、フィールドによって強固な守りを誇る無人戦艦に、それらを何隻も積む大型艦チューリップによる突撃戦闘が特徴だ。
 同時期に火星に現れ、木星トカゲに続いて火星に攻撃した『ボゾン』なる謎の機械軍団も存在する。これらはまるでキッチンに現れる黒い害虫の如く幾らでも現れ、数に任せた集団戦闘を主としている様子だ。
 それらと火星の生き残りが三つ巴になっているのが現在の状況。数で劣る火星軍が今まで生存できたのは、極冠の遺跡とは違う新たな軍事系データが満載された謎の『遺跡』―――便宜上こう呼ぶ―――による新兵器開発による質の向上と、三つ巴で互いに動きにくい状態によるものだった。もし『ボゾン』が人間にのみ敵対の動きを見せていたら、火星は三ヶ月は早く滅んでいたであろうと予想される―――その予想はある意味では正しくなかったのだが。
 そこに更に不安材料が追加される。軍事遺跡のデータと敵の映像を照合すると、ボゾンの裏に『ダストワールド』なる組織の介入があるらしいと推測された。加えて近頃、木星側も無人機械を強化している傾向にあるようだ。火星軍は少数の初期型エステバリスとデルフィニウム以外は全て軍事遺跡からの使いまわしで、『カルベルトワーゲン』級地上戦艦三隻に『トビウオ』級空中駆逐艦や主力の1941型戦闘機。しかも軍事遺跡のものは軍事遺跡系のものしか開発ならびに修理補給が効かず、エステバリスやデルフィニウムは使い潰す事になるだろうとされていた。この差が致命的になる前に『MARS-M計画』系列機はともかく、せめて19××型戦闘機やクラーケン型大型空母の開発を急がなければならない。
 火星に残り、人々の守りとならんと志願した駐留軍は精々二個中隊。あの時は半ば自殺志願の覚悟で、実際エイリアンが介入しなければ全滅していただろうとはいえ、もう少し人数がいればと思わないでもなかった。特に戦う前から逃げ出した大多数が痛すぎた。その大多数の殆どが、地球から来た俗に言う高官の類だった。火星も地球人類が住む星であるのに、この扱いか。

(―――否、今更地球の者は当てにせぬ。火星の平穏は、火星の者が勝ち取る)

 モニターに映るのは、ナデシコが戦闘を終え、大気圏内へと徐々に下降していく姿。それを眺めつつ、レオナルド=ドリル少将は再び心中で自らの意志を高揚させる先の言葉を発し、身に染みこませた。戦争が始まってから、何度も行ってきた彼の習慣だった。



 ナデシコが火星に来ている。救助に来たらしい。
 それは誰からともなく知られ、戦火から逃れ、隠れ住むシェルターの中の人々に広まった。ユートピアコロニーや付近の小型コロニーから逃げ延びた者達は地下に逃れ、大部分はいつ死ぬか解らぬまま戦々恐々としながら無為に日々を過ごしていた。
 そんな彼等には喜ぶべき噂であったはずだが、皆浮かない顔をしていた。それは、イネス・フレサンジュなる女性に起因していた。ナデシコの設計に携わっていた彼女は、それ故ナデシコの性能を理解していた。
 ―――ナデシコでは、生きて火星から脱出できるほどの性能は無い。
 それを聞かされていた大人達は、絶望の中から逃れられなかった。その状態のナデシコが来ても、ナデシコが敵を呼び寄せて自分達も見つかり、殺されるだけだと思っていた。

(一緒に戦えば、脱出できる見込みはあるのだけれど)

 とは、イネスは告げない。イネス・フレサンジュと言う人間は、とある数奇な運命と事情により、自分の生死にあまり頓着しない性格の人物であった。だから、助かろうが何処でくたばろうがどうでもいい。
 希望に、意義を見出せなかった。現に、武器はあった。戦艦まである。しかも数ヶ月は粘れるほど食糧や薬品もあった。いや、下手に揃っているから戦う気力がないのか、それは関係ないのか。イネスは後者だと推測している。
 ある『協力者』―――そう呼んでいいのかは微妙な人物ではあったが―――によって、敵を撃破した跡のジャンクと武器弾薬、食糧薬品を交換して生き延びていた時期があった。その時も主に戦っていたのは数名の少年少女、そして異世界からの勇敢なる二人の戦士。彼等を除いて全員、誰一人として戦おうと腰を上げたものはいなかった。

(……彼が死んだのが、トドメかしら)

 それは2週間前。木星蜥蜴の大規模な襲撃で迎撃中に消えた一人の青年。ある日突然シェルターの上に落ちてきた、テンカワアキトなる青年の事をイネスは思い出していた。
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前からまた一ヶ月以上も経ってる。もう駄目だ私orz
MMORPGと太鼓の達人のし過ぎだからなんだが自己責任だ(ターン
さて次回は久しぶりのあっちのアキトの出番。
と言うか今のところ名前に偽りありばかりだ、バルドなんて地球でしか出てないし。
名前変えた方がいいかもしれん。


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