自分でした事とはいえ拾った猫が厄介すぎた。
野良かと思って拾うと実は血統書付きの飼い猫でしたってくらいだ。
その血統書付き子猫ちゃんは顔を歪めて魘されながらもソファーでぐっすり眠っている。
寝る子は育つよね。何か息荒げて眉寄せて唇キツく噛み締めてるけどぐっすり寝てる事には違いない。
それにしても悪い夢見てそ…おっと話が逸れた。
厄介な血統書猫をどうやって家に__もしくは病院に送り届けるかの名案がどうしても浮かばない。
先程から悩んではガキを観察して悩んではを繰り返している。
その間にも時間は刻一刻と過ぎていき、気付けば一時間が経過していた。
カカシの寝不足苛々オーラに気圧されて思わず口走ってしまったのが『任せてください』だ。情けねぇ。
けれど言った手前どうにかこうにか落とし前つけなくてはならない。
その落とし前が血統書付き雄猫を帰す事なんだが、それができないから今こうなっているという無限ループだ。
ふむぅ、と胡座を掻いて頭を捻る。
ソファーに肘をついてしまえば考える気も失せてしまった。
良いトコロのお坊っちゃまをただひたすらぼんやりと見つめる。
睫毛長い、肌白い、髪サラサラ、目大きい、唇赤い…女が聞けば羨みそうな程には顔のパーツが整っている。
生意気なガキも寝ればただのガキだ。汗と寝息と顔色さえ悪くなければ、な。
暇だし何も考え浮かばないしでぷにぷに頬っぺたいじくってたらうちはのガキが起きそうになった。
やべー、殴るか?
いやでも傷物にしたら怒られるよなぁ…罰が謹慎とかになったら俺死ねる。
「…ぅ…ぁ?」
「よォうちはくん」
「……ッ!!てめっ、」
「おっと。お口はチャックな」
暫く焦点の合わない濡れた目で此方を見つめてきたかと思うと突然飛び上がって殴りかかってきた。
から口封じ(物理)をして黙らせてやった。
寝ても覚めても眉間の皺は取れないらしい。
兄みたく線みたいなのできたらどうするつもりだコイツ?
あーあー、生意気なガキの相手はほんと困る。
カカシが起きたら全部俺のせいにされて、んでもって苛立ちに任せてフルボッコにされるんだから理不尽な話だ。
さて、と…
それにしても、目の前の血統書付き雄猫生意気良いトコ坊っちゃんをどうしてやるかね。