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No.398の一覧
[0] サモンナイト2 金色の嫡子[はちみつボーズ](2006/02/03 17:19)
[1] Re:サモンナイト2 金色の嫡子 第一話 其の名はマグナ=マーン[はちみつボーズ](2006/02/03 17:22)
[2] Re[2]:サモンナイト2 金色の嫡子 第ニ話 再会、そして始まり[はちみつボーズ](2006/02/03 17:24)
[3] Re[3]:サモンナイト2 金色の嫡子 第三話 漆黒の騎士団[はちみつボーズ](2006/02/03 17:26)
[4] Re[4]:サモンナイト2 金色の嫡子 第四話 皆でファナンへ[はちみつボーズ](2005/07/15 03:27)
[5] Re[5]:サモンナイト2 金色の嫡子 第五話 幼馴染は、道場娘!?[はちみつボーズ](2005/07/30 01:34)
[6] Re[6]:サモンナイト2 金色の嫡子 第六話 赤髭船長、ジャキーニ海賊団 前編[はちみつボーズ](2005/08/20 03:27)
[7] Re[7]:サモンナイト2 金色の嫡子 第七話 赤髭船長、ジャキーニ海賊団 中編[はちみつボーズ](2005/09/21 17:29)
[8] Re[8]:サモンナイト2 金色の嫡子 第八話 赤髭船長、ジャキーニ海賊団 中編2[はちみつボーズ](2005/10/12 18:45)
[9] Re:サモンナイト2 金色の嫡子 アナザーストーリー[はちみつボーズ](2005/12/04 00:10)
[10] Re[9]:サモンナイト2 金色の嫡子 第九話 赤髭船長、ジャキーニ海賊団 後編[はちみつボーズ](2006/02/03 17:18)
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[398] サモンナイト2 金色の嫡子
Name: はちみつボーズ 次を表示する
Date: 2006/02/03 17:19
 いつもの昼下がり、ある辺境の小さな田舎町にある、小さな施設に僕はいた。その施設にいるのは、僕らを世話してくれる先生、親のいない僕と同じような小さな子供、そして僕の大切な妹……。


いつものように、朝早く先生が僕らを起こしに来て、いつものように皆で朝ご飯を食べて、いつものように庭にある畑を皆で耕す。お昼になると、自分たちで育てた野菜を食べて、皆と一緒に遊んで……これが、いつもある日常だった。


施設にいる友達、先生、そしていつも、何処でも僕についてくる大切な妹、こんな小さな幸せが続く、その筈だったんだ。でも、神様はそんな幸せを許してくれなかった……どうしてだろうか?





プロローグ





馬蹄により地を揺るがす大音響が段々と近づいてくる。土煙を上げて、この田舎町に何かが近づいてきた。視界に入ったのは、何十の馬に乗る人。騎兵にしては身嗜みも、きちんとした統制もされていない。つまり、あれは、
―――盗賊だ。


こんな田舎町に、兵が配備されることなどなく、ましてや武器なども存在しない。つまり、ここにいる住人は、かっこうの餌食になるのだ。
盗賊は、手に持つ剣で町の人たちを襲い、一人、また一人と切り裂いていく。その時の悲鳴に、僕は耳を塞ぎたくなる衝動が起き、切り裂かれた箇所から流れてくる赤い液体に、僕は体を震えて止まらない。


それでも妹を抱く力は緩むことはなく、その小さな手を取り、必死に逃げる。周りには、血を流し動かなくなっている友達や先生の姿が視界に入る。
―――コワイ、怖い、恐い……それでも護りたいものがあるから。妹の手を握る力が強くなる。でも、そんな僕の努力も無駄になった。
馬が、地を駆る音が近づいてくる。後ろを振り向くと、そこには乗馬した男が剣を振り上げ、妹へと切りかかる姿が目に入った。


その瞬間、僕は妹へと覆いかぶさる。それと同時に左肩に来る焼けるような、そして今まで感じたことのない痛みが頭に伝わってくる。
僕は、声にならない声を漏らしそうになるが、何とか耐えた。妹が、今にも泣きそうな顔で何やら叫んでいる。


聞こえない、だから心配させないように笑顔を向ける。もしかしたら、笑顔ではないかもしれない。痛みのせいで上手く笑みを浮かべてないかもしれないけど、それでも僕は向けようとする。


でも、それは直ぐに終わってしまう。後ろには先ほどの盗賊が剣を持ち、立っていた。その得物は、僕の体と共に、妹をも突き破るだろう。
―――悔しい、妹を護れないことが。悲しい、妹がこのまましんでしまうことが。憎い、僕の、いや妹の幸せを奪われたことが。


地面についている手が、意味もなく力が入ってしまう。砂や石を手の中に入ってくる。そして僕は、天へと願うのだ、懇願するのだ。


―――お願いします、誰か助けてください。僕はどうなってもいいから、どうか妹だけでも、大切な妹を助けてください!!

