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No.393の一覧
[0] サモンナイト3 紅き手袋の使者[はちみつボーズ](2005/08/02 03:17)
[1] Re:サモンナイト3 紅き手袋の使者 第二話 聖獣の子[はちみつボーズ](2005/08/15 17:25)
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[393] サモンナイト3 紅き手袋の使者
Name: はちみつボーズ 次を表示する
Date: 2005/08/02 03:17
 【無色の派閥】

それは、召喚師たちが組織した集団の一つ。
このリィンバウムという世界を、召喚術という秘法の術で根源から変えようと集まり、組織された集団。
暗殺から始まる非道な手段はお手の物。
目的のためなら、例え世界を敵にしようとも、
例え、神が敵に回ろうとも気にはしない。

   ―――それこそが、無色の派閥なのだから―――




サモンナイト3 紅き手袋の使者
第一話 セルボルト家





無色の派閥、ひとえにこう言うが、組織内部は少し複雑である。派閥の頭首を中心に、幾つもの勢力に分かれているのがこの組織に特徴である。
目的は一致してはいるが、殆どがお互い不干渉。そして、その中で一番の最大勢力と言われていたのが、

―――【セルボルト家】


この家系は、無色が組織されたときから存在しており、多くの部下を率いて、裏世界で暗躍していた。
しかし、それも昔の話である。
時が過ぎていくことに、少しずつその勢いは衰えていく。そう、まるで血が少しずつ薄れていくように……。


彼らとて、この事情に手を拱いていた訳ではない。
優秀な召喚師を婿養子として向かい入れ、優秀な子孫を残す。そんな彼らの努力もまるで嘲笑うかのように、崩壊の道へと進んでいく。
今では、名ばかりの家系となったセルボルト家。
そして、現当主。
僅か十五歳の少女、名はツェリーヌ=セルボルト。
















私が当主となってからのセルボルト家は、さらに崩壊へ進んでいく。その原因の一つが、たぶん私が男でなかったせいだろう。
だって皆が私を見ていうのだから、


―――『何故、彼女は男でなかったのか』と。

そう言われ続けた私は、何時の間にか心の持たない人形と化していた。このセルボルト家の道具となっていた。
そう、私はツェリーヌと言う名の道具。
優秀な召喚師を向かい入れる為の道具。


屋敷と言う名の籠の中で、私は窓から外を眺める。

蒼くどこまで続くであろう空。
なんて憎らしい空なのだろう、私にはもう終わりが見えていると言うのに……。


流れる雲、何処までも自由に行けるであろう雲。
なんて羨ましい雲なのだろう、私にはこの籠の中でしか生きて行けない、自由のない存在なのに……。


   ―――こんな世界、壊れてしまえばいいのに……。


そんなことを考えていると後ろに気配を感じ、振り返る。そこにいたのは、一人の老人。私を赤子の時から、親から見離された私を一人育ててくれた存在……爺やだった。
彼は、いつものように優しい笑みで私に言う。


『ツェリーヌお嬢様、決して諦めてはいけませんよ。いつか必ず、貴方様という存在を心の底から愛してくれる人がきっと現れます』


心の底から? 
私は鼻で笑ってやる。まさか、そんな存在がこの世にいるわけがない。
もし、いたとしても、それはこの【セルボルト】という家名が目的の輩だろうに……。
その言葉に、爺やは苦笑しながら首を横に振り、否定する。

『いいえ、それは違いますよ。そう……こんな【セルボルト】などと言う家名ではなく、ツェリーヌお嬢様が、お嬢様であるからこそ愛してくれる……そんな存在がいつか現れます、そして……』


爺やは、先程まで私が見ていた空を眺めながら、言う。

『そして、その存在はきっと貴方様を、この家名と言う籠から貴方様を解き放ってくださるはずです。そんな素晴らしい存在が、ツェリーヌ様の伴侶になるだろうと、私は思います』


まるで御伽噺ではないか?
ピンチに陥ったお姫様を、白馬に乗る王子様が助けてくれて、二人は恋に落ち、幸せに暮らす……。
そんなくだらない妄想など……。ましてや自分はお姫様と言う柄ではない。【無色の派閥】という闇の存在に生れ落ちた自分。どちらかと言えば、お姫様を付け狙う魔女の方がお似合いだ。

しかし、爺やはいたずら小僧のような笑みを浮かべながら言う。


『魔女? 別にそれでもいいではありませんか? 魔女とて人間です。恋をするかもしれないし、恋をされるかもしれません。それに、もしかしたら魔女にも、白馬の王子様が現れるかもしれませんよ?』


さすがに驚いた。
あの爺やが、そんな開き直ったことを口にするとは。そして彼は、先程の笑みから真剣な顔へと変える。


『失礼ながら、ツェリーヌお嬢様。貴方様はまだ若い。私から見れば、まだまだ若輩者だ。貴方様の人生は、まだ始まったばかりではありませんか? なら、そのようなことで諦めず、前を向き、そして希望を持ちなさい。そして、まずは信じること……それから全てが始まると、私は思います』


希望? 信じる?
なんて滑稽で、
なんて陳腐で、
なんて退屈な言葉なんだろうか。


でも、何故か心に染み渡り、
重く圧し掛かり、
そして、なんて暖かな感覚がするのだろうか。


本当に、その言葉を信じていいの?
本当に、希望をもっていいの?
本当に、私を愛してくれる人が、この世界に存在するの?

