20××年
東京に存在する、どこかの警察署内の署長室。
部屋の奥で激しく『俺って高いんだぜ!!』と自己主張している机に、一人の男の姿があった。
その手元には1冊のファイル。
そのファイルには、今年警察に入ってくる新人のリストが載っていた。
「ふむ、成績優秀なものが多いようだね。」
机の前で立っていた男が合図地を打つ。
「はい、確かに成績優秀者が多いのですが・・・・・・」
「何か問題でもあるのかね?」
「署長、そのファイルの28ページをごらんください。」
男に促されるままに、手元のファイルを開く。
しかし、なぜかそのファイルの28ページ目には、しおりのようなものが挟んであった。
――――名前 神崎 貴広
――――身長 175cm
――――体重 65kg
東京都内の公立高校を今年卒業予定。
成績は最優秀とも言っても良いほど。
具体的には、成績がオール5に近い状況。
ただし、性格面にて問題あり。
「この成績ならば、性格の問題だったら多少は大目に見ても問題・・・・・・・・どうかしたのかね?」
徐々に渋い顔になっていく目の前の男に、思わず確認してしまう。
「いえ・・・・・言いにくいのですが・・・・・・多少の性格の問題ではないのです。」
「どういうことかね?」
思わず聞き返す署長。
しかし、渋い顔で一言。
「多少の問題ではないのです。」
そこで一言区切り。
「そのまま、お読みになられたほうが分かりやすいと。」
いぶかしげな表情をして読み進める署長。
リストにはこう書いてあった。
趣味 サバイバルゲーム
志望理由 本物の銃が撃ちたいから。
結果として、署長は、椅子に座ったまま転ぶと言う芸当をやらかした。
諸君、私は銃が好きだ 1話
「おーい所長、金貸してくれ。」
「断る。」
俺は、目の前に存在する元同級生に向けて、にべも無く言い放つ。
「いいじゃんかよ~、友達だろ~。」
「ええい、触るな暑苦しい!!後、その前に、所長所長言うのをやめい!!」
「いや、所長は所長だし。」
「ええい、このバカチン!!」
問答無用で振り下ろし右。
その手はもちろん、じゃんけんグー。
「あぶな!!」
ち、避けやがった。
「いや、所長は所長以外に無いじゃん。」
「じゃあ、俺が所長だということを、原稿用紙3枚分以上で表せ。」
「え!!嘘!!延べ600字分!?」
慌てて考えている奴を尻目に、俺は歩き出す。
ちなみに、俺が所長という仇名になったのは、俺の名前が原因だったりする。
具体的には、自分の名前がエロゲーの主人公に使われるという偉業を成し遂げてからだったりする。
まったく、俺はどこぞのナーサリークライムですか?
それとも、どこかの島の所長さんですか?
またまた、影を自由自在に操れる人種ですか?
どっちかっていうと、今よりゲームのほうが良いなあと思ってしまうのは俺だけの秘密だ。
そんな濃い話題を知っている俺はオタクと呼ばれる人種だったりする。
ちなみに、ただのオタクじゃない。
銃オタク、略して銃オタ。
部屋の中に篭って、漫画を読みふけっていたり、パソコンが趣味というインドア派ではない。
外に出て、日夜BB弾の嵐の中を掻い潜っている、アクティブなサバイバーだったりする。
そして今年からは、警察に勤める新人さん兼業となったのである。
まあそんなわけで、有意義な学生さんとしての生活も終わり、今年から新しい生活へ思いを馳せていたわけなのだが。
「しかし、所長が本当に警察官になるとはな~。」
いつの間にか、復活した友人Aのために中断することになる。
「俺の扱いヒドッ!!」
「好きこそ物の上手なれっていうしな。」
とりあえずスルー。
「スルーかよ、つーか所長に拳銃持たせたらやばいと思うぞ。」
「とりあえず、お前を見つけたらバカボンの警官風に撃とうと思う。」
「危ねえよ!!俺が何をしたよ!!」
「お前の存在にヘキサゴン。」
「存在否定まで!!」
やはり、面白いと思う。
俺の横で倒れるこいつを見ながらそう思う。
こいつは変わり者の俺の数少ない友人の一人である。
まあ、扱いはかなりひどいが、連帯保証人以外の頼み事だったら引き受けても良いと思っている。
「全く、で、いくら貸して欲しいんだ?」
「お、マジか?」
・・・・・・・即座に立ち直りやがった。
「さっきのミリタリーショップでスコープ買ったからな、5000までだ。」
ちなみにモノホン。
ザ コレクション。
「2000でよろしく。」
「利息はトイチな。」
「高ぇよ!!」
いちいちリアクションが面白い奴だ。
そんな事を考えてるうちに、分かれ道。
俺が左であいつが右へ。
「じゃな。」
「この時、彼らに永遠の別れが待っているとは誰も予想しないのであった、」
「縁起わりぃよ!!」
「おう、また明日。」
「スルーすんなよ!!」
いつもの道で、いつもの調子で別れ道。
―――――けれど、この時、本当に別れが待っていることなんて予想できるはずも無く。
そして、あいつと別れた直後、俺の体が光りだす。
「おいおい、マジかよ。」
―――――俺という存在は、この場所から消滅した。
何事かと振り向いた、あいつが見たものは、自分以外に誰もいない道路であった。
いまさらサモンナイト2
更新遅いかもしれませんが、よろしくお願いします。
感想、批評などを貰えたらうれしいです。
あと筆者はインドア派。