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No.307の一覧
[0] self-control[イズミ](2008/02/27 01:13)
[1] self-control -1-[イズミ](2008/02/27 01:22)
[2] self-control -2-[イズミ](2008/02/27 01:17)
[3] self-control -3-[イズミ](2008/02/27 01:26)
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[307] self-control -2-
Name: イズミ◆65d8b4af 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/02/27 01:17
予想外の出来事の連続、不思議の塊。
それに順応してる私が一番不思議だったりするのですが…。






ココロは歩く事に慣れたのか、軽やかに階段を上がっていく。
弾むようなその動きに合わせて、髪とワンピースがふわりふわりと揺れる。
目指しているのは屋上。
まずはそこを確かめ、最上階から順にアキトたちを探していくつもりだ。
暫く階段を上がると、踊り場に光りが差し込んでいる。
照明かと一瞬思ったが、ココロは少し目を細めてそれを自然光だと判断した。
念の為にそっと顔を覗かせて上を窺うと、多分ドアがあったのだろうそこはぽっかりと開き、屋上に通じているらしかった。
ココロは階段を上がり、多少警戒しながらも屋上へと出てみる。

「……やはり地球……日本…?」

先程は自分の容姿に驚いて景色を眺める余裕はなかったが、地球らしいのは分かっていた。
人の気配がないのを確かめると、ココロは地上を見渡せる位置まで移動する。
そして、蓄積されたデータの中から地図を引っ張り出して比較しようとした時、目の前にぱっとフライウィンドウが現れた。
そこには地図が表示されていて、ココロは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに口元を綻ばせた。
人の姿になって声を得たが、ウィンドウはココロの感情を表し、言葉を伝えてくれた『声』だ。
ココロの一部と言っても過言ではないウィンドウが、こうしてまた自分を手伝ってくれる。
ユーチャリスに気付いた時と同じように、ココロは嬉しくなった。
触れられないウィンドウを、それでも優しく撫でてから改めて映された地図を見る。
[地形を元に場所特定開始]
文字がパッと表示され、画面が何度か切り替わった後、ココロの瞳に映る景色とウィンドウの地図が重なった。

「トウキョウ…」

ココロの中にある最新のトウキョウの地図とはいくつかの差異はあるが、ウィンドウに表示されたパーセンテージを見ればほぼ断定して間違いない。
ここはトウキョウだ。
ココロたちがいた時代とは違う、トウキョウ。
景色を見て、ここが過去か未来かはなんとなくココロは分かったが、結論は出さずに踵を返してビル内に戻る。
アキトたちは、もう目を覚ましただろうか。
アキトならば窓の外を見て日本だと分かるかもしれないが、それ以上の現状把握ができていないかもしれない。
そう思うと、ココロの足は先程までよりも早くなっていた。
階段を下りていくスピードは早いのに、見た目には相変わらずふわふわと髪とワンピースの裾を揺らして急いでいるようには見えない。
足音もなく最上階フロアに出ると、アキトたちの姿を探して隈なく確かめていく。
ガランとしたフロアに人影はなく、すぐにまた階段を下り、次のフロアを探す。
それを何度か繰り返して辿り付いたフロアには、ダンボールが多く積まれていた。
何が入っているのかは分からないが、それらを崩さないようにそのフロアにある部屋をひとつずつ確かめていく。
と、ゴトリ、と物音がした。
ココロは音のした方向へパッと顔を向けたが、ただダンボールが積まれているだけ。
ダンボールの裏側に何かいるのかとも思ったが、そこに積まれたダンボールは壁にくっつけるようにして置かれている。
人が隠れられるスペースはない。
ならば、ネズミやネコだろうか?
それにしてはやけに重そうな音で、ココロは小さく首を傾げる。
目の前のダンボールを不思議そうに見ていると、またゴトリと音がした。
今度はそれだけではなく、一番上に積まれているダンボールが小さく揺れている。
ゴト、ゴトリ、ゴトゴトゴトゴト…
そこだけ地震が起こったように、ダンボールが小刻みに揺れる。
ココロは恐怖にではなく、好奇心に胸をドキドキさせながらその光景を見ていた。
ドキドキの感覚に無意識に両手で胸を押さえつつ、揺れのせいで少しずつ前へ出てくるダンボール。
ココロがあっと気付いた時にはもう、ダンボールは激しい音と共に床に落下してしまった。
テープなどで封をしていないダンボールが開き、中からザラザラとネジやボルトといった部品が床へと零れ出ていく。

「あ…」

音にビックリしていたココロは、何かに気付いてソレをじっと見つめた。
黒い、塊。
部品の類と一緒に、ダンボールからズサーッと滑るように出てきたのだ。
なんだか見慣れたフォルムをしているその塊は、微かに動いたと思ったら手足をバタバタと動かし始める。
もがくようにバタバタ動いた後、なんとか手を突き、立ちあがる事に成功した。
そして、赤い瞳でココロを見上げる。

「ブラックサレ、ナ…?」

語尾が上がるのも無理はない。
ブラックサレナに良く似たソレは、全高30センチ程度のちんまりした2頭身ボディをしているのだから。
エッジは丸みを帯び、ボディは幾分簡略化されてスッキリしている。
8メートル近くあったものが、どうしてこんなにコンパクトになっているのか。
まじまじとサレナを見下ろすココロと、じっとココロを見上げている(ように見える)サレナ。
無言の見つめ合いが続いたが、それに終止符を打ったのはサレナだった。
トコトコとココロに向かって歩き、足元で立ち止まると両手を上げた姿勢で動きを止める。
ココロがその行動の意図を計り兼ねて困っていると、サレナは両手を催促するように動かした。

「…もしかして、抱き上げろと?」

ココロが小さく呟くと、サレナはコクコクと頷き、もう一度改めて両手を上げる。
まるで子供のような小ささとその仕草に、ココロは思わず笑みを漏らした。
そして、身を屈めるとブラックサレナを軽々と抱き上げて体を起こす。
ココロは胸にぴたりとくっついているブラックサレナを見下ろした。
ブラックサレナが小さくなった事は、自分が人の姿になった事を思えば有り得るかも、と納得してしまった。
が、問題はどうやって動いているのか。
もしかしたらアキトがこのブラックサレナの操縦を?とも考えたが、それはすぐに否定した。
アキトならば、だっこを強請るような真似はしないだろうと。
それに、何故警戒心もなくココロに近付いてきたのか。
ブラックサレナを胸に抱きながら、ココロはゆっくりと歩き出した。
アキトたちを探すという目的は今だ達成されていないのに、長く足は止めていられないのだ。
階段へ向かう途中、ココロはひとつの仮説を思い付いた。
このミニサレナは、ココロをユーチャリスと認識しているのかもしれない、と。
このフロアにココロがやってきたのを重力波アンテナで感じ取り、近付こうと動き出した。
今はエネルギーが供給された上にユーチャリスの元に戻れたので、大人しくしているのだろうか。
しかし、ミニサレナが人のように自発的に動き回れる理由はまだ分からない。

「謎は増えるばかり、ですね…」






ブラックサレナ、ちんまり2頭身化するの巻。


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