3度めのアカデミー試験の前日、三代目火影に呼び出された。
12歳となった俺は特に危うげなく2回の試験も合格。卒業は決まっている為に3回目の試験にはあまり力もいれていない。
その為、何の躊躇もなく俺は三代目の執務室へと足を運ぶ。もう住んで10年以上の建物故に迷う事無くたどり着いた俺は思案する。今日は何故呼び出されたか…理由としてはいくつか考えられる。
1.ナルトがとんでもないイタズラをしたための愚痴を聞かされる
これはあまり考えていない。ナルトは現在卒業試験に向けて特訓中のためイタズラをしている余裕はないだろう。もっとも、今回の試験はあいつの"得意"忍術なので特に心配はしていない
2.先日少しばかり自然破壊をしたお咎め
これもない。どちらかと言えば俺よりもカカシ上忍の方が破壊していた。確かに部屋からはカカシ上忍、三代目火影、後は1人の忍の気配を感じるが、カカシ上忍のチャクラの乱れも無い所を見るとそう言った話ではないだろう。
3.新しい任務の通達
これもないか。3歳の時から暗部の仕事に触れてきたがこういった任務通達は密書にて行われる。
ならばどういったものか…いくら考えてもわからない。まあ、そこまで酷い話でもあるまいし、俺は何事も無く部屋の扉を開き入室する
「よく来たな。七夜」
「ええ、本日はどういったご用件で?」
「ふむ…」
腕を組んだ三代目はカカシとは別のもう一人の忍(面を付けている所を見ると暗部だろう)に目をやった
それにつられて目を向けると暗部は徐ろにその面を外した。
「お主は明日アカデミーを卒業するじゃろう?そうなれば下忍として活動せねばならん。だが、お主はアカデミー生という前に暗部という存在じゃ。だからこそ、通常の下忍や上忍を付けることはできん」
まあ、流石に普段は抑えてはいるが、任務ともなればふとした拍子に本気を出しかねないからな。
「じゃあ、そこの暗部の人が俺の担当上忍となるわけだ?」
「そうだよ。僕の名はテンゾウ、カカシ先輩の後輩にあたる者だけど、詳しくは後日話そうか」
ふむ、血継限界持ちか。色は緑、何の血継限界かは知らないが中々の実力を持っているのは間違いないだろう。
「本当は俺が担当する予定だったんだがな」
そう言って頭をかくのはカカシ上忍。ふむ、何故予定は狂ったのか…
「お主たちは度々修行という名の破壊活動をするからじゃろう。そんな危ない者たちを組ませれる訳がない」
「……ところで、下忍は基本的に三人一組に担当上忍という編成のはずだったが…」
「ふむ、お主にはテンゾウと二人一組の班として行動してもらう。」
「それは怪しまれるんじゃないのか?」
「何、此度のアカデミーの卒業試験はナルトを含めて三人編成にすると一人余る。それがお主だったと言えば怪しまれることも無いじゃろう。」
ま、俺としてもその方が動きやすいからいいか。
「了解した。最後に一つ聞きたい」
「なんじゃ?」
「俺の身分を知る者の大まかな範囲を知りたい」
「ここの3人以外には数人はいるが」
つまりは、他の班の担当上忍も知らないという事か。
「基本的には内密というわけだ」
「そうじゃ。お主の立場的にあまり目立つ事は許されないのが痛い所じゃよ」
「今に始まった事じゃない。表向きは"ナルトの兄"裏向きは暗部ってのは変わらないさ」
俺はそう告げ、火影室を後にした
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「まったく、変わっておらんの。あやつは」
「そうですね。少し殺しに走りがちですが、基本的にはあいつはナルトの味方だ」
「ふむ、その殺しにしてもあやつの場合は護る事からきているやもしれん。それにあの忍としての才能はうちはイタチに劣ってはおらんな。」
「ええ」
「そんな凄い才能を持っているのですか?」
「なにしろ、独学で"影分身の術"を覚えただけでなく、従来の影分身の術も習得しているからな。」
「それはすさまじい。」
「だが、厄介なのは。ナルトに影分身の術を含め、様々な忍術を覚えさせたという点か」
「……」
「以前のアカデミー卒業試験の時はナルトのチャクラコントロールが下手なせいか落第しているが、今回の試験の"分身の術"の卒業試験はまず間違いなく合格するさ」
「…ははは、さっきカカシ先輩の言っていたナルトの味方ってのがわかりました」
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アカデミーの卒業試験ですが、1年に3回あって、その中で一度でも合格したら卒業できるといった設定にしました。理由としては1年に1度ではナルトは他のみんなよりも2年早く入学しないといけなくなるためです。