次の日、下忍試験合格者説明会の会場へと到着したオレは指定された席に着いた。あ、サスケが隣か。
しっかし・・・昨日は大変だったってばよ。なんでブン殴った相手に懐かれたんだ?
「アレ?ナルトォ!なんでお前がここにいんだよ!今日は合格者だけの説明会だぜ」
名前すらも覚えていない同期の一人に馬鹿にした様子でそう尋ねられた。
こいつ・・・受験したのはオレが最後だったから知らないのも仕方ないが、ハナっからオレが落ちるとしか考えていなかったみたいだな。
どいつもこいつも・・・ムカつくってばよ。
「お前さ・・・この額当てが目に入んねーのかよ」
苛立ちを出来るだけ抑えつつ返答する。
「なんだ・・・落ちこぼれのオマエでも合格出来たんだな!!まぁ試験簡単だったし当たり前だろ」
・・・こんなとこでつまんねー話をしてるくらいだったら、さっさと帰って兄ちゃんと修行したいのに。
もっと修行して色々な術を身に付けて・・・オレはあいつらにも苦しみを教えてやるんだ。
あと、イタチさんにも頼まれたのもあるし、オレ自身の為もあるし。偶然席が隣になったサスケとも仲良くしねーと。
そんな事を考えていると、何時の間にか目の前に少女が居る事に気がついた。
こちらへ向かって何かを話している。
「―――――ルト!ナルト!!!ちょっと!聞いてるの!?ねえ、ナルト!!そこをどけって言ってんの!」
キーキーうるせえってば・・・確か、春野サクラだったっけ。アカデミーでオレを異様に嫌っていた女の子だ。
この一ヶ月で色々な事が有り過ぎてアカデミーの同級生の名前もうろ覚えになってしまった。
「・・・せェってばよ」
「え!?何?聞こえないんだけど!!そんな事より早く―――」
「うるせェってばよ!サクラちゃん!!」
少しイライラしてしまい、キツい口調でそう言ってしまった。サクラちゃんが驚いた顔をする。
オレたちが裏で何をしているのかを悟られないため、なるべく今まで通りに皆と接しろ、と兄ちゃんに言われていたのだが、さっそく
失敗してしまった。
オレのひどい台詞に、サクラちゃんの周りの女子とサクラを好いている男子達が怒り始める。
「オイ!!ナルト!サクラちゃんにその態度はねーんじゃねぇのか!謝れよ!!」
「ナルト!あんたってサイッテーね!イライラしてるからって人に当たるなんて!」
「ドべの癖に調子に乗ってんじゃねーよ!」
「や、やめなよ・・・ナ、ナルト君がかわいそうだよ・・・」
「お前は酷い目に合わせてもいいってとーちゃん達が言ってたんだ!!いっぺん痛い目みせてやろうか!」
・・・あぁ、兄ちゃん。やっぱりこの里はダメだってばよ。
大人も、子供も。みんな・・・腐ってる。何言われても我慢するように言われてたけど・・・そんなの、無理だってば。
オレがもっと・・・強ければ。すぐにでもこんな里ぶっ潰してやる・・・
「・・・やってみろ。千倍にして返してやっからよ」
真紅の狐のような目に変わったナルトが鋭い目付きで相手を睨みつけた。
騒いでいた連中が一斉に静まり返る。
・・・この一ヶ月、オレは必死に修行して強くなったんだ。前とは比べ物にならねェくらいに・・・。
今のオレは落ちこぼれじゃねェ!お前らを倒す事だって簡単に――――
「やめてよ!!!」
突然誰かがそう叫んだ。・・・サクラちゃんだ。
「ナルトも落ち着いて!みんなも!なんでそんな酷い事言うの!?」
サクラちゃんに言われた連中が、でも・・・とか言い始めるが、サクラちゃんが遮る。
「私は別に気にしてないから!皆もうやめてよ!!」
アカデミーの頃からサスケサスケうるさいただの女の子だと思ってたけど・・・
どうやら違うみたいだってば。・・・オレも冷静にならねーと、兄ちゃんに言われてんだから。
「・・・ゴメンだってばよ、みんな。オレ、ちょっとイライラしちゃっててさ」
良かった。ナルトも皆も落ち着いたみたい・・・
それにしても・・・
(あれがナルトなの?・・・一ヶ月前とはなんか、雰囲気が違う・・・)
なんだか、凛々しくなったというか。
服装もダッサイ格好から赤いマントになってるし・・・
(・・・ちょっと、ほんとにちょっとだけど)
――――カッコイイかも・・・。
サクラが熱い眼差しでナルトを見つめている頃、サスケもナルトを見ていた。
(・・・なんだ?一瞬だが、ナルトから・・・凄い量のチャクラが放出された様な気がしたが・・・いや)
あいつはドべだ。そんな訳あるか、と考え直すサスケだった。
あとがき
モブキャラには原作より酷いキャラになって貰いました。
まぁモブだしいいよね!