そして、僕らは、光に包まれた。








気がつくと、空は赤くなっていた。もう日が沈むようだ。そして、そこに僕は一人立っていた。周りの地面は、血を吸ったように赤黒く染まっている、何故だろうか? そして答えは直ぐに分かった。


僕を中心に、周りにはバラバラとなった人間の体。ある者は頭を砕かれた死体、ある者は体を縦に、または横に切り裂かれた死体、またある者は、激しい炎により焼かれた死体。僕は、嘔吐を押さえるために口を押さえた。いったい、誰がこんなことを?


―――と、そこに誰かが一人、蹲っている姿を見つけた。小さな体の女の子。そう、僕の大切な妹だ。僕は嬉しくて、周りにある死体を無視して、歩み寄る。もう少しで、この手に……と、その時聞こえた。妹のかすれた声で、

  ―――来ないで、化け物、と。


その言葉に意味に気づくのに、僕は少し時間が掛かった。周りにいるのは、僕と妹だけ。そして妹は、僕に言っていると。そして周りの死体を見て、僕は気がついた。
―――僕が、あの盗賊を殺したのだ、と。


自分の体は、全身が血によって染まっている。そして僕の左腕は、異形のものへと変わっていた。血よりも禍々しい紅い色のした腕に……。
僕は天を見上げながら、少し笑った。

―――そうか、僕は化け物になったのか。じゃあ、神様は願いを叶えてくれたのかな? 大切な妹の命は救わたのかな? その存在を失う代わりに……。

  ―――そして僕は初めて、泣いた。
妹は泣きつかれたのか、倒れたまま起きない。そして僕は、ただ呆然としていた。そうしていると、何やら金属音がこちらへと近づいてくる。
僕がそちらの方へ視界を向けると、そこに現れたのは、金色の甲冑を見に着けた兵士たちが、近づいてきた。


僕の姿を確認すると、兵士たちはそれぞれの得物を取り出し、戦闘態勢をとった。
―――ああ、僕はここで死ぬのか、そんなことを考えていると、そんな兵士たちを無視して一人の女の人がやってきた。


その人は、兵士たちの緊張した空気をまるで感じていないのか、金色に輝く髪を靡かせながら、穏やかな笑顔を向けながら僕へと近づいてきた。僕の前まで来ると、その人は優しく言った。何があったのか、と。


僕は全てを話した。いつもの日常を、いつもの小さな幸せを。それが、馬に乗った盗賊によって壊れてしまったことを。町の皆が、死んでしまったことを。大切な妹を助けようとしたことを。そして、人間の腕とは言えない、異形の左腕を見せながら言う、

―――僕が化け物になって、盗賊を殺したことを……。


全てを話した後、その人は何も言わずに、僕を抱きしめた。何も言わずに、ただ頭を撫でてくれた。僕は、そんな暖かな胸の中で、少し泣いた。
落ち着いた後、僕はその人にあることを頼んだ。生き残った妹の記憶を、今までの記憶を、僕と言う存在を消してくれと。その人は、少し悲しそうな笑みに変わった。

―――ごめんなさい、私には人の記憶を消すことはできないの。それは、あの子の精神を壊してしまうことになりかねないから……。


その言葉に僕は、心が沈んでいた。これから妹は、この記憶を抱えながら生きていかなければならない。きっと辛いだろう、だから今まで起きたことを、そして昔の、今の僕を忘れさせるために……。そんな僕の考えがわかっているのか、女の人は笑顔を向けながら続けた。

―――でもね、記憶を奥深くへと封印することはできると思うわ。私ができるのは、これが多分限界だと思うの。それでもいいかしら?


その言葉に僕は、ただ頷いた。これで、僕は思い残すことはない。妹を一人残していくのは辛いけど、でも彼女は助かった。なら、それでいいと僕は思う。でも、女の人は、そんな僕の考えを吹き飛ばすほどの提案をしてきた。それは、僕に自分の息子ならないか、と。


まさか、殺されると思っていた人に、まさか自分の息子にならないか、と言ってくるとは思わなかった。こんな人間という形を離れてしまった僕に、そんなことを言ってくれるなんて……。
僕は、嬉しくてその提案を受け入れた。その人もまた嬉しそうに笑顔を向けてくれた。


そして僕は、最後に妹の姿を見せてくれるよう頼んだ。今、目の前には安らかな寝顔をして休んでいる姿の妹。僕は、妹の姿を目に焼きつけながら、優しく頬を撫でた。

 ―――さよなら、僕のたった一人の妹、■■■……。


僕は、妹に背を向けて歩き出した。そして始まるのだ、物語が。兄妹が離れ離れとなった、とても悲しい話が……。

   ―――【マグナ・マーン】の物話が。








あとがき
今晩は、駄文書きのはちみつボーズです。前にもしも、サモナイ2の主人公が【金の派閥】の召喚師だったら、という話です。かなり最初からシリアスですけど、読んでくれると嬉しいです。あと、もしよければ感想を頂ければ幸いです。


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