初めまして。水分オウミと言います。今きっと大勢の方がすいぶん?と思ったと思いますが、“みくまり”と読みます。水分と書くと必ず間違われるので、みくまりと平仮名で書く事にします。
僕たち家族の家は、木の葉の里の外れにあり家の近くには小さな小川が流れています。よく父さんが魚を釣ってくれます。美味しいです。
あ、因みに僕の家族は父さんと母さんと僕の3人家族です。父さんは上忍で母さんは中忍で両親ともかなり優れていると言う訳では有りません。両親とも平均的な上忍と中忍です。
あ、僕たちみくまり一族について話していませんでしたよね。みくまり一族の歴史はかなり古くて、父さんや母さんに聞いても「分からない」としか返ってきませんでした。なので僕は、自分なりに調べてみる事にしました。
木の葉の里には人はあまり来ていないけれど、結構大きめの図書館があります。僕はその図書館で自分の一族について調べあげました。そして分かった事が何個かありました。
まず1つ目に、みくまり一族は元は忍者の家系では無かった事。忍術を使える様になったのは、木の葉の里が出来た頃らしいです。その前までは、雨乞いのために祈りを捧げたり、自分たちの一族から生け贄を出したり。
そして次が重要です。みくまり一族には代々、人語を理解し神の遣いとされる水神(スイジン)を従える者がいるそうなんですが、忍術を使える様になってからというもの水神を従える者は居なくなったんだそうです。あ、水神と言うのはそのまんま水の神様で主に白蛇(シロヘビ)の姿をしていると僕の読んだ本には書かれていました。
そして、何故僕がここが大事だと言ったと思いますか?何故なら……………、
「お主、みくまり一族の子孫じゃな?久しぶりだのぉ」
シューシューと、舌を口から出し入れしているのは全長4、5メートルはある大蛇でした。図書館からの帰りに小川の傍を通っていたら、何故かいきなり目の前に大蛇が現れたのです!!
しかもこの大蛇、色は白くて人語を話していてまるで本で読んだ通りの水神でした。ですが1つ吃驚したのがこの大蛇“透けている”んです。
大蛇の後ろの景色がぼんやりと見えており、まるで大蛇が幽霊みたい何です。
「さて、みくまり一族の子孫よ。名はなんと申す?」
「……みくまり、オウミ……」
僕が自分の名前を名乗ると大蛇がフムフムと何故か頷き、僕の方にズイッと顔を寄せてきた。蛇は小さければ平気だよ?大きくても少し距離を取れば大丈夫だけど、ここまで近寄られるとかなり怖い。
「お主には、忍の才能が殆ど無いんじゃな」
はぅっ!!!!!
いきなり不意打ちで痛いところ突かれた!!何この大蛇!!
そうですよ、僕には忍の才能が無いんですよ。体術のテストでは一番下ですし、いいところなんて座学くらいしかないですよ!!しかもその座学も上から5番目くらいとなんともアレ~な成績です。
「お?図星かまぁよい。お主にはちと頼みたい事があるのだが……。どうじゃ?私の頼みを訊いてはくれんか?もし私の頼みを訊いてくれれば、お主に私直々に修行をつけてやろう!!どうじゃ?」
「修行とかいいので、せめて普通の忍の力が今すぐ欲しいです」
「なんと、欲深な小僧よ」
欲深じゃないよ。これでも僕は修行してこの強さなんだよ。
「なら、私たち水神に伝わる秘術をお主に授けよう!!」
「分かりました、その頼み聞き入れます」
僕自身もちょろいなぁって思いましたが、秘術ですよ?!僕たちみくまり一族に秘術はあるにはありますが、そのどれもが雨を降らしたりなど「これ、秘術?」という感じのものばかりなんです。なので、この大蛇の頼み事を聞いてあげて秘術を授かる!!僕にも使える術だといいなぁ……。
「さて、ではついて来なさい」
◆
小川の傍を歩きながら、森の中まで入っていくと辺りは何故か一気にどんよりと空気が重くなっていきました。チラッと後ろを振り返ると、木々に覆われていてよく見えませんでした。今更ですが、僕これ騙されてませんかね?あの大蛇は相変わらず透けていて、森の景色がぼんやり見えています。
「さて、着いたぞ」
大蛇が僕の前から退くと、そこには苔がビッシリとはびこった小さな祠がありました。祠は洞窟の様な場所にひっそりとたたずんでおり、洞窟の壁にはお札がビッシリと貼り付けられていました。
……………これ、絶対ヤバい。
秘術なんてものに釣られてやって来ちゃったけど、この大蛇きっと何かヤバい事を僕にやらせるつもりだ。お願いです神様!!今だけ僕を助けて下さい!!
「この祠には、私の身体が封じ込められている。その結界を解き私をここから出してくれ」
キュッと眼が下がった気がして、僕はつい「分かった」と言って、頷いて仕舞ったんです。
「やはり、お主に頼んで正解じゃった!!では、よいか今から言う印を……………」
そこから先、僕は淡々と大蛇の話を聞いて結界を解くための印を頭に叩き込んでいた気がする。
「秘術・結界封解」
気が付いた時には、祠の結界を解いていました。大蛇は大喜び。僕はただでさえ少ないチャクラを使い果たしその場に座り込んで仕舞いました。
「やはり、お主に頼んで正解じゃった!!今日は有難の。明日、私直々に秘術を授けてやろう」
その大蛇の言葉を最後に僕の意識はプツンと途絶え、気が付いた時には自分の部屋の布団の中で眠りについていました。父さんと母さんに聞くと、家の前で倒れていたそうです。
きっとあの大蛇に会った事も、あの祠の結界を解いた事も全部夢なのだと思い、何時も通りご飯を食べてお風呂に入り歯を磨いて、布団の中で眠り朝を起きたら、
「おはよう。お主、昨日いきなり倒れて吃驚したぞ。」
あ、夢じゃ無かったみたい。
あれだけ大きかった大蛇は何故か子蛇の姿になっていて、小さな舌をチロチロ出しながら僕の腹の上正確には布団の上にいた。
朝一番に叫び声をあげた僕は悪くない。