 ―――本当に私のような人形が愛せるような存在が、この世にいるの?












だが、そんな考えもある事件がきっかけで脆くも崩れ去る。

―――そう、『帝国軍のセルボルト家、襲撃』である。


セルボルト家は、裏世界の中で生きている。そのため、人前にはそうそう現れることは無く、この屋敷とて人目に付かないようにある森の深い中にひっそりと建っている。
そして、この屋敷の周りには召喚術による人払いの結界が張られており、例え帝国軍と言えど簡単には見つかることは無かった。


では何故ばれたのか?
簡単だ、セルボルト家から、帝国側についた裏切り者がいるからだ。そいつが、この場所を教えたのだろう。


私は自嘲気味な笑みを浮かべた。
何が希望だ?
何が信じる、だ?


そして、結果がこれか……。
周りには、帝国兵が私を囲むようにして武器を構えている。その中央にいるのは小太りの中年男、たぶん指揮官だろうか……。そいつが、私を見ながら嫌らしそうな笑みを浮かべる。


『さあ、セルボルト家のお嬢さん? 降伏するのならば、貴方を見捨てて逃げた部下の命は助けてあげてもいいですよ。まー、貴方には我々の色々な遊び相手にはなってもらうでしょうがね……』


もう結果は分かりきっていた。どうせ、私はあの気持ち悪い男たちの慰め道具になるのであろう。このまま生きていっても道具であることには変わらないか……。
ま、こんな人生も悪くない。
希望を持って、信じて、それに裏切られるよりは、ずっと楽であろうから……。私が彼らの元へと歩みだそうとすると、それを爺やが前に立ち、邪魔をする。


『ツェリーヌお嬢様、貴方様はお逃げになりなさい』


爺やが背を向けたまま、私に言う。
何故? 
どうして、貴方は逃げないの?
どうして、貴方は私を見捨てないの?
彼の顔を見ることは出来ないが、きっと彼は笑いながら言っているのだろう。


『私は貴方様を赤子の時からお守りしてきました。そして、貴方様がどれだけ苦しんできたかも理解しています。理解していながらも、私は貴方様を救えなかった……。だからこそ、こんな時ぐらいは、貴方様の盾になりたいのです』


杖を持ち、彼は私へと振り返る。
それは、今まで見た爺やの最高の笑み……。
そして、それは最後の笑み……。

『さようなら、お嬢様。お幸せに……』


そして彼は敵兵へと突き進んでいく。
私は、心の中で叫んだ。

やめて! 行かないで!!
どうして?
どうして私なんかのために命をかけるの!?
どうして道具である私を庇うの!?
もう、セルボルト家は終わりなのに……、
もう、こうなっては私の価値などないのに……。


それでも、爺やは戦う。相手は眼では数えることすら出来ないほどの未知数。こちらは一人……。
どう考えても勝てないのに、結果は分かっているのに……。


――ツェリーヌお嬢様が、お嬢様であるからこそ愛してくれる……そんな存在がいつか現れます。

本当に?


―――それにもしかしたら、魔女にも白馬の王子様が現れるかも知れませんよ?

本当に?


―――まずは信じること……それから全てが始まると、私は思います。

ねぇ? なら、お願い。
私を助けて。
爺やを助けて。
本当に、王子様が、私を愛してくれる存在がいるのなら……


お願い、

    「爺やを、私を助けてよ!!!!!」


悲鳴に似た私の叫び声。


    「いいでしょう、僕があなたを助けます」


私の声に続くように聞こえる声。
それは私の直ぐ後ろから。
振り返ろうとした、その瞬間、私の脇を無数の光が通り過ぎる。
その光は……闇。
そして暗黒に染まる光は、帝国兵の身体を次々と貫いていく。
一人、また一人と。
彼らの着る金属の甲冑など、無に等しいと言うように。倒れる彼らの身体には、赤黒く光る剣、または斧、または槍……。


私はゆっくりと後ろへ振り返る。
そこに立つのは、一人の少年。
燃え立つような赤い髪、ボロボロの黒い外套を羽織り、
何故だかわからないが、両目を隠すように包帯を巻いている少年。
彼は私の視線に気づいたのか、私の方へと顔を向け、笑みを浮かべ、一言……。

「正義の暗殺者、セルボルト家の頼みにより、参りました」


彼は私に跪き、手を取り、唇をつける。


「今、この時だけ、僕は貴方の敵を死の世界へと叩き落しましょう」


私は、この一言で、彼に魅了された。












あとがき
こんばんわ、はちみつボーズです。最初に一言……申し訳ありません。なんとなく浮かんだネタです。そしてなんとなく書いてみました。
もし、サモナイ3の主人公が、旧王国に襲われた後、拾われた先が、あの闇の集団【紅き手袋】だったら……。
こっちの話はなんとなく浮かんだネタなので更新は不定期になるでしょう。メインはあくまでサモナイ2の方です。
もし、できれば上手く話をくっ付けたいんですが……(後付け設定の山になりそう)
こんな適当な作品ですが、もしよければ感想を頂けると嬉しいです。


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