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No.12914の一覧
[0] 【ネタ】ルイズが○○を召喚しました【短編連作】[giru](2013/07/04 00:01)
[1] ルイズが鬼使いを召喚しました[giru](2010/11/05 01:22)
[2] ルイズが正義の味方を召喚しました[giru](2010/11/05 01:22)
[3] ルイズが青い雷を召喚しました[giru](2012/11/20 12:17)
[4] ルイズが火の目を召喚しました[giru](2010/11/05 01:24)
[5] ルイズが高校一年生(19)を召喚しました[giru](2010/11/05 01:27)
[6] ルイズが掃除人を召喚しました[giru](2010/11/05 00:56)
[7] ルイズが学園最強の女を召喚しました[giru](2011/04/19 20:35)
[8] ルイズが白銀の騎士を召喚しました[giru](2011/04/19 02:18)
[11] ルイズが金髪の悪魔を召喚しました[giru](2012/11/20 22:38)
[12] ルイズが美人三姉妹を召喚しました[giru](2013/07/05 12:44)
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[12914] ルイズが白銀の騎士を召喚しました
Name: giru◆2ee38b1a ID:33ec19b8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/19 02:18
「魔法を使える者が貴族なわけじゃない……!」

 圧倒的な質量で迫るゴーレム。
 脚を振り上げ、その落下地点に定められたルイズは、それでも一歩も動こうとはしなかった。
 それは恐怖からではない。
 否――恐怖も確かにある。だが、それを遥かに上回る使命感。貴族たらんとする誇りが、ルイズをその場へと踏み止まらせた。

「敵に背中を見せない者を貴族というのよ!!」

「ルイズ!!」

 キュルケの叫びに、しかしルイズは振り向く事なく退くことも無く、正面に迫るゴーレムを前に高らかに宣言した。
 彼女に手立てなどない。ゼロと蔑まれ、コモンマジックの一つも使えない、身体能力など語るまでも無い。
 それでも彼女は圧倒的な質量を誇るゴーレムを前に逃げる事なく睨みつけた。


 ――……――……!!!!!!


 程なくして大地を揺るがす地響きと共に、ルイズの姿はゴーレムの足元へと消える。

「そん……な……」

 タバサと共に彼女の使い魔・シルフィードに乗ったキュルケの口から呆然とした呟きが漏れた。
 そしてタバサもまた言葉こそ口にしなかったが、眼を見開いている。

「――!」

 だが、じきに眼鏡の少女の口が小さく開かれた。

「……あそこ!」

 そして一点を指差す。
 キュルケもタバサの指先を追って、その地点へと眼を凝らすと――

「あれは――!」






「ご主人……このような無茶、二度としないでいただきたい」

 その男は呆れ七割、感嘆三割ほどの感情を乗せて言葉と共に腕の中に抱いたルイズを見やる。

「あんた……!」

 彼女の体は、その男に守られるように抱きしめられていた。それはさながらおとぎ話のプリンセスのように。呆然と男の腕の中でその顔を見つめ返すルイズの耳に、ズズンとゴーレムの足が大地へと振り下ろされる轟音が響いた。
 僅かに遅れ、地響きが伝わってくる。

「お怪我はありませんか」

 白銀の甲冑に身を包んだ威風堂々たる騎士。
 髭をドワーフのように刺々しく伸ばしているものの、不思議と不潔感はない。
 むしろその容貌が彼を一層勇ましく引き立ててすらいる。そしてそのような中で唯一、双眸だけが優しく彼女を見下ろしていた。

 そしてルイズは、その騎士――自身の使い魔の名を叫ぶ。

「あ……アーサー!」

「ご主人。お下がりくだされ」

 ゴーレムから距離を取りつつ、使い魔たる騎士・アーサーは丁寧にルイズを地へと降ろす。
 程無くして、タバサの駆るシルフィードがその場へと下降してきた。

「ダーリン、大丈夫?!」

 キュルケの呼びかけに、アーサーはこっくりと頷く。

「ああ、問題は無い」

 そしてキュルケたちの方へと、ルイズをそっと押しやった。

「二人とも、ご主人を頼む」

「――って、アンタはどうするのよ!?」

「あのゴーレムを片付けましょう」

 トリステイン魔法学院に忍び込んだ賊によって、宝物が奪われた。
 それを取り返さんと、結成された奪還隊。とはいえその顔ぶれは、賊である土くれのフーケの実力に教師陣は尻ごみをしてしまったため、学園生徒と学園長秘書のみという体たらくであったが。

「で、でもあんた一人じゃ……っ!」

「無茶」

 ルイズが必死に。そしてタバサも冷静に分析する。
 彼女たちもこの騎士の実力は良く分かっていた。幾度と無く魔界の住民たちと渡り合ったと豪語するだけはある素晴らしい実力を備えており、女神の祝福――と本人が語る、武器を無限にその手へと生み出す魔法を身につけていた。
 つい先日にも彼女らのクラスメイト・ギーシュと決闘の真似事をする事にもなったのだが、その実力によって彼の使役するワルキューレ――青銅のゴーレムを傷一つ負う事なく仕留めきっている。

