木の葉から帰って来たオレは、兄ちゃんにすぐに修行をつけてくれと頼んだ。
ちなみに、オレの家には兄ちゃんが作ったオレの分身体が住んでいる。
チャクラ切れや大怪我を負わない限り消える事は無いスグレモノらしい。
一ヶ月も木の葉を留守にするので、怪しまれない様にする、という事だった。
その前に聞きたいことがある、と兄ちゃんは言った。
「ナルト・・・お前は恐らく有り余るチャクラを上手く使いこなせていないだろう」
図星だった。やはり兄ちゃんは何でもお見通しなのか。
オレは素直にチャクラコントロールが上手くいかない事を説明すると、
「有り余るチャクラのコントロールならオレよりも輪廻眼を持っているペインの方が上手く教えられるだろう。
ペイン、お前は小南と共にナルトのチャクラコントロールの修行を手伝ってやれ」
驚いた。てっきり兄ちゃんがオレの修行を教えてくれるものだと思っていたのだが。
兄ちゃんも何か用事があるのかな?
「フン・・・世話の焼ける奴だ」
「いいでしょう・・・コントロールなら私も教えられるわ」
ありゃ?小南さんはともかく意外とペインさんも優しいんだな。
でも・・・ペインさんって本当に強いのかな?
雨隠れの里の長が弱い訳が無いのはわかるけど、なんか顔色があんまり良くないし、眼は奇妙だし。
修行の時にペインさんの力を見せて貰うってばよ!!
「ありがとだってばよ・・・でも、兄ちゃんは?」
「オレは少しやる事があるのでな・・・ナルトのチャクラコントロールが上手くなったらオレの火遁の術を教えてやる」
やった!俄然やる気が出てきた!!さくっとコントロールをマスターして火遁の術を教えて貰うってばよ!
雨隠れの里から少し離れた海の上に小さな島があった。
どうやら、此処で修行をするらしい。
「さて・・・始めるぞ」
「その前にさ!!」
始める前に聞いておこう。
「修行の前に聞いておきたいんだけど!ペインさんって本当に強ェの?顔色悪いし、あんまりそうは見えないってばよ」
「・・・。」
(この子は・・・長門が幼ない頃から気にしていた事を・・・!)
あれ、怒らせちゃった?そんなに失礼な事言ったっけ??
「・・・いいだろう。其処まで言うなら見せてやろう。このオレ、ペインの・・・神の力を」
戦う事になった。
「いつでも来い、ナルト・・・お前ではオレに指一本触れる事は出来ん」
自信満々に言うペインさん。確かに・・・オレ一人ではまず隙を作る事は出来ないだろう。
だったら!あの時の巻物に書いてあったアレを使ってみるってばよ!
「影分身の術!!!」
ボン、という音と共に、実体を持ったナルトの分身がペインを取り囲む様に現れる。その数、数百体。
「チャクラ量が多いとは言っていたが・・・まさか、これほどとはな」
ペインさんも若干驚いた顔をしてる。まーそれほどでもあるってばよ!成功したのはラッキーだけど!!
「これなら流石に全部は防ぎきれないってばよ!いっくぜェ!」
掛け声と共に、分身1体につき2つの手裏剣をペインさんに向かって投げる。
これなら全てを避ける事は絶対に不可能だ。なにせ、全方位からの手裏剣なのだから。
絶対に不可能な、筈だった。
―――よっし!当たる!!
そうオレが確信した時。ぼそり、とペインさんが言った気がした。
「―――――――――神羅天征」
一瞬、何が起きたのかオレには全く理解出来なかった。
全方位からの手裏剣も、何百体も出した影分身も、本体のオレも。
すべてが、[何か]によって吹き飛ばされてしまった。
「うぁああああああッ!!!」
恐らく、術の威力はかなり手加減をしてくれたのだろう。吹き飛んだ衝撃はさほど大きくは無かった。
吹き飛んだ衝撃は少なくとも、オレが受けたショックは大きかった。
絶対に当たったと思ったのに、すべてが一瞬で弾かれちまった。
なんなんだってばよ!あの術は!
アカデミーで習った(気がする)五大属性である、
火遁・風遁・雷遁・土遁・水遁。
そのどれにも当てはまるような術では無い気がする。
火遁や雷遁や水遁なら体に火が付いたり、痺れたり。びしょ濡れになったり。
風遁にしては風で吹き飛ばされた感じではないし、土遁で壁が出来たわけでも無い。
珍しく頭を使って考えるナルトだったが、さっぱり分からない。
――――オレが寝てる時の授業でこんな術も教えていたのかな?でも、オレは五代属性の授業はちゃーんと受けてたよな。
多分――――ペインさんだけのオリジナルか。
「印も何も結んでないのに!一体何なんだ、今のは!?」
「言ったろう、オレは強い。神なのだからな。人間は神には勝てはしない」
確かに、ペインさんはすっげェ強ェ。次元が違う気がする。
・・・でも。
「あんまり・・・、その、[神]って言うの、カッコよくないってばよ・・・」
つい、言ってしまった。見ると、小南さんが頭を抱えている。
「―――――――地爆天星!!」
やっちまった!またペインさんを怒らせちまった!
今度はさっきの弾く術とは正反対で、黒い球にすさまじい力で引っ張られた。
「ごめんなさいってばよぉぉぉぉぉおお!許してェェェェェェェエエ!!!!・・・・・・・・・・」
この人は怒らせないようにしよう。
あとがき
下忍になるまではだいぶ先になりそうだなぁ・・・