「お遊びは此処までだ・・・さっさと修行を始めるぞ」
謎の引っ張られる術を解いたペインさんは、相変わらずな無表情でそう言った。
オレをあんなにひどい目に合わせといて・・・お遊びかよ!
オレがめっちゃくちゃ強くなったら覚えてろ~、と思うナルトだった。
「―――ナルト君、アナタはチャクラを集中させる時に力みすぎる癖があるわ。だから水面に浮かぶ事が出来ない」
あれから修行を始めたオレは、チャクラを足に集中させて水の上に浮く練習をさせられている。
なんでも水面歩行は基本中の基本、これが出来なければ忍術もロクに使えないらしい。
影分身の術はチャクラ加減を間違えても分身が失敗したり分身体の数が多過ぎる様になるだけで、オレにはもともとのチャクラ量が多いので
分身の作り過ぎでチャクラ切れを起こす事はそうそう無いらしいのだが、問題は攻撃系の術だという。
火遁の術にせよ水遁にせよ、過剰なチャクラを用いて攻撃術を用いると、術が暴走を起こすことがあるらしい。
最悪の場合、自分が放った術で自分が命を落とすという情けない死に方をしてしまう。
そんなのは嫌だなー、と思いながら小南さんに注意された事に気を付けてもう一度水に浮いてみる。
じっと、足の裏に送るチャクラの量を一定に保つ。言うのは簡単だけど、実際に行動に移すのはとんでもなく難しい。
何度やっても途中で送るチャクラの量を多くし過ぎてしまう。
集中、集中――――――――――。
集中――――――――――――――――
――――あ、チョウチョだ。
ざぷん、という音と水飛沫と共に、ナルトの体が水に沈む。
「うわぁっぷ!!ま、また失敗だってばよぉーーー!」
「――――万象天引」
ペインさんがまたオレを水から引っ張り上げてくれた。さっきから、オレがこうして水に沈むと術を使って引っ張り上げてくれる。
なんだかんだで優しい人なのだろう。眼は、おっかないけど。
「・・・集中しろ。もう一度だ」
オッス、という声と共にナルトが再び水に浮き始めた。
ナルトがペイン達と共に修行をしている同時刻、仮面の男――うちはマダラと名乗る男は考えていた。
(ナルトは元々のチャクラ量が多い。それに、九尾のチャクラが自由に使えるようになれば、その量はとんでもなく多くなる。
あいつは、長門と同じうずまき一族だからな・・・生命力は伊達では無いだろう。
写輪眼の移植、柱間の細胞の移植、それにあのジジイから預かった[アレ]の移植・・・
どれも無理な事ではないな。むしろ、全て可能かもしれん・・・
長門もあのジジイからあれを秘密で移植されてあそこまでなったからな。
九尾のチャクラにあの眼が加われば・・・九尾を無理矢理従わせて戦い敗れたあのジジイ以上になるだろう。
そうなれば、あの計画の為の最強の兵器になる)
ククククク・・・という男の声だけが、薄暗い建物の中に反響していた。
「ようやく立つ事は普通に出来る様になったか。次はその状態から水の上を歩いてみろ」
やっと浮かぶ時のチャクラのコントロールは出来る様になった。
ここまででもうヘトヘトだってばよ~。
「立つのは簡単だが、歩くとなると話は別だ。片足を浮かす時はもう片足に送るチャクラの量を多くする。
浮かした片足をまた水面に戻す時はまた最初のチャクラ分配に戻す。骨が折れるぞ」
ええええええええ!むしろ今までの簡単だったのーーーー!?
勘弁してよーーーーーーーーーー、というナルトの悲痛な叫び声が響く。
あとがき
トビの人格はいつ登場させるかな・・・
トビの人格の説明ってちょっと難しいですね~