「忍たる者―――基本は気配を消し、隠れるべし」
カカシは全員が隠れたのを確認すると、周囲に聞こえる様大きな声で言った。
―――よし、みんなうまく隠れたな。
さて・・・誰が最初に動き始めるかな・・・?まぁ、十中八九あいつだろうけど・・・
「いざ尋常に、勝~~~~~~~~~負!!」
・・・やっぱりか。全く・・・見た目は先生にそっくりだけど、中身は完全にガキんちょだな・・・。
さぁて、オレが少しお灸を添えてやりますか。
「あのさァ・・・お前、ちっとズレとるのォ・・・」
カカシが呆れているその頃、物陰で様子を伺っていたサスケも同時に呆れていた。
(・・・あのウスラトンカチ・・・・・・。やっぱりあのとき感じたのは気のせいだったか。
まぁいい。あいつがカカシの気を引いている間にスズを奪い取るか)
カカシ先生にはズレてるとか言われちまったが、オレも考え無しにとびこんだ訳じゃない。
まずは様子を見るってばよ・・・。
と、走って近づこうとすると、カカシ先生はホルスターへ手を伸ばした。
・・・何を出すんだ??
「忍戦術の心得その1・・・体術!!・・・を、教えてやる」
・・・体術、って・・・武器取り出そうとしてないか・・・?それとも、何か別のものを出すのか?
オレがカカシ先生の出方を伺っていると、カカシ先生は[それ]を取り出した。
・・・・・・・・・は?イチャイチャ・・・パラダイス?
なんだアレ・・・本か?本だってばよ、どう考えても・・・。どういう事だ?
「・・・?どうした、早くかかって来いって」
「・・・いや、そうしたいのはやまやまなんだけど・・・なんで?なんで、本なんか・・・」
「なんでって・・・本の続きが気になったからだよ。別に気にすんな・・・お前らとじゃ、本読んでても関係ないから」
・・・・・・。
コイツ・・・コイツ!!!!
オレの事思いっきり舐めてやがるってばよ!!!
くっそ・・・ここまで舐められるとすっげェムカつくってばよ!もう容赦しねェ!!
「ボッコボコにしてやる・・・!」
一発目の右手でのパンチがカカシ先生の左手で簡単に受け止められる。
すかさず、二発目のキックを出すがこれも簡単に躱されてしまった。
くっそ・・・やっぱり体術は全然当たらねぇってばよ・・・。
次の一発を出す前に、カカシ先生に裏に回り込まれてしまった。
「忍者が何度も後ろ取られんな、バカ」
ナルトが戦っている光景を離れたところから見ていたサクラとサスケは、カカシが印を結んでいる事に気がついた。
(・・・え!?あの手の構えって、虎の印!?・・・え?・・・うそ・・・ナルト相手にいくら何でもその忍術は!!)
(まさか・・・あの印は火遁の・・・。教師のヤロー、逃げ回るだけじゃないのか・・・)
ナルトを心配したサクラが物陰から抜け出して大声で叫んだ。
「ナルトーーーーーー!!早く逃げなさいって!!!アンタ死ぬわよォ!!!」
ナルトが、え?とサクラの方を見るが、既にカカシは準備を終えていた。
「――――――遅い」
ナルトが振り返る、その前にカカシは[それ]を発動した。
「木ノ葉隠れ秘伝体術奥義!!!千年殺し~~~~~~っ!!」
と、それを喰らったナルトが、ぎいやああああああああああああああ、と叫んで飛び上がる。
それを見ていたサクラはボソリ、と呟いた。
「なんだァ・・・忍術じゃないのかァ・・・何が奥義よ・・・ただのモノスゴイ[カンチョウ]じゃない」
そう、ナルトが食らったのは、忍術などではなく、ただの浣腸だった。ただし、そこは上忍、腕のスピードが
桁外れなので、浣腸も凄い威力を発揮する。
さすがのサスケも少し汗をかいて見ていた。
「・・・・・・・・・。ウスラトンカチが二人・・・フン!」
その瞬間、その場に居合わせた三人が誰もが考えていない事が起こった。
浣腸を喰らい空高く飛んでいたナルトが、ボン、という音と煙と共に消えたのだ。
カカシ、サスケ、サクラの三人は、ナルトが影分身でずっと戦っていたとは全く考えていなかった。
(――――――!?影分身、だと・・・?まさか、あんなに長時間を影分身で戦っていたのか!?あのナルトが・・・)
(・・・え!?ナルト、今まで影分身だったの!?全然そんな風には見えなかったのに・・・!)
