―――パチリ・・・・・・・・・ムクリ。
「・・・生きてる、なかなか悪運が強いな俺も。」
海に落ちたんだから当然だが服がベトベトで気持ちが悪い。
少し水を飲んだのか腹も気持ちが悪い。
とっさの事で荷物を持つ暇なんかなかったからほとんど手ぶら。
今でも十分最悪な状況だがそれ以前に・・・
「どこだここ?」
前方に広がる一面の青い海と空。
今自分が座っている岩場混じりの砂浜。
そして・・・後方には生い茂った密林・・・
「生きてるうちに流れ着けたのは助かったけど、ここはどこだ?
いやその前に・・・あの子は?」
自分が嵐の海に飛び込む原因となった少女を探すが近くに流れ着いているのは自分以外にいない。
船の残骸があるだけだった。
「諦めるには早い・・・よな。別の浜にいるかもしれないし、探さないと」
ことの始まりに思いをやりながら青年は歩き始めた。