第1話「ルドベキア」
プロスト契約を完了したあとアキトとラピスはある町外れの工場にきていた。
「モリカワ、いるか?」
アキトがそう言うと工場の奥から40代後半くらいの男が出てきた
「おお、アキトじゃねーか久しぶりだな、で?そちらのお嬢さんは?」
男、モリカワがラピスを見ながら言った
「ラピスと言う、成り行き上助けたんだがな、俺が引き取ることになった。……それより俺のルドベキアの様子はどうだ?」
「まあ大体終わってるんだがな、ちょっと追加したいモンがあったんでそれを取り付けてる所だ」
アキトの問いにモリカワが頭をガシガシとかきながら言った
「追加したいもの?……なんだそれは?」
「ああ、それはな新型のエンジンと武器だ」
「新型エンジン?」
「お前ネルガルのナデシコって知ってるか?」
「ああ、来月出航予定のやつだな俺とラピスもそれに乗ることになっている」
アキトが言ったことにモリカワが驚きの声をあげる
「まじか!まあ伊井さ、そのナデシコに搭載されている相転位エンジンは知ってるか?」
「ああ」
「実はな、ある筋からその相転位エンジンの設計図を手に入れてだな、
小型化に成功したんだよ!つってもほとんど不良品に近いがな?」
「不良品?なぜだ」
「フルパワーで運用するとエンジンが暴走して……どかん、だしかも並のライダーじゃ機体に振り回されるだけ」
「何でそんな危ない物を積む、俺に死ねと言うのか」
アキトが怒鳴る
「そうじゃねえよ、ちゃんとリミッターもつけてあるし、お前なら扱えると思ったから積んだんだ」
「ホントに大丈夫なんだろうな?」
「ああ、俺の腕を信じろ」
「……わかった、お前とは長い付き合いだ、信用するさ、で?武器の方はどんなのなんだ?」
「それは実物を見てもらった方が早いな、付いてきてくれ」
そう言ってモリカワが工場の奥へと進んで行った
「わかった。ラピス行くぞ」
「ウン」
アキトとラピスもそれに付いて行く
工場の奥には漆黒のエステバリスが一機鎮座していた
これがアキト専用のエステバリス通称ルドベキアである
しかしルドベキアは他のエステバリスとはかなり違った姿をしていた
「大分様子が変わったようだな」
以前はただの黒いエステだったのでアキトは違和感を感じた
「ああ、……まず左手に付いているのガトリングだがツインガトリングガンと言ってな見ての通り砲門を2つにすることによって連射性をのばした、一応言っとくがこれを使っている時は他の武器は持てないからな。つぎに腰にマウントしているブレード、これはディスフィティレーションフィールドを収縮させて刃に纏わせることができるがそのぶん機体の防御が薄くなるのが欠点だ、しかもルドベキア意外の機体だとフィールドが完全になくなっちまう、ついでに名前だがガトリングの方をガルム、ブレードの方をフェンリルと名付けさせてもらった」
「ガルムとフェンリル神話に出てくる2匹の狼か……」
「そうだ……で?質問は?」
「相転移エンジンだが……どのくらいの出力が出せる?」
「そうだな、リミッターの限界は本来の60%位ってところか」
「そうか、……で?料金はどんだけ上がるんだ?」
「んー、まあ本来の修理にプラスαだから………、ざっとこんなもんか?」
モリカワが電卓を叩いてその数字をアキトに見せる
「なっ、……こんなにするのか?」
そこに書かれてある値段を見てアキトが驚愕の声をあげる
「まあ少しぐらいまけといてやるが、ローン組むか?」
「そうしてくれると助かる、それといつぐらいに引き取れる」
「そうだな、急ピッチでやって一ヶ月くらいかな、まあナデシコ出航までには終わらせとくから安心しな」
「頼む……」
「あいよ」
「じゃあ、行くぞラピス……」
「ウン、ワカッタ」
「じゃあよろしく頼む」
「おう」
そう言ってアキトは出て行った