まずい。
腹の底から怪物の悲鳴のような音を聞きながらそう思った。
漏れる。漏れてしまう。道中、屁をしながらごまかしてきたがそれももう限界だ。
こんなときに限ってトイレは見つからないので、仕方なく地元の高校ですますことに決めたが間に合いそうにない。
いそいで校門をくぐると赤い服を着た男と青いタイツをまとった男がチャンバラを演じていた。
がんぎんがぎんと安っぽい音に失笑してしまう。油断していたのだろう。
後ろでおさげの女子がマヌケな顔をしながらこちらを見つめていたのだ。
「……!」
思わず吹き出しそうになるのを必死に堪える。しかし肛門のほうはどうしようもない。
ぶりゅっと音を聞いたとき私は自身の敗北を悟った。
「!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
大声を出せばいくらかはごまかせると思ったがそれは便の勢いを増す手助けをしただけだった。
おおっ!と悲鳴を聞いた。あふれ出た便はパンツ…いやズボンを引き裂きいっきに校庭を埋め尽くした。5秒とたたない間に私の目の前にいた3名は便に巻き込まれ姿を消してしまった。
まずい。私は懸命に彼らを探したが少女以外は見つからなかった。
その少女も耳と口に茶色い排出物を詰まらせ窒息死していた。おぞましい形相で涙を流しているところを見ると、さぞ苦しかったのだろう。
「可愛そうに…」
普段、無口な私も声に出てしまった。ひとまず死体を隠さなければ捕まってしまう。
万が一発見され捕まった時は正当防衛を主張しよう。たしか父の知合いに腕のいい弁護士がいたはずだ。
とりあえず今は捕まる危険性はないがあと一つ問題がある。
下半身が丸出しなのだ。女子の衣服をはぎ取り、何とかしようとしたがスカートとストッキングは汚いし、パンツはサイズが小さすぎて膝の上までは上がらなかった。
「しかし、綺麗な身体だ。」
全裸の死体は私の乏しい頭脳では表現できない美しさだった。
下半身が脈打つのを感じ、すぐさま彼女の性器に挿入した。幸い中はまだ暖かく、私はすぐに果てた。
どれだけ精を放出しただろうか?無駄なところに血が行かなくなったせいか私の五感はいつも以上に研ぎ澄まされ、校庭にまだ人がいることを教えてくれた。
用が無くなった肉便器を放り投げ駆けだすと、草の陰で少年が倒れていることに気づいた。
鼻を押さえて白目をむいているのを見る限り余りの臭さに失神してしまったのだろう。
借りるぞと小さく呟き彼の衣服をはぎ取る。正直、上着は必要なかったが下半身だけむき出しでは何だかバランスが悪いので全裸にしておいた。せめてもの礼儀だ。
しかし一晩で3人も人を殺してしまった。あの男二人の死体は発見できなかったが、恐らく死んでいる。呪われたりしないだろうか?霊感は強い方なので憑りつかれたりはしないだろうが怖い。ただでさえ不眠症なのにさらに悪化してしまう。
たしか、近所にお寺があったはずだ。今日はもう遅いので明日にでもお祓いをしてもらおう。
そう思うと心が軽くなり眠気がやってきた。今夜は良く寝れそうだ。