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No.21882の一覧
[0] 【習作】S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)【ネタ】[草菜木](2010/09/14 19:52)
[1] その1 現状確認?[草菜木](2010/10/01 14:55)
[2] その2 無謀な交渉[草菜木](2010/10/01 14:56)
[3] その3 これからここで[草菜木](2010/10/01 14:57)
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[21882] 【習作】S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)【ネタ】
Name: 草菜木◆a2547b9c ID:a56c10f4 次を表示する
Date: 2010/09/14 19:52
「ちょ、まてよ」

自然に口からこぼれた言葉はキム○クさながら(ヴィジュアルを除く)眉間に皺をよせて「信じられない」という表情のおまけつきだ。
のどかなのに剣呑な空気、百メートル上空に見える天井(そら)、そして正面遠くにそびえる巨大な宮殿、そして極めつけは……

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

20メートルはあるだろうフードを被った深紅の巨人だった。

「茅場、晶彦?」

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

ぽつりとつぶやいた正にその瞬間、フード付きの巨人、茅場晶彦は自ら名乗りを上げたのだった。

「ちょ…………まてよ」

唖然としつつ、呆然としつつ俺はつぶやく、キムタクのように(ヴィジュアルを除く)

「転生直後inSAOって……」

朗々と巨人・茅場が現状の説明、というより告知しているのをよそに、俺は、この世界での産声を上げた。


「それ、なんて開幕サドンデス!!?」






S(それは)A(あんた)O(おきのどくだねぇ)






無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城。
それがこの世界の全てだ。
職人クラスの酔狂な一団が一つ気がかりで測量したところ、基部フロアの直径はおよそ10キロメートル、世田谷区がすっぽり入ってしまうほどもあったという。その上に無慮百に及ぶ階層が積み重なっているというのだから、茫漠とした広大さは想像を絶する。総データ量などと推し量ることができない。
内部にはいくつかの都市と多くの小規模な街や村、森と草原、湖までが存在する。上下のフロアを繋ぐ階段は各層に一つのみ、そのすべてが怪物のうろつく危険な迷宮区画に存在するため発見も踏破も困難だが、一度誰かが突破して上層の都市に辿り着けばそこと下層の各都市の《転移門》が連結されるため誰もが自由に移動できるようになる。
城の名は《アインクラッド》。約六千もの人間を呑み込んで浮かびつづける剣と戦闘の世界。
またの名を―――《ソードアート・オンライン》
ソードアート・オンライン第一巻アインクラッドより抜粋



それはとあるチャットルームにおいて日常的な風景だった。同好の士達が集まり話し騒ぎ、時に自らの成果を皆に報告したりして盛り上がっていた。
そして今日もまた、一人の職人が話題の種を放り込んだのだった。


鍛冶師 : 転生マシーンを作ってみた。
ダルヴァ: ついったー乙
関西  : 転生先はアイマス!の、一ファン……完璧モブやないか!
虫けら : ふ、お前なんかまだマシさ。俺なんてFateの世界でゾーゲン爺さん
の、身体のいちぶふぁあああくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
ジム  : あちゃー。それオワタ。ちなみに俺は禁書世界でLV1学生。なんて無
難ww
んだば : お、おではネギまでせせせせせったんの幼馴染!!ハアハア、せったんハアハア
模倣人 : 俺は藍蘭島に漂着。ただしホモスキルEXで。それなんてバツゲーム?
下駄弐 : ゼロ魔にてベルダンデに転生…………私、モグラですか?
自称鬼畜: いーじゃん土竜!漢字かっけー!それにルイズにくんかクンカイベントあるっしょ?ゾーゲンさんも蟲倉に紛れ込めば桜タソが……!!!
漆黒ノ羽: 死ね!Fateを……桜を汚す奴は皆死ねっ!!!
ダルヴァ: 信者乙。
下駄弐 : 乙です。
自称鬼畜: 乙~♪ってか、18禁ゲームで汚すなとか、それってどーなの?
英モドキ: Oh nonsense……
ジム  : だよねー。


「だよなー。確かに同情はするし可哀そうとも思うけど、文句言うならそんなシナリオ書いた某菌糸類先生にいうべきだわな。ま、当然お門違いだがね」

そんな光景を今日も俺は自室のモニターから覗いていた。
それにしても、桜はアレだからこそ、ちゃんと救済案として個別ルート用意されてるわけだし……イリアなんて、ある意味もっと悲惨だぜ?
そんな感じのコメントを掲示板に書き込もうとした瞬間、机の端に置いた携帯電話が振動する。着信を見るといつもの悪友だ。俺はキーボードに向かう手の軌道を修正して携帯をとり、通話ボタンを押した。

『たっくん』
『やめろ、俺はパイルなんぞ撃てねー』
『あぁ、アクセル仕様なんだね?じゃあタッカー』
『なお悪いわ!俺は自分の娘をキメラになんぞしねーっつーの!!』
『はは、ごめんごめん。ところでタカヤ。件の転生マシーン、やってみた?』
『いや、いま場違いな信者さんが叩かれてる最中だから』
『そんなのもうとっくに逃げたよ。ってことはやってないんだね?』

モニターを再び覗き込むと数分も立たずにごらんの有様だった。哀れ信者さんは多方向から無慈悲な攻撃を受けてログアウトしてしまっていたのだ。これはもう、ご愁傷様とか、フルボッコ乙とかしか言いようが無い。
俺は短時間でかなり進んでしまった会話ログをたどりながら悪友に話しかけた。

『お前はやったの?』
『うん。結構細かく作られてるみたいでさ。ついったーなんかじゃできない芸当だね』
『何処に転生した?』
『ペルソナ3でペルソナ使い』
『なんだよ。超美味しいポジションじゃん』

知識があれば原作介入も容易、うまくいけば俺tueeeeeeee!も夢じゃないドリームポジションに、俺は批判交じりの溜息を送るが、次の悪友の言葉にそれも吹き飛んだ。

『ただし、ストレガね』
『…………それは、また俺の名前の皮肉か?』

……たしかに原作に介入できる。つか、介入しなくちゃ死ぬ。介入しても死ぬ。介入する前に死ぬ?八方塞のハイリスクすぎるポジションだった。いや、もしP4の世界とリンクしているのなら助かる可能性もあると思うんだよ?二年後まで何とか生き繋いで、テレビの中に入り、自分と向き合ってペルソナを飼いならす。そうすれば正ペルソナ使いとして生きれるんじゃないだろうか?思えば、ストレガがつかうペルソナはみんなシャドウみたいに薄気味悪いヤツラばっかだったし、いまだシャドウに近すぎるために使用者を殺してしまうのではないだろうか?
思考が完全に脱線しかけたその時、悪友の声で現実に引き戻される。

『あ、そういえばロン毛くんの名前もタカヤだっけ?相変わらず記憶力だけはいいんだから。まあ、こんなもんだよ。製作者が意地悪なのかな。あんまし良いのを引けた人はいないみたいだね』
『ネギまで刹那の幼馴染ポジションの奴いたけど』
『あー……でも、リアルに考えてさ。彼女を落とすの無理っぽくない?そもそもお嬢様にゾッコンなズーレーさんだし、魅力チートな葱坊主もいるしね。それこそ、チートオリ主にでもならないと無理じゃないかな?』
『……言われてみればそれもそうか。刹那ファンならナチュラルにNTRな訳だな』

転生できるからと言って、必ずしもその作品の主人公になれるとは限らない。まあ、多くある二次小説の中にはたとえ原作にかする程度しか関わらなくとも、燻し銀を貫いた脇役オリ主たちも存在するのだが。

『で、やらないの?』
『うーん……』

正直俺は迷っていた。ぶっちゃけかなり興味があるし、酷評家で名高い悪友が『よくできている』と褒めるぐらいなのだ。ますます惹かれる。しかし……

『タカヤは昔からチキンだね。なにも本当に転生するわけじゃないんだから』

そんな安い挑発に乗ったら



「本当に、転生しちまった~~~!」

ごらんの有様だった。
確かに『転生マシーン』は良くできていた。良くできすぎていたのだ。


『ソードアート・オンラインにプレイヤーとして転生。
ただし、アインクラッドでログアウト不可能な状態から』


俺が前世で見た最後の光景は、そんな無慈悲な言葉を記すPCのモニターだった。





続く……のだろうか。


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