(・・・あのウスラトンカチ・・・!)
予想外の出来事に固まったカカシだったが、直ぐに思考を復活させると、実体のナルトを探し始めた。
(・・・まさか、あいつがあんなに影分身を長く使えるとは思わなかったが・・・本体はどこ――――)
考え終える前に、突然近くの川の中から小さな青白い球が3つほどこちらへ向かって飛び出してきた。
なっ・・・!!あれは、雷遁・小雷弾・・・!初歩的な雷遁忍術で使用チャクラもそう多くはない・・・が!
何故、ナルトがアレを使える・・・?
驚く間も無く、ナルトが水中から飛び出してきた。
「カカシせんせェ!!散々オレをバカにしてくれたお礼はしっかりしてやるってばよ!!」
そう言うと、ナルトがまた印を結び始める。あれも、雷遁か・・・!今度はなんだ!?
印を結び終えたナルトがこちらへなかなかのスピードで近づいてくる。
そのまま、術を発動した。
「雷遁・電磁波の術!!」
そう言うと、ナルトの周囲から微弱な電気がこちらへ流れて来た。・・・なんだ、あの術は?
距離をとってその電擊を避けると、ナルトが悔しそうにする。
「・・・ちぇっ!やっぱ、単体じゃあ全然当たらねェってばよ・・・なら!!多重!影分身の術!!!」
ボボボボボボン、と数十体のナルトの影分身がオレの周囲を取り囲む。
なんだ・・・!?ナルトの奴、影分身をこんなに・・・!こんな量の影分身を出したら、あっという間にチャクラが切れる筈・・・!
やはり・・・九尾の人柱力・・・!チャクラ量は半端ではないという事か・・・!!
「「「「「雷遁・電磁壁の術!!!!!!」」」」
今度は周囲の影分身全体から微弱な電気がこちらへ放出された。
くッ・・・こうなったら、仕方ない!
「――――――――風遁・真空渦!!」
オレを取り囲んでいたナルトの影分身達が風の渦によって消えていく。
「ああああぁあぁあぁあ!!!あとちょっとで当たったのに!!」
ナルトが悔しそうに叫ぶ。しかし、弱い雷遁とは言え、ナルトが雷遁を使えるとは・・・。
このままじゃずっとナルトの相手をする事になってしまうので、ここらでナルトには退場してもらおう・・・。
ナルトが悔しがっている頃、いつの間にか術を発動していたカカシが地中からナルトの足を掴む。
うわぁっ、と驚くナルトをそのまま地中に引きずり込むと、頭だけを出させてそのまま放置した。
「・・・土遁・心中斬首の術、っと・・・。ま!ナルト!お前は良くやったが、ここで大人しく埋まっといてちょーだい!」
出せ!出せェェェェェェェエエエ!と叫ぶナルトを一瞥すると、他の二人を探し始める。
(―――――まったく、何がドべですかね・・・・・・)
――――四代目火影・・・やはり、先生の血は確実にこの子に受け継がれている様です・・・。
あとがき
久しぶりのあとがき。雷遁の忍術が原作だと凄いのしか無いのでオリジナルをやっちゃいました。
というか、雷遁以外の術でもナルトって初歩的な5遁忍術ほとんど無いよね・・・。