「あんで爆発しねぇのよピンク?おかしくね?オレって最強じゃねぇの?」
ブンブンと杖を振りながら首を傾げるデュマをルイズは睨みつける。
「貴族じゃないアンタに・・・、魔法が使えるわけないじゃない!!」
「うるせぇよカス。オレが聞きたいのは魔法が使えるか使えねぇかとかじゃあなくて、オレが宇宙最強かどうかってことなんだよ。」
やれやれだぜ、と呆れるデュマ。
ルイズの方は彼女?が言っていることを理解できていないらしく、目をパチクリさせている。
「爆発で綺麗に殺してやろうと思ったのに、もう撲殺しか選択肢ねぇわコレ・・・。」
やれやれだぜ、と顔を振るデュマ。
その余裕に満ち溢れた顔が、驚きの表情に変わったのはその瞬間だった。
背後から急に何者かに羽交い絞めにされたのだ。
デュマが「なばなぁぁ!!?」と叫ぶ前に、ルイズが口を開いた。
「サイト!!」
そう、先ほどまで無様に煙を上げていたあのサイトが復活したのだ。
「離せ!!このカス野郎がぁぁぁぁ!!うびぃやああああああ!!!」
バタバタと暴れるラリカ(脳内デュマ)だが、所詮は17歳の少女の力、サイトにガッチリと固められた状態から抜け出すことなどできない。
「ちくしょう!!腕力が足んねぇ!!不良品だぜこの体はよぉ!!」
目を充血させて目の前のルイズを睨みつける。
「ルイズ逃げろ!コイツは俺がなんとかするから!!」
「でも・・・。」
「いいから早く行け!!」
サイトが叫ぶと、彼女は渋々それに従った。
その後ろ姿が見えなくなると、ようやくデュマが話し出す。
「ウヘヘ、おもしれえよ。たまんねぇよ。」
「?」
「このデュマ様をコケにしやがって・・・、ピンクといいテメエと言い・・・、ぶっち殺してやるずぇ!!うがああああ!!!!」
吼えたはいいものの、力が足らず振りほどけない。
「ッハァ!!・・・、テメェ、このデュマ様を本気にさせる気か!?」
「今の本気だったんじゃないのか?」
「んなわけねェだろボケがぁ!!いいか見てろ?これが・・・コイツがオレの本気だぁぁぁぁぁ!!」
額に血管を浮き立たせて叫ぶデュマ。
プルプルと震えて歯を食いしばるが、もちろんパワーが足らない。
「・・・、もう諦めろ。俺はラリカの体を傷つけたくない。だからさっさとラリカから出てってくれ。」
冷静に言うサイト。
デュマの方は力を込めすぎて疲れてしまったため、反応はない。
「・・・分かったよ。」
しばらくして聞こえてきた言葉に、サイトは耳を疑う。
「え?」
「分かったって言ってんだよ。もうなんかめんどくせェから、こんなゴミカスの体なんて出てってやるっちゅ~の。」
眉を潜めてイヤイヤするデュマ。
「ほ・・・ほんとか!?」
「何回も聞き返すんじゃあねェッスよ。めんどくささを通り越して逆に一生出ていかねェぞコラ?」
更に唇を歪めてイヤイヤするデュマ。
「体から出るには特殊な儀式がいるから離せよ。」
その言葉を信用しきれていないサイトが、考え込む。
彼からはデュマの表情は伺えないのを良いことに、デュマの顔はもちろんニヤけている。
「嘘じゃ・・・ないだろうな・・・?」
小さく呟くサイトだが、その迷いが油断に繋がった。
一瞬力の緩んだサイトの腕からスルリと抜け出し、回転してサイトに向き直ると同時に、勢い良くボディにキツいのを入れた。
目を見開き、小さく呻くサイト。
「はいやあああ!!」
更に追い討ちで、蹲るサイトに蹴りを繰り出す。
爆発のダメージが残っていたためか、堪えきれずに地面に倒れるサイト。
そんな彼を満面の笑みで見下すデュマ。
「ヒャハハハ!!このド低脳が!!返せ返せって言われたら逆に返したくなくなる、そんな気分だよオレは!!」
ペッと唾を吐き、サイトを置いて逃げるように走り出すデュマ。
「ピンクも貴様も必ず殺してやる!!それまでせいぜい怯えてやがれ!!ヒャ~ッハッハッハッハッハッハァ!!!」
そう叫び、デュマはサイトの視界から消えて行った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
つづく