主人公がオリキャラ
原作主人公はマグナ
基本的な流れは原作通り
になります。
1話だけはチラ裏で様子を見ようと思って投稿していたのですが、実はチラ裏投稿が2度目になることもあり、ここは思い切って本板で投稿してみようと思い直して即移動ました。
「バカなの? 死ぬの?」
はへこむかも知れませんが、愛のムチは大歓迎です。
どんどん叩いて! 嬉しくなっちゃってガンガン直すから!
という心境です。よろしくお願いします。
俺、本当に普通に過ごしてたんだ。
朝起きて、身支度をして、飯食って、学校行って。
で、授業が終わって帰ろうとしてたんだけど。
通り道の公園をボーっと歩いてたら、突然、まぶしい光に照らされたんだ。
せっかく今日は従兄弟が遊びに来る予定だってのに、どういうわけだよ。
無意識に目を覆っていた腕をどかすと、目の前には見たこともない少年が立っていた。
なんて言うか、すっごいヘンな格好。
マントっぽいものも羽織ってるし、これが俗に言うコスプレってヤツか?
四角っぽいメガネがお似合いだけど、とにかく知らないヤツだ。
どういうわけか、随分と驚いたような顔をしている気もする。
全く、冗談じゃねえよな。驚いたのはこっちだっての。
見たところ日本人じゃなさそうだが、どうにもこうにも一言くらい言ってやらなきゃ俺の気がすまないね。
「おい少年。今のとんでもねえ光はお前がやったのか? 人にいきなり強い光を当てるってのは良くねえぞ」
いきなりのことに動揺した俺は、つい高圧的に出てしまった。
普段なら子供のイタズラに目くじら立てることもない俺だが、何故かこのときだけは違ったんだよな。
自分でも理由は分からないけど、きっと内心でかなりパニくってたのが原因だったんじゃないかと思ってる。
だって、そうだろ? じゃなっきゃ、もっと早く事態の深刻さに気がついていたはずなんだから。
いつまで経っても返事が返ってこないことにイラついて、もう一度問いかけようと思ったとき、目の前のメガネ少年はようやく口を開いてくれた。
「――――。――――――――!」
が、しかし。
少年の発した言葉を、俺が理解することはできなかった。
まあ俺もさ。一応、ごく普通の高校生としての教育は受けているわけだから、ちょっとした英語くらいならなんとか理解できるんだよ。一応な。
それなのに、少年の言葉は全く聞き覚えのない言語だった。
今の段階で俺に分かるのは、それが日本語ではないということだけだ。
「なんだ、日本語がわからねえのか。ったくよ、親はどうしたんだ」
思わず呟きながら周りを見渡すと、そこは今の今までいたはずの公園とはあまりにかけ離れた場所だった。
一言で言うと、どこかの部屋。
俺の部屋ではない。学校の一室でもない。ついでに公園内には建物はないから、通り道にあるいつもの公園であるはずもない。
知らない、全く知らない部屋だ。
どういうことだろうか。
俺が目を覆っていたのは一瞬だけのはずだし、自分は確かに外を歩いていた。
さらに、周りには人っ子一人いなかった。
この状況は、何かがおかしいと思う。
考えられる原因としては目の前にいるこの少年だが、何をどうしたら瞬間移動のような大規模イリュージョンに俺を巻き込めるというのだ。
事態の把握できない俺はひたすら困った。
なんとしても少年を問い詰めて今の状況を把握しないと、という脅迫観念めいた考えに取り付かれてもいた。
そうしないと、遊んでやる約束だった従兄弟に恨まれたときの言い訳ができないじゃないか。
早く家に帰りたい。そんな思いでいっぱいだった。
どうにかして少年と意思の疎通を図ろうと努力する俺。
だが、その健闘むなしく、お互いに状況を説明することや言葉を伝えることはできなかった。
こら少年。ため息を吐きつつ頭を抱えるとは何事だ。
まるで俺が何もかも悪いみたいじゃないか。
しばらくの間は通じない言葉でもなんとか意思の疎通ができないかと試行錯誤を繰り返したが、結局は徒労に終わったこともあり、最終的に俺が下した判断は、とにかくこの部屋を出てみることだった。
どうして公園じゃないところに自分がいるのかとか、少年は一体何者なのかとか、知りたいことは山ほどあったが、会話ができないんだから仕方ないだろう。
「――――――――!」
すっぱりきっぱり会話をすることを諦めて回れ右をした俺に、少年がなにやら叫んでくる。
でも、そこで止まってやるつもりは到底ない。
俺の都合も考えずに妙なところへ連れてきやがったんだ。どんな理由があるのかは知らないが、そんな相手に気を遣ってやるほど俺は優しくないんだよ。
言葉が通じないことには気づいているだろうその少年はしかし、俺に向かって怒鳴り続けている。
でも知らない。
部屋の中に唯一あるドアを開いて部屋から出た俺は、見知らぬ廊下にまた悩むことになったが、それも関係ない。
とにかく、適当に歩けば外に出られるだろう。
後で思えば安直な発想に他ならない。それでも、俺は急いで家に帰りたかった。
外に出てさえしまえば、それからはなんとかなると信じていたから、その行動にも迷いなんてなかったし。
だけど、その思いは完膚なきまでに叩き壊されることになる。
必死になって歩き回った挙句、ようやく外に出た俺が見たのは、今までに目にしたことのない風景だったから。
その日は結局、家に帰ることはできなかった。
外をどれだけ歩き回っても日本語を見たり聞いたりすることは出来なかったし、道行く人々の妙な視線が俺の着ている制服に注がれていることにも気づいたので、探索を断念したという経緯もある。
走って俺を追ってきた少年と会う頃には、自分が日本ではないどこかにいることに気づかざるを得ない状態だった。
どうしようもなくて悲嘆に暮れていたのは、一晩だ。
ありがたいことに少年は俺を養ってくれるつもりだったらしく、元いた部屋に連れ帰って布団を提供してくれた。
相変わらず言葉は通じないから断言は出来ないけど、衣食住には困らないだろう、というのがその時の俺の予想。
実際、それからはいつでも必ず少年が一緒にいてくれたし、トイレやら風呂やらの生活に必要だと思われる場所も教えてくれたし、毎日3食のメシも与えてくれたし、それだけでも正直十分だったんだよ。
状況が分からないことにはどうしようもねえしな。
通訳なんてとてもじゃないが望めそうにないし、最低限の生活の保障はありそうだ。
だから俺は、とりあえず周りにいる人々と会話をするべく、言語の習得に集中したわけさ。
まず初めにしたのは、周囲のものの名前を覚えることから。
いきなり会話なんて絶対ムリだと思ったから、とにかくそこからだ。
運が良かったのは、ベッドやら本やらトイレやら、この街に存在しているもので俺が全く見たこともないような物はほとんどなかったことだろう。
唯一、少年が大事そうに保管しているヘンな石が気になったが、それくらいか。
本を指差して、
「ホ・ン」
とか言ってみると、少年が返事をしてくれる。でも、たった一つの単語にしてはすごく長い言葉だったから、本という単語ではなさそう。
次に机を指差して同じ事をやってみる。
ドア、ベッドと続けて、もう一度本を指差してみる。
そんなことを繰り返しているうちに、少年の方も俺が何をしたいのか理解してくれたようだ。
次々と指差しては日本語で呼ぶことを繰り返し、彼も短い言葉で言い直してくれる。
そうやって少しずつ少しずつ単語を覚え、だんだんと日常会話も覚えるようになるまでにはかなりの日数がかかった。
「おい、そろそろ夕食だぞ!」
「分かった。すぐ、行く」
今ではこうして、メシに呼ばれたときや話しかけられたときに、内容が分からなくて困ることはほとんど無くなった。
こちらから話しかけるときや返事をするときには、相変わらずどもったり考えこんだりしないと出来ないけどな。
そのおかげで自分のおかれた状況も把握することが出来たんだが、やっぱりイマイチよく分からなかった。
なんでも、俺は『召喚獣』と呼ばれているらしい。
えーと、そう。この世界では召喚術ってのが発達してるらしいんだな。
常々疑問に思っていた妙な石が、その召喚術を使うための必須アイテムなんだと。
で、だ。
メガネ少年……ああ、いや。今はもう少年なんて年じゃないんだった。
初めて出会った時は精々が十代初めに見えたあの少年の名前はネスティと言うらしいが、今では二十歳前後になった彼は、本来必要な媒体とかいうものを使わずに、石だけで召喚術を使ってみたらしい。
俺にはその召喚術ってのがどういうものなのか、しっかりとは理解できなかったからなんとも言えないんだが、必要な手順を踏まなかったせいで、思いもかけない結果になっちまったんだとか。
子供心から出た、興味本位の行動が良くない結果を生み出したって事だな。
どんな風に予想外だったかと言うと、まず、言葉が通じないのがおかしいんだってさ。
普通だったら、全く違う言語を用いている異世界の住人を呼び出すこの技術は、ちゃんと通訳機能も備えている。らしい。
更に俺は、通常なら干渉できないはずの世界から呼び出されたという。『名も無き世界』って呼んでるって教えられた。
「お前、俺、呼んだ。だから、お前、俺、帰らせろ」
「君には申し訳ないと思っているが、現状では難しいんだ。あれは暴走召喚の類だったせいで、使用したサモナイト石が割れてしまったからな」
これが、事情を知った俺と、俺を呼び出した張本人との会話の全てだ。
な。冗談じゃねえぞ、って思うだろう?
呼び出す、迷惑ごとを押し付ける、帰らせる、の一連の流れは、ひとつの石を使わないと出来なくなるらしい。
俺の場合は、呼び出されたその時点で石が割れちまったせいで、それ以降の流れが追えなくなったんだとさ。
まあ、難しく言ったが、結論は簡単だ。
俺、帰れねえ。
とりあえず泣いてみたよ。高校生だった頃から今まで一度も泣いたことは無かったんだけどな。
さすがにいい年して人前で泣くっていうのもみっともねえから、ずっと間借りしているネスティの部屋にこもってこっそりと、だったが。
しばらくの間は、ネスティもそっとしておいてくれた。
どうも周りの様子からするとあまり好かれやすい性質じゃないようだが、悪いヤツではないよ、アイツも。
そんなひと時の悲しみは、次の瞬間に響き渡った爆音でかき消されたわけだけど。
爆音の原因は召喚術の暴走だった。
俺が今世話になってるこの場所は、蒼の派閥とかいう召喚師の連合みたいなところで、日々あらゆる召喚術の教授と研究に明け暮れている。
授業の中には実際に召喚術を使ってみることも含まれているらしいから、これはその練習、といったところだろうか。
もうすぐ夕食だっていう時間になんて迷惑な、と思わなくも無かったが、今日の騒ぎを起こしたのか大体予想がつくために、それを口に出すのはやめておいた。
「マグナ、か?」
「ああ、きっとそうだろうな。全く、何をやっているんだ!」
ネスティの弟弟子だという少年の仕業だろう。
日ごろからネスティに授業に出ろ! とか、召喚師は剣を振り回すものじゃない! とか、よく怒られている。
俺は言葉を覚えるという大仕事があったからそれ以外のことを規制されることもなかったが、マグナは色々と大変そうだ。
「もうすぐ一人前の召喚師になるための試験があるというのに……これでは先が思いやられるな」
はき捨てるようにそう呟いたネスティは、試験という単語をまだ知らなかった俺が考え込んでいるのを振り返ることすらせず、一目散にどこかへ走り去っていく。
事件は起こるが、割と平穏な毎日が続いている。ここで世話になっている間は、差し迫って危険な目に合うこともないだろう。
家に帰れないのはもう、仕方の無いことだよな。
本気で怒り狂っているネスティの後ろ姿を見送りながら、この世界でなんとか生きていくことを決心したのは、この日のことだった。
***************
1話投稿です。
テンプレ的はじまりかもしれませんが、サモンナイト1のオープニングの例から、これこそがサモンナイトの王道! と思い込んだので書きました。
誤字、脱字のご指摘や、内容についての感想、または愛あるツッコミがいただけたら嬉しいです。出来るだけ迅速に、より良い作品になるように、バンバン訂正していくつもりです。
なんとか完結させようと思っているので、もし興味を持ってくださった方がいましたら、今後も読んでみてください。よろしくお願いします!