 だが、今回ばかりは相手が悪い。
 彼の武器を生み出す魔法も所詮はそれだけでしかない。
 武器は武器であり、投擲したものも特に特殊な魔力を帯びているわけではなかった。
 いくら投げ放ち続けた所で、あのゴーレムはいかほどの痛痒も感じないだろう。

「ええ……確かに私も今のままでは分が悪い。
 ですが私はご主人の騎士。ご主人が逃げぬと言うのであれば、私も逃げる訳にはいきませぬ。
 そして、ご主人が戦うというのであれば、その剣となり、槍となりて戦うが騎士たる者の務め」

「アーサー……でもっ!」

 アーサーの言葉は、全て主人であるルイズのためのもの。
 尚も言い募ろうとする主に、アーサーはそっと微笑みかける。

「心配には及びませぬ。
 確かに分が悪かったのは事実ですが……これがあれば話は別です」

「――それは!?」

 言葉と共にアーサーが掲げたものは、事の発端である魔法学院の宝物であった。
 それは透明な球体。そしてその中では紅と蒼の光が互いに混ざり合うように浮かび、輝きを放っている。
 オールド・オスマンが若かりし頃に見つけた物であり、莫大な魔力を感じ取れるものの、その用途が一切分からず宝物庫へと死蔵するしかなかった――出立の際、そのように経緯を聞いていた宝物。

「ぬぅん!」

 アーサーが球体を一層強く握り――そして球体が割れたかと思うと、紅と蒼の光が彼を包み込んだ。

「え……? な、なに?! 何をしたの!? あんたそれを知っているの!?」

 フーケの後を追って古ぼけた小屋へと赴けば、賊の姿などなく、あったものはその宝物だけ。
 誰もが手に取り、しかし使い方など分からずに頭を突き合わせていれば、外からの地響き。
 慌てて出てみれば、今に彼女らの前にはだかるゴーレムが姿を現しており、慌ててキュルケとタバサは一時その場を離れ――そしてルイズはその場へと踏みとどまっていたのだ。
 その際に当の宝がどうなったか皆の記憶でうやむやとなっていたのだが、どうやらアーサーが回収していたらしい。

「……パワーアップの魔力。四度目の魔界の旅にて私も幾度と無く世話になった代物です」

 驚くルイズの前で、アーサーは厳かに呟いた。
 そして紅蒼の輝きをその身に宿した騎士はそっと己の武器――長大なランスを肩に担ぐ。握り締めたランスもまた、程無くしてアーサーと同様の輝きに包まれた。
 その穂先に据えるは彼らを踏み潰さんとする土塊。

「ご主人、ご安心を。
 あのような狼藉者に、ご主人は指一本触れさせませぬ」

 それだけを言い残し、アーサーはゴーレムへと立ち向かう。

「アーサー!!」

 ルイズが叫ぶ。だが、アーサーは止まらなかった。
 恐れも無く、躊躇いも無い。
 ただ主を守らんとせんがため、騎士は突き進む。

「ハアアアアアアアア!!!!」

 そして、裂帛の気合と共にランスが投げ放たれた。









(すごかったわよねぇ……あれ)

 優雅な音楽が奏でられる、絢爛煌びやかな舞踏会。
 盗賊騒ぎが一件落着し、学院内でつつがなく開始されたパーティの一角。そこでルイズは手に取ったグラスに口をつけつつ、先の一件を振り返っていた。

(まさかあの宝物に、そんな力が秘められていたなんて……)

 パワーアップの魔力によって強化された槍は、まさに大砲の主砲とも見紛うほどの威力でゴーレムを貫いた。
 そして、彼の放つ槍は一本ではない。
 祝福によって幾度と無くその手に生み出し、そして投げ放つ事が出来る。
 強化された槍の威力。その連射にはさしもの巨大ゴーレムも勝てず、アーサーは前言通り片付けてしまった。

 その後に悶着はあったものの首謀者も捕らえられ、こうして無事に舞踏会も開催できている。

(それにあいつ……中々やるじゃない。
 サモン・サーバントに応じて出てきたのが人間だったから、最初はどうなるかと思ってたけど……)

 だが、出てきたのは紛れも無く立派な騎士だった。
 事情を聞いたアーサーは己には主君がおり、元の世界に帰るまではと条件をつけはしたものの、ルイズに絶対の忠誠を誓ってくれている。
 そして事実、彼はあの場でルイズを救い、使い魔として――そしてそれ以上に彼女の騎士として彼女を守り、そして見事功績を打ち立てた。

(あの時のアーサー。ちょっとかっこよかったかも……)

 ――と、そこまで考えてルイズは激しく頭を振る。

(って! そうよ、あいつは使い魔なんだからご主人様の身を守るのは当然じゃない!)

 踊りませんかと誘ってくる男子生徒を適当にいなしながら――普段はゼロと蔑むくせに、着飾った途端に声をかけてくるその軽薄さに辟易としながら――ずんずん、とフロア内を歩き回る。

(で、でも確かにあのゴーレムに踏み潰されかけた時に助けてくれたのはありがたかったし、逞しかったし……って駄目駄目! あいつは所詮使い魔、使い魔なんだから……っっ!!)

 必死に己の内で生まれようとする感情を否定するが、その一方でしかし、と考える自身も居た。

(そ、それでも助けてくれたのは事実なんだし、こ、ここはご褒美として一緒に踊ってあげるくらいはしてあげてもいいわよね…………?)

 必死に――自覚無く、アーサーを褒めちぎる自分自身を正当化しようとするルイズ。

(そ……そうよ! ど、どうせあいつだってむっさい男なんだから、せめて今日くらい私が相手してあげなきゃかわいそうじゃないっ!
 これはご褒美、ご褒美なのよ!!)

 この舞踏会にも、『寛大にも』ルイズはあの使い魔騎士に出席を許可していた。

(ふ、ふん……。どうせ大した服も持ってなかったはずだし、私くらいしかあいつと踊ろうなんて物好きなんていないんだろうから――)


「キャアアアアアアアアアアア?!」


 ルイズの思考を遮ったのは、甲高い女子生徒の声であった。
 しかも一色ではない。
 ある方向から、次々と悲鳴が上がってくる。

「な、何事!? って、ぃ、ぇ――――!?」

 ルイズも。
 そして周囲に居た者たちも声の上がった方向へと注目し――そして全く同じタイミングで全員が表情を引きつらせた。



「ご主人。そこにおられましたか」



 女子生徒の悲鳴が上がった方向から、呑気な声が上がる。
 まるでモーゼの十戒のごとく避けた人々が道を割り――そこをゆっくりと進んできたのは、彼女の使い魔・アーサーであった。

「あ、あ、あ……っ!!!」

 そして。

「あ、あああああああんた、な、ななななななんてカッコーしてんのっ!!!??」

 前に立った『ハート柄のパンツいっちょ』のアーサーに、先までのトキメキも忘れてルイズは怒鳴りつけた。
 だが、そんなルイズの態度にアーサーはむしろ怪訝そうに首をひねる。

「いえ……舞踏会に出席するには正装、と伺っておりましたゆえ、この格好にさせていただいたのですが……」

「正装!? アンタそのカッコがせいそーなの!?」

 下の皮膚が見えなくなるほどに濃く生えた胸毛や腕毛も露にしたその格好に、ルイズがずびしと指を突きつけて絶叫する。
 だが、やはりアーサーは動じない。

「ええ。仕えております姫の遠乗りに付き合う際には、いつもこの格好でしたが」

「あんたそのカッコーでお姫様は何も言わなかった訳!?」

「とても嬉しそうにいたしておりましたが」

「ちょっ……!」

「向かう先はいつも姫お気に入りの墓場でしたな……思えばアスタロトの奴めに初めて姫が攫われてしまった日も……くっ!」

 何を思い出したのか目じりに涙を滲ませ、慌てて腕で拭う。
 だが、そんなアーサーの態度にルイズは眼を白黒させる事しかできない。

「おかしい……! アンタもそのお姫様もずぇったいおかしいわっ……!!」

 そんなルイズの呻きなど聞こえてはいなかったのか、じきにアーサーは腕を振り払い、かっと眼を見開く。

「ですがご主人っ!! ご主人はそのような危うい眼には遭わせませぬぞ! 先の一件にてご主人を危険に巻き込んでしまったのは私の失態! ですが! いえ、だからこそ! 必ずやこのアーサー、元の世界に帰れるその日まで、ご主人を命を賭けて守り抜く所存っ!!」

 使い魔のルーンによる洗脳効果なのか、はたまたアーサー生来の無骨な忠誠心なのか。
 ……あるいは既に酒でも入っていたのかもしれない。なんかちょっと赤ら顔になってるし。

「みぇっ!? ちょ、そ、その顔よせないでえええええ!!!?」

 感極まったパンいちの騎士はずずいと踏み込み、血走った眼で主君に宣言する。
 そして奇妙な叫び声と共に腰を退かせるルイズの周囲で、何やらひそひそと話し声が聞こえてきた。



「ゼロの奴、あーゆー趣味だったのか……?」
「つ、使い魔にあんな格好させて舞踏会に出すなんて……」
「それに素直に従うなんて、あの使い魔も中々やるよな」
「中々できる事じゃないわ。よっぽどゼロに忠誠を誓っているのよ」
「それをあんな形で忠誠試すなんて、あいつちょっとSっ気があるんじゃないか?」



「って、そのへんっ! 好き勝手いってんじゃないわよおおおおおおおおおお!!!」


 迫り来るアーサーの顔を押し返しながらルイズは絶叫した――が、とーぜん現在展開中の状況証拠の前では、何の効果もなかった。




 で、その後。
 アーサーによる髭面の大接近がそれ以来ミョーなトラウマにでもなったのか、お忍びの姫より承った密命を受けた際に再会した婚約者――ワルドが彼女を抱きしめようとした際、「ヒゲはいやー!!」とほとんど発作的に手加減抜きの爆発魔法をぶっぱなし、彼を再起不能に陥れたそーな。








『魔界村シリーズ』よりアーサーを召喚





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