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No.35320の一覧
[0] NARUTO ~もう一人の守護忍十二士~[岡目印子](2014/08/17 02:10)
[1] 第一話[岡目印子](2014/08/16 20:59)
[2] 第二話[岡目印子](2014/08/17 02:00)
[3] 第三話[岡目印子](2014/08/21 00:26)
[4] 第四話[岡目印子](2014/11/07 15:25)
[5] 第五話[岡目印子](2014/12/17 23:20)
[6] 第六話[岡目印子](2014/12/18 01:31)
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[35320] 第二話
Name: 岡目印子◆2d25a1f8 ID:f5cc0241 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/08/17 02:00
 波の国の近くまで辿りついた頃には、激しく降り続けていた雨もすっかり止んでいた。
 あの戦闘の後からは追手がやって来なかったところを見ると、しばらくは木ノ葉から暗部を送られてくるということはなさそうである。しかし、恐らく相手は木ノ葉の暗部組織――“根”のダンゾウであるため、油断は禁物である。

「センさん、雨も止んだことですし食事にしませんか?」

 小規模であるが、商店街の通りをセンリ達は歩いていた。行き交う商人や婦人、子供がそれぞれに口を動かして騒いでいた。

「そうしようか。黒はどこの店が良い?」

 センリ達は変化の術で全く別人に変わっているので、波の国の人々に正体がばれる事は無い。ただ、名前をそのまま使うと感づく者がいるかもしれないので適当な偽名を使って互いを呼び合うようにしていた。
 自分達の他にも変化している忍が中に紛れ込んでいるが、別にこちらを狙ってきているというものではないので気にすることなく素通りをしていく。ここ波の国は島国であり、且つ若干の無法地帯と化しているため、ならず者や抜け忍が集まりやすいのである。

「僕はセンさんが良い場所が良いです!」

 相変わらず白は私に綺麗な笑顔を見せてくる。変化で別人になっていても元の顔の様子が想像できるほどに、である。こうした彼の様子にセンリが癒されたことはこの五年間で数えきれないくらいあるだろう。

「なんだ?」

 それに対して再不斬は、いつも顔に包帯を巻いていて厳しい目つきである。加えて性格も不器用というオプションが付いているのが面倒くさい。

「斬はどこがいいのか、と思ってな……」

「それを聞くような目じゃなかっただろうが、今のは」

「いや、それは誤解だ。日光が当たっていて険しく見えたのかもしれないな」

「はぐらかすんじゃねぇ。本当は何が言いたかったんだ?」

 こうなると最後まで問い詰めてくるのが再不斬である。

「あの、僕あの店が良いです! ささ、お腹も減ってますし早く入りましょう!」

 両者の雲行きが怪しくなっていくのを悟った白は、間に入って場を和ませようとする。

「チッ……」

 白に対して弱い再不斬は、舌打ちをしながら白が指さす店のほうへ歩いていく。まあ、これがいつもの流れなので別にセンリ達が仲が悪いという事ではない。ただ、たまに二人に悪戯したくなってしまうだけなのだ――

「センさんも、行きましょう!」

「私はあっちの店がいいなぁ」

「もう、センさん!」

 ――こう言う風に



     *     *     *     *     *



 店でそれなりの食事を終えたセンリ達は、民家から離れた人気の無い建物へ来ていた。
 その目の前にある厳重な塀の中の大きな建物――“ガトーカンパニー”はセンリ達の居場所である。表向きは海運会社ということになっているが、実際は裏稼業を生業としており、センチ達は彼らの裏の仕事を引き受ける代わりに安全な居場所を設けて貰っていると言うわけである。

「おぉ、センリさん。帰りが早いですねぇ~」

「報酬を受け取りに来た――」

 センリは巻物から麻袋を口寄せしてガトーのほうへ投げる。中に入っている首を確認すると、彼は口角を上げて頷きながら部下に指示をした。

「これが今回の報酬――五万両です」

 要人暗殺というSランク任務となると百万両以上の報酬が普通なのだが、居場所を提供して貰っている以上センリ達はこの安い報酬で任務を引き受けるしかなかった。ガトーもそのことをよく分かっているから、このような破格な報酬しか出さないのである。

「あなた達には今後も期待してますよ。……ということで、これが次の仕事です」

「分かった」

 センリ達は報酬金と次の任務が記された紙を受け取ってさっさと部屋から出た。彼に期待されている以上、媚を売るよりもドライで相手に隙を見せない対応をしたほうが足元をすくわれ難いだろう。

「ガトー様に失礼な態度を取るなっていつも言ってるだろ?」

 部屋から出ると、ガトー専属ボディーガードの侍であるワラジに睨みつけられる。しかし、センリ達は彼を無視して歩き続ける。

「おい……何とか言えよ! ロクでも無いてめぇらに、ガトー様の御慈悲で居場所を与えられている事を忘れたのか?」

 ワラジがセンリの肩を強く掴んで動きを止めようとする。センリは無視をして前に進もうとしたが、彼は更に手に力を込めてそれを許そうとはしなかった。

「止めろ、白」

「ッ……分かりました」

 ギロリとした目でワラジのほうを振り向いた白をセンリは即座に止めて、彼の方へ振り向いた。

「ったく、手間取らせやがって……。取りあえず、いまからガトー様に謝って来い。そうすれば、今回は許してやるよ」

「貴様ッ!」

「白!」

 歯茎を剥き出しにしながら白が千本を取り出そうとするが、センリは見開いた白い眼で彼を睨みつけた。すると、白はシュンとして下を俯いた。

「部下の管理は、しっかりしてくれよ?」

「申し訳ない。彼はまだ若いから許してやってくれ」

「まあ、ガトー様のお気に入りであるセンリさんだからな、良いって事よ。……それじゃ、謝ってきてもらおうか」

「その必要は無い」

「…………あぁん? 今、なんて言った?」

 前に進んでいたワラジがゆっくりとこちらへ振り向いた。センリが放った言葉はガトーへの非服従の言葉と受け取ってもおかしくないだろう。

「その必要は、無いと言っている――」

「――ッ!?」

 ワラジがセンリの方を振り返った瞬間に、まるで石像と化したかのように固まってしまった。彼の顔からは大量の汗が流れ、次第に全身が震え始めていた――
 センリの眼は鏡の様に透き通っていて、ワラジの目を真っ直ぐに見つめていた。彼の目には何が映っているのかは分からないが、様子を見ている辺りかなり畏れ多いものを見ているに違いないだろう。

「必要は無いな?」

「……あ、ぁぁ」

 ワラジは今にも失禁しそうな脆く弱い声で返事をして、その場に膝を付いてしまった。それを確認するとセンリは再び振り返ってガトーカンパニーを後にした。

「センリ、それはあまり使うなと言ったはずだ」

「すまない、再不斬。でも貴方や白の事を否定するのはどうしても許すことが出来なかったんだ」

 センリが再不斬の方を向いた時には、彼女の目はいつもの白い眼に戻っていた。

「センリさん……」

「白……お前はもっと忍になるべきだ。でないと、この先を生きていくにはかなり不自由だぞ?」

「分かっています……けど…………」

 拗ねている白をセンリはそっと抱き寄せながら頭を撫でてやる。すると彼が強く抱き着いてきたため、センリの一本に纏めていた黒い長髪が少しだけ乱れてしまった。

「今回は白のおかげで助かったよ。これからもよろしく頼む」

「あ、ありがとうございます! ……僕、もっと頑張りますね!」

「フッ、甘やかしてんじゃねーぞ。ヘマした白は取りあえず水牢の刑だな」

「えぇ!? ざ、再不斬さん、それだけは……っ!」

「冗談に決まってんだろうが……! だから泣きそうな顔するんじゃねぇ……」

 やはり再不斬は不器用である――


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