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No.9229の一覧
[0] 最初から善人ぶる必要はないの[銘天](2009/06/03 19:29)
[1] 観測[銘天](2009/06/01 23:28)
[2] のんのん[銘天](2009/06/02 19:06)
[3] のんのは雑誌[銘天](2009/06/08 18:26)
[4] 捕獲網[銘天](2009/06/09 18:59)
[5] おーじんじ[銘天](2009/06/09 23:41)
[6] ばらばら[銘天](2009/06/11 23:13)
[7] らぴすとげんじょーさんぞーではない[銘天](2009/06/12 21:31)
[8] 披見体[銘天](2009/07/04 08:35)
[9] 自問していない自答[銘天](2009/08/31 22:36)
[10] みらいとかことじぶん[銘天](2009/09/06 09:52)
[11] 何がしたいかわからない[銘天](2009/09/08 09:46)
[12] やることをやるべきで、やったひと[銘天](2009/09/16 21:31)
[13] みわたしてみる[銘天](2009/09/23 18:06)
[14] 夢とか自由は広すぎて現実味がない[銘天](2009/09/24 19:11)
[15] 土壌改良[銘天](2009/09/30 21:33)
[16] 操り糸につながれた戦神[銘天](2009/12/27 08:10)
[17] 過去幻影(改訂[銘天](2010/04/20 00:11)
[18] マシンチャイルド[銘天](2010/04/20 08:24)
[19] 可能性の回避[銘天](2010/05/05 18:35)
[20] 過去未来過去未来未来過去かこかこ[銘天](2010/05/09 08:12)
[21] 未来は過去になって過去は未来へと進む[銘天](2012/10/28 20:22)
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[9229] 夢とか自由は広すぎて現実味がない
Name: 銘天◆8a7bd4a0 ID:18ab25bc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/24 19:11
「裏連中は、火星を火種にしなければいい。木連は、適度に戦争抑止力に使おう。
彼らを、火星自衛に取り込んでもいいさ。」
「わたしたちの存在さえなければ、彼らは侵略された被害者だから問題はない。
でも、わたしたちが介入する場合になれば話は違う。」

可能性としては、物量作戦に出られた場合だ。
古代火星から継承された技術、プラント、相転移エンジン、DFらの技術は木連が占有している。

過去においてネルガルもまた、彼らの技術を有していた。
それでも、実戦に持ち込めたのはIFSとエステバリスだろう。
相転移エンジンは稼動しなかったものがあったが、実際にはイネスフレサンジュという天才がいなければ、実働はできなかった。

彼女が存在しなければ、相転移エンジンは地球側には存在しない。
そして、彼女はアイちゃんがいなければ存在しない。
現在の時点で、アイちゃんとイネスは同時に存在している。

戦争は起こっていない。
自分たちが戦争を起こすつもりもないために、イネスの存在が不安定なものになる。
「実際に、ユーチャリスを見て判るのは、大使の船にいた連中だけだ。
イータユニットの建造続行と共に、ユーチャリスの改修を提案する。」
ラピスは思案もなく答えた。
「わたしも賛成。ワンマンが可能でも、6ヶ月連続航行では心もとない。
補給艦として独立可能のイータに対応させる。」
「いいだろう。」

イータユニットは、ユーチャリスの火力増強と空間の拡張に重点が置かれている。
もともとが小型な船だ。
そして、短期間の電撃作戦に適応できるようになっている。
最低限の生活空間と、許す限り搭載した武器。
極めつけは、艦の全長と変わらぬセンサー翼。

この生活がいつまで続けられるかは判らないが、旅立てる状況にしておいてもいいだろう。

「ネルガルは、相転移エンジンとDFの技術で特許をとろうとしている。
どうする?木連とのいざこざは問題がある。」
「兵器技術でもって、交渉するんだ。あちらが公開しない限りは控えさせろ。
エステバリスの駆動系とIFS以外のインターフェイス技術は開発進行しているか。」
「している。」
ラピスがウインドウを展開した。
エステバリスの概要と機体写真。

「スレイブタイプ。アサルトピットとは別系統の、拘束具型操縦方式。
IFS技術を流用して、外部からの意思読み取りと肉体の最小稼動を増幅する。」
「じゃあ、それを進めさせろ。」

「わかった。それで、はなしは変わるけど。」


ブリッジのシートに座って、ラピスは自分のひざの上に座っていた。
やわらかい体。体温は少々高めだ。
肘掛に手を置いて、ラピスは自分の手に掌を重ねていた。

鼻先にあった頭が振り返り、髪から少女の匂いがした。
「アキトは如何したいの。」
「俺は、料理はもういいと思う。
挫折させられて復讐をした。けれど、いまさら料理に未練を覚えないんだ。」

「アキトはがんばっているみたいだけどね。」
イントネーションの異なる、自分と同じ名前。
「あいつはあいつだ。
夢なんてのは広げるのも、見るのも簡単だ。でも、現実させるには現実が厳しい。」

「厳しいの?」
「ああ。」

「じゃあ、どうする?」

「まずは、あいつの夢に便乗してみよう。それから、商売をしても良いし、何かを作る仕事を始めてもいい。」

「厳しいんじゃないの?」

ラピスはさっき言っていた厳しさをリンクから感じていないから、聞き返してきた。
まったくもって、ラピスの思う疑問は正しい。

「金銭的にそれに頼るなら厳しい。でも、お金はあるし、時間もある。世界を見ても構わないだろう。お嬢様。」

振り返ったほっぺたを両手で包み込んで、笑いを見せる。
「確かに。アキトの言うとおり。」
髪の毛を撫でた。


ネルガルの実権はラピスが握っている。
ネットワークは彼女の掌にある。
そして、自分は彼女に生かされる。


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