6歳の時、アインシュタインの十元連立非線形偏微分方程式を解いた――
10代始めに強襲揚陸潜水艦<トゥアハー・デ・ダナン>の設計を手がけた――
そして現在は<デ・ダナン>の艦長となり250名の要員を部下にもつ――
そんな私が――
「こんな所でなにしてるんだろ……」
9月13日 0820時(日本標準時)
陣代高校 2年4組
平和な日本の、平和な高校。天気も平和な日本晴れ。
「相良くん、今日も来ないみたいだね」
「そうね~」
それもそのはず。至る所で戦争ボケっぷりを発揮している相良宗介は『急な用事』の所為で昨日から休みを取っていた。
「急な用事ってなんなのかな?」
「あたしに聞かないでよ。しかし……」
かなめはイスに寄りかかり背伸びをする。
「あいつがいないと平和でいいわ」
「そんな事言って、カナちゃん寂しいくせに」
「何言ってのよ恭子!んなわけないでしょ!うはははは……」
いつものやり取りをしていると教室の扉が開いた。
「うす」
「おはよう」
「おはよ~。相変わらず仲がいいね」
恭子にからかわれた二人は千葉ユウジと浅野イオリ。
二学期から陣代高校に潜入しラピスの護衛をしている。
しかし、転校初日にいきなり名前で呼び合ったり、
「そんなんじゃねぇよ、こんな奴……」
「こんな奴ってどう言う意味よ!!」
皆の前で夫婦漫才もとい夫婦喧嘩をしたりして、今はからかいの対象だ。
「また始まった……」
このような感じで二人はクラスの皆と親睦を築いていた。
「アレ?ラピスは?」
そんな二人といつも一緒に居るはずのラピスが見当らないことにかなめは気付く。
「職員室寄ってる」
「職員室に?なんで?」
「留学生が迷子になってたんだと」
不用意に発したユウジの言葉にクラス中が反応した。
「留学生ってホントか!?」
「男?それとも女?」
「容姿は?」
「ウチのクラス?」
「浅野さん達が来たばかりなのにそんな訳ないでしょ」
「でも留学生だぞ!転校生じゃないから希望はある!!」
「ま、待て!俺は詳しく知らな……イテッ!押すな!!」
揉みくちゃにされるユウジにそれを見てあきれるイオリ。
「はぁ~……バカ……」
そんな時、天の助けとばかりに担任の神楽坂絵里が入ってきた。ラピスも一緒である。
「はい、皆静かにして!」
神楽坂はざわつくクラスを収め、席に着かせる。
「今日は新しいクラスメートを紹介するわ。入ってきていいわよ」
その合図に教室の扉が開かれ、生徒が一人入ってくる。
小柄でアッシュブロンドの髪に赤いリボンを結んだ灰色の瞳をもった少女。その姿に男子は歓声を上げ、女子もはしゃぎまくる。かなめを除いては……
「テレサ・マンティッサです。テッサと呼んでください」
同時刻
ネルガル 会長室
『……じ~……』
「何だ?」
『大丈夫なんですよね?本当に大丈夫なんですよね?』
「大丈夫!大丈夫!」
昨日からダッシュは同じ質問を明人にぶつけてる。もちろんテッサの件である。
あの後、明人はテッサを自宅に招待し、暖かい食事と部屋を用意した。次の日には留学の手続きをムリヤリ行い、彼女にあった制服を作る。
テッサはなにやら抗議していたが、それもむなしく今日から陣代高校に二週間ほど通うことになった。
『ハッキング……不法進入……少女誘拐……拉致監禁……私は目の前が真っ暗になってきました』
「俺たちのかつての肩書を忘れたのか?一々気にするな」
『何言ってるんですか!最悪の場合、ミスリルと全面戦争ですよ!!』
ミスリル唯一のウィスパードを誘拐したのだ。そうなってもおかしくはない。
「仮にそうなったとしても俺とサレナで対応可能だよ。それに“アレ”を付けられれば……」
『言っときますけどね……“アレ”の分析はまだ終わってませんよ。分析終了が11月~12月。装置の取り付けはそれ以降です』
「……そうなると相良のASをどう撃退するか考えないといかんな」
『………(絶句)』
「まぁ、何とかなるよ」
『あああぁぁぁぁっっ!!不安だあああぁぁぁぁっっ!!!』
この日、ダッシュは自作のワクチンを大量に投与することになる。
あとがき(いいわけ)
こうしてダッシュ君は胃潰瘍(仮)になったとさ……
テッサのBJについて
数秒間は戦艦クラスの出力を出すことが可能……と考えてください
p.s.
テッサは宗介に恋してないので、自分から高校に通うとは言い出さないと思う。
修正
『う』だったorz