「聖杯には3つの願いを叶えてもらう。」
そう、間桐雁夜は宣言する。
キャスター、ランサー、アサシン、ライダーが敗退した今、残るはセイバーにバーサーカー、アーチャーのみとなった。今になって、言峰綺礼は間桐雁夜に協力関係を申し出て、承諾した間桐雁夜であったが、言峰綺礼が間桐雁夜の聖杯に託す願いを訪ねたところ、先程の言葉を口にした。
「…どういうことだ、間桐雁夜」
「どうもこうもない。そのままの意味だ」
「私には理解不能であるが」
「つまりだ、何でも叶える万能機であるならば、俺の願いを3つ叶えろ、と願えば、そうしてくれるだろ」
代々の監督役として、今回の聖杯戦争のマスター等は十分に見てきたし、過去の聖杯戦争の記録も理解していたが、これほど変わった参加者はいたのだろうか。
「クックック、綺礼、我はこの男が気に入ったぞ。まさかこれ程の阿呆とはな」
今まで黙っていたギルガメッシュであるが、余程面白かったらしい。
「雁夜とやら、貴様の願いとやらは何なのだ?」
ギルガメッシュが尋ねる。
「1つ。桜ちゃんの救出。2つ、遠坂時臣の抹殺。3つ。…俺の身体を、元に戻すことだ」
「まさに身勝手な願いだ」綺礼が言う。「間桐桜を、遠坂の家に返したところで、実父が死んだとなれば、間桐の娘はどう思う?凛や、その母までも、悲しみに沈めることになる。」
「遠坂の、娘だ。…その辺りは割り切っている。遠坂時臣は死すべき人間だ。葵さんや、凛ちゃん、桜ちゃんが悲しむことになろうとも、一時的なものだ。すぐに立ち直るさ」
綺礼が問いかける。
「果たしてそれが、遠坂の幸せに繋がるのであろうか。あの家族に、父の死という消えない傷を植え付けることになる。それでも望むと言うのか、間桐雁夜」
「……ああ、いいさ」
「やはり、この男は面白い」
言峰綺礼は微笑